
彼<に>彼女ができた。
弟<に>子供が生まれた。
茶碗<に>ヒビがはいった。
犬<に>さかりがついた。
おまえ<に>何ができる。
柱<に>歪みが出た。
上記のような「に」の使い方について教えてください。辞書や日本語文法のサイトで調べましたが、これというぴったりした説明が見当たりません。別の「庭に霜が降りた。」なら「動作・作用が行われる<場所>を表す」で説明されています。しかし、それでは上記のものは説明できません。「彼に子供が三人ある。」の場合は「所有者を表す」で説明されています。しかし、これも全部には通用しません。
考えてみると、この「に」は例えば受け身形の「ニ」格に似て、言い方を変えると「主格」に立つこともあり得るように思います。「彼が彼女を作った」のように。そこで、つぎのような仮説で説明してみました。
『この「に」は、後に続く文「~が~する」が表す情況を保有する、人やものを表す』
そこで皆さんにお伺いします。できるだけ三つのどれかの方法でお答えください。
1.(辞書などの)既述の説明で十分である。(その説明の方法をお書きください)
2.新しい説明方法を提案する。
3.わたしの提案を(条件付きで)支持する。
なお、最初の回答者をのぞき、前の回答者の考えを検討するのも、一つの態度と考えていただいてかまいません。
ややこしいことを言ってすみません。回答者の意地が見られるようなご発言を期待しています。
No.20ベストアンサー
- 回答日時:
#18です。
格の役割をめぐっての5つの視角についてもう少し説明を加えてみます。
1)展叙力ないし再展叙力…叙述内容
当人の主観的表現(モドゥスModus 言表態度)「春(体言)+だ(断定)+!(表明)」を、相手に伝える際の記述的な客観的表現(ディクトゥムDictum 言表事態)に進める場合には、体言「春」に展叙(望ましい叙述への誘導)のための格助詞の選択が求められます。その格の付き具合によって、述部は変化を果たします。【格範疇】
春が来る。(主格)
春を呼ぶ。(対格)
春になる。(位格)
春に魅かれる。(与格)
春に遊ぶ。(補格)
2)統叙からの対象割振り力…主題役割(theta role)
格に誘導される述部においても、モドゥス(当人の主観的表現)が体言だけでなく動きや情態などの用言である場合には、その意味対象としての主題をその役割において逆指名する力が働くとも言えます。そこには必須の格(根幹形成の補充成分)と任意の格(付加的修飾成分)の差異もあり、それはまた展叙の強弱とも相関すると思われる。【意味範疇】
来る。…動作主、場所
春が←来る(動作主)
山に←来る(場所)
「彼に 彼女が できた。」
動作主 対象 作る(得る)
「彼が 女友達を 作った」
「おまえに 何が できる。」
動作主 対象 可能
「おまえに何ができるか。」
<ニ格の主語形>
「弟に 子供が 生まれた。」
受益者 対象 出産(得る)
「弟が 子供を 儲けた」
3)係助詞との陳述に向かう力…題目提示・題説表明
体言の表意の展開誘導(格範疇)と、用言の意味の収束(意味範疇)において成された意味内容である言表事態(ディクトゥム)を、更に言表態度(モドゥス)において取り込んで係助詞での題目提示やモダリティを付加した陳述(終結語句やイントネーション)の形で締めくくる─それによって全体として題説表明を構文として完了させる。【統語範疇】
4)事態や聞き手に対するムード…叙述・言表態度
ただ言表事態(ディクトゥム)だけの文であっても、そこには何らかの言表態度(モドゥス)が内芯にあるものであり、ましては題目提示やモダリティ(事態のムード1と聞き手へのムード2)で外包され陳述がなされた構文においては、その格文法の問題には「人物存在性」を基底におく、いわゆる「言語仮定説」の視野が欠かせないと思われます。
「(一)言語を物としてではなく行為として捉える。行為は過程である。(二)また客体的な概念過程を経た語が詞、主体的な「心の声」が辞(助動詞、助詞、感動詞、接続詞まで含む)であり、両者は非連続である。」(徳田正信「時枝誠記の言語過程説とはどんな考え方か?」)
参考:川島正平「言語過程説とは何か?」
http://www2.tbb.t-com.ne.jp/kawashou18/nanika.html
5)授受表現・尊敬語化・再帰代名詞化などへの進展
・文の成分としてのヴォイス(態:能動と受動)の交替とそれに伴う格形式の交替における構文上での同義性と差異の発生の問題。
・単動詞と複合動詞での格交替や、動詞の形容詞化に連動しての格支配の移行ないし揺らぎの問題。
例)犬が人を咬む→人に咬み付く。水が飲みたい⇔水を飲みたい。
・授受動詞が支配する格の二重性。
例)彼は 息子に 小遣いを やった。
動作主 相手&着点 起点 授受動詞
・敬語化とニ格の関係、その変化など。
例)<彼に>彼女がおありになる。(所有文)
ニ格主語 ↓↑
彼に<彼女が>おいでになる。(存在文)
ガ格主語
格助詞をめぐる問題点はまだまだあるでしょうが、いずれにせよ、国語辞書あたりの記述で説明が着く筋合いのものでもないし、その都度かってに自前の説明の披瀝で納得がいくレベルのものでもないでしょう。
ご回答ありがとうございました。レベルの高い言語学的アプローチが受けいれ不能のまま、他の回答も続かなくなったので、これにて締め切りたいと思います。「辞書レベル」で論じるには、荷が重かったのかも知れません。
色々な面で教えられる所の多かった、kine-oreさんの回答を、ベストエイトに選びました。他の回答者の皆さん、ご諒承ください。
No.19
- 回答日時:
ウーン。
2説が対立しているのかいないのか……。
それぞれ一方だけを読んでいると説得力があるので困ってしまいます。これだから助詞の話は……。
いずれにしても当方の理解力を超えるレベルの話になってしまったような気がします(泣)。
下記あたりは厳密に考えるとどうなるのか……。「受身」にできるか否かがポイントの気もしますが、例外が多すぎて……。
