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映画 プライベートライアンでノルマンディー上陸作戦が行われたことを知ったのですが、なぜわざわざ敵の真正面から上陸したのですか。
上陸用ボートの扉が空いた瞬間に機関銃で蜂の巣にされていますし、海岸には鉄骨の残骸しかなく、とても敵の狙撃から隠れられそうにありません。アメリカ兵が持っているライフルでは、要塞内の敵を狙い撃ちできなさそうですし、上陸前に、スナイパーライフルで機関銃を撃っている敵兵を狙撃すれば、時間稼ぎにはなりそうなのになぜそうしなかったのですか。もっと敵の守備が手薄な所から侵入すれば、こんなに犠牲者は出なかったと思います。

A 回答 (9件)

オマハ・ビーチ正面に位置するドイツ軍352師団正面の、爆撃と艦砲射撃に失敗したからです。


また、鉄骨の残骸に見えるのは、ドイツ軍が設置した障害物ですが、連合軍はわざと引き潮で浜辺が広がり、攻撃側が遮蔽物のない浜辺にさらされるタイミングで上陸したので、映画でも見えています。
この時間帯は攻撃側(上陸側)が丸見えになり著しく不利なので、護るドイツ側は部隊の交代に充てていた時間帯でした。
要するに、奇襲だったのです。

プライベートライアンの上陸シーンは、ここはオマハのドッグ・グリーンであると字幕が出てきます。
オマハビーチは西からC(チャーリー)・D(ドッグ)・E(イージー)・F(フォックス)の各セクターに分けられ、更にドッグセクターはドッググリーンとドッグホワイト、ドッグレッド、イージーセクターはイージーグリーンとイージーレッド、フォックスセクターもフォックスグリーンとフォックスレッドに分割されています。
初日に上がる部隊はチャーリーとドッグ、イージーグリーンに第29歩兵師団第116連隊、イージーレッドとフォックスに第1師団第16連隊が割り当てられました。
とりわけ激戦区となったのは東端のイージーグリーン、イージーレッド、フォックスグリーン、フォックスレッドです。
とくに第29師団の部隊は、潮流の関係と事前に伏せていた英軍の豆潜水艇(Xクラフト)の位置標定の誤りから上陸地点を3kmあまりずらしてしまい、イージーレッドとフォックスグリーンで第1師団の部隊と混じりあって混雑と混乱を招き、損害を増すことになりました。

また、チャーリーには主力は指向されず、断崖上の砲台を潰すためのレインジャーと戦闘工兵の一部が上がったわけです。
ミラー大尉の隊はレインジャーでしたから話の都合上チャーリーに上げなければならなかったのでしょうが、海岸での大混乱はそこから3~5kmあまり東の情景ということになります。
ミラー隊を乗せた舟艇も位置を間違ってイージーレッドかフォックスグリーンのあたりに着いてしまったということなのかもしれないのですが、それでもオマハ・チャーリーではないですね。
DDシャーマンが沈没しまくったのもドッグホワイト・ドッググリーン間とフォックスレッド・フォックスグリーン間でのことで、チャーリーには向かっていません。チャーリーでは装備を積みすぎた工兵隊のアリゲーターはいくつか沈没していますが、レインジャーはほぼ無傷で揚陸を果たし、「史上最大の作戦」の方で描かれているように砲台の制圧に向かっています。
「プライベート・ライアン」でのあのシーンは映画制作上での演出ということになります。

