【お題】引っかけ問題(締め切り10月27日(日)23時)

この間「中国はどうして人口が多いのですか?」という質問があったのですが,インドではどうなんでしょうか?誰か教えて下さい.気になって眠れません.

A 回答 (3件)

 


  先に「中国の人口」について回答しましたが、その質問:
  
  >No.232114 質問:なぜ中国は人口が多いのですか?
  >http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=232114
 
  において、中国以外のインド・バングラデシュ・アフリカ諸国などにも共通する人口増加の理由として、次のものを挙げていました(わたしの回答のなかにおいてです):
 
  >5)現在の先進国も、1世紀前には、実は、人口増大していました。先進国はどこもかも、産業化の時点から較べて、数倍から十倍ぐらいの人口に増え、その後、増加は停止し、減少へと転じます。このパターンからすると、現在世界の後発国は、産業化をすすめ、教育の普及などを進めていますが、この結果としての人口増大があります。衛生思想や技術の普及で乳児死亡率が低下し、人口増大へと転化した国も多数あります。中国もそうであり、1世紀前に較べ、第二次世界大戦などを経過したにも拘わらず、産業化・先進化の歩みの途上の人口増加を経験していると云えます。
 
  産業化・近代化を進め始めると、どの社会でも、農村人口にプラスして、都市生活労働者人口の増大という問題が出てきはじめます。また、農村経済が破綻し、都市へと職業や食料を求めて生活のため、農村難民が都市へと流入し、都市はこれらの人々の生活や職業を保証できないので(保証できる限界を超えて人口流入が起こるため)、都市に無職の人々のスラム街ができるのが普通です。スラム街では、一種の無法状態になり、共同体としてのルールが崩れますが、貧しい国の場合、無職状態で都市スラムに住んでいても、なお、農村に住むよりも、食料は得られ、また僅かでも現金収入が得られ、農村より都市スラムの方が生活し易いという状況が起こります。
 
  都市スラムでは、衛生状態や食料配分状態なども決してよくはありませんが、それでも、疲弊した農村部に較べれば、衛生思想はより行き渡り、乳児死亡率は全体的に低下し、人口は増加へと向かいます。食料配分も、国際機関や他国の食料援助などがあると、農村部よりも、まず都市スラムの住民に援助食料が行き渡り易いのです。これは、低開発国では、色々な社会矛盾があり、農村まで援助食料や援助物資が到達する前に、途中で援助物質が消えたり、質が落ちたりするということが現実にあり、他方、都市スラムへは、運搬・輸送の行政的手順が、シンプルであるので、援助食料などが、すぐ都市スラム住民などの手に渡り易いというのもあります(農村部まで、援助物質が届くには、途中の何段もの行政ステップを通過せねばならず、距離も遠く、交通もよくないので、援助物資が、横領されてしまうことが多々あるのです)。
 
  こうして、一般に、工業化・先進化へと進み始めた国々では、都市スラムが発生して、そこで人口の爆発が生じるということがあります。寒帯・温帯の国々の場合、都市スラムでは、冬のあいだの凍死などで、多くの住民が生活できないのに対し、インド、アフリカ諸国などの都市スラムでは、気候的に、裸同然の姿でも、冬を通して生き続けることができるので、都市スラムは膨大な人口を抱えて維持されるのです。また、辺境の農村部では、餓死状態が発生しても、ニュースとして伝わりにくいのに対し、都市スラムは、飢餓が発生すれば、目に見えて分かるので、援助物資が受け取りやすいということもあります。
 
  インドの場合、亜熱帯気候であるので、都市スラムだけでなく、農村でも、人々は、寒さの故に死ぬということは少なく、共同体が崩壊しても、支援食料などを元に、生活を続けることができ、人口は、援助によって増大して行くという皮肉な結果になります。
 