父に言いたいことがある
父に言いたいことができる
定位置に外野手がつく
暴力団事務所にトラックが突っ込む(事故なら意思がない。事件なら意思がある……はず)
話をかえて……。
No.14の「お礼」も最後の6行が頭から離れません。
そもそも自他(自動詞と他動詞)に関して曖昧な理解しかしていない当方が書くと、例によってグチャグチャになる気がするのですが……。ほかのかたのコメントが入らないので、「たたき台」として少し書きます。
大前提として、当方は日本語の自他の定義がよくわかっていません。とりあえず下記の定義に従います。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2936. …
下記を見つけた。もしかすると初級者向けとしてはこれがよいかも。
【自動詞と他動詞】
http://web.ydu.edu.tw/~uchiyama/1h93fy/jita.html
================引用開始
自動詞
〈「を」+動詞〉の形にならない動詞
他動詞(たどうし)
〈「を」+動詞〉の形になる動詞
================引用終了
問題は〈なお、〈「を」+動詞〉の形でも、〈名詞+「を」〉の部分が場所を表わすものは他動詞ではない。〉の部分。「ない」は言いすぎでは。「ないことがある」くらいだろう。
「グラウンドを走る」が自動詞で、「グラウンドを見る」が他動詞になる理由なんて簡単には説明できない。
あと、自他の両方で使われる動詞もいろいろあると思う(ex.「思う」)。
例外としてあげられているもの。
駐車場を通る
電車をおりる
空を飛ぶ
グラウンドを走る
廊下を曲がる
部屋を出る
大学を卒業する
以下の例も自動詞なんだろうだな。
橋を渡る
街道を行く
日本を離れる
海を泳ぐ?
さて、OKATさんの疑問に関して。
1.「つく」(自動詞)と「つける」(他動詞)のどちらも「対象」を持つか
イエスともノーとも言えそうです。
通常、いわゆる目的語としての「対象」を持つのは「つける」(他動詞)で、「つく」の「対象」はちょっと違うと思います。そこで、「関係先」という言葉が出てきたのでしょう。その意味ではノーです。
ただ、そこまで厳密に区別しなければ「対象」を持つでしょう。その意味ではイエスです。
たとえば「乗る」は自動詞です。「電車に乗る」なら対象ですよね。〈自動詞ですので、動作・作用の対象にはならない〉(No.16の「お礼」)ことはないと思います。
ここで問題をややこしくします。
「噛む」は他動詞で、「ネズミを噛む」です。
ところが、「噛みつく」になるとほぼ自動詞になり、「ネズミに噛みつく」です。
何が「目的語」なのか「対象」なのか混乱します。
さらにいうと、「噛みつける」「追いつける」になると可能のニュアンスになります。
「押しつける」(他動詞)だと「押しつく」(?)の可能形ではありません。
「落ち着ける」だと「落ち着く」(自動詞)の可能形(落ち着くことができる)だと(自動詞)のほか、「(気持ちを)落ち着ける」(他動詞)の両方があります。
2.「できる」と同様「ーが」という対象を取るのか
「する」は他動詞ですが、「できる」は自動詞……なのでしょう(個人的には疑問あり)。↑の【自動詞と他動詞】参照。
同様に「食う」は他動詞で、いわゆる可能動詞の「食える」は自動詞なのでしょう。
「泳ぐ」は自動詞で「泳げる」も自動詞。
ただ、近年(「昔から」という説もあるようです)は「飯を食える」という言い方も一般的になっています。そうなると、「食える」などは自動詞から自動詞兼他動詞になりつつある……マサカ。
この回答への補足
ご回答は、自動詞・他動詞の区別に関するものと理解していいでしょうか。
「ーを」伴うから他動詞という説は棄てた方がいいでしょう。「犬が<庭を>歩く」と言うが、「歩く」は他動詞ではない。
「受け身」の形ができるから「他動詞」、も同様です。日本語では、「自動詞の受け身」が目立ちます。「人に畑を歩かれた」
わたしは、自動詞・他動詞の区別がつかなくて、このサイトで失敗した経験があります。
辞書によっては「自動詞・他動詞」を記しているものがあります。(「広辞苑」など)
通る←→通す おりる←→おろす 飛ぶ←→(飛ばす) 走る←→(走らす) 曲がる←→曲げる 出る←→出す
卒業する(漢語+サ変は自・他同形が多い) 渡る←→渡す 行く←→(行かす) 離れる←→離す 泳ぐ←→(泳がす)
(飛ばす)(走らす)(行かす)(泳がす)は一時的に存在したと考えられますが(使役動詞)、現在では「走らせる」「行かせる」「泳がせる」などの使役形に取って代わられました。しかし、それでも「聞かす」は存在しないと、「悪い噂を聞かされた」の説明ができません。
申し訳ないけど、わたしが「自他」の区別や可能動詞について迷いを生じたのは、tobiさんが回答のなかで「動作・作用」の「対象」としきりにおっしゃるので、自動詞に「対象」とはと考え始めたからですよ。
それ以外の回答内容については、分かりやすくて問題ありません。他の回答者の書かれる用語を理解できず、勉強し直さねばならないのが、辛い所です
No.18
- 回答日時:
#17です。
>実は、恥ずかしながら「~に~が~する」という文型を考えた時は、「~が」という主語と「~する」という動詞の文型を考えていました。
:
次のようにそのカテゴリー間の仕分けに不分明が生じると混乱を来します。
例文1: 太郎に 英語が わかる。
意味範疇: 受益者 対象
統語範疇: 主語 直接目的語
格範疇 : 格 主格
出所:
柴谷方良「日本語の分析─生成文法の方法─」大修館書店
「英語が」は主格でありながら意味が対象であり、統語的には目的語とみなされる一方、受益者である与格の「太郎に」が統語的には主語に交替しています。
ここで「おまえ<に>何ができる。」を見てみましょう。
基本形 おまえは 何が できるか!