この日オマハに上陸させようとした兵力は約7000から8000であり、損耗率としては35%を超えていて部隊戦闘力喪失と認定できる非常に高い水準です(20%で、普通は壊滅扱い)。
 6個中隊からなる、第2レンジャー大隊はチャーリー地区のオック岬とぺリセー岬を攻撃目標とし、大隊長ルダー中佐がDEFの3個中隊を率いてオック岬第一陣、シュナイダー中佐がABの2個中隊を率いてオック岬第二陣、ゴランソン大尉(劇中ミラー大尉)率いるC中隊が単独でぺリセー岬という計画で舟艇を進めますが、ルダー中佐の第一陣以外はチャーリーの崖を登って攻撃する計画をチャーリー沖の土壇場で変更してドッグの方面に転進しました。C中隊はドッグとチャーリーの継目付近のドッグ・グリーン西端、シュナイダー中佐の二個中隊はドッグ・ホワイトかイージー・グリーン付近に上陸しています。この変更は単に舟艇が流されたのではなく、意図してドッグに向かったとされています。(シュナイダー中佐の二個中隊はドッグ・グリーンに向かったものの東に約1キロ流された)
従って、実際にはもっとチャーリー寄り、開鑿予定地点D-1のVierville sur Merの村への入り口の谷より更に西だったと思われますが、映画で第2レンジャー大隊C中隊がドッグ・グリーンにいたのは史実通りです( 映画ではVierville sur Merより東にいると受け取れる会話を交わしている )。
その時、このドッグ・グリーンでは第29師団 116連隊第1大隊A中隊が機関銃弾の中で全滅した直後でした。中隊長フェラーズ大尉は舟艇内で同乗の部下全員31名と共に戦死、A中隊は最初の舟艇が前扉を開いてから15分間で死傷率75パーセントに達し事実上消滅。映画でも指揮官なしでおびえるばかりの第29師団の兵隊達が出てきますが、これも史実通りと思います。第2レンジャーC中隊もここで135名中58名の死傷者(死者ではない)を出し、以降の作戦( D-1から入って陸路をぺリセー岬に向かう)を放棄せざるをえなくなります。116連隊第1大隊はA中隊の30分後、第2レンジャーC中隊にかぶさるようにB中隊を送り込みますが、これも中隊長が渚で戦死して戦闘力を失います。ドッグ・グリーンは『血なまぐさいオマハ』を象徴する戦場でした。

この映画はそういうドッグ・グリーンの惨状を描いて、出てくる部隊ともどもほぼ史実通りだと思います。

では嘘はなしか?。嘘というか、大変な誤解を招きそうなのは、ミラー大尉指揮下に小火器だけ、約30分間でD-1を開鑿して状況終りと、なんか小競り合いみたいな描き方なので、上陸軍の第一波だけで185000人が参加したという『史上最大の作戦』の規模が理解できない事。

史実では、ドッグで最初の突破口D-3が開かれたのは、ドッグ・ホワイト付近で第29師団副師団長コータ准将の陣頭指揮下で、時間は上陸開始から2時間半後の事でした。D-3に続いて、映画のミラー隊の突破口 Vierville sur Mer の東側あたりにも小さな突破口が開けられ、D-3から入ったコータ准将指揮の混成部隊と合流、西に向かって進撃、D-1を内側から開きます。時間は12時半頃といわれ、上陸開始から6時間が経過、オマハビーチ・ドッグ地区の制圧は分隊レベルの小競り合いの結果ではなく、師団規模の兵力が投入され、艦砲の近接支援も受けながらの長時間の大規模戦闘の末の事でした。この映画でノルマンディ上陸作戦を理解しようとしても無理で、その目的なら『史上最大の作戦』の方が、いかに大規模な作戦であったかが判って良いと思います。それでも、まなかじさんのおっしゃっている、イージーとフォックスを受け持って、大損害を出しながら、オマハ最初の突破口を開いた、歴戦の米第1師団の戦闘は全然出てこないし、空挺もプライベートライアンとは逆に82師団ばかりで101師団は殆ど描かれていません。

チャーリー・セクターでの死傷率

チャーリー・セクターで戦闘を行った唯一の部隊である、ルダー中佐の三個中隊は終日孤立無援で戦闘を続け、D-Dayだけの死傷率30パーセントといわれていますから、約130人というところでしょうか?。D-Dayの長い日が暮れる頃(21時頃?)、ドッグに上陸したシュナイダー中佐の二個中隊の内A中隊の一部が内陸を回ってオック岬に到着します。

