今年の3月頃から急に問題になった新型インフルエンザは、メキシコで発生した豚型インフルエンザがヒトに感染したことから始まったようですが、現在日本で問題になっているものが、メキシコで発生したものであるという証拠はあるのでしょうか?
また、昨年は鳥インフルエンザについての注意喚起が盛んに行われました。ヒト、鳥、豚は既に何万年も前から地球上に存在しており、インフルエンザのウイルスも同様に存在していただろうと考えられますが、ここへ来て急にこれらの動物種とウィルスの間の関係に変化があったのでしょうか?
ある特定の地域にしか生息しない動物やウィルスが起源の疾患であれば騒動になるのもわかりますが、どこにでも、常に存在し、接触可能な動物種が関係するウィルス疾患が急に危険視される理由がわかりません。
もしかすると、日本を含む世界中で新しい様々な度合いの病原性ウィルスが常に生まれている可能性があるのではないでしょうか。
ウィルスの問題ではなく、感染する宿主(個体)の側の問題なのではないでしょうか?
No.1
- 回答日時:
何万年前から存在していても、ウィルスが常に変化して、新しいウィルスに対する免疫はありません。
ニュースで今回の新型インフルエンザは、第一次大戦中のスペイン風邪と同じH1N1型です。
これはアメリカで最初に流行し、米兵が戦争に行ってヨーロッパ中に広げたインフルエンザです。
各国が発生の情報開示しない中、スペインが発表した為に命名されたのですが、
最初に流行したのはアメリカですが、他の国でウィルスが発生した可能性はあります。
今回の新型も、最初に発病が発見されたのがメキシコの田舎で、推測に過ぎません。
季節性インフルエンザなど、予防接種をしている病気は、予防接種をしなければ大変です。
予防接種しているから、感染しても発病せずに済み、発病しても症状が軽く済むのです。
インフルエンザウィルスは常に変化して、新しいウィルスに対する免疫のない人が多いです。
弱毒性なので、若い人は罹っても、タミフル・リレンザが効くといわれていますが、
季節性でも耐性の問題があり、いつタミフルが効かなくなるか判りません。
スペイン風邪も、途中から弱毒性が強毒性に変化し、日本でも40万人位が死亡しています。
また、糖尿病・ぜんそくの慢性疾患のある人は重篤になるそうです。
ワクチンができるのが秋以降、生産能力の問題で、充分な数は生産できません。
新型を作って季節性のワクチンの生産が減れば、季節性インフルエンザの流行も心配です。
救いなのは、高齢者がインフルエンザに罹ると命に関わりますが、発病する人が少ないので、
昔、新型インフルエンザに似たウィルスに感染して免疫のある人が多いのでは、と言われています。
この回答への補足
早速のお返事ありがとうございます。
今話題の新型インフルがメキシコ由来かどうかについては理解できました。
私が気になるのは、昨年来、新しいウィルスの出現について、「急に」注意喚起を促すマスコミ報道(厚労省から発信?)がなされていることです。ウィルスの進化、発生状況がそれ以前と大きな違いがないのであれば、それまでの注意喚起と同じでよいだろうと思うのです。ウィルスの進化、発生状況(環境)に変化が起こっているのでしょうか? あるいは、強毒性のウィルスが発生する明確な周期性(100年に一度とか?)があることを示唆するようなデータがあるのでしょうか?
現在の厚労省、マスコミの注意喚起では、季節性インフルはそれほど危険でないように聞こえてきます。
また、スペイン風邪では多くの犠牲者が出ていたようですが、感染しても重症化しなかった人もいたはずで(そうでなければもっと多くの人が死んでいたはずです)、感染が重症化する人とそうでない人の違いが何によるのか(慢性疾患を持たない人で)を調べる必要があるのではないでしょうか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
Q/現在日本で問題になっているものが、メキシコで発生したものであるという証拠はあるのでしょうか?
A/既に回答があるように最初の発生がメキシコだったというだけです。そのウィルスと同じRNA型のウィルスが日本で出たことからメキシコからの輸入とされています。
Q/ここへ来て急にこれらの動物種とウィルスの間の関係に変化があったのでしょうか?
