
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
おはようございます。
普遍的な―例えばキリスト教やイスラム教の―神、ということなら、死者がそうなる、という信仰は、たぶん、ないでしょう。
ある程度普遍的かな、と思われるのは、伊勢神宮の天照大神、出雲大社の大国主命ですが、実在ではありませんしね。
徳川家康の東照宮や、明治天皇の明治神宮などは、時の政府が、国民を束ねるための方法として、「いまの為政者は、神の子孫だから、信仰を持って従わなければいけない、ということを演出するためです。
靖国も、最初は、明治初期の西南戦争で犠牲になった人々を祭る目的で創建されました。やっぱり「国」に殉じた人が、神になる、という構図です。
だから、死んだ人が、「国」の利害をこえた、普遍性をもつ神さまになるということは、日本には見られないといっていいでしょう。
普遍性はないけど、死者が神になって豊饒をもたらしてくれるという信仰や、死者ではないけど、天照大神のように、「太陽」というある程度普遍的なものを神にするという信仰なら、ありますね。
ご参考になれば。
どうもありがとうございます。
>普遍性はないけど、死者が神になって豊饒をもたらしてくれるという信仰...
このあたりは自分の感覚と照らし合わせてぴったり来る感じがします。でも「靖国」となるとどうも...。「国」が絡んだりするからでしょうか。

No.9
- 回答日時:
事の善し悪しは別にして、我が国では鰯の頭を始めとしてあらゆるものが『信仰』の対象になっております。
以前、この現象を『日本教』と称した方もいらっしゃいましたが、正にその通りです。例え生前は大悪人であっても、その事を問わずに『信仰』の対象にしてしまう素地があるようです。
ただ、昨今の我が国の動きは少々異常な感があります。自分の意志に反して神や仏にさせられないように
神社やお寺に祀られないようにしたいものです。
どうもありがとうございます。
これまでいただいた回答を拝見して、なんで上記のことを疑問に感じたのかが自分自身わかったような気がします。自分にとって尊かった人を勝手に自分の心の神様にしちゃうってのはなんとなく共感できるけれど、国とか力のある何かから、「こっちは神様でこっちはそうじゃない」みたいに言われるってのが、どうもしっくり来なかったところなのかな、と。
No.8
- 回答日時:
>>靖国神社には本居宣長も坂本龍馬も・・・
本居宣長は祀られていませんでした。吉田松陰と記載するつもりが打ち間違えたので訂正します。
「靖国神社には吉田松陰も坂本龍馬も・・・」
No.7
- 回答日時:
No.1~6よりももう少し一般人に近い人が神社に祭られている例だと思いますが、澁澤栄一の神社があります(下記URL)。
見た時、あれまあ明治の実業家が神さまになれるんだ とびっくりしました。
もっとも、西郷隆盛、乃木希輔、二宮尊徳の各神社など、ちょっと(ではなくてものすごくでしょうが)がんばった普通の(まあ普通ではないんですけれど)人たちの神社は、割合たくさんあるようです。
でも誰がどこで認定しているのでしょうね。
そもそも認定を受けて神社の祭神になっているのかどうか、そこのところを私は知りません。
参考URL:http://www.komaki-onsen.co.jp/check/frame-check. …
No.6
- 回答日時:
日本の神という概念は、霊魂への畏怖と考えるとわかりやすくです。
いわゆるキリスト教やユダヤ教や
イスラム教のような絶対神ではなく、八百万の神です。万物に神が宿るのです。
恨みを持って死んだ人の霊魂がその土地で災いを起こせば、それは祟り神と
いうふうに認識されます。
そういう祟りのある土地の地霊を鎮めるのが、鎮守さま。
もともと、地域の守り神が、産土神(うぶすながみ)
氏神さまとは血縁関係にある氏族が共通におまつりする神さまのことで、
その氏族の祖先神であったり、氏族にかかわりの深い神さまであったりします。
祖先神としては、中臣氏(なかとみし)が天児屋命(あめのこやねのみこと)を、
忌部氏(いんべし)が天布刀玉命(あめのふとたまのみこと)を
祖先神以外では、物部氏(もののべし)が神剣に象徴される布都御魂(ふつのみたま)を、
奈良時代では藤原氏が鹿島や香取、春日の神さまなどを、氏神さまとして信仰していました。
時代が下ると、その地域の土地をお守りする産土神(うぶすながみ)や鎮守(ちんじゅ)さまとの
はっきりした区別がなくなり、これらの神さまを合わせて氏神さまとしておまつりすることが多く
なっています。(東京都神社庁ホームページ参照)
http://www.tokyo-jinjacho.or.jp/ujigamisama/
>死んだ人が素直にそのまま普遍的な神様になった例ってあるのでしょうか。
たとえば、陰陽師安部清明とかは清明神社というのがありますし、各地の寺に祠があります。
役の行者(えんのぎょうじゃ)役小角は修験道の開祖で、社こそないものの似たような感じ
乃木将軍は、乃木神社というのが乃木坂にあります。
もちろん明治天皇をお祭りする明治神宮というものもあります。
>といいますのも、靖国神社は戦争で死んだ人が「神様」になっていると聞いたんですが、
とにかく国を護って亡くなった御霊を英霊として奉る(まつる)というのが主旨で
神さま・・・という概念と霊魂という概念がかぎりなく近いのですね。
どうもありがとうございます。大変参考になりました。
>神さま・・・という概念と霊魂という概念がかぎりなく近いのですね。