ドイツ軍の兵力

オマハに向かった米第5軍団の第一波は、二個師団(第1と第29)、二個レンジャー大隊(第2と第5)、プラス海軍の施設部隊(海岸の障害物をぶっとばすからどけ、とミラー大尉にどなる東洋系の兵士が属していた部隊)、支援艦砲射撃の弾着観測班など約25000人。

これに対して、ドイツ軍はオマハ(これは連合軍の作戦名ですが)に再編成中ですが、基幹要員が東部戦線経験者で編成された、第352師団を配備していました。
しかし、第352の守備範囲は広く、かつ制空権を完全に握られていた為、戦闘開始後、機動を行う事も援軍を送り込む事も著しく制限され、D-Day当日、米第5軍に対して海岸で発砲したのは、当初から配置についていた正面陣地の600人から800人であろうといわれています。従って、米軍が渚での混乱から体勢を立て直せば、勝負あったで、実際にオマハの米軍死傷者は最初の30分間に集中しています。
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 もういろんな回答が出ているので蛇足になりますけれど。



>なぜわざわざ敵の真正面から上陸したのですか。
 ⇒この時代の戦争ではもう、航空支援の有無が最重要マターになっています。上陸地点の制空権なしで突撃するなんて日本陸軍くらいなものですし。で、制空権奪取を担う空軍の基地はイギリス本土にあるんですが、当時のヨーロッパの軍用機の戦闘行動半径は日本のそれと比べて極めてみじかかったのです。そのためカバーできる範囲はドーヴァー海峡のフランス側のパ・ド・カレー海岸か、カーン付近のノルマンディ海岸くらいしか選択肢がありませんでした。
 当初はパ・ド・カレーが有望だと思われたんですが、ここは海岸段丘の崖がずうっと延びていて、非常に突破しにくい。また近くに補給の拠点になる大きな港がないので、突破できても補給が大変。対するノルマンディは海岸から内陸までずっと平地、近くにシェルブールという大きな港があります。
 ということで、上陸作戦最適地は航空支援と補給港という条件でノルマンディに決定します。

 また連合軍は上陸地点をぼかそうと様々な欺瞞作戦を実施し、実際にドイツ軍は上陸地点をパ・ド・カレーと誤認、主力をそっちにむけてしまいます。加えて上陸前には徹底した爆撃も実施していますので、決して単に真正面から殴りかかろうとしたわけではないということになります。

>上陸前に、スナイパーライフルで機関銃を撃っている敵兵を狙撃すれば、時間稼ぎにはなりそう
 ⇒他の方もおっしゃるように、海から陸の狙撃は無理。こと砲撃戦では陸上の固定砲台のほうが圧倒的に有利となります。歩兵じゃないですが、駆逐艦(海)と戦車(陸)で撃ちあって駆逐艦の負けなんて例もあるそうです。

>もっと敵の守備が手薄な所から侵入すれば、こんなに犠牲者は出なかったと思います。
 ⇒これも他の方もおっしゃるように、欺瞞作戦や砲爆撃が功を奏し、オマハ海岸以外は大きな損害はだしていません。オマハ海岸は直前に増援のドイツ第352師団が防備に入っており、連合軍側はそれを察知していなかったともいわれています。

 余談ですが、一連の戦闘ではドイツ軍の虎の子のティーガー戦車も少数ちゃんと参加しており、英軍を散々な目に遭わせ、ミヒャエル・ヴィットマンというヒーローを生んでいます。
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プライベートライアンの冒頭シーンは、まあなんというか映画を面白くするための「演出」です。

映画で二丁拳銃の主人公が悪い奴らを命中率100%でやっつけるのとか、チャンバラ映画で主人公が周囲を取り囲まれてもばったばったと斬りまくるのと同じようなものです。

そもそも、上陸用舟艇を運転している人がいるわけで、その人から見れば「ありゃ、敵の陣地の真正面にきちゃった」となります。だったら、もちょっと違う場所をずらすなり、舟をナナメにつけるなりすりゃいいわけですよね。なにもバカ正直にドアを開けることはないわけで。

