横領罪の既遂時期は、一般に不法領得の意思の発現時ですが すなわち委託物を第三者に「これをきみにあげよう」
といった瞬間に既遂ですが
不動産の場合はなぜか登記が完了するまでは横領とはいえないみたいです
「これをきみにあげよう」ではまだ既遂ではなく
「これを君名義に登記してきたからね」
となってようやく既遂とのことです。
これはなぜですか?
物の時も、「これをきみにあげよう」との表明だけで実際第三者に引き渡しをしなかったならば、この物はまだ持ち主に戻る可能性はゼロではありません。
不動産のみを遅めにする意味がわかりません
A 回答 (4件)
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No.4
- 回答日時:
ま、3番の回答が妥当だね。
他は読むに値しないから無視するのが吉。で、少し付け加えるとさ、原則は「譲渡契約締結時」なんだな。まず原則として「譲渡契約を締結した」ら横領罪は既遂。これを押さえる。だから、対抗要件がどうとかそんなことは基本的には関係ないわけ。
その上で、不動産所有権移転の場合になぜ既遂時期を登記の時まで遅らせるのかという「例外」扱いをするのかを考える。ちなみに前田先生は、抵当権設定も登記の時に既遂となるとすべきと言ってる。
ってか、判例だって「対抗要件を備えたら既遂」とは言ってないだろう。不動産を他人に譲渡して登記を備えたときには横領罪となるということを言っているだけだと思うよ(ま、原文確認してないから推測だけど)。この違いが解るかな?最後に述べるよ。
これは結論的に言えば政策的考慮の結果なんだけど、それは保護法益論と刑法の役目から導くのが妥当だろう。つまり、「趣旨に帰れ」だ。だから3番の回答が妥当なわけ。まさに趣旨に帰った発想だ。
ただ一つ抜けているけどね。単に保護法益論だけなら、登記の時まで犯罪の成立を遅らせる必然性はない。むしろ早い方が法益保護には資するからね。
だから刑法の謙抑性との兼ね合いで、という点を付け加えないといけない。要するに「バランスが取れた解決策はどこにあるのか」ということだ。法益保護機能と自由保障機能(もしくは刑法の謙抑性)とのバランスを取ったってことだよ。
なお、「事実上」、対抗要件(あるいはそれに類似する事情)を具備すると追及が困難になるということから対抗要件の具備を一つのメルクマールにするにしてもそれは、対抗要件具備を横領罪成立の要件としているということを意味しない。対抗要件を具備しなくても同等に追及が困難になると認められるなら横領罪の成立を認めるべきで、だからこそ、動産においては対抗要件を具備する必要性はないし、登録制度のある動産も登録を要求する必要がない。不動産という特殊な場合にたまたま登記の具備が権利侵害の回復を困難にする事情となり得るというだけに過ぎない。だから、「一般論としては」対抗要件とか登録の具備は必要ない。よって、3番の回答が適切で、対抗要件に拘った回答は全部間違いと言うべき。
No.3
- 回答日時:
横領罪の保護法益は「所有権に裏付けられた者に対する利用可能性」及び委託関係です。
この点、動産は引渡しにより事実上の占有が移転すると追及が困難になりますし、自動車や船舶のような登記が対抗要件であるものでも、追及が困難になる点は変わりません。そして、引き渡しのない意思表示の段階でも、所有権者の利用可能性は著しく減少していますし、それにもかかわらず、まだ引渡していないから、実際に引渡して完全に追及が困難になるまでは既遂が成立しないとするのは妥当でないでしょう。
これに対して、不動産の場合は意思表示をしたからといって、土地や建物が突然使用できなくなることはないでしょう。それに、もしも登記が移転された段階で横領罪が既遂になるとしても、動産と違って土地は追及が容易ですから、このような違いがあるのだと思います。
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