No.2ベストアンサー
- 回答日時:
最初から間違ってるよ。
不法行為の要件は6つ。
1.故意または過失、
2.権利侵害(違法性)
3.損害の発生
4.2と3の因果関係
5.違法性阻却事由のないこと
6.責任能力があること
だよ。
5と6は例外的要件だから省略する場合もあるけど、あくまでも正確に言う場合はこの6つ。少なくとも損害の代わりに責任能力を入れることはないね。だから間違い。
その上で、故意または過失を有責性とはまず言わない。言って悪いわけじゃないが言う意味がない。意味がないことを言ってもしょうがないね。
刑法の構成要件理論では故意または過失は、有責性を類型化したのが構成要件的故意過失であるという通説的理解によれば確かに、有責性の問題でもあるわけだけど、そもそも刑法と不法行為とじゃ似てるところがあるとしても理論自体がまるで違うんだから比較すること自体が間違い。刑法では責任故意は構成要件的故意とは異なる次元で犯罪の成否に影響があるけど、不法行為では故意過失を二段階で論じる特段の事情がない。
不法行為における主観要件の問題はいわゆる過失責任主義から導かれる故意過失と行為者固有の責任能力の二つの要素が必要だね。そこで、例えば「故意または過失は、過失責任主義の下で、行為者に不法行為責任を負わせることができるどうかという意味での有責性の要素である」とかそんな記述をするのが間違いであるとは言わない。でも、一般的な不法行為の要件論として有責性と言った場合に、それが故意過失のことだけを指すという共通理解は確実に存在しないね。そして故意過失を有責性と言い換える意味もないね。よって有責性とは言わないのが普通だし言うべきもんじゃない。むしろ、責任能力があるという意味で有責性と言う方がまだ通じるだろう。もちろん、そんな言い方もしないけどね。意味ないから。
言わないんだから違法性との関係なんてない。だけど、故意過失と違法性との関係なら簡単。故意過失は過失責任主義において行為者に責任を負わせる根拠となるべき主観要件であり、違法性は被侵害利益についてそれを法的に保護すべき根拠となる客観要件だから、それぞれまるで別の話だ。
刑法との比較もまるで違う理論体系を比較してもしょうがないとしか言えない。あえて比較するにしても、概念的に同じか違うかなんてのは「有責性」という言葉を不法行為理論においてどう捉えてどう定義するかだけの問題に過ぎないね。そしてその定義が一般的にはないのだから、一般的な話としては答えようがない。
ありがとうございます。大学の不法行為の授業で「有責性と違法性の関係について述べよ」というレポートの課題があるのですが、不法行為に有責性が無いのであれば、何を書いていいのかさっぱりわからないです・・・
No.1
- 回答日時:
まず709条について。
条文上の要件は、(1)故意又は過失、(2)他人の権利・利益の侵害、(3)前記(1)と(2)の間の因果関係、(4)損害の発生及び額、(5)前記(2)と(4)の間の因果関係、です。
「責任能力」の有無は、損害賠償請求権の権利発生事実ではありません。したがって、原告の側で「被告に責任能力があること」を主張・立証する必要はなく、被告の側が抗弁として主張するのみです。
(2)は、「違法性」と呼ばれることもあります。権利・利益の侵害が適法なものであれば、もとよりこれを賠償すべきいわれはないからですが、いい方の問題です。
(1)を「有責性」と呼ぶかどうかは、知りません。少なくとも、一般的ではないでしょう。前述のように、故意・過失の存在は、民法709条の損害賠償請求権を発生させる要件事実の1つなので、刑法的にいうなら構成要件の1つです。
これに対して、刑法における「有責性」は、刑罰による禁止に反して敢えてその行動に出たことに対して非難ができるか、という話で、教育刑論や予防刑論にその根拠が求められます。したがって、責任阻却・軽減事由の有無や期待可能性の有無まで含めた概念です。
訴訟法的に考えると、不法行為に基づく損害賠償請求においては故意・過失の存在が証明できなければ請求棄却となり、刑法においても有責性が証明されなければ無罪である、という意味では共通しますが、実体法の概念としては異なるというべきでしょう。
ありがとうございます。大学の不法行為の授業で「有責性と違法性の関係について述べよ」というレポートの課題があるのですが、不法行為に有責性が無いのであれば、何を書いていいのかさっぱりわからないです・・・
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