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判例では、財産引受は、現物出資に関する規定をくぐる手段として利用される幣があるので、これを防ぐため現物出資と同様の手続きを経ることを要するものとしたのであり、公証人の認証を受けた定款にこれを記載しないと財産引受の効力を有しない。したがって、成立後の会社が追認したからといって、法定の要件を欠く無効な財産引受が有効となるものと解することは出来ず、事後設立の手続で承認しても有効にならない。

とあると思うのですが、「事後設立の手続で承認しても有効にならない。」となると、どのようにして当該財産を引き受ければいいのでしょう?

A 回答 (1件)

事後設立の手順で、財産譲渡の契約を締結する必要があります。



判例も同様と思われます。

「財産引受が定款上無効なる場合と雖も,会社成立後に新に商法二四六条の特別決議の手続をふんで財産取得の契約を有効に結ぶことは可能であるが、原判決はかゝる新たな売買契約の成立を認めていない。」
(最判昭和28年12月3日・民集7巻12号1299頁)

「事後設立の手続きで承認しても有効にならない」とは、株主総会の承認のみではだめということです。きちんと、事後設立の手順を全て踏めば、問題ありません。

事後設立による、財産譲渡契約は、取締役と譲渡人との間で締結されるものです。他方、財産引受による財産譲渡契約は、発起人と譲渡人との間で結ばれるものです。つまり、法律上、財産引受と事後設立では、設立前の発起人が責任を持つ契約なのか、設立後の取締役が責任を持つ契約なのかという点で違いがあります。

したがって、発起人がした契約を、株主総会で承認をして事後設立として認めてしまうと、誰が責任を取るべきなのかわからなくなってしまいます。そこで、きちんと責任を取るべき取締役の名前で初めから契約をやり直さなければならないというのが、判例の趣旨でしょう。
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この回答へのお礼

分かりやすい回答ありがとうございました。
追認によって責任者が不明確となるのは確かに取引上大変危険ですね。定款に定められていないと設立中の会社の執行機関たる発起人の権限が、成立後の会社に移ることもあり得ないですしね。

お礼日時:2006/08/16 01:21

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