原子核が原点に位置する,電子数 Z 個の原子と,光との相互作用を表すハミルトニアンを考えているのですが,ミニマル結合ハミルトニアンのユニタリー変換の過程が良く分かりません.教えていただけないでしょうか?
ミニマル結合ハミルトニアンを
H' = (1/2m) Σ_{j} { p_{j}+ e A (r_{j}) }^{2}
+ (1/2) ∫σ(r) φ(r) dr
+ (1/2) (εE^{2} + (1/μ)B^{2})
とします.ややこしい式ですが,右辺第 1 項にだけ注目するので,説明は控えさせて下さい.
このハミルトニアンに対し
U = exp {- (ie/h~) Σ_{j} ∫_{0}^{1} r_{j}・A (λ r_{j}) dλ}
= exp {- (ie/h~) Σ_{j} B (r_{j})}
なるユニタリー演算子を用いて H = U^{-1} H' U というユニタリー変換を考えます.
ただし,h~ = h/2π であり,また ∫ の積分範囲は 0 から 1 まで.また r_{j} は電子の座標です.A (r) はベクトルポテンシャル演算子です.B は,A の積分表記が複雑なので置き換えただけの演算子です.また p_{j} = p = - ih~ ∇_{j} は運動量演算子です.
H' の右辺第一項に対しユニタリー変換を行うと
U~{-1} { p + e A (r_{j}) } U = p - e ∇_{j} B + e A (r_{j})
となるらしいのですが,なぜこうなるのかが分かりません.具体的には,U^{-1} e A U = e A となるのは分かるのですが,U^{-1} p U = p - e ∇ B となるのが,なぜだか分かりません.
どなたか,ご教授いただけないでしょうか?
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
相互作用表示ですね、お疲れさまです。
pは微分演算子で、Uは座標を含んでますから、
pU=Up+(pU)
となります。(pU)のカッコの意味はpはUにのみ
作用して、さらに右からかかってくる波動関数
には作用させない、ということです。
右辺第一項目のUpは、左からかかるU^{-1}で、
pだけになります。
右辺第二項目の(pU)は、
=(-ih~∇)exp{-(ie/h~)Σ_{j}B(r_{j})}
ですが、微分演算子の変数をr_{j}とすれば、
=(-ih~)exp{-(ie/h~)Σ_{j}B(r_{j})}
・{-(ie/h~)・∇B}
=U・{-e∇B}
となりますがいかがでしょうか。
この回答への補足
丁寧に説明して下さり,ありがとうございます.
実は,前提条件である
pU = Up + (pU)
という関係が,どうして成立するのか理解できていません.式を変形すると [p, U] = (pU) なる交換関係が成り立つような気がしますが,何か関係があるでしょうか? 定理だとすれば,何という名前の定理でしょうか?
分かりやすく説明してくださったので,この前提条件さえ理解できれば,後の部分は理解できました.差し支えなければ,前提条件の式について,御説明いただけないでしょうか?
よろしくお願いします.
No.2
- 回答日時:
二つの演算子の積であるpUがどんな演算子になるか、
という問題に帰着したですね。確かに私もこんがら
がったような気がします。
A≡pU とおくと、Aの定義は、任意の波動関数φに対して、Aφ=pUφ が成り立つということですよね。
結合則から、pUφ=p(Uφ)なので、pが微分演算子である
ことを思い出すと、=U'φ+Uφ'
となります。『'』を再び、pで書き直してやれば、
=(pU)φ+Upφ={(pU)+Up}φ
となって求める式が得られます。
つまり、pが微分演算子であることがエッセンスのようですね。(たとえば、pが、よく群論やBlochの定理の証明で出てくる、座標並進演算子だったりすると、前提条件は成り立ちません)。
演算子に注目するのは誤りで,常に波動関数 φ が隠れていることを意識しないといけないのですね.
分かりやすく教えてくださり,本当にありがとうございました.
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