原形 おまえには 何が できる?
現在形 おまえに 何が できる。
統語面 主語 目的語 可能の状態述語
格の面 与格 主格
↓↓
格の交替(与格の主格化)
変化1) おまえに 何が できる?
変化2) おまえで 何が できる。
変化3) おまえが 何を できるか!
統語面 主語 目的語 可能の状態述語
格の面 主格 対格
>それ以外の例文は「~に」は「連用修飾語」としか考えませんでした。
:
これも考えてみたいところですが、主語否定説については別の話題ということで…。
>たまたま、見かけた次のサイトが『「に」は全て〈着点〉という一つのプロトタイプ的意味に還元することができる。』
と述べているのと一致するように思われます。
:
どうして「が・を・に」だけが強展叙なのか、他の格助詞はなぜ弱展叙でしかないのでしょう。
およそ統語構造においては、格助詞にも次のような表現力の拮抗が働いていると考えられています。
1)展叙力ないし再展叙力…叙述内容
2)統叙からの対象割振り力…主題役割(theta role)
3)係助詞との陳述に向かう力…題目提示・題説表明
4)事態や聞き手に対するムード…叙述・言表態度
5)授受表現・尊敬語化・再帰代名詞化などへの進展
格助詞の機能における狭義の役割は1)に関与していますが、主格・対格・与格については2)以下での役割にもまた関わることから、単なる展叙を超えたという意味での「強展叙」と呼ばれる理由になるでしょう。
それはまた、それらの展叙機能の背景に「人間の存在」力が秘められていることの証左ではないでしょうか。一つの展叙の中に動作主や対象者、また供託・受託者などの役割や関係が前提となっている場合には、表面的な叙述に留まらないで、2)以降での意味合いもまた連携していくと。その展開過程の形態の一つが、この場合の与格主語構文なのだと考えたいのです。
椅子<に>座る=椅子<へ>向かう行為+椅子<で>腰かける行為の両立。
椅子<に>座っている=椅子<で>腰かけた+そのままの姿勢・状態でいる。
ここでの「椅子<に>」に見られるのは単に静的「に」と動的「で」の違いではなく、「座る」という行為の主の「着点」へと連なる動きの中での「人物存在性(動作人物の影)」なのだと考えてはいかがでしょう。
「に」が「着点に還元される」のでなく、「に」にはそれに纏わって動いている「人物存在性」の状態表現の連続がまず前提にあり、その結果として、いわば「煮詰まったもの」としての「着点に還元される」とも見られてしまうという視点です。
ですから、「駅前でバスに乗る」について、「駅前で」は単なる場所格ですが、「バスに」では実は「乗る」ために1)身支度をする2)家を出る3)駅に向かう4)バスを待つという、その都度の人物の姿が含まれているという見方でもあります。
医者へ行く…行先。動作の着点のみの叙述。
医者に行く…着点だけでなく、何よりその人物がかなり不調である背景(理由や根拠)が暗示されている。
強展叙の格助詞には、誰「が」ではもちろん、何「を」の場合でも、このような「人物存在性」が前提にあって、それゆえに「主語」の役割もまた果たせるのだという見方はいかがでしょう。
この回答への補足
お礼を兼ねて、まとめて補足です。
例文
彼に 彼女が できた。
弟に 子供が 生まれた。
茶碗に ヒビが はいった。
犬に さかりが ついた。
おまえに 何が できる。
柱に 歪みが 出た。
『生成文法の方法』
>例文1: 太郎に 英語が わかる。
意味範疇: 受益者 対象
統語範疇: 主語 直接目的語
格範疇 : 与格 主格
この方法が、私には真新しくて、簡単には理解できません。もう少し勉強してみます。「意味論」と「統語論」とは別物とは何かで読んだことがありますが、それに「格」が加わるということですね。
(それ以外の例文は「~に」は「連用修飾語」としか考えませんでした)に対して
>これも考えてみたいところですが、主語否定説については別の話題ということで…。
と、おっしゃる所を見ると、
「彼に」「弟に」「茶碗に」「犬に」「柱に」も、統語法的には「主語」と考えるということですか。
そして「彼女が」「子供が」「ヒビが」「さかりが」「歪みが 」は、格としては「主格」であると。
すると、「主語否定論」の立場から「(主語とは)主格補語」と言うのとは、整合性がありませんね。
いわば、「主語否定論」者は「格」カテゴリーと「統語」カテゴリーを区別していないと言うことですか。
>およそ統語構造においては、格助詞にも次のような表現力の拮抗が働いていると考えられています。
1)展叙力ないし再展叙力…叙述内容
2)統叙からの対象割振り力…主題役割(theta role)
3)係助詞との陳述に向かう力…題目提示・題説表明
4)事態や聞き手に対するムード…叙述・言表態度
5)授受表現・尊敬語化・再帰代名詞化などへの進展
>一つの展叙の中に動作主や対象者、また供託・受託者などの役割や関係が前提となっている場合には、表面的な叙述に留まらないで、2)以降での意味合いもまた連携していくと。その展開過程の形態の一つが、この場合の与格主語構文なのだと考えたいのです。
>強展叙の格助詞には、誰「が」ではもちろん、何「を」の場合でも、このような「人物存在性」が前提にあって、それゆえに「主語」の役割もまた果たせるのだという見方はいかがでしょう。