A/新型インフルエンザは記録で残っている限りでは、スペイン風邪(1918-19年)、アジア風邪(1957年)、香港風邪(1968-69年)と約40~50年周期で強い流行期を迎えると推測されています。(今のところの話です)この理由はいくつかあるのですが、人の世代交代がそれぐらいの周期で進むという可能性と、ウィルスの変異が進むのがその間隔である可能性があるという2つが考えられるのです。
即ち、実績ある100年の統計的に見て今から10年ぐらいが新しいウィルスが蔓延する可能性が最も高くなる時期なのです。
Q/もしかすると、日本を含む世界中で新しい様々な度合いの病原性ウィルスが常に生まれている可能性があるのではないでしょうか。
A/それはあり得ますよ。全員のウィルス型を調べることはできませんからね。ただ、今回のインフルエンザAに関しては、インフルエンザAと判断された患者のウィルス型は変異のないRNA型であることが分かっていますから、全く新しいものが発生している証拠はまだ見つかっていません。
Q/ウィルスの問題ではなく、感染する宿主(個体)の側の問題なのではないでしょうか?
A/インフルエンザAについては、50年代に生まれた世代に免疫がある可能性をWHOは指摘しています。そのため、先に述べたように人間側の世代サイクルの問題が合致して広まっている可能性があります。
まあ、これは今回がたまたまかもしれませんが、世界が恐れているのはこれではなく、真の新型で尚かつ全身にウィルスが広まる(今回のものは呼吸器を中心に感染する)強毒と呼ばれるタイプのウィルスです。トリインフルエンザ(H5N1)などを恐れているのは、これが近年アジアやヨーロッパなどで局所的に発生しているためです。先に述べた時期とほぼ合致している上に、このタイプのウィルスは、衛生状態が悪く、貧困地域などでは6割を越える死亡率が観測されたケースもありますからね。(新型肺炎のSARSは15%でした)
これで特効薬(タミフル、リレンザ、アマンタジン)に耐性を持つウィルスでインフルエンザAと同等の感染力を持てば、世界の人口が減るのは確実でしょう。
Q/感染が重症化する人とそうでない人の違いが何によるのか(慢性疾患を持たない人で)を調べる必要があるのではないでしょうか?
A/スペイン風邪については株は残っていても、実際にどういった人が生き残ったのかを解析するのは推測でしかできませんがある程度は既に行われています。今回のA型については重症患者を重点的に調べる体勢を整えています。また、発症率が低い年代も特定しており、それらの年代には一定の耐性(免疫)が血液中にあるという報告も出ています。
重症化の有無は、遺伝子型が持つ免疫の差でも生まれます。例えば、インフルエンザではありませんが、エイズに感染しない免疫を持っている人は数億人に一人はいるとされます。
元々免疫特性が人によって違いますから、重症化する遺伝子を持っている人もいます。それらもある程度は解析され始めています。
ただ、病気はインフルエンザだけではないですし、ウィルス側も子孫を残すのに必死ですからね。統計や遺伝子、これまでの傾向が常に通用するとは限りません。今回のA型もアジアからトリインフルエンザで始まると油断した結果だという話もありますしね。
対処できる症状なら封じ込めもできますけど、始まるときは、人間が予想しない場所から始まり、予想しえない症状などになる可能性が高くなるでしょうから、そういう意味では、過去が常に役立つとも言い切れないかも知れませんね。むしろ、全く違う視点を同時に研究した方がよいかもしれません。
No.3
- 回答日時:
本当に季節性インフルエンザが危険でないならば、予防接種する必要はないと思いませんか?
季節性インフルエンザは、強毒の鳥インフルエンザに比べて弱毒なだけで、警戒すべき病気です。
季節性インフルエンザは、肺炎・脳症などの合併症になり、死亡・後遺症の危険があります。
高齢者が肺炎になれば死の危険ですし、インフルエンザ脳炎だと神経細胞が破壊されます。
例えば、毎年100人~300人の乳幼児がインフルエンザ脳症になり、
適切に治療しなければ致死率3割・後遺症(知的障害・麻痺など)3割です。
強毒化の周期なんか問題ではありませんし、自分の家族が感染して、親兄弟が死亡したり、
子供に麻痺の後遺症が残れば、統計データなど関係ないです。
下記URLにインフルエンザ脳炎脳症について書いてありますが、
ワクチン接種例では死亡したり,脳炎・脳症,その他重篤な病態に陥った例は皆無だそうです。
http://www.m-junkanki.com/diseases/influenza-enc …
慢性疾患・妊娠中でない人でも、仕事が忙しくて過労になれば免疫力は落ちます。
体力のあるはずの体育系クラブの高校生が発症しているのですから、そうでない人が
感染した時には、重症化が心配です。
最初の神戸の高校生が発症した時、開業医が検体を検査にまわしてから検査されたのは3日後。
でも、タミフルは発症から48時間以内に投与されなければ効果がありません。
また、タミフルに対する免疫をつけた耐性ウィルスが心配です。
患者の増えた兵庫県では、全てを検査できない、重症患者しか入院できないと言っています。
医療体制に限界があるので、患者が増えれば適切な治療を受けられなくなります。
弱毒性でも、ワクチンがない状況なので、感染予防に心がけないといけないのです。
No.4
- 回答日時:
獣医師でウイルスに専門知識を有しています。
メキシコで発生したという証拠ですが、現在膨大な"新型インフルエンザの分離ウイルス株"が遺伝子解析されています。そして解析された全ての株で、その塩基配列が非常に近いことか判っています。