さて、実際の戦争で何が原因で死傷者が出るのか。あのアメリカ軍はさすがにちゃんと調べています。それによると、死傷者の50%弱は大砲の破片が原因です。続いて25%くらいが機関銃で、残りが他が原因です。爆弾で死傷者が少ないのは、アメリカ軍は爆撃することはあっても爆撃されることは滅多になかったからだと思います。
だから戦場で一番危険というか恐ろしいのは大砲なんですね。大砲がドカンドカンと炸裂するのがいちばんの恐怖なわけです。特に身を隠す場所がない海岸なんかじゃとても生きた心地はしなかったでしょうね。
映画じゃ銃撃で兵士が次から次へと倒れていますが、本当は大砲がドカンドカンと炸裂して、それに吹っ飛ばされたり破片を喰らったりしてみんな死んじゃうのです。でも、映画でそれをやろうとしたら役者さんがどえらい危険なので、銃撃で死ぬ演技にしているわけです。

また、映画では機関銃陣地が真正面を向いていましたが、実際の戦争では機関銃陣地というのは敵が攻めてきそうな方向に対してハの字の形で配します。ハの字の銃撃の線(火線)が先のところで十字になるのでこれを十字砲火といいます。この十字砲火が機関銃の最も効果的な配し方なのです。攻める側からすると攻めていく方向の斜め右と斜め左の両側から撃たれると隠れる場所がなくなるのでまさに地獄となります。
地形上十字砲火が無理でも、相手に対してナナメの位置から撃ちおろす場所に機関銃を配するのが鉄則です。

ついでに、ああいう陣地やトーチカは、海岸線よりちょっと入ったところに作っておくのが最も効果的です。なぜなら海岸のすぐ近くに陣地が見えるなら、事前に艦砲射撃をすれば潰せます。
「陣地は海岸すぐ近くに置くか、それともちょっと奥まったところに置くか」というのは議論されたのですが、実際の戦争だとちょっと奥まったところに置くのが効果的といわれています。太平洋戦線でのタラワ島では日本軍陣地は海岸すぐ近くに作られまして、確かにアメリカ軍は大損害を出したのですが、日本軍の損害も大きく3日で戦闘は終了しています。また同じく海岸線すぐ近くに防御ラインを作ったサイパン島では日本軍はほぼ一方的に敗北しています。その戦訓を受けて陣地をやや奥まったところに作ったペリリュー島の戦いではアメリカ軍はうんざりするほどの大損害を出しました。

映画の元ネタになったのはオマハビーチの戦いでしたが、英米連合軍は他にユタビーチ、ソードビーチ、ジュノービーチ、ゴールドビーチにも上陸していますが、これらの上陸海岸ではさほどの大損害は出していません。オマハビーチだけ別格だったんです。
ところで、ミラー大尉らはオマハビーチに上陸したのですが、ライアン二等兵の所属する第101空挺師団はユタビーチの先でした。この両方は映画で描かれている時点では連絡が繋がってないので、第1歩兵師団所属と思われるミラー大尉らが第101空挺師団の近くに行くなんて「ありえない」のですが、まあ、映画なんでそれをツッコむのはヤボだといえるでしょう。ついでに、第101歩兵師団の戦区にタイガー戦車があったとも思えないんですけどね。タイガー戦車はドイツ軍の象徴みたいな人気戦車なので映画出演は「お約束」なんですが、とても貴重な戦車だったのでそんなにあっちこっちになかったのです。