これらは、おぼろげにしか理解できません。ただ人間存在との関わりという点は必要な視点かと思います。
No.17
- 回答日時:
>マンマの抜粋で、済みません。
(苦笑):
これは、発問者として、もっとご遠慮なく応じていただきたいと感じており、その思いがしからしめた反応語でした。
まず#4は、この質問の眼目は「選択肢3」にあることの強調として、eだけを別グループに分けたものでした。
しかし回答の流れはその主題に向かわず、全て「辞書」レベルで一緒くたにと傾きつつあったので、#11にて「与格主語構文」の観点を添えてご注意を促したつもりです。
その際の「お礼」が「「主語」を表す 上記のようにまとめていいでしょうか。」といった平板な反応でしたので、その大人しさに「マンマの抜粋」とつい申し上げた次第です。
もう一度この質問内容をご確認していただければ、ニ格が与格や向格という格範疇にありながら統語範疇において主語になるという、このニ格の「与格主語」のあり方をこそ「3.わたしの提案を(条件付きで)支持する。」として問うていらっしゃり、それこそは大いなる眼目なのですから。
>それでも、「位格」は位置格で、「対格」は直接目的語と、見当をつけました。
:
一般には、位格の与格は「に」ですが位格の具格には「で」となり、また、向格では「に」のほかに「へ」があるとされています。
ところで国文法の泰斗山田孝雄においては「語の位格」と呼んで「一つの観念語が他の観念語に対して、どういう関係をあらわす地位に立っているかの範疇である。」として、「位格には呼格、主格、述格、賓格、補格、連体格、修飾格の七つがある。」と述べています。
参照:山田孝雄「日本口語法講義」236頁~
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1870073/131
体言に付いて構文上の「資格関係」を導く役割から「格助詞」と呼ぶのでしょうが、この「観念語」に関わる観点からは、格それぞれの果たす「地位」を以て「位格」と称しています。
無生物には「場所」ですが生物には「地位」という「資格」に関係すると見做せるこの「ニ格」ですが、いずれにせよその骨子は「「に」は動作の帰着する地位を示す」にあるとされてきました。
参照:木枝増一「高等国文法新講. 品詞篇」685頁
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1117756/341
次の例のように、ニ格が必ずしも単純に静的な場所格ではないことをご確認ください。
例1)
天を舞う…所在(場所格+対格)
天で舞う…場所(場所格)
天に舞う…帰着地位(着点格+位格)
天まで舞う…到着点(着点格)
天へ舞う…行先(方向格)
例)2
本を読む…対象(対格)
本を読み耽る…対象(対格)
本に読み耽る…対象と関係態度(対格+位格)
>こうして、説明をいただいて、ようやく分かってきました。
:
格助詞における「連用の職能」について、ガ格・ヲ格・ニ格の「強展叙」連用助詞と、ト格・ヘ格・カラ格・デ格など他の「弱展叙」連用助詞の果たす役割の違い、また「強展叙の連用助詞の中で「に」だけは、「は」の下接を許すが、それは「に」が、強展叙に属すると言うものの、「が・を」に比べれば強展叙性に劣るということの、具体的な現れと解せよう。」といった、「展叙」「統叙」「陳述」のあり方を論じる「文構成論」「構文論」の知識がこのような場合には欠かせないものと思っています。
引用:渡辺実「国語文法論」笠間書院
この回答への補足
>ニ格が与格や向格という格範疇にありながら統語範疇において主語になるという、このニ格の「与格主語」のあり方をこそ「3.わたしの提案を(条件付きで)支持する。」として問うていらっしゃり、それこそは大いなる眼目なのですから。
実は、恥ずかしながら「~に~が~する」という文型を考えた時は、「~が」という主語と「~する」という動詞の文型を考えていました。できるだけ毛色の変わったものをと、選んでいるうち疑問文も入れておこうと考え、「おまえに何ができるか」を選んだのですが、途中で分かってきたのは「何が」は可能を表す「できる」の「対象」だということで、そうすれば「おまえに」は主語しか考えられないと思い、「与格主語」説に納得した次第です。それ以外の例文は「~に」は「連用修飾語」としか考えませんでした。
>ところで国文法の泰斗山田孝雄においては「語の位格」と呼んで「一つの観念語が他の観念語に対して、どういう関係をあらわす地位に立っているかの範疇である。」として、「位格には呼格、主格、述格、賓格、補格、連体格、修飾格の七つがある。」と述べています。
この山田氏の「位格」は「格」の総称であると「日本文法大辞典」で理解しました。
>無生物には「場所」ですが生物には「地位」という「資格」に関係すると見做せるこの「ニ格」ですが、いずれにせよその骨子は「「に」は動作の帰着する地位を示す」にあるとされてきました。
たまたま、見かけた次のサイトが『「に」は全て〈着点〉という一つのプロトタイプ的意味に還元することができる。』
と述べているのと一致するように思われます。
