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経済学を学んだ方に質問です。
「市場の失敗」の原因として「(自然)独占」が挙げられることがありますよね? 確かに「市場」には「競争」というイメージがあり、「独占」には「競争が無い」というイメージがあるので、一見すると「うんうん、独占が起きてしまったら市場の良さが損なわれるよね」と納得してしまいそうになります。
しかし、「市場の失敗」とは、「パレート最適な配分が実現されない」ことですよね? ならば、「独占」は「市場の失敗」の原因にはならないように思えてきます。確かに競争が行われないことは消費者の不利になりますが、そもそも「パレート最適」とは「それ以上どう配分をいじっても、誰かの効用を下げずに他の誰かの効用を上げることはできない」という状態を指す言葉で、消費者の損得と直接には関係無いものです。つまり、いくら消費者が損をするような配分が行われようと、「その配分をそれ以上どういじっても、生産者(この場合は独占者)の利益を減らしてしまう」のであれば、それは「パレート最適」ということができ、「市場の失敗」は起きていないことになります。
経済学では、独占企業もまた他の全ての者と同様に「自己の効用の最大化」を考えて振る舞うものと想定されますよね? すなわち、「消費者たちからいかに多くの金を搾り取り、自社の利益を最大にするか」を考えて立ち回るということです。そしてその目論見が成功したなら、その時点で「パレート最適な配分」は達成されていることになるのでは? 独占企業が考えられる限りの手を使って消費者から金を搾り、自社の利益を最大化した結果がその配分なのですから、それを少しでもいじれば、必ずその独占企業の効用(利益)は減ります。いじることによっていくら消費者の効用が増えても、独占企業の効用が減ってしまう以上、「パレート最適」の定義には合致してしまいます。
以上が素人の私の「素朴な疑問」です。誰か詳しい方、お答えいただけませんでしょうか?

A 回答 (8件)

少し議論を整理してみましょう。



>そもそも「パレート最適」とは「それ以上どう配分をいじっても、誰かの効用を下げずに他の誰かの効用を上げることはできない」という状態を指す言葉で、消費者の損得と直接には関係無いものです。

パレート最適は「消費者の損得と直接には関係無い」???
いいえ、パレート最適とは、あなたの言明とは反対に、誰かの消費者の効用を上げるためには、他の消費者の効用を下げなければならない配分が行われている状況を指す概念で、企業(生産者)の利潤とは「直接」関係ないものです。理由は、企業は効用関数をもつ存在ではないからです。ただし、企業が得た利潤は企業の所有者である「消費者」に分配され、それが消費者の財・サービスの消費から得る効用の値に影響をあたえるので、企業の利潤がまったく無関係なわけではありません。それどころか、各企業が競争的に行動するか、独占的に行動するかは配分に大きな影響与えるのことはむろんです。


>いくら消費者が損をするような配分が行われようと、「その配分をそれ以上どういじっても、生産者(この場合は独占者)の利益を減らしてしまう」のであれば、それは「パレート最適」ということができ、「市場の失敗」は起きていないことになります

たしかに独占のもとでも、配分がパレート最適となる場合があります。独占が価格の完全差別化が行う場合で、それが可能であれば、独占者の利潤も最大になります。一定の状況のもとでは、独占者がたとえば、二部料金性(two part tariff)等のノンリニアプライシング(nonlinear pricing)を採用するとき、完全差別化と同等の結果を実現することができます。しかし、「通常」のリニアプライシング(一物一価)のもとでは独占者が利潤を最大化させても消費配分はパレート最適にはなりません。つまり、市場の失敗が起きるのです。