映画「ネイビーシールズ」は本物の隊員を使い、本物の銃と実弾を使って撮影したそうですが、見てきた友人によると「戦闘シーンは映画としてはあまり面白くなかった」そうです。「リアル」であることと「映像的に面白い」のはまた別の話であるようで。まあ恋愛も「駅で運命的な出会い!」なんてリアルにゃ起こらないですからね。
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第二次世界大戦の段階で言えば、ノルマンディー上陸作戦は、損害の少ない戦いだった。


第二次世界大戦の中で言えば、死傷者数の割合の少ない戦闘でもありました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B4% …

戦力
190,000
損害
12,000
戦死 2009
戦傷 7,050
行方不明 3,501

6%

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%B9% …

戦力
歩兵160,000

損害23,934

15%

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC% …

戦力
155,000
損害
戦傷・戦死10,264

6%

ノルマンディのあと、二線級のドイツ軍に対して上陸作戦を行ったドラグーンでも
http://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Dragoon

175,000-200,000 の戦力で
米軍 フランス軍で 2万程度が 死傷しています。
2,050 killed, captured or missing 7,750 other casualties
more than 10,000 casualties

10%以上です。

ノルマンディだからあのような戦闘方式を取ったのではなく、強襲上陸作戦では基本的にこの程度の損害が出るのが前提で立案されます。

太平洋の戦いでも
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%A9% …

35千の部隊で3千近く

フィリピン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3% …

60万の兵力で 6万人の損害 これが勝ったアメリカ軍で 10%

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3% …

戦力
43,110
損害
戦死 4,130
行方不明 287
戦傷 6,808

勝った日本軍は10%近くが戦死して、25%に損害を受けています。
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上陸前に海上の軍艦から充分な砲撃をしましたが、大半がはずれてしまい、敵兵のほとんどが生き残っていました。


そのため上陸したアメリカ兵は、敵の抵抗はある程度予測はしていたのですが、あんなに損害が出るほど苦戦するとは想定外だったのです。

映画では、敵の機関銃はよく見えていましたが、実際は草や土壁で巧妙に隠れており、撃ってくるまでどこに機関銃があるのかわからない状況でした。

揺れ動く船の上から数百メートル離れた(隠れている)機関銃兵をスナイパーライフルで狙撃は無理です。
やるんなら、海上の軍艦から砲撃してもらうか、戦車で攻撃するか、バズーカ砲で吹き飛ばすぐらいしかありません。
でも、あんなに敵兵と接近していると軍艦からの砲撃で味方の兵も大損害を受けることになります。当時の技術ではピンポイント砲撃は無理だったのです。
戦車も、上陸前に大シケの海上でほとんどが沈没してしまいました。バズーカ砲は数十メートルしか射程距離がなかったので、これまた無理だったのです。

映画の舞台となった海岸では、アメリカ兵に多くの損害が出ましたが、ノルマンディーの中の他の海岸に上陸した部隊は、敵が手薄だったので損害は少なかったようです。
あの海岸だけ、色々な原因が積み重なり、あんな血みどろな結果になったのです。
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「プライベート・ライアン」の冒頭は、ノルマンディー上陸作戦の中でも「オマハ・ビーチ」上陸作戦を映像化したモノです。



そして、この地だけが唯一の例外だったのです。

まず、ノルマンディーを選んだ理由、そのポイントになったのは、「空軍の行動範囲」です。

第2次世界大戦は空軍の使い方が全てを支配する戦争でした。

それは、上陸海岸の制空権を握らずに上陸するのは自殺行為を意味します。

脆弱な輸送船団、上陸直後の弱体な橋頭堡、その後の補給港、どれも空軍の支援がなければ保持ができません。

その空軍の基地はイギリス本土にあります。

従って、上陸地点はイギリスからの空軍、特に行動範囲の狭い戦闘機の行動範囲内でないといけないわけです。

そうすると、候補になる地点は、ライン川の河口付近からコタンタン半島までの海岸に限定されます。

その範囲で上陸に適した平坦で広い海岸線を探していくと、候補はほぼ2ヶ所に絞られました。

それが、ドーヴァー海峡のフランス側、カレー・ブーローニュ付近の「パ・ド・カレー海岸」か、カーン付近の「ノルマンディ海岸」です。

実は、当初は「パ・ド・カレー」の方が有望だと思われていました。

何と言ってもイギリスから一番近い海岸ですし、「ノルマンディ」に比べてもドイツの国境に近く、その間の地形的な障害も少ないです。

フランス解放の手間を考えても、北フランス全土を戦い取らねばならないノルマンディ作戦に比べて、フランスとドイツの連絡線を断つことでより容易にドイツ軍の撤退を誘うことができます。