「イメージで教える日本語の格助詞 」 名古屋大学
http://www.lang.nagoya-u.ac.jp/~sugimura/achivem …
>格助詞における「連用の職能」について、ガ格・ヲ格・ニ格の「強展叙」連用助詞と、ト格・ヘ格・カラ格・デ格など他の「弱展叙」連用助詞の果たす役割の違い、また「強展叙の連用助詞の中で「に」だけは、「は」の下接を許すが、それは「に」が、強展叙に属すると言うものの、「が・を」に比べれば強展叙性に劣るということの、具体的な現れと解せよう。」といった、「展叙」「統叙」「陳述」のあり方を論じる「文構成論」「構文論」の知識がこのような場合には欠かせないものと思っています。
他の回答者への補足で引用した「広辞苑」の説明の内、次の部分が、「に」の特性が表れているように思います。(見当違いかな)
『後の時代には、所を指示する意味では下に来る語が存在など静的な意味の場合に用い、動作・作用など動的な意味の場合には「で」を用いるように分かれる。』
「後の時代」とは現代も入るのでしょうから、「庭にある」と「グランドで走る」を対比させるとうなづけます。
No.16
- 回答日時:
#7です。
おかげさまで色々な方のご意見が聞けて大変参考になります。
感想も含めて、さらに述べてみたいと思います。
重複する部分も出てくるかもしれませんが、ご容赦ください。
【1】
まず、次の用法を改めて確認してみます。
6 動作・作用の行われる対象・相手を表す。「人―よくかみつく犬」「友人―伝える」
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/166083/m1u/ …
これは、たとえば、「靴によくかみつく犬」「小判を庭に埋める」など、対象が無生物であっても同じ用法になると思います。
その「対象・相手」が生物か無生物かを分ける必要はないでしょう。
『「対象・相手」に対して直接的な作用を意志的に及ぼす場合』であれば、この6の用法になる、という点こそが重要である、ということ。
彼<に>彼女ができた。→彼に彼女を紹介した。
弟<に>子供が生まれた。→弟に子供が抱きついた。
茶碗<に>ヒビがはいった。→茶碗にヒビを入れた。
犬<に>さかりがついた。→犬に餌を与えた。
おまえ<に>何ができる。→おまえに任せる。
柱<に>歪みが出た。→柱に傷を付けた。
のように、述部を変えれば「対象・相手を表す」という用法になるはずです。
そして、「動作・作用の行われる対象・相手」ですから、行なうという意志を持った動詞が必ず介在するだろう、ということになると思います。
ただ、すべての意志動詞が、この用法に該当するかどうかは未検証です。
逆もまた真であるかどうかまでは確認していない、ということです。
先述しましたように、『「対象・相手」に対して直接的な作用を意志的に及ぼす場合』という条件を加味すれば大丈夫とは思うのですが。
【2】
ここで、「対象」という語が示す概念、あるいは、その定義について確認してみましょう。下記辞書では、
たい‐しょう〔‐シヤウ〕【対象】
1 行為の目標となるもの。めあて。「幼児を―とする絵本」「調査の―」
2 哲学で、主観・意識に対してあり、その認識や意志などの作用が向けられるもの。
となっています。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/133443/m1u/ …
つまり、
「動作・作用の行われる対象・相手を表す」は、「 動作・作用の目標・相手を表す」「動作・作用の意志的に向けられる先・相手を表す」などと言いかえることもできそうです。この場合、
彼<に>彼女ができた。
弟<に>子供が生まれた。
茶碗<に>ヒビがはいった。
犬<に>さかりがついた。
おまえ<に>何ができる。
柱<に>歪みが出た。
における文頭語が、述部動詞の「目標・相手」あるいは「意志的に向けられる先」と言えるかどうか、ということになるでしょう。
わたしはならないと思うので、次のように考えを進めます。
【3】
残る可能性としては、
1 動作・作用の行われる時・場所を表す。「三時―間に合わせる」「紙上―発表する」
2 人・事物の存在や出現する場所を表す。「庭―池がある」「右―見えるのが国会議事堂です」
です。(この点で異論は出ないと思いますが)
ここで問題にすべきは、「(意志的に)行なわれたのか」、それとも「(結果的に状況・状態として)出現したのか」という点です。
彼<に>彼女ができた。
弟<に>子供が生まれた。
茶碗<に>ヒビがはいった。
犬<に>さかりがついた。
おまえ<に>何ができる。
柱<に>歪みが出た。
を、「(意志的に)行なわれた内容」と捉えるのは難しい、とわたしは思います。
あくまで、「(結果的に状況・状態として)出現した内容」でしょう。
つまり、
2 人・事物の存在や出現する場所を表す。
という用法です。
この点さえ押さえれば、場所なのか人なのか、という分類は二義的な問題になるかと思います。(別に不要だと言っているわけではありませんので誤解なきようにお願いいたします)
「彼<に>彼女ができた」と 「茶碗<に>ヒビがはいった」を分類するのも良いでしょうが、