変異が早いインフルエンザウイルスで、「各地で流行している株が遺伝的にほぼ同じである」ということは、「これら世界各地の流行の由来が1つ」であり、「このウイルスが誕生して間がない」ことを強力に示唆しています。
そして流行の時期や流行初期の患者数からいって、メキシコが最初の流行地であることは疑いがないでしょう。
ちなみに当初は「豚インフルエンザ」と呼ばれていたので、このウイルスが豚由来であると勝手に思われていますが、豚からこの「新型インフルエンザウイルス」が分離されたことはありません。
このウイルスは2種の豚インフルエンザウイルスの遺伝的ハイブリットであることが確認されています。そのうちの1種は、鳥とヒト由来のインフルエンザウイルスの遺伝子が混じったハイブリットです。
どちらにしろ、2つのウイルスは豚で流行していたものなのですが、この2つのハイブリットである今回のウイルスは、豚からは見つかっていないのです。
ま、メキシコも今は豚どころではないでしょうから、豚で起きているインフルエンザなど調査しきれていないだけかもしれませんが、もうひとつは最終的に2つのウイルスに感染して体内で遺伝子組み替えを起こし、「新型インフルエンザウイルス」を産み出したのは「人間」である可能性もないわけではなかったりします。
インフルエンザウイルスは、元々カモなどの水禽類が自然宿主です。
カモの腸管で増殖するウイルスなのですが、カモでは病気も起こさず、平和に共存しています。この状態では排泄されるウイルスの量が極めて少ないので、直接ヒトに感染することもまずありませんし、そんな事例が報告されたこともありません。
ただ、このウイルスが他の鳥類に感染すると、感受性の違いから時に激しく増殖することもあります(逆にまったく増殖せず感染が成立しない場合もある)。
鶏は感受性が高いので、インフルエンザウイルスに感染するとウイルスは激しく増殖します。また、鶏は家畜なので「密度」が野生動物ではあり得ないほど高く、鶏→鶏の感染高率も桁違いに高くなります。
この結果、カモの体内にいた時とは「増殖回数」がそれこそ"桁違い"に増えるので、本来確率的にはあり得ないほど稀な、「感染した鶏を100%殺してしまう」ウイルスが出現してしまうわけです。
これが「高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)」です。
このHPAIが東南アジアでヒトへの感染が増えており、このウイルスが「新型インフルエンザ」になることが恐れられていたわけです。
ですが、この経路は本来あまり考えられていなかった経路です。
なぜなら、本来は「鶏→ヒト」という感染は非常に起きにくいものだったからです。15-16年前の教科書には「鶏からヒトへは感染しない」と書いてますもの。
元々は「豚」の存在が重視されていました。
インフルエンザウイルスに感染するしないというのは、「免疫」の問題ではありません。一度感染したウイルスに感染しない、というのは免疫ですが、初見のウイルスの感染を防御するのは免疫とは関係ありません。
ウイルスの場合、それはレセプターの問題です。少なくともHIV(エイズの原因ウイルス)に感染しない(感染耐性)とかアジアのHPAIのウイルスに感染するしないというのも、レセプターです。
基礎の基礎に話を戻しますと、ウイルスは基本的に"遺伝子"しか持っていません。遺伝子を翻訳して指令通りに蛋白質を作る細胞内小器官を持たないわけです。
ですから、ウイルスは生きた細胞内に侵入しないと増殖することができません。また、増殖以外の生命活動はしませんから、体外に出たウイルスは"モノ"と同じで"生きている"とは呼びがたい状況です。
で、細胞内に入るには、細胞のレセプター(受容体)に結合すると、あとは細胞が勝手に中に入れてくれるわけです。もちろんそのレセプターは、細胞がわざわざウイルスのために用意してやったモノではなく、他の用途(細胞間の情報伝達や物質の出し入れ等)のためのものです。
鳥インフルエンザウイルスは"鳥型のレセプター"にしか結合できませんし、ヒトインフルエンザはヒト型のレセプターにしか結合できません。
ですが、豚はヒト型と鳥型両方のレセプターを比較的豊富に持っているので、鳥のインフルエンザとヒトのインフルエンザの両方に感染しやすい特徴があります。
仮に1頭の豚に鳥インフルエンザとヒトインフルエンザが共感染すると、豚の体内で2種のインフルエンザウイルスの遺伝子が組み換えを起こし、ハイブリットウイルスができるわけです。
そのハイブリットウイルスが「ヒトのレセプターには親和性が高いがこれまでのヒト型とは異なる抗原性状を持つ場合」は、免疫がない人類を凄まじい勢いで感染爆発することになります。
これが「新型インフルエンザ」で、過去に何度も繰り返されてきたことです。
なので、そもそも今回の新型発生の方が「ベーシック」なパターンなんですけどね。
鳥から直接ヒトというパターンは従来は考えられなかったのですが、アジアでヒトに感染を繰り返しており、そのウイルスの病原性が高いものですから、もしこれが"ヒト型"になったら、と懸念されていた(今もされてますが)わけです。
話にすれば簡単ですが、「新型」が誕生するにはいくつものステップを経なければならず、しかもそれぞれのステップで「新型」に繋がるような都合の良い変異や組み替えを起こす確率は、数学的にはゼロに近いほど低いです。
ですが、増殖の方も桁違いなので、「分母が巨大な数字」になると、数十年に一度は確率的にそう言うことが起きる、ということなのでしょう。
ですからご質問の、
>ウィルスの問題ではなく、感染する宿主(個体)の側の問題なのではないでしょうか?