しかし、「パ・ド・カレー」には決定的な欠点があったのです。

補給の拠点になる大きな港がないのです。

「パ・ド・カレー」には「カレー」や「ダンケルク」などの良港が存在しますが、いずれも膨大な侵攻軍の補給をまかなうには規模がやや小ぶりです。

橋頭堡を確保したらすぐにも、大海港を求めて北の「アントウェルペン」か南の「ル・アーヴル」へ攻勢を開始しなければならなくなります。

しかし、大攻勢には大規模な補給が必要で、その補給には結局大きな港が必要になります。

その点、「ノルマンディ」には手近のコタンタン半島の突端に「シェルブール」という大きな港があります。

この港は半島の突端にありますから、一度奪取さえできれば奪回される危険も少なく、侵攻軍の補給基地にするにはもってこいの港でした。

また、海岸から内陸までずっと平地が続いているのも「ノルマンディ」の利点でした。

「パ・ド・カレー」の海岸沿いには海岸段丘の崖が延びている所が多く、もしここを迅速に突破できなかった場合、侵攻部隊が海岸で立ち往生する危険が考えられます。

また、この崖は海岸での物資陸揚げの際にもネックになります。

さらに、上陸部隊の発進基地を考えると、「パ・ド・カレー」に近い「ドーヴァー」、「マーゲイト」、「ハリッジ」などのイギリス東南岸の港よりも、「ノルマンディ」に近い「ポーツマス」、「サウサンプトン」、「ボーンマス」、「プリマス」などの南岸の港の方が規模が大きくて有利でした。

そして、敵の目を「ノルマンディ」からそらすべく大規模な欺瞞作戦が、作戦名「フォーティチュード」の名のもとに展開されました。

上陸地点の候補は「ノルマンディ」の他にもたくさんあります。

そのどこに本当の侵攻が来るかドイツ軍に悟られないようにすれば、その全てに備えねばならないドイツ軍の兵力は薄く分散せざるを得なくなります。

また、「ノルマンディ」に上陸した後も、これは実は本侵攻の前の牽制作戦では?と思わせることができれば、「ノルマンディ」に投入される兵力は少なくなるだろうとも考えられました。
 
この方針に基づき、いくつものニセ作戦が計画されました。

(スコットランドからのノルウェー侵攻作戦、スペイン上陸作戦、パ・ド・カレー上陸作戦など)

そして、この作戦はかなりの成功を収め、ノルマンディの海岸防御にあてられた装甲師団はたったの1個、「第21装甲師団」だけでした。

上陸作戦時、猛烈な砲爆撃の後、工兵隊を先導に上陸が開始されました。

工兵隊は事前偵察の成果をもとに舟艇の障害となる機雷や妨害物を取り除き、本隊の道を切り開きました。

そこを通って各種の上陸用舟艇と水陸両用戦車が殺到しました。
 
この怒濤の攻撃の前に、ほとんどの上陸地点でドイツ軍は抵抗の術を知らなかったのです。砲爆撃で拠点が破壊されていた所も多いですし、そうでなくても通信網が寸断されていたために、各拠点は孤立して戦闘せねばならず、有効な抵抗はできませんでした。

