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慣性力についてです。以下のような問題に悩んでいます。

質量mの小球がエレベーターの天井から軽い糸でつるされており、その床からの高さはhである。エレベーターは加速度aで上昇している。上昇している最中に静かに糸を切る。切ってから、小球がエレベーターの床に落下するまでの時間はいくらか。

解答を参照すると、エレベーター内にいる観測者から見れば、糸を切った後の小球にはたらく力は重力と慣性力になるようです。ただ、エレベーターとつながっていない小球に慣性力がはたらくということがなかなか理解できません。

どのように考えればいいのでしょうか。
具体的に教えていただけるとありがたいです。

A 回答 (8件)

 突き詰めれば、「慣性力」というものがわからないということですね。



 この問題を見る視点を変えてみましょう。
 エレベーターは地上になく、重力が働いていないとします。さらに、このエレベーターが加速度a=g(重力加速度)で天井の向きへ加速しているとします。床からhの「高さ」でそっと放した小球がエレベーターの床に着くまでの時間はいくらか?

 答えは、地上での自由落下とまったく同じです。
 エレベーターに乗っている人には、そのエレベーターが地上で静止しているのか、加速度gで運動しているのか、小球の運動からは判断できないのです。

 このことが一般相対性理論を考察する際の基礎になっているのですが、それはさておき、この例は、質問者様の疑問を解く鍵になっています。「エレベーターにつながっていない小球に力が働く(ように見える)」ことを示していますので。重力が働くのが理解(納得)できるのであれば、小球に「慣性力」が働くのも理解(納得)できるはずです。

 また、この例は「力」というものがどのようなものかをも端的に示しています。

 運動の変化が起こらないとき、つまり、静止している物体は静止したままだし、直線運動している物体は一定の速さで動き続ける(等速度運動する)、とき、この物体には「力」が働いていないと言います。(正しくは合力がゼロ) 運動の第1法則ですね。「慣性系」というものを規定する法則です。

 この法則は運動の第2法則と密接な関係があります。第2法則の大前提は、「第1法則が成り立つ座標系(慣性系)がこの世の中に存在する」ということであり、「そのような座標系で運動の変化が起こったならば、『力』が働いた」と考え、測定可能な「加速度」を用いて「運動方程式」によって力を"定義"します。加速度と力がベクトルとして比例するという関係は実験事実に基づきます。

 さて、私たちが運動を観察するとき、自分は止まっていると思うのが普通です。加速するエレベーターの中にいたとしても、私たちは床が止まっていると思うでしょう。しかし、慣性系から見て静止している物体は、エレベーター内の人から見れば、加速しているように見えます。ほんとうは自分が加速度運動してるのにもかかわらず。

 さて、加速している(加速しているように見える)以上、この物体にはどうしたって「力」が働いていなければなりません。これが加速度系で現れる「慣性力」と称されるもので、実体のない「見かけの力」です。なぜなら、慣性系で見ればこの物体は静止しているのですから、運動方程式が規定する本来の「力」はゼロだからです。

 慣性力が見かけの力であることは、これを"作用"と見立てたときに、"反作用"の力が存在しないことでもわかります。

 この問題と似たような例で、加速度運動する電車の問題があります。電車がブレーキをかけると(負の加速度を生じると)進行方向に引っ張られるように感じますが、このとき感じる「力」が慣性力です。

 電車の車内先頭の壁際に立っている人が倒れまいとして壁に手をついたとしましょう。このとき、手は壁から押し返されますが、これを「慣性力」に対する反作用と考えてしまったら間違いです。この「壁が手を押し返す力」は「手が壁を押す力」に対する反作用です。「手が壁を押す力」は慣性系でも存在します。たとえば、電車が止まっていても。このことからも、この力は「慣性力」に対する反作用ではないことがわかるでしょう。

 だとすれば、なぜ壁に手をついた人は立っていられるのか? それは、「慣性力」が「壁が手を押し返す力」と釣り合っているからです。このために、考えている加速度系内(電車内)で人に働く力の合力はゼロとなり、めでたく人は静止したままとなるのです。

 ところで、作用・反作用の法則(運動の第3法則)は次のことを述べています。「第2法則によって定義される力には必ず、それと逆向きで大きさが同じ力が存在する。」(でなければ、慣性系で勝手に動き出す物体が現れてしまう。なぜだか考えてみてください。) そして、「作用(または反作用)の力が顕わに見える(運動の変化に関わる)のは、いずれか一方のみを含む系(上記の例であれば、人という"系")で力を考え、その系の運動を考えた場合のみである。」

