
量子力学における疑問です。
束縛粒子と自由粒子。どちらもシュレーディンガー方程式を満足する粒子にもかかわらず「前者はとびとびの波数kをもち、後者のkは連続的な値をとれる」ということに多少疑問がありました。
参考書を読んで、「自由粒子はマシンなどでエネルギーを決めて打ち出すので、束縛粒子のような制約(とびとび)を受けない」らしいところまで理解しました。
そこで自分の解釈として『自由粒子における問いは、束縛粒子のような「その状態がどうなっているか解析する」ものではなく、「打ち込んだ自由粒子によって波束(これはきっと自由粒子をぶつけられた物質か何かの)にどのような変化がおきるか」という動的な命題を扱っている』と考えてみたのですがどうでしょう。
数式ばかり追っていて、具体的にどういう状態を扱っているのか迷ってしまったので、ご意見を伺いたく、質問いたしました。
よろしくお願いします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
<束縛電子>というのは例えば水素原子の電子がそうですね。
原子核のクーロンポテンシャルのため原子核周りに束縛されている電子のことで、これはボーアモデルのような半古典的イメージで捉えると波長の整数倍の軌道しか許されないことからエネルギー順位は飛び飛びの値となります。これは飛び飛びのエネルギー固有値(離散固有値)を持つといわれます。量子力学的にはシュレードンガー方程式を解くと水素原子の場合s軌道、p軌道・・・等の波動関数がでてきますね。一方、<自由電子>はなんの束縛も受けない電子で(相互作用がない)、文字通り空間のどこにでも存在することができ、波動関数は平面波で表されますね。この場合、先ほどのボーアモデルで考えると、決まった軌道というものがないためエネルギーは自由にとれる。つまり連続固有値をもつということなりますね(連続固有値を持つ波動関数の規格化にはδ関数が使われることはご承知のとおりです)。
<波束>無限遠まで拡がった平面波相手では電子の粒子としての動きが掴まえることができませんね(位置が不明:観測についての簡単な考察をしてください)。そこで多数の平面波をうまく重ね合わせて電子が”いる”筈の領域以外ではそれらの平面波が干渉して振幅が小さくなる波動関数を作るわけですね。これを波束と呼んでいますが、自由粒子の波束ψ(x,t)を数学的に表現すると(変数の細かな説明は省略するとして)
ψ(x,t)=∫c(k)expi(kx-ωt)
となります。
>『自由粒子における問いは、束縛粒子のような「その状態がどうなっているか解析する」ものではなく、「打ち込んだ自由粒子によって波束(これはきっと自由粒子をぶつけられた物質か何かの)にどのような変化がおきるか」という動的な命題を扱っている』
ご質問の”自由粒子における問い”ってどういう問いなのか今一意味がつかめませんが、自由粒子の波束が散乱によってどう動的に変化していくのかという問いとして捉えると(←無理やり:笑い)、散乱直後は相互作用の結果波動関数は非常に複雑な形となりますが、散乱後相当時間がたった状態では元の自由電子の波束の姿になっていきます(漸近的自由)。散乱ターゲットとして井戸型ポテンシャルを取った場合の散乱前後の波束の状態をビジュアルに表現しているサイトがありますので、参考URLに記しておきます。ご参照ください。
参考URL:http://www.nep.chubu.ac.jp/~nepjava/applet.htm
KENZOUさん、回答ありがとうございます。
>自由粒子における問い
おっしゃる通り、記した命題そのものです。
正直、連続固有値をもつ波動関数の規格化に、δ関数が使われることは知りませんでした。明らかに質問をしている私のレベルが足りていないようです。勉強して、皆さんの解説が今よりイメージ出来てきてからまた来ます。
また、サイトの紹介、ありがとうございます。
No.2
- 回答日時:
束縛状態というのは、例えば弦楽器の弦のように
ポテンシャルの壁によって両端を節にされた状態です。
無限に高いポテンシャルであれば完全な節、
有限の高さのポテンシャルであれば
指数関数的に減少する漏れがあるので
完全な節にはなってないですがほぼ節になっています。
したがって、両端が節という条件によって
許される波長(波数)が限定されます。
一方、自由粒子またはポテンシャルがあっても
そのポテンシャルより高いエネルギーを持った粒子の場合
どこどこが節にならなければいけないといった条件がないので
波長(波数)は連続的になります。
rynさん、回答ありがとうございます。
>波動関数の“漏れ”
壁が薄い場合、かつ自由粒子の場合は、この“漏れ”がトンネル効果を論じるもとになるわけですよね。
面白くなってきた気がします!失礼します。
No.1
- 回答日時:
battlefieldさん、こんにちは。
ご察しの通り、自由粒子の散乱の問題はどのような反応が起こるかを調べるために使われることが多いです。ただし標的の構造を調べるために使われることもあります。量子力学の教科書には波動関数は1に規格化されるとか書いてあると思います。ところがハミルトニアンの連続スペクトルに属する固有関数は規格化できません。これについては、Gelfandの三つ組みという元のヒルベルト空間を拡大した空間を考え、その中で「固有関数」を考えることができます。grothendieckさん、こんにちは。
>規格化できない
そうですね。計算してもそうなりました。一次元で考えても、-∞~+∞までどこにでも存在出来るので、当然と言えば当然ですね。
>「Gelfandの三つ組みという元のヒルベルト空間」
これの意味が上手く理解できていないので、もう少し勉強してからまた来ようと思います。
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