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ホール効果で測定できないような薄い半導体はどうするんだろうと疑問に思い調べた結果、van der pauw法という方法で薄板状の半導体の物性について測定できると本で読みました。
そこで、さらに疑問をもったのですが、酸化物半導体や有機半導体などは、酸化物や有機物なので電流を非常に流しにくいと思います。測定できるのでしょうか?
それと,もう一点上記にも繋がる事ですが、試料に対し電極は十分に小さく、障壁を造らないものと書いてあったのですが、どれぐらいの割合まで小さくする必要があるのでしょうか?電極小さくすることにより、電流は流しにくくなると思いますし、大きくすると何が問題なのでしょうか?何か参考書や参考URL有りましたら教えてください。よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

ホール効果は測定法を知っているだけで、実際の測定は通常の電気抵抗測定しか経験無いのですが、一応薄膜の測定をやっている者です。


「薄い」というのは薄膜形状の半導体と考えて良いのでしょうか?その場合、Pauw法のような解釈の面倒な方法を使わなくても、試料を矩形状に作って、長手方向と横方向に電極を作ればオーソドックスなホール測定が出来ますよ。厚み方向が一定で薄ければ、試料内での電流分布も少ないですから測定はやりやすくなります。
通常の直流電源と電圧計の組み合わせで、メガオーム程度なら測定は可能です。電気抵抗が有る程度高い方がホール電圧が大きく出るので、むしろ測定はしやすいと思います。逆に、抵抗が低いとホール電圧が低くて、電極の接触抵抗や起電力の影響を正確に除かなくてはいけなくなって注意深い測定が要求されます。
電極の件はPauw法に対する疑問でしょうか?上記の通常の薄膜測定の場合には、縦方向電極=電流を流す電極は、試料の幅分べったりと作ります。その方が、試料中を均一に電流が流れやすいからです。逆に、ホール電圧を測る横方向の電極は、出来るだけ小さく同じ縦位置に作ります。電極は通常非常に導電性の良い金属なので、電極の付いた部分はショートされたことと同じになり、その範囲のホール電圧が消されてしまうからです。
縦位置を出来るだけ合わせるのは、電流の流れる方向に電極の位置ずれが生じるとその分だけ電圧降下を拾ってしまうからです。測定時に逆電流測定をすればその誤差は原理的には消せますが、余計な誤差は作らない方が望ましいです。
Pauw方は詳しくないのですが、やはり電極の面積分は同じようにショートすることになりますから、あまり大きくし過ぎない方が望ましいと思います。Pauw法は4カ所の電極を設けますし、10mm角の試料に直径5mmの電極はいくらんなんでも大きいと思いますよ。電極同士で接触しちゃいません?(笑)
どういう形状の試料、材質か分かりませんが、機械的接触や導電性ペーストを使えば、電極は1,2mmで十分なはずです。
それに、どの測定法を使っても、電極から流れ込んだ電流は直ぐに試料内に均一に拡散する(と想定している?)ので、導電性の良い電極は、よほど小さい(ミクロンオーダー)サイズにしない限り測定電流の制限に影響しませんよ。測定試料の抵抗が高ければ、測定電流は少ないのでなおさら電極の大きさの心配は不要です。
最後に抵抗率に関してですが、測定するのは「抵抗」であって「抵抗率」ではないことに注意してください。抵抗率は、測定した抵抗値に測定試料の大きさの換算を行って、対象試料の固有の物性値として算出するものです。例えば、10cm角1cm長さの抵抗率1kオームcmの試料の抵抗は10オームですが、0.1mm角で10cm長さの抵抗率1オームcmの試料の抵抗は100kオームになってしまいます。測定可能な抵抗値ですが、私の経験では、上述のように通常の直流電源と電圧計の組み合わせでメガオーム程度、エレクトロメーターを使って100Gオーム程度が直流測定可能だと思います。それ以上の抵抗は交流法が適当だと思います。
抵抗率そのものに特に上限も下限も有りません。通常の半導体で10~1mオームcm程度、金属で1m~1マイクロオームcm程度です。
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半導体材料のキャリア密度を測定する方法として、直方体形状の試料でHall効果を利用する方法の他には、ご指摘のパウ法(van der Pauw法)があります。



