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No.1ベストアンサー
- 回答日時:
同音のまま保持され続ける保続音は、その上で展開される和声進行からは独立しています。
もし上声部の和音が変わるたびに、保持されている低音をその和音内に組み込んで和声構成音として読み替えると、当然進行が限定される音になってしまうケースがいくらでも出てくるので、保続音を中止しなければならないことになります。保続音は、同音を一つずっと鳴らし続けながらほかの声部が変化していくことで息の長い緊張状態を作り上げる技法で、同音を保続し続けること自体で効果が出ます。ですので、その上でどのような和声進行が行われているかには関係がありません。保続音が非常に長い場合は、上声の和声がどんどんほかの調に転調していってしまうこともあります。どんな場合でも、上声部が構成する和声進行の中だけで限定進行音が適切に処理されていればよいのです。なお、保続音はI音とは限らず、曲のクライマックスではV音が保続されることがしばしばあります。また、保続音は最低音とは限らず、最高音、もしくは中音域に出てくることもあります。和音が変わっても長い間動かずに止まっている音は、保続音として和声とは切り離されて認識されるので、どの音域にあったとしても、また、変化する和声と音域が近接していたとしても、和声構成音として解釈する必要はありません。ただし、いろいろなケースがあり得るので、保続音のパッセージが終了して低音が動き出す瞬間に、もし上声部の最後の和声がIIだった場合、低音のI音をII7の第7音として2度下行させるということも当然考えられます。いずれにしても、保続がずっと続いている間は、保続音と上声部の和声は影響し合わないと考えて結構です。いつもありがとうございます!毎回の事ですが本当にわかりやすいです!
もう1つお聞きしたいのですが、オスティナートのようにある音型が和声が変わっていっても変わらず繰り返し鳴っている場合も同じように影響しないのでしょうか?また、オスティナートのパッセージは終了したいときに自由に終了する事ができるのでしょうか?
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No.4
- 回答日時:
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No.3
- 回答日時:
補足の譜例を拝見しました。
Inst3のパートに書かれているのは、オスティナートというよりも、シンコペーションが特徴になっている反復音型というくらいのものだと思います。これは、最低音部に出る場合と、このように高音域に出る場合とでは、和声感に及ばす影響が違うので、どちらの場合にも共通する公式のようなものは立てられません。
譜例のような高音域の場合から考えてみます。
まず、クラシックとポピュラーではスタイルが大きく違います。確かクラシックの和声学の教本を御覧になっていたと思いますが、ポピュラーの実際の作曲では、和声学で規則化されている音の進行の制約などは、それほど厳格に適用されません。ただ、いろいろな音楽のスタイルがあるので、クラシックに近い整ったものもあれば、クラシックでは避けられる音の衝突を平気で使うものもあります。以前お知らせしているように、私はポピュラーが専門ではないので、この分野のプロのアレンジャーがどういう場合にどう判断しているのか詳しいことはわかりませんが、音楽のジャンルによっても、また作曲家、アレンジャー個人々々によっても違いが出ると思います。譜例のケースでは、2小節目でコードGの中のB音と、反復音型の中のC音が衝突します。古典的なクラシックではやりませんが、ポピュラーではこういうことは普通に行われていると思います。それが一つのスタイルとしてできあがっている場合は、問題ありません。
また、こういう音の衝突が耳障りに聞こえるかどうかは、使う楽器の音色や音域にもよります。試しに、Inst4のコードをアコースティック・ピアノに、Inst3の反復音型をヴィブラフォンに振り分けてプレイバックをかけてみると、2小節目のB‐C音の衝突はそれほど気になりません。Inst3のパートを1オクターブ上げてストリングスに振り分ければ、もっと気にならなくなります。保続音やオスティナートと、それ以外の和声を担当する楽器の音色の違いが大きいほど、また互いの音域が離れているほど、両者は分離して聞こえるので、制約が少なくなります。
