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708条は、不法者のどちらにも加担しないことを言ってるだけであっ
ても、返還請求を認めるか認めないかによって、どちらかに助力するこ
とに、結果的にはなりはしないでしょうか?

しかし、これは708条の直接の効果ではなくて、反射的効果と考える
ことによって説明可能でしょうか?

つまり708条が認められることにより、不当利得返還請求が認められ
ない反射的効果として受益者が所有権を取得し、逆に708条が認めら
れないことによって、不当利得返還が認められその反射的効果として給
付者はその物を取り戻せるというものです。
つまり、708条の直接の効果としては、建前どおりで、どちらにも加
担していないというものです。

A 回答 (3件)

こんにちは



掲示板コミュニケーションで
質問者様の疑問に答えるのは、
僕には難題で、力不足の感が否めません

なので、本質的な疑問に対する回答には
なっていないかもしれませんが、
ヒントになるであろう学説の紹介をして、
勝手ながら終わりにしたいと思いますが、、、
(対立する学説も数多くありますが。。。)

1.708条の意義について
同条の目的は、法の是認しない不法な行為をした者が、
自己の不法を主張して法の救済を要求できない、
という法の理想を実現することである

しかし、この法の理想の実現には、他の法理念との
調和が要求される。法的アクセスの保障、不法の抑止、
当事者間の公平の維持などへの配慮がそれである

それ故、給付の返還請求を拒否するには、
「不法」は法的アクセス保障の要求に反しても、
かつ当事者間の不公平を犯しても、
是認される程の「強い非難に値する不法」であり、
かつ給付はすでに最終段階へ到達していたことを要し、
また不法原因給付によって、
受領者の意図した目的未実現の場合には、
不法抑止のためにはかえって、
返還請求を肯定するよう判断することが必要となる


2.708条の給付の意義について
同条が給付のなされたものの返還を認めないのは、
不法原因給付の返還の実現に国家権力は助力を与えない
という趣旨であるから、「給付」は「給付の完了」の
意味と解すべき。しかし原因行為の法的効力はないから、
所有権の移転は考えられないので、給付とは、目的物の占有
の移転である。不動産の場合には、給付の完了につき
登記の移転まで必要と判例ではされている


3.708条の返還請求否定の意義と目的物の所有権の帰属について
同条によって、目的物の返還請求が否定された場合に、
不当利得に基づく返還請求も所有権に基づく返還請求も
共に否定されるが、この場合所有権は誰に帰属すると
解すべきか?

給付者のものと解せば、所有権と占有権の帰属が永久に
分離し、近代的所有権の円満性に反するので妥当でないため、
占有者に所有権を帰属させる以外に方法は無く、
これは返還請求が否定される反射的効果として
給付者の所有権は否定されると解する説が有力である

(参考文献 別冊ジュリスト 民法判例百選2 有斐閣)
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この回答へのお礼

いつも、懇切丁寧かつ真摯な回答を有難うございます。

とても、含蓄のある資料をご紹介いただいて、とても参考になります。
どこまで、私がその意味を把握できるかは疑問ですが、今回の質問をさ
せていたく前でしたら、読んでも言葉が上滑りしていのではないかと想
像される部分も、かなり現実感をもって読めたのではないかと思いまし
た。

今回も私の迷走にお付き合いいただきまして有難うございます。

お礼日時:2010/03/12 17:49

度々失礼します



少し私がご質問の意図を誤解していたようで、すいません
「端的に言えば「後戻り」ということなのかも知れませんが・・・。」
の意味がやっとわかりました。
まさしく、そのとおりだと思います

>つまり、90条も708条も裁判所は不法な行為の実現にも、それから
発生する金銭等のトラブルにも基本的に助力を与えないといいますか、
かかわらないことを表明していると思われます。
それによって、社会から不法な行為を排除しようとしていると聞いてお
ります。

とありますが、「比較衡量」の考え方から、
大きな社会的利益が得られるならば、
不法行為にかかわった人に少々の法の保護を与えたとしても、
それは正当であると思いますし、
90条及び708条が、いついかなるときにでも、
不法行為にかかわった人に対し、法の保護を与えないと表明している
とは思えません


前回の回答で書いた例でいえば、
殺人を依頼したAに対して、返還を求めることを認めるのは、
確かに多少の法の保護を与えていると言えるが、
それによって、殺人が行われる確率が減るという、
大きな社会的利益が得られるならば、
それは正当であって、結局「後戻りできるならば、後戻りさせよう」
ということになるものと、思います


>しかし、これは708条の直接の効果ではなくて、反射的効果と考える
ことによって説明可能でしょうか?

そう説明するためには、
「直接の効果」は
不法行為をした人にいついかなるときも、法の保護を与えてはいけないが、
「反射的効果」としてならば、
法の保護を与えてもよい

ということが前提になっているものと思いますが、
それはなぜですか?