 作用・反作用の力は、両方の力を含む系で運動方程式を立てた場合にすぐにわかるように、「内力」となってキャンセルされます。「慣性力」はいかなる系においても「内力」の形でキャンセルされることはありません。

 電車の場合と少し異なりますが、似たような誤りとして「遠心力は向心力の反作用である」という回転系での例があります。

 長くなりますのでもうやめにしますが、運動の法則は、きちんと考えてみると力学の根本に関わることを言っています(基本法則ですから、当たり前ですが)。

 よく考えてみてください。
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>具体的に教えていただけるとありがたいです。



そう覚えておかないとこうなるから。→つ^_^)つ

今度は慣性抵抗入れて計算すっからな!ーー;
http://www12.plala.or.jp/ksp/mechanics/vsquare/
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エレベーター内にいる観測者にとって、慣性力は重力のようなもの、と考えてみてください。

小球は、重力の源である地球とつながっていませんが、小球には重力が働きます。慣性力も、小球はエレベータとつながっていませんが、小球に働く、と考えましょう。
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 この問題は単純な重ね合わせの原理でよいです。

つまり、エレベーター内の観測者は、重力がg+aになっていると考えればよいのです。地上なら、gで考えますよね。それがg+aに変わるだけです。
 理解しづらいのは「観測者は誰か?」ということを、あいまいに考えておられるからでしょう。加速度系にいる観測者は、加速度が重力のようなものだと考えてよいのです。だから単純に、もとからある重力加速度との単純な足し算でいいのです。
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エレベータと繋がってないから(観測者から見て)慣性力が生じるのでは?


エレベータと繋がっているなら観測者と系は同じと言えますよね。それが外れればエレベータの系とは無関係になる。だから、この場合は重力に加速度aが加わった状態、重力が変動したように見える、って事なんじゃなくて?

単純に考えれば、
t=√(2*h/(g+a))
になるんじゃないかねぇ?
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解答はエレベータと共に運動をする座標系で考えていますね。

その座標系は加速度運動をしているので、そのために慣性力を考慮に入れる必要があります。つまり、エレベータとつながっているかどうかとは無関係に、エレベータから見た場合の運動方程式には慣性力の項が含まれます。


別の考え方として、エレベータの外から見た座標系で解いてみましょうか。糸を切った瞬間からその後の小球とエレベータの運動について考えます。

糸を切った瞬間のエレベータの床の高さを 0 、エレベータの速さを v とします。そこから時刻 t だけ経ったときの床の高さ、小球の高さはそれぞれ

y = vt + at^2 / 2

y = h + vt - gt^2 / 2

ですね。小球が床に落ちるというのは両者の高さが等しくなるということですから、求める時間は

vt + at^2 / 2 = h + vt - gt^2 / 2

から得られます。この式は

0 = h - (g+a)t^2 / 2

と変形できます。これはエレベータと共に動く座標系から見て「高さh, 初速度0」で小球を落下させたときに床まで到達する時間を求める式になっていますね。加速度が g ではなく g+a になっていることに注意してください。慣性力が含まれているわけです。エレベータの外から見る座標系で糸を切った後の運動を考えていましたが、それをエレベータの中から見た座標系での運動になおすと慣性力が現れます。エレベータとつながっているかどうかは無関係であるというのがわかりますね。
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エレベータに乗っている観測者には小球は重力と慣性力に引かれている様に見えます。


一方エレベータの外の観測者には小球は重力に引かれ同時にエレベータの床が加速度αで小球に近づきます。
小球が床にぶつかる時刻は両者とも同じです。
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エレベーターの外から見ると、小球が落ちる間にエレベーターが上昇しています。

したがって、小球がエレベーターの床に衝突するまでの時間は、エレベーターが静止しているときより短くなります。

エレベーターの中から見ても、小球がエレベーターの床に衝突するまでの時間は、上の場合と同じはずです。
そのためには、加速度が大きくなった(g が g+a になった)と考えるしかありません。
この加速度が大きくなった原因を慣性力が加わったからだと考えるのです。

エレベーターが上昇を始めるとき、エレベーター内の人は下に押し付けられるような感じを受けますよね?
それが慣性力です。
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