「彼<に>彼女ができた」と 「彼<に>彼女を紹介した」
あるいは、
「茶碗<に>ヒビがはいった」と 「茶碗<に>ヒビを入れた」
を分類することのほうが、「に」の用法説明として重要ではないか、といったところでしょうかね。
【4】
「犬<に>さかりがついた」についても触れておきます。
「さかり」というのは、「動物が1年の一定の時期に発情すること」という意味ですが、この現象を擬人化すれば、
6 動作・作用の行われる対象・相手を表す。
という用法に解釈することも可能でしょう。
わたしとしては、あくまで現象(事物)と捉えて、
2 人・事物の存在や出現する場所を表す。
と解釈するほうがわかりやすいようです。
矛盾点などお気づきになりましたらご指摘いただければ幸いです。
素人は、土台が無いに等しいので、つらいところです。
>「(意志的に)行なわれた内容」と捉えるのは難しい、とわたしは思います。
あくまで、「(結果的に状況・状態として)出現した内容」でしょう。
この点で迷いが出ていましたが、例文として上げたものは、(おまえ<に>何ができる。を除いて)すべて自動詞ですので、動作・作用の対象にはならないように思います。
例外的に「おまえ<に>何ができる」の場合は、可能を表すため、その「できる」の対象が「ガ格」を取って現れているように思われます。その場合、「おまえに」は「与格主語」主語という説明をされた、No.15の方のお考えが当たっているようです。
いずれにしても、諸説あるのが実際なのかも知れませんね。
No.15
- 回答日時:
#11です。
>上記のようにまとめていいでしょうか。
:
マンマの抜粋なので、イイカと言われればハイなのですが、些か心許なくもあり、角度を替えて付け足ししてみます。
1.
group1は選択肢1「辞書の説明」の範囲なのですが、並みの辞書では残念ながらその受ける体言が生物か無生物かの識別が不明記なので1.とだけ言い切れないのです。
もちろん、格助詞「に」の主要な役割の一つが「場所格」「部位格」です。ただし、これは無生物に冠する言葉で、その体言が生物にあたる場合は位格あるいは対格に関わって、その意味合いが驚くほど多様性を帯びてきます。それを包括できそうな抽象表現として「話題の事情の向かう「関係先」」と一先ず述べた次第です。
彼<に>彼女ができた。…進展の向う関係先は、彼の置かれている<境遇>。
弟<に>子供が生まれた。…変化の向う関係先は、の住まう<家庭環境>。
神に誓う…祈りの向う関係先は、神という<心的対象>。
君に幸せあれ…願いの向う関係先は、君のこれからの<境遇・人生>。
信じた愛に背を向けるな…忠告の向う関係先は、愛の持ち主たる君とその<生きる姿勢>。
勿忘草をあなたに…贈り物の向う先は思いの対象であるあなた。
一方、「話題の事情が生起した「対象」」については、やや事情が異なります。
犬<に>さかりがついた。…「さかりがついた」という連語の述語が生起した当事者として「あいつにさかりがついた。」と同レベルで「話題の事情の向かう「関係先」」とみなすこともできそうですが、他方「茶碗<に>ヒビがはいった。」と同レベルとして犬という対象位置にその事態が生成したとみることもあながち悪くもないかも知れません。
しかし、大きな「括り」として生物であるからして無生物的解釈は避けたいので「場所格補足語」から外しました。かと言って人間と同様の扱いも行き過ぎであるため、「対象(位置)」として別に仕分けてみたものです。
Group2の一例だけが選択肢3「わたしの提案(条件付き)」と近接するのですが、これはこれで「「与格主語」構文」という既存の説があること、しかもそれは「所有・可能・必要の概念が関わる条件下」での限定であって、これは取り上げるのが大変困難なテーマであることから、この選択を避けて無難な選択肢2を選んだ次第です。
マンマの抜粋で、済みません。(苦笑) 国語学の知識は少しはあるかと、思っていますが、言語学というとまったく自信がありません。まして、「格」となると、「格助詞」などと言っているわりに、どんな格があるのかはっきり知りません。「主格」「目的格」程度しか使った覚えがありません。それでも、「位格」は位置格で、「対格」は直接目的語と、見当をつけました。
>格助詞「に」の主要な役割の一つが「場所格」「部位格」です。ただし、これは無生物に冠する言葉で、その体言が生物にあたる場合は位格あるいは対格に関わって、その意味合いが驚くほど多様性を帯びてきます。
それを包括できそうな抽象表現として「話題の事情の向かう「関係先」」と一先ず述べた次第です。
その点は、わたしも少しは感じて、人間を「場所」に入れていいのかという疑問を呈してきました。
こうして、説明をいただいて、ようやく分かってきました。ありがとうございました。
No.14
- 回答日時:
大前提として、「つい気を許して失礼な言辞があったかも知れませんが、ご寛容のほど」みたいな配慮はやめましょうよ。
ホントに失礼な言辞があったら、何を書いてもムダですし……。(←オイ!)No.11のやり取りでNo.4への疑問はほぼ解決したと思いますが……。
No.5は……いろいろ考えて、翌日に検討しようと思ったら、ずっと簡潔な書き方でほぼ同様(当方的には)のコメントがあって、ガックリして検討もそこそこに投稿してしまいました。