というのは、ある意味正しいです。
新型というのは、「人類のほとんどが免疫を持たないインフルエンザ」のことですから。
元々インフルエンザウイルスはヒトに対してはそれほど病原性が低いウイルスではありません。これだけ流行を繰り返してヒト側にも免疫がバリバリについているはずの季節性でも毎年1000人弱、超過死亡概念も含めると1万人余りもの死者が出る(日本で)感染症です。ましてヒト側に全く免疫がなければ・・・というわけで重点的に対策する必要があるのは当然の話です。
起きてみれば、懸念していたよりずっと病原性が低かった、としても、だからといって"どうでもいいや"と対策を放棄すると、感染者の増加を抑えることができなくなってしまいますから、余計な死者(適切な医療処置を受けていれば死なずに済んだはずの人)を多数出すことになるでしょう。
そうそう、「ヒト側の問題」ですが、東南アジアのH5N1(HPAI)も、ヒトの遺伝的要因によって感染しやすい人としにくい人がいることは判っています。これもレセプターの問題です。
ただ、変異が進んでウイルスが「ヒト型」になれば、ヒト型レセプターを持たないヒトはいないので、誰しも同条件になりますが。
スペイン風邪の免疫がある人が新型の感染率が低い、というのは私個人的には疑問があります。
今回のH1N1は、現在世界中で流行しているソ連型と同じ亜型です。つまりソ連型もH1N1です。ところがソ連型に対する免疫は新型には効かないというわけですよね。だからこそ"新型"なんですが。
このソ連型は1977年に登場したのですが、このとき1957年のアジア風邪流行以前に生きていて"スペイン風邪"の流行(季節性としての)を経験している人は感染率も致死率も低かったという事実があります。
これはそれこそ「スペイン風邪のウイルスに対する抗体が、ソ連型に効いた」ということです。
つまりこういうことに。
・スペイン風邪に対する抗体はソ連型に効く
・スペイン風邪に対する抗体は新型に効く
・ソ連型に対する抗体は新型に効かない
なんだかちょっとおかしいなと。
ちなみに話がよく見えてこない方もいるかと思いますが、インフルエンザは「新型」としてパンデミック(世界的大流行)を起こしたウイルスは、その後人類社会に居座って季節型インフルエンザとして毎年流行するようになります。
そしてそのパンデミックの時、以前から人類社会で流行していたインフルエンザウイルス(これも前のパンデミックで大流行したウイルスの子孫)は消失する、というパターンが繰り返されています。
すなわち、
1918年 スペイン風邪(H1N1)大流行 以後、季節性に
1957年 アジア風邪(H2N2)大流行 以後、季節性に
スペイン風邪ウイルス(H1N1)は消失
1968年 香港風邪(H3N2)大流行 以後、季節性に
アジア風邪ウイルス(H2N2)は消失
1977年 なぜかH1N1再登場 以後ソ連型として季節性に
で、現在は香港型(H3N2)とソ連型(H1N1)が世界で季節性として流行しているわけで、そこに"メキシコ風邪(H1N1)"が登場してきたわけです。
このソ連型の存在がなければ、「アジア風邪以前のインフルエンザを経験している人が新型に免疫を持っている」という話は非常にすんなり納得できるのですが(ソ連型登場時と同じ状況だし)、ソ連型が現に存在するおかげで、疑問を感じる状況になっている、というわけです。
ま、もうすぐ論文が出るでしょうけどね。
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