通常の経済学の教科書では、これらの事実は独占が存在し、リニアプライシングのもとで生産・販売するときは、限界収入と限界費用が等しいところまで生産するので、消費者余剰と生産者余剰の合計である総余剰が、最大可能な余剰(需要曲線と限界費用曲線の間の面積で表わされる)よりも小さい(つまり、死荷重がプラスである)状況として説明されています。独占が価格の完全差別化をできるときは、需要曲線と限界費用曲線が交わるところまで生産するので、総余剰が最大可能な大きさになる(死荷重がゼロ)、つまりパレート最適な配分が実現すると説明されています。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
確かに「消費者の損得とは直接には関係無い」という表現は少しまずかったかもしれないですね。私は、「より消費者の利益になる配分が、よりパレート効率的であるとは限らない(この“消費者”は、http://rio.andrew.ac.jp/taketosi/gakunai/07kokyo …の11ページに出て来る意味での“消費者”です。「生産者は、別の局面では消費者でもある」という事はもちろん分かっていますよ)」と言いたかったわけです。なので、表現の違いこそあれ、この部分に関して回答者様と私との間に考えの違いは無いものと思われます。
別の回答者様からもご説明いただきましたが、「一物一価」や「価格差別」についてご説明いただき、ありがとうございました。大変ためになります。

お礼日時:2014/12/04 21:24

No6 で、独占市場で「価格がすべての人に通知され総需要と供給量を計算するようなある意味人工的に制御される市場」は変でしたね。

そこは削って、ご理解ください。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
あなたのおかげで、「パレート改善が可能である状態」がどういうものなのか、以前より理解できた気がします(必ずしも“現実に企業努力でパレート改善できる”という状態ではないのですね)。
感謝を込めて、あなたの回答をベストアンサーに選びたいと思います。

お礼日時:2014/12/04 21:29

現実対仮定というよりも、特定の仮定があてはまる場合は、このように説明できます、というのが経済学による説明なんだと思いますよ。



競争相手がいなくて、各消費者ごとにいくらまで払えるかがわかるほど独占者が情報が得られれ、かつ価格差別が法的・社会通念として許されれば、価格差別はなされるでしょう。

競争者がいなくて、総需要関数の情報までなら独占者が得られ、かつ価格差別が許されない状況(法的・社会通念の理由、または価格がすべての人に通知され総需要と供給量を計算するようなある意味人工的に制御される市場)では、独占者の利潤最大化行動は追加生産にかかる費用(限界費用)と追加販売で得られる収益(価格が下がる効果を考慮するので、消費者が追加的に払っても良いと思っている額より低い)で決められるので、追加生産にかかる費用より多くはらってもよいとみなす消費者がいるにもかかわらず、生産量は少なくおさえられ、非効率性が生じますということになるでしょう。
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No 4についてです:



なんだか、仮定が複雑で間違ったような気がするので、
次のようにしておいてください:

各iについて

X^i=R^nの非負象限

ω^i はどれかの成分が正

u_iは連続で単調増加(どの財についても、より多いほうが好まれる)

これなら簡単に証明できますね。



失礼しました。
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この回答へのお礼

詳しい説明、ありがとうございます。細かい計算はこれからじっくり勉強してみますが、まとめるなら、

「独占者があくまで一物一価の原則を破らない範囲で己の利益の最大化を図ると、“高く、少なく”という方向に行ってしまう」
「“安く、多く”のほうが儲かるのは、競争相手が存在する場合のみ」
「独占者は、一物一価にこだわらず価格差別を行えば、更なる利益を上げることができる(だからこそ、一物一価にこだわった場合はパレート最適が実現されていないと言える)」
「完全競争状態では、より安い価格で売る者がすぐに参入してくるので、価格差別は意味をなさない」
「Aが独占しており、かつAが価格差別を行いつつ自己の利益の最大化を図った場合の、Aの利益 > Aが独占しており、かつAが一物一価を貫き、そして順当に“高く、少なく”の方針で行く場合の、Aの利益 > A~Zが完全に競争し合っており、かつA~Zが一物一価を貫き、そして順当に“安く、多く”の方針で行く場合の、A~Zの利益の総和 ≒ Aが独占しており、かつAが一物一価を貫き、しかしあえて“安く、多く”の方針で行く場合の、Aの利益 > A~Zが完全に競争し合っており、かつA~Zが一物一価を貫き、そして順当に“安く、多く”の方針で行く場合の、Aの利益 > A~Zが完全に競争し合っており、かつA~Zが一物一価を貫き、しかし(他の全員が順当に“安く、多く”の方針で行く中)Aだけがあえて“高く、少なく”の方針で行く場合の、Aの利益」
「A~Zが完全に競争し合っており、かつA~Zが一物一価を貫き、そして順当に“安く、多く”の方針で行く場合の、A~Zの供給量の総和 ≒ Aが独占しており、かつAが一物一価を貫き、しかしあえて“安く、多く”の方針で行く場合の、Aの 供給量 ≒ Aが独占しており、かつAが価格差別を行いつつ自己の利益の最大化を図った場合の、Aの供給量 > Aが独占しており、かつAが一物一価を貫き、そして順当に“高く、少なく”の方針で行く場合の、Aの供給量」