連合国側の予想通り順調に進んだ作戦の中で、ただ一つの例外が、アメリカ軍の上陸した「オマハ海岸」だったのです。

ここには上陸の数日前に新来の「第352師団」が防備に入っていました。

これを連合軍は察知しておらず、思いもかけない強い抵抗に遭って上陸部隊は海岸に釘付けになってしまったのです。

この海岸は地形も他にくらべて険しく、海岸線に沿って稜線が延びており、そこから海岸を射ち下ろす位置に築かれた陣地の前にアメリカ兵は屍の山をなしたのでした。
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>敵の真正面から上陸したのですか


部隊 しかも、数万人を一気に上陸させられる場所というのは多くないんですよ。
ドイツとしては、カレー地方がイギリスに近く、上陸には適地であるので、こちらに主力を振り向けていました。
ですから、守備兵力としてはまだ少ない方です。
http://www.bekkoame.ne.jp/~bandaru/deta02u5.htm

>扉が空いた瞬間に機関銃で蜂の巣にされていますし
特に激戦だったオハマビーチを描いていますし、その方が映画としてはおもしろいでしょ。

>海岸には鉄骨の残骸しかなく
コレはドイツが設置した障害物です。
舟艇や、こんなのが容易に上陸してこないように設置します。
http://ja.wikipedia.org/wiki/DD%E6%88%A6%E8%BB%8A

>上陸前に、スナイパーライフルで機関銃を撃っている敵兵を狙撃すれば
だいたい、300~500mですよ。射程って。ゴルゴじゃ無いんだから。
海面が10cm上下すれば、弾着点では数mずれます。100発撃ったら1発ぐらいは当たるかも。
その前に機関銃や大砲で撃たれて終わりです。
攻める側は、撃たれないように高速で機動する必要があります。
相手が動く場合は何とかなっても、自分が動いている状態で撃って、しかも当てることは曲芸に近いです。

ちなみに、ノルマンディー上陸作戦ですが、ノルマンディーという砂浜に上陸したわけではありません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%AB% …

また、艦砲射撃ですが、戦艦の大砲の弾は敵の船用の弾です。
大砲の弾って、相手によって種類が変わるんですよ。違う種類の弾を撃っても十分な威力が無いのです。
下手に地面に向けて撃つと、不発が多く、うかつに上陸して踏んづけると爆発します。
つまりは、自分の部隊が動くところに地雷を撒くのと同じです。

もっと幅広く検索すればいろいろなことが分かります。
せっかくですから、もっと知識を深めてください。
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まあ、守備方の配置というのは上陸しやすい所、もしくは上陸されたらダメージが大きいところに多く配するものだから、逆にいうなら、守備の手薄な海岸というのは上陸しにくいか、もしくは上陸されてもその後の進軍に労多い所のはず。


そもそも岩場や荒磯には上陸用舟艇をつけれないです。
上陸地点の選定というのは、沖縄でも硫黄島でもそうですが、上陸しやすさと敵陣の固さとのかねあいで決まるもの。
あと連合側の上陸作戦はヨーロッパ戦線でも太平洋でもそうですが、上陸前に艦砲射撃と空爆で敵陣をつぶしてから上陸かけますから、ドイツ側の抵抗はあれでも相当へっていたはずです。
あとノルマンディーの場合は、上陸にさきがけて空挺部隊が降下し、有力な守備砲台をつぶしてから上陸かけるということをやったはず。
当時、制空権は完全に連合国側にあったので、上陸リスクを最小まで減らした上での実施だったと思います。
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そもそもノルマンディー上陸作戦は


不意打ちを狙ったものです。

ドイツ軍が上陸を前もって知っていればもっともっと犠牲者が出ていたし
成功しなったかもしれません。

あなたの言う時間稼ぎをする、というのはドイツ軍にとっても
時間を稼げるということになりドイツ軍の援軍が間に合ってしまうかもしれません。

したがって、危険ではありますがある程度の犠牲も覚悟の上
急襲したわけです。

ノルマンディーのドイツ軍の防衛陣はあれでも手薄だったのです。
手薄なうちに乗り込んでしまおうという作戦でした。
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