パウ法は1958年にvan der Pauwが発表した方法[1]で、複素関数論における等角写像の原理を巧みに利用することにより、試料の形状を問わずに抵抗率を測定できる点で優れています。パウ法のミソは主としてこの数学的処理にあります。
またパウ法ではHall効果を用いることで、Hall移動度の測定も同一の試料で行えます。(ご質問の「ホール効果で測定できないような・・・」のHall効果の意味は、冒頭の直方体試料のことを指しておいでなのだと拝察いたします)

パウ法ではまず試料の外縁部の4個所に電極を設けます。その電極に右回りにA, B, C, Dと名前を付けます。
最初にCD間に電流I_CDを流し、その際にAB間に現れる電圧V_ABを測定します。V_AB÷I_CDをR_AB_CDと定義します。
同様にBC間に電流I_BCを流し、その際にDA間に現れる電圧V_DAを測定します。V_DA÷I_BCをR_BC_DAと定義します。

この時この材料の抵抗率ρは
ρ=(π/ln 2) t×{(R_AB_CD+R_BC_DA)/2}×f(R_AB_CD/R_BC_DA)
と求められます。tは試料の厚みです。
fはR_AB_CD/R_BC_DAを引数とするある関数なのですが、単純な数式で表せないので一般には数表で求めます。(「Pauw法の数表」として知られています)

パウ法の試料には以下の条件が求められます。
1. 電極が十分に小さい
2. 材料は均質で、試料の厚みも均一
3. 試料は単一連結(孔のあいている個所があっては不可)
4. オーミックコンタクトが取れている(=電流-電圧の関係が線形として取り扱える)

ご質問と関係するのは1.と4.ですね。
「電極が小さいこと」の条件が課されるのは、電極が大きいと測定誤差が生じるからです。もともとの理論では無限小の電極から電流が流れ込むものとして数学的な処理を行っていますが、実際には有限の大きさを持つわけで、それが誤差の原因になります。
ただし実際問題としては神経質になる必要はありません。電極の大きさに起因して生じる誤差はせいぜい10%以下です。正確な数字はうろ覚えで申し訳ないのですが、誤差のオーダーは「1つの電極が外周長さに大して占める割合」「試料の径に対して、電極が試料の内側に食い込んだ寸法の割合」程度です。
抵抗率測定で有効数字が3桁も4桁も必要なことは稀ですから、これで十分なことがお分かりいただけると思います。大きさ10 mm×10 mm程度の試料で、直径1~1.5 mm程度の電極を形成できれば十分でしょう。
「どれくらい抵抗率の高い材料まで測定できるか」は残念ながら分かりません。測定原理からして大電流を流す必要はありませんので、電流計の検出限界および誤差で決まってくるでしょう。

パウ法の測定について触れたページはうまいものがなかなか見つからないのですが、とりあえず[2]を挙げておきます。

[1] L. J. van der Pauw, Philips Res. Rep., 13 (1958) 1.
[2] http://www.mlab.ice.uec.ac.jp/mit/text/Keisoku/2 …
* 「van der Pauw法の測定原理に関する解説」をダウンロードしてお読み下さい

参考URL:http://www.mlab.ice.uec.ac.jp/mit/text/Keisoku/2 …
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この回答へのお礼

とても参考になりました。有難うございます。挙げていただいた参考文献[2]を読んでみます。ただ、この回答を読んでまたひとつ疑問に思ったのですが、試料の表面がほとんど覆っていても(極端な話、大きさ10 mm×10 mm程度の試料で、直径5 mm弱の電極)誤差というのは小さいのでしょうか?
また、この回答以降に回答していただける方が居りましたら、抵抗率はどのくらいまで測れるのでしょうか?そもそも抵抗率ってどのくらいの大きさまであるのでしょうか?

お礼日時:2005/06/13 10:54

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