といったところでしょうか?(あ、ちなみに「価格差別」という言葉は、回答者様の回答をもとに色々検索していたら見つかった言葉です)

お礼日時:2014/12/02 09:32

No3のパレート最適性のバージョンです(定式化が少し複雑にはなりますが):



>経済学では、独占企業もまた他の全ての者と同様に「自己の効用の最大化」を考えて振る舞うものと想定されますよね? すなわち、「消費者たちからいかに多くの金を搾り取り、自社の利益を最大にするか」を考えて立ち回るということです。そしてその目論見が成功したなら、その時点で「パレート最適な配分」は達成されていることになるのでは?

そのとおりです。

単純化のために、一人の消費者が、社会全体の生産技術を独占し、また各消費者の選好を知り尽くし、それ故、自分以外の消費者へ課する価格を消費者別、それぞれの個数別(正確には連続的にとでも言いましょうか)にコントロールできるとすれば、別の消費者にとって初期保有量と同様に好まれる消費まで金をしぼりとれるでしょう。これは形式的には、別の消費者にとって初期保有量と同様に好まれる(かそれより好まれる)消費しか消費されないような達成可能な配分のうちで、自分の効用を最大化するような配分を選べると定式化することはできます。そのような配分は通常の仮定の効用関数のもとで、パレート最適になります。

以下は定式化

n個の財(以下集合はR^nの部分集合)
m人の消費者:
X^i i番目の消費者の消費可能性集合
ω^i i番目の消費者の初期保有量(X^iに属するとする)
X^i(ω^i) : i番目の消費者の初期保有量と同程度かより好まれる消費ベクトルの集合
生産集合Y:最後の消費者mのみが所有


次の三つをすべての消費者に仮定します
各消費者iの選好は連続な効用関数u_iで現せるとする
X^iに属する任意の消費ベクトルxについて、xより好まれるベクトルからなるX^iの部分集合は凸でありR^nの内点を含む
局所非飽和

すると、集合Y+Σ_iω^i-Σ_(m以外の消費者) X^i(ω^i)
とX^m との共通集合の中で、u_mを最大化するような配分は、パレート最適である

は、証明できます。(証明は略、専門的に興味のある人だけやってください)
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この回答へのお礼

No.5への回答の続きです。
「完全競争状態では、より安い価格で売る者がすぐに参入してくるので、価格差別は意味をなさない」と書きましたが、正確には、

「完全競争においては、“ある生産者が価格差別をする(ある消費者には高い価格を提示し、別の消費者には低い価格を提示する) → 高い価格を提示された消費者に、別の生産者がより低い価格を提示する(その消費者にとってより得になる条件を提示する) → 売買成立”というやり取りが際限無く繰り返された結果の状態が実現するので、“もしも○○のような価格差別が行われ、その条件で売買が成立していたなら、生産者が更に多くの利益を得られ、よりパレート効率的な配分になっていたのではないか”という仮定は成り立たない。どう仮定しても、現実にはそれ以上に消費者に有利な条件で売買が成立してしまっているので、仮定における消費者の効用は、現実におけるそれに劣ることになる。つまり、現実にパレート最適が実現していることになる」