頂いた譜例ではIとVのコードだけなので、VI、II、V♭9の根音省略の各コードをはめ込んで、少し延長してみました(メロディーはここでは問題にしていないので、同じ音型をただ繰り返す形で補充してあるだけです)。私の耳はクラシックに慣れているので、最初にプレイバックを聞いたとき、V♭9の個所だけ、和声とInst3の反復音型の間のB‐C音の衝突が少し気になりましたが、何度か聞いて耳が慣れてしまうと気にならなくなります。ポピュラーなら十分あり得る書き方だと思います。ただ、やはり繰り返される音型を構成する音とその順番にもよるとは思います。たとえば、Inst3の音型を「シレドソードレシシレドソードレシ」や「ドミレソーレミドーミレソーレミド」(いずれも「ソ」へ上行する形)などに書き換えてそのまま反復し続けても、特に違和感はありません。適切な音型であればコードと無関係に反復し続けることは可能でしょう。
このように、単音の保続ではなく、複数の音から成る反復音型の場合、コードとの関係をどれだけ考慮するかは、音楽のスタイルや表現内容(歌詞の内容など)によっても変わると思います。私が延長してみたヴァージョンだと、Inst3の音型を反復し続けることが少し単調にも感じます。これも、曲全体のどの部分に置かれるかによって印象や効果が変わるので一概には言えませんが、V系統のコードの個所での音のぶつかりを好まない作曲スタイルならば、反復音型を多少変えていくことになります。添付の譜例の右側に、Inst3のパートに少し変化を付けたヴァージョンを二つ書きました。Bは、反復の音型をほとんどそのまま保持した、シンプルなポピュラーのスタイルです。Cはややクラシックのスタイルに近く、コードとの融合と音の進行をある程度優先させたものです。まあ、私はこの分野の専門ではないので、参考程度にしてください。
このような反復音型がベースに現れる場合は少し微妙です。最低音というのは、やはりコードの響きに大きく影響する重要な音です。もともと古いクラシックでよく使われた「オスティナート・バス」は、それほど細かい動きではなく、その一音一音が和声内の音になっていて、進行も規則通りです。Inst3のような細かい動の音型を低音で反復する場合、コードとの不調和が目立つケースも出てくると思いますが、これも、ポピュラーの場合は、かなり自由度は高いと思います。使う楽器にもよりますが、Inst3の音型をそのままベースに移すのも、全く不可能ではなさそうです。ただ、この場合はやはりI音を中心にして、「ドレソドーレソドー」と書き直した方がまだ落ち着きます。ポピュラーでのこのようなベースのオスティナートの実例をあまり知らないので、何とも言えませんが・・・
![「保続低音に関して」の回答画像3](http://oshiete.xgoo.jp/_/bucket/oshietegoo/images/media/7/521725735_57fb63b6a5346/M.jpg)
お礼遅くなりました!じっくりしっかり読ませていただきました!
今回もとてもわかりやすい説明大変感謝します!
本当にありがとうございました!
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No.2
- 回答日時:
オスティナートのパッセージの終了については、特に法則はありません。
和声との関連ですが、オスティナートという語の意味に幅があるため、具体的に個々のケースを見ないと回答ができません。たとえば、I音が保続されているのと同じような形で、ある一つの高さの音が、同形のリズム・パターンで刻み続けられるような「リズム・オスティナート」の場合なら、保続音と実質的に同じなので和声と関係なく考えることができます。しかし、一般的にオスティナート・バスと言う場合は、いくつかの異なる高さの音が連続する短い旋律パターンです。この旋律パターンがごく短く、順次進行のみでできていて、かつ一つの音符の音価が非常に短いような場合なら和声と無関係に反復し続けることも可能かもしれませんが、もしそのパターン中に跳躍進行があって、その一つ一つの音が一定の長さを持つ場合は、独立した旋律としての性格が明確になり、全体を保続音群として聞くことは無理でしょう。そういう場合は、オスティナート内のすべての音を和声音として適切に進行していないと違和感が出ます(というよりむしろ、そのようなオスティナート・バスが続く場合は、上にのせられる和声がオスティナートの旋律に制約を受けることになります)。
この回答でよいのかどうかわかりません。何か具体的な例がありますか? 譜例等があると回答しやすいですが。
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