そうですね。
どちらも同じ尊い霊魂ってことで、あんまり「神様」を強調しないほうがいいのかなという気がします。
われわれ庶民にとっては戦争で亡くなった父方の祖父は「神様」で、戦争には行ったけれど復員して戦後亡くなった母方の祖父はそうじゃないというのはどうもピンと来ません。どっちもちゃんとこちらを見守っててくれそうですからね.....。
No.5
- 回答日時:
それと靖国神社が、いわゆる個人顕彰型神社(豊国神社や東照宮など)に相当するかというと疑問ですね。
つまり靖国神社に祀られる個々人の戦没者は、総称して「靖国に鎮まります神」であって、ことさら戦没者個人をクローズアップしているわけでもないですから。つまり、靖国神社には本居宣長も坂本龍馬も橘周太も山本五十六も東条英機もひめゆり部隊や対馬丸学童、樺太真岡郵便局電話交換手も祀られていますが、靖国神社に参拝したからと入って、“坂本龍馬を拝んでいる”という感覚はないですからね。それこそ、拝む側の個人的思いにゆだねられるでしょうね。No.4
- 回答日時:
神道の基礎となる日本人の信仰に祖霊信仰があります。
これは死者が定期的なの祭りを行うことで、一族や村落共同体を守る「カミ」となるという信仰です。ただ、これは個人としての人格を有さない死者です。例えば山田太郎という人が亡くなったとします。この人を定期的に祭りを繰り返すことで、山田太郎という個人ではなく、山田一族の守護神・祖霊として、さらに拡大して村落の神として祀られます。これって、身近に感じませんか? そう、仏壇で行われる先祖の祭祀ですね。実は定期的な法事、また盆行事などは儀式・思想に仏教的色彩、さらには儒教思想も強いですが、その根底には日本古来の祖霊信仰に基づくところが大きいのです。
つまり日本人にとってのカミは、先祖としての一面もあるのです。ですから『日本書紀』『古事記』に記される神々も天皇家や氏族・豪族の先祖としての面もあるのです。
これら日本のカミは、幸いをもたらす面(和魂:にぎみたま)と災いを及ぼす面(荒魂:あらみたま)の両面があり、定期的な祭りにより幸いを求め災いを鎮めるのです。特に奈良末期から平安期にかけては、天災・災害・社会不安等があったので、神の荒魂の部分が注目され、恨みを残して死んだ(死んだであろう)個人を神として祀る御霊(ごりょう)信仰が起こります。早良親王(崇道天皇)や吉備真備、菅原道真などを神として祀りますが、それも古来よりある祖霊信仰があったからこそ、行われたことであって別段特異なことではありませんでした。ただ個人としての人格を有したまま神として祀るのが大きな違いですが。
時代がたつにつれて、個人顕彰型の人神信仰も生まれます。豊臣秀吉や徳川家康、また義民を神として祀る信仰ですが、菅原道真を「学問の神」として信仰する風習が室町期には起こります。これもすでに道真は災いをもたらす存在とは思われなくなった。つまり、歴史上の道真としての人格が消滅して、神としての道真へと変化したのでしょうね。
それと、神を祀る人や一族・集団を神と同等に祀るというのもあります。例えば高野山に高野明神という神が祀られますが、この神は猟師の姿で弘法大師を高野山に導いたといわれます。大師が山上に行くと丹生明神という女神が現れて、山上に寺院を建立することを願い出るという伝承ですが、この猟師の姿というのは、高野山が仏教化する以前の神を祀っていた集団と考えられます。猟師が登場する伝承は特に修験道などの山岳信仰に多くみられます。さらにこの変化形が役行者信仰・弘法大師信仰へと発展していきます。
ですから人神信仰もさまざまな形態があるので一概に「コレが正しい」とは言い難いのです。これらは誰かの言い出して生まれるものではなく、自然発生的の生じる。また、受け入れる側もそのような基盤があるからこそ受け入れる。“無理やり押しつけたからだ”とは単純に言えないでしょうね。それと信仰する側も必ずしも教義(ドグマ)を100%受け入れて信仰しているわけでもないですから。
ありがとうございます。大変参考になりました。
>これらは誰かの言い出して生まれるものではなく、自然発生的の生じる。また、受け入れる側もそのような基盤があるからこそ受け入れる。“無理やり押しつけたからだ”とは単純に言えないでしょうね。
そうですね。お上が勝手に「神様になった」と言ったとしてても、それを受け止める素地が民の側になければ浸透しないでしょうから。もっとも「神様になったとでも思わなけりゃやってられない」と言う気持ちもあったような気はしますが。
No.2
- 回答日時:
もともと日本で実在の死んだ人が神に祀られるのは、恨みを残したり、理不尽に子孫が絶滅させられて祭祀をうけられなくなった偉人が恨みのパワーでたたりをなすのを防ぎ、そのパワーを国の安泰や農作物の豊作に転化してもらうために祀ったものです。
そのため近世以前には、いくら偉人でも死んだあとに神に祀られるのは上記の例に限られていたのですが、近世以降は豊臣秀吉が豊国大明神になったり、徳川家康が東照大権現になったりして神に祀られることも出てきて、明治以降には明治天皇をはじめ、乃木希典や東郷平八郎などの軍人も神に祀られたりするようになりました。
それで今、神武天皇を祀る橿原神宮や桓武天皇を祀る平安神宮がありますが、これらはそれぞれの天皇が死んだあとすぐに創建されたものではなく、どちらも明治になって創建され祀られたもので古代からあったものではありません。
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