みたいな感じですかね。

お礼日時:2014/12/02 11:36

パレート最適性は、財が何種類もあるモデルでの説明ですので、ここでは簡単化のために財を一つだけしか考えない部分均衡(生産される財ひとつで、生産に必要な財は直接考えず、生産行動は収益と生産コストだけ考える)で説明しましょう。



おおざっぱに言って、総需要曲線と限界費用曲線との間の面積が、総余剰になります。この総余剰をパレート最適性のかわりと思ってください。総需要曲線と限界費用曲線が交わる時、総余剰は最大になります。競争市場での需給一致の点が、この総余剰が最大となります。

では、ご質問のように、独占者が、消費者の好みをすべてを知っていて、各消費者に別々の価格を課したらどうなるかというと、総需要曲線が限界費用曲線より上になっていれば、生産者の利潤は上がりますから、結局総需要曲線と限界費用曲線が交わる所まで生産し、総余剰はすべて生産者が取り付くし、やはり総余剰が最大となります。(質問者さんのご指摘は余剰の概念を使えば正しいです)

ただ、この議論は、個々の消費者の好みを知っていて、かつ個々の消費者に別々の価格を課せるという、一物一価を原則とする市場では想定されない場合です。一物一価を原則とする市場を前提とすれば、独占者は、通常の議論により、利潤最大化行動の下では、総需要曲線と限界費用曲線が交わる点よるも小さい財しか生産せず、総余剰は最大化されません。
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配分される側の利益の話だから徴収側(独占企業)混ぜたら


おかしいでしょう。

ママンが子供のお小遣いの予算を捻出して(一万円)
三人の子供に分けるとして、高校生五千円、中学生三千円、小学生二千円だったとき、
小学生がお小遣いアップを要求し、実行しようとすれば
誰かの利益、つまり他のお小遣いを削らねばならない。
これがパレート効率なんじゃないの?
あなたの話はここに母親の利益(予算の捻出段階の設定)混ぜてるようなもん。

消費者の競争がないからちと意味違うけど。

あと、独占は競争がないイメージって
競争相手がいないから独占なんでは?

ウィキみてわからないとはいえ、さすがに定理や前提は
読み込むべきでは。
その上で独占企業の話をパレート効率に当てはめていいのかって
部分に戻るか考えた方が。

あと、ここより大手掲示板等のほうがこの手の質問は
効率よく答え聞けると思います。
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この回答へのお礼

再度の回答、ありがとうございます。
え?パレート最適って「社会全体の配分」についての話じゃないんですか? たとえば http://rio.andrew.ac.jp/taketosi/gakunai/07kokyo …の11ページ目には「生産者の効用」もカウントされるかのように書かれていますが。
失礼ですが、あなたはどこで経済学を学ばれましたか? どうも、あなたの回答を読んでいると、あなたは「自分はウィキを読んでこう解釈したぞ」とおっしゃるのみで、それ以外にあなたご自身が学んでこられた事を全く織り込んでおられないように見えます。

それと、素人の私には「定理や前提を十分に読み込む」のは不可能です。そこも含めての質問です。というか、もし私が十分に読み込めているのなら、こうやって質問する必要も無かったでしょう。十分に読み込めていたなら、「経済学の世界で定説になっている事に納得できない」などという事は有り得ないはずなので。

お礼日時:2014/12/01 12:51

「市場の失敗」「パレート効率性」でウィキ見てみたら


そもそも独占自体がもうすでにパレート最適に失敗した状態だと読み取れますが…。
概念というか言葉の前提が違う気がしました。
あくまでもパレート効率というのは、集団における「配分」の話であり
独占企業と消費者の話ではないように見えますが。

定理の段階で、すでに「消費者の選好による局所非飽和性による競争状態の均衡」だの
言われてますけど…(ウィキ調べ


あ、最適という言い方より効率という言葉の方が使われるそうですよ。
理由はウィキ見れば分かります。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
ウィキは既に見てます。ウィキを見ても私は分からなかったので、「ウィキには載ってないような言葉で丁寧に説明できる詳しい方」からお話を聞きたいのです。

お礼日時:2014/12/01 01:11

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