なお、前回の回答の中段部において、
「履行期前」「履行期後」とありますが、
「履行前」「履行後」の間違いです

この回答への補足

いつも懇切丁寧かつ真摯な回答有難うございます。

私自身混乱していますので、「質問」、「回答への補足」等について、
論理的一貫性が必ずしもないことをお断りした上で、補足させていただ
きます。(一定の内容に収束してきているとは思うのですが)

まず、原則論として(利益衡量についてはちょと置いておいて)、70
8条は90条で否定されている給付を有効にするためのものではなく
て結果として、事実上認めたことになると思うのです。

例えば、建物の留置の問題で土地も留置できるのかという論点があると
思いますが、たしか土地を建物に対する留置権で留置するとは、さすが
に言えなくて、建物を留置する反射的効果として土地を事実上留置する
と構成するのではないかと思います。

ここで、はたと思ったのですが、最終的な給付の意味について、お互い
の認識が違うのではないかと思い確認させていただきたいと思います。

私は、最終的給付の意味を個々に考えております。
盗難車の売買契約を結んだとします。
この場合には、買主にとっての終局的な給付は代金の支払であり、売主
にとっての終局的な給付は盗難車を買主に引き渡すことだと思います。
契約の進行状況により、一方の終局的給付はなされているが、他方はな
されていないなど色々なケースがあると思います。
しかし、どのうような進行状況にあっても、相手方の給付が未履行でれ
ば、90条により給付を請求することは出来ませんし、相手方の給付が
履行されていれば708条により相手方は返還請求できないことになり
ます。(これは自分の給付の履行状況に関係ないと思います)

つまり個々の給付について、実現(90条)についても、返済(708
条)についても裁判所は助力しないということだと思います。
極端な言いかたをしますと、「好きにやってくれ」というところでしょ
うか。

>>不法行為をした人にいついかなるときも、法の保護を与えてはいけ
>>ないが、
の答えになっているかは分かりませんが、上記より法は基本的に助力を
与えない構造になっていると思います。

補足日時:2010/03/11 13:40
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こんにちは



前回も少し書いたとおり、
不法利得法に関しては、その起草段階から対立がありましたし、
今なお学説に論争が続いていて、
理論的に学ぶにはなかなか難解ではあります

以下個人的な見解に過ぎないと前置きした上で・・・

>不法者のどちらにも加担しないことを言ってるだけであっても

この部分はよくわかりません

>返還請求を認めるか認めないかによって、どちらかに助力する

助力するとまでは言えないと思います
(「助力する」の定義によりますが)

前回書いた例を再掲すると、
例えばAがBに殺人を依頼し、その報酬としてA所有で登記済みの
甲不動産を渡す約束をしたとします。甲不動産をBに引き渡したに
過ぎず、登記を移転していなければ、708条にいう給付には当たらない
(終局的利益をまだ与えていない)
として、AはBに甲不動産の返還を求めることができるとされています

Bが殺人の履行期前であれば、
Aは返還を求めることが出来るのは当然と思いますし、

Bが履行期後であれば、
確かにAとBの関係で言えば、Bが損をしていると思いますが、
法を尊重しないBに対し、法の保護を与える必要はないし、
法律関係を簡明なものとし、一律的に判断するために、
終局的給付前であれば、不当利得返還請求を認めるというのは、
それなりに理にかなっていると思います
(ただ、ここに学説の対立があるのは、非常によくわかります)

もしこの規定によって、初めから意図してAのような行いをする
人間が増えるのであれば、「助力する」と言えると思いますが、
そうなるとは、あまり想像できません


>しかし、これは708条の直接の効果ではなくて、反射的効果と考える
ことによって説明可能でしょうか?
>つまり、708条の直接の効果としては、建前どおりで、どちらにも加
担していないというものです。

大変恐縮ですが、
私はそもそも、「助力している」とは思っていないし、
「直接の効果」は公平でなければならないが、
「反射的効果」であれば、公平でなくても良い
という理屈も良くわかりません


私自身あまり自信のある分野ではありませんので、
どこまで質問者様の期待に沿う回答になっているのか、
甚だ心配ではありますが、何らかの参考になれば幸いです

この回答への補足

いつも懇切丁寧かつ真摯な回答を有難うございます。

私自身、混乱していますので、整理しながら考えたいと思います。

708条の性格というのは、請求棄却判決を書くためのもの聞いており
ます。

給付前は90条、給付後は708条ということで、これを表裏の関係と
いうみたいですね。
両者とも不法な行為に助力しないということで一致しています。

例えば、90条がないと、殺人契約をしたのに、相手方が履行しないと
して裁判所に訴えた時に、強制履行(つまり殺人を行う)になりかねな
いですね、そこで請求棄却判決を出すために90条が必要になります。
また殺人契約を依頼した人が前金としてお金を渡しているときに、契約
は無効であるからとして取戻すことについても裁判所は手を貸せない、
つまり請求棄却判決を書くために708条が必要であると聞いておりま
す。

つまり、90条も708条も裁判所は不法な行為の実現にも、それから
発生する金銭等のトラブルにも基本的に助力を与えないといいますか、
かかわらないことを表明していると思われます。
それによって、社会から不法な行為を排除しようとしていると聞いてお
ります。

ここで、90条の場合と708条の場合とでちょっと違うところがある
と思うのです。
90条ではもともと無効なので、履行請求に応じないなは当然であって
問題はないと思います。
一方、708条の場合には、90条で本来、無効である給付について、
終局的履行があったとして不当利得の返還請求を認めないことで、実質
的に有効としてしまうことです。
しかし、708条の趣旨は給付者に助力しないのであって、90条で無
効な給付を有効にすることではなかったはずです。
この点を不当利得返還請求が否定されることの反射的効果として所有権
が移転すると表現してみました。

この場面でこの反射的効果という表現を使うのが適切であるかどうかは
分かりませんが、未登記不動産の論点では出てくると思います。

90条、708条によって両者に対して平等に助力しなということでは
公平であると思いまし、特に動産の場合には問題ないとおもいます。

ただ、不動産の場合には、終局的給付の段階で登記と占有が一致しない
場合には、引渡請求や抹消登記請求について裁判所が助力せざるえない
場合があるのではないでしょうか?
これについて、本来の趣旨を逸脱しないのかという疑問があります。

補足日時:2010/03/11 00:57
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