  インドの場合、豊かな穀倉地帯を持っていたので、昔から人口は多かった訳で、イギリスの植民地となって、他のアフリカの植民地などと同様、特定換金作物の栽培が強制され、農業の自給自足体制が壊されたとはいえ、なお食料生産性は豊かであるので、なお、準自給自足体制で進めることができます。しかし、農業文化の特徴は、「保険」として、生めるだけ、育てることのできるだけ人口を増大させようというモメントがあり、それを押さえるのは、ある程度の国家統制で、中国の場合、国家が人口統制を行い、人口増大を或る程度押さえたものの、それでも、人口増大は、社会の近代化・工業化に伴い起こったのです。
 
  インドの場合、国内が何十という言語や地域文化によって、ばらばらになっていて、中央政府の統制が有効でないという理由があり、ドラヴィダ族とアーリア族の対立や、ヒンドゥー教とイスラム教の対立など、国家の安定を脅かす対立項を抱え、イスラムもヒンドゥーも、宗教として、人口増加を推奨しても、それを抑圧するような宗教的教えがないので、宗教や人口増大抑制の有効な手段とならず、逆に、人口増大を肯定する根拠になり、また、民族や宗教や文化の対立は、人工的に少数となった方が負けるので、相手の人口増加の抑制は求めても、自分たちの勢力の人口増大は歓迎するということになって、全体として、人口増大を肯定する考えがあることが、中央政府の危機意識とは別に、人口増加が止まらない理由でしょう。
 
  また、インドに特に固有の問題として、ジャーティ・カースト(職業カースト)の差別がなお有効で、貧富の差が極端に激しく、貧しい階層・カーストの人々は、近代的教育を受けることもできず、しかし、インドは確実に近代化へと進んでおり、国家全体としては、飢餓の発生に対しては、それなりに対応が取れることより、最大多数の貧困階層の人々の人口増大を有効に押さえることができないという事情があるのです。
 
  かつて、イギリスの植民地であったが故に、農業生産の形に歪みがあり、国内は宗教・民族・言語・文化で、あまりに多様に分化しすぎている結果、中央政府の人口増大に対する抑制の政策が有効に機能せず、増大した人口を養うための国家努力や、国際支援が、増大した人口の自然的バランスによる飢餓による大規模減少という過程がないので、一旦人口が増大すると、その規模を維持せざるを得なくなり、維持した人口が、なお、人口増大の趨勢にあるので、人口抑止が有効でないのです。国全体を揺るがすような大飢饉が起こっても、昔なら、孤立状態で、大量の餓死者や病死者で、人口の減少が起こったのが、現在は、そういう大事態が起これば、国際支援が計画され、大規模餓死や大規模人口減少が回避されるため、人口は増大して行く一方なのです。
 
  インドは自国の技術で核兵器を開発できるぐらいの先進技術を持ち、また高度教育を受けた人々も多数いるのですが、ジャーティの存在や、国内の文化的分裂の結果、貧富の差も、教育のギャップも極端に大きく、この「貧困・無教育層」が都市スラム住民となり、あるいは農村スラムの住民となり、人口を増大させつつあると云えるでしょう。避妊の教育も手段も普及せず、スラムにおける乱交によって、出産率は高まり、増えた人口は、何とか、ぎりぎりで生存できるように維持するので、人口増大の悪循環が停止しないのです。
  
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この回答へのお礼

ありがとうございました.これで夜も眠れそうです.インドに旅行に行ったとき,どんな田舎の道をとおっても,ほかの国と違って絶対に人家があって,人々が生活を営んでいるのを見て衝撃を受けたのです.「この国は,どこまで行ったら人がいなくなるのか」みたいな.