こういう微妙な問題に関して断定調で書くのは苦手なんですが。あえて断定調5割増量くらいで書きます。
No.11の「お礼」から持ってきます。
1)「場所・部位」
c.茶碗<に>ヒビがはいった。
f.柱<に>歪みが出た。
2)「関係先」
a.彼<に>彼女ができた。
b.弟<に>子供が生まれた。
3)「対象」
d.犬<に>さかりがついた。
■「主語」
e.おまえ<に>何ができる。
当方の考え方はもっと大雑把です。
「関係先」と「対象」は区別の必要なし。
「さかりがつく」はちょっと特殊ですが、No.5では一般の「つく」の場合は「場所」も「対象」も両方アリの意味で書きました。
「主語」と「対象」は区別の必要なし。
ただ、ご指摘のとおり、「できる」は2種類ありますね。
「あの空き地<に>何ができる」も「出来(しゅったい)」ですね。
能力だと、「場所」はむずかしそうです。
「あの狭いスペース<で>何ができる」になりますね。
さらに暴論を……。
「対象」と「場所」は本質的に違いなし。「○○に」の部分のイメージ(主として「場所」を示すか否か)だけ。同様の文でも、「○○に」をかえるだけで「対象」にも「場所」にもなる。
「場所」の場合は「存在や出現」で、「対象」の場合は「動作・作用」になるだけ。
1)「場所・部位」
c.茶碗<に>ヒビがはいった。
c.’ 夫婦間<に>ヒビがはいった。→対象
f.柱<に>歪みが出た。
f.’ 彼の性格<に>歪みが出た。→対象
2)「関係先」
a.彼<に>彼女ができた。
a.’ 交差点<に>信号ができた→場所
b.弟<に>子供が生まれた。
b.’ 弟の家<に>子供が生まれた→場所
3)「対象」
d.犬<に>さかりがついた。
d.’ 交差点<に>信号がついた→場所
余談ですが……。
以前、下記のような話を聞きました。【ネタ元】が見つかりません(泣)。
「彼<に>バク転ができる」は×
「彼<は>バク転ができる」は○
「彼<には>バク転ができる」は○
ただし下記のように考えることはできる。
「彼<に>バク転ができるコト」は○
当方にはピンと来なかったのですが、「彼<に>バク転ができる理由は2つある」ならおかしくないでしょう。
この回答への補足
>「関係先」と「対象」は区別の必要なし。
「主語」と「対象」は区別の必要なし。
「対象」と「場所」は本質的に違いなし。
これらの「対象」説にまとめて考えを述べます。
まず、No.7の方のお考えの引用
対象とは何か、について。
:
「に」の意味として、
6 動作・作用の行われる対象・相手を表す。「人―よくかみつく犬」「友人―伝える」
というのがあります。
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/166083/m1u/ …
この6の用法は、「対象・相手」に対して直接的な作用を意志的に及ぼす場合ではないか、と個人的には考えます。 例文の動詞は意志動詞ではないため、対象という用法には該当しないように思う、ということです。
もう一つ
わたしが、No.5回答者への補足に書いたものを再記します。
「対象」の初歩的な例が「電車に乗る」。「乗る」という動作の対象が「電車」であり、素直に納得します。「リズムに乗る」「調子にのる」のように「対象」がはっきりする動詞があります。しかし、「できる」という動作の対象が「彼」とは?です。……
この「できる」は自然発生的な「出来る」でまさしく出来(しゅったい)する感じ。自然発生は言い過ぎですが、作ろうとして出来たのではないニュアンスがあります。(「信号が出来た」も「子供ができた」も同類)それに対して「何ができるか」の「できる」は能力を表す意味で、はっきり「対象」を「ーが」の形で示します。「スキーができる」。
しかし、いずれの「できる」であっても「ーに」で表されるような「対象」はありません。
だが、あまりにも「対象」が持ち出されるので、こちらも少々自信がなくなってきました。
○「つく」(自動詞)と「つける」(他動詞)のどちらも「対象」を持つのでしょうか。
○「可能動詞」(「できる」は正式ではなくて「見れる」と同様に「サ変」の可能動詞とされます)にも自動詞と他動詞があるようですが、「できる」と同様「ーが」という対象を取るのでしょうか。「泳げる」には対象はないが、「食える」には「ーが」の形の対象がある。「飯が食える」
だれかすっきり解き明かしてください。
No.13
- 回答日時:
#9です。
#10は矢張り#9で#6ではありません。お詫びして訂正します。それから#10を書いている途中で用事ができ、尻切れトンボになりましたので、お詫びとその補足です。>>広辞苑の解説の大前提は直截的で気に入っています。
『時間的・空間的・心理的なある点を指定するのが原義で、多くは動作・作用を表す語に続いて使われる。うんぬん、、、
(1) 札幌に姪がいる
(2) 札幌に姪がいく
この二つをローマ字で書けば r と k の違いで音の問題だ、と言う見方もあるでしょうが、僕は「居る」と「行く」の動詞の違いで(1)の「に」は所、(2)の「に」は方角の違いが出るのだとおもいます。