お礼日時:2002/03/25 23:42

インドの人口増加の背景には、男性優位社会の実態もあるのですが、これにはどなたも触れていらっしゃらないので、この面から少々コメントさせて頂きます。



UNFPA(国連人口基金)やWFP(世界食料計画)、あるいはPopulation Awarenessといった団体が等しく指摘していることですが、インドの人口増加の要因として、
(1)貧困とカーストシステムなどの不平等の存在
(2)セクト主義の暴力や原理主義的な政治体制
それに加えて
(3)男性優位社会という特性
が挙げられています。

一般にインドでは(州や地域差はあるものの)女性に対する差別が遍在しており、伝統的に男性の発言力が強い社会です。従って男の子を求める圧力も極めて高いものがあります。

人口の男女比の世界平均は、女性人口1000人に対して男性1015人ですが、インドでは1069人と極めて高く(2000年)、かなり改善されているとは言え、女子の間引きや堕胎もよく聞く話で、男の子偏重は数字に現れている以上の現実があると思います。数年前には、夫の火葬の時に一緒に生きたまま焼かれた妻の事例が報道されました。このような極端な例はもうさすがに少数でしょうが、女性や妻を所有物視する感覚は残っているでしょう。

女性1人が生涯に出産する人数は3.04人(2001年)とかなり下がってきましたが、生まれた女の子は未就学で子守りや家事手伝いに駆り出されがちです(男性の識字率65.5%に対し、女性のそれは37.7%と極めて低いレベル;1995年)。

従って、男性偏重社会→女子の教育程度が上がらない→女性の社会参画が進まない→女性の立場が保護されずに男性優位が温存される、という悪循環が生まれています。
そしてその結果、避妊手段やその知識が普及しないこと、暴力的な(あるいは一方的な)性交渉が減らないこと、低年齢での出産が多い(=生涯出産数が上がる)…などのために人口が増加することになるのです。

むろん、(3)の「男性優位社会」というのは必ずしもインドだけの問題ではありませんが、現実に上記の国連はじめ人口抑制を図ろうとする各種団体が、インドにおいて女性の地位向上運動を行う多くのNGOとの協調を図っているのは、大変特徴的だと思います。いわゆるジェンダー問題が人口問題と不可分に関係している、という認識があるからこその現実でしょう。

かつて1970年代中盤に女性であるインディラ・ガンジー首相が男性を主対象とした避妊・不妊策(精管結さくなど)を実行して人口抑制を図ろうとしたことがありますが、男性の猛反対であえなく撤退した経緯もあります。
以降は州レベルでしか人口抑制策はとられてこなかったのですが、パジパイ首相以下、現在の政権になって再び国レベルでの政策が実施され始めています。ただ女性に対して強圧的な施策もとりにくく、苦労しているようですが。
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この回答へのお礼

ありがとうございました.確かに街には男の人が多かったように思います.日本でも男尊女卑があたりまえの時代があったわけですから,きっとインドもこれからますます発展していくのでしょうね.でもこれだけ人口が増えちゃうと,なんだか何をやっても収集がつかなくなりそうで・・・.

お礼日時:2002/03/25 23:48

回答になっていなかったらごめんなさい。


人口は
1:食料生産力
2:出生率と周産期死亡率と乳幼児死亡率
の2つの要素で大きく変わります
1:についてはわかりますよね?食料がないと人間は生きられません
2:ですが、周産期死亡率と乳幼児死亡率の多い国というのは、昔の日本と同じで「子供を5人生んで1人育てばいいほう」ということになるわけです。当然こういう国は女の人が一生に生む子供の数は多くなります。ところが、この子供たちがちゃんと育つと当然人口は多くなります。多くの先進国ではこの段階を通り過ぎて(生活レベルの維持のため)女の人の子供を生む数が少ないわけです。中国ではこれを政策的に行なって子供の数を今まで抑制してきたのですが、高齢化社会への適応のために最近では2人目も容認する方向です。
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この回答へのお礼

ありがとうございました.先日「中国の人口の多い理由」という質問があったので,それを超える勢いで人口が増えていっているインドではどうなのかなと思って・・・.

お礼日時:2002/03/25 23:38

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