言ってみれば、『広辞苑』も「に」と「で」の違いで述べているいるように、動詞次第で、「に」が伸縮自在の幅と深さを持っているが、本拠は「所」だ、というのが僕の考えです。
他所の言語にも、動詞と句動詞、分離動詞、非分離動詞、などと動詞の勢力範囲が外へ伸びている例がありますが、日本語でもそう言った、格助詞の意味が動詞の影響で合呼応しているように思います。
究極的には、日本語を語り継いで来たご先祖様の長い目では「に」は一つだった、みたいなことなんでしょうけど、ド素人の寝言を聞いていただいて恐縮です。
>僕は「居る」と「行く」の動詞の違いで(1)の「に」は所、(2)の「に」は方角の違いが出るのだとおもいます。
(1)の「に」は所、で問題なし。(2)の「に」は 「帰着点」、「へ」が方角と学校文法では言っていたと思います。(ただ、区別のための区別のようにも思われます)
>他所の言語にも、動詞と句動詞、分離動詞、非分離動詞、などと動詞の勢力範囲が外へ伸びている例がありますが、日本語でもそう言った、格助詞の意味が動詞の影響で合呼応しているように思います。
そうかも知れません。現代語に焦点を合わせた「日本語文法」がさらに詳細を究め、次の例などは今まで例のなかった。説明が加わっています。
例 (4)可能を表す文・受け身文・使役文の中で動作をする主体(=動作主)を表す。
・そんな事が彼にできるわけがない。
これは、「おまえ<に>何ができる。」の例文を説明するのにピッタリです。
日本語教師のページ
http://www.nihongokyoshi.co.jp/manbow/manbow.php …
かと思うと、No.11の方が他の人の質問に答えるため上げられた説明は、「生成文法」の立場にたつものらしいのですが、非常に細分化されたものになっています。(補足語とは「補語」と考えていいようです-独断)
1. 時格補足語
2.a.場所格補足語
b.位格補足語
3. 主格補足語
4.a.使役格補足語
b.被使役格補足語
c.能動格補足語
d.与格補足語
5.a.起点格補足語
b.着点格補足語
c.方向格補足語
6.a依拠格補足語
b.道具・手段格補足語
c.状態格補足語
7.a.対格補足語
b.結果格補足語
c.共格補足語
d.原因・理由格補足語
8. 内容格補足語
No.12
- 回答日時:
「できる」=動詞。
何時?、何処で?、何処に?、何が?、何故?・・・。
そこで、前後にある名詞その他?、につく助詞が重要になります。
格助詞には主格・目的格・所有格
その他、係助詞・・・・・・・・・。
彼(名詞)ができる、彼にできる、彼のできる、彼はできる、後に続く言葉が十分に想像し得る状況でないと説明は非常に困難です。
彼ができる仕事は・・(主格)、彼についての説明
彼にできる仕事は・・(目的格)、彼が目的として到達可能(場所その他)、な目的
彼のできる仕事は・・(所有格)、彼の持つ(所有する)技量
彼はできる仕事は・・×(係助詞)格助詞でないためこの表現は不可、それなら彼はできる〇、このあたりの感性遺憾によるのではと思います。
No.11
- 回答日時:
#4です。
>現在のところ、字面からはお答えの意味が分かりません。
:
では、もう少し細かく触れてみます。
茶碗<に>ヒビがはいった。
話題の事態「ヒビがはいった」─その生成した場所・部位「茶碗」。
柱<に>歪みが出た。
話題の事態「歪みが出た」─その生成した場所・部位「柱」。
彼<に>彼女ができた。
話題の事情「彼女ができた」─その向う関係先としての「彼」。
弟<に>子供が生まれた。
話題の事情「子供が生まれた」─その向う関係先としての「弟」。
犬<に>さかりがついた。
話題の事情「さかりがついた」─それが生起した対象としての「犬」。
以上、group1.の例文は辞書レベルでも説明が可能ですが、group2.である次の例は所有・可能・必要の概念が関わる条件下での、いわゆる「与格主語」構文であるとして一般的な辞書類には記載されていないケースに当たります。
おまえ<に>何ができる。
与格主語「おまえに」+対象語「何が」+可能の述語「できる」
参考:
佐貫繁「日本語の与格主語構文の分析」(「明海日本語」第15 号(2010. 2))
http://www.urayasu.meikai.ac.jp/japanese/meikain …
再度のご回答ありがとうございました。
茶碗<に>ヒビがはいった。 話題の事態「ヒビがはいった」─その生成した場所・部位「茶碗」。
柱<に>歪みが出た。 話題の事態「歪みが出た」─その生成した場所・部位「柱」。
(他の方々との共通項目で言えば)「場所・部位」
彼<に>彼女ができた。 話題の事情「彼女ができた」─その向う関係先としての「彼」。
弟<に>子供が生まれた。 話題の事情「子供が生まれた」─その向う関係先としての「弟」。
話題の事情の向かう「関係先」
犬<に>さかりがついた。 話題の事情「さかりがついた」─それが生起した対象としての「犬」。
話題の事情が生起した「対象」
おまえ<に>何ができる。 与格主語「おまえに」+対象語「何が」+可能の述語「できる」
「主語」を表す
上記のようにまとめていいでしょうか。
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