こんばんは。5月末に行われる化学分析の競技会に向けて練習をしている高校生です。
中和滴定により試料水中の酢酸の含有率を求めるのが課題なのですが、毎回誤差がやや大きく(+1.0~1.5%程度)出てしまい困っています。(負の誤差は今まで出たことがありません。)
以下に実験手順をおおまかに書き出しますので、誤差要因になりえる部分をあげていただけないでしょうか。また、なぜ毎回正の誤差が生じてしまうのかも合わせて教えていただけますと幸いです。
(1) 0.1mol/l-NaOH溶液を調製し、0.1mol/l-HCl標準溶液で滴定し、ファクターを求める。(指示薬はメチルオレンジを使用)
(2) 試料水を20mlほど採取し、精秤する。
(3) (2)を250mlメスフラスコに移し、希釈する。
(4) (3)を(1)で調製したNaOH溶液で滴定し、酢酸の質量、及び含有率をもとめる。(指示薬はフェノールフタレインを使用)
・ガラス器具の使用など、基本的な操作に不備は無いものとして考えてください。
・(1)と(4)それぞれ3回滴定を行うのですが、滴定値のばらつきは少なく、最大値と最小値の差が0.03ml以内で安定しています。
・誤差の基準としている値は、先生に計算していただいた理論値です。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
#4です。
炭酸ナトリウムは結晶水の数が0、1、7、10と種類があります。
水溶液から沈殿で作るときには温度によって結晶水の異なるものが取れます。辞典を見ると32.08℃以下で10水和物、32.08~35.27℃で7水和物、32.27℃以上では1水和物になります。温度が低い方が結晶水の多いものになります。
無水のものはソーダ灰とも呼ばれていますが吸湿性があります。無理に水をはずしているのですから吸湿性があるというのは当然だろうと思います。
湿ってしまった炭酸ナトリウムを乾いているとして溶液を作ると計算よりは濃度の低い溶液が出来ます。これで決めたHClの濃度も低くなります。NaOHの濃度も低くなります。
濃度の低いNaOHで酢酸を滴定するとNaOHの消費量が多くなりますから酢酸の濃度が高いという計算になってしまいます。
10水和物は風解性がある、1水和物は潮解性があるということで無水物を使っているのでしょうが加熱、乾燥の処置が事前に必要でしょう。融点は851℃ですから加熱には強いです。
62年というのが購入年月日だとすると古すぎると思います。
シュウ酸の2水和物は空気中での安定形です。結晶性で純度を出しやすいです。保存性もいいです。
辞典でシュウ酸を調べると「酸・塩基滴定、酸化・還元滴定の標準物質として用いられる」とかかれています。
シュウ酸はカルボン酸ですから酢酸の仲間です。水酸化ナトリウムとの反応ではどちらもフェノールフタレインで手規定できます。中和点でのpHの立ち上がり方もシャープです。
(化学の教科書、入試問題のどちらでもシュウ酸標準溶液の問題がでてきます。)
#4にも書きましたが
炭酸ナトリウム・塩酸のメチルオレンジによる濃度決定は指示薬の変色域でのpHの立ち上がりがシャープでありませんので精度に疑問がある、有効数字4桁は無理だろう
と私は思っています。
標準溶液の濃度の精度は質量の秤量だけでは決まりません。
水の量の測り方、器具の使い方、器具の洗い方、希釈の仕方、・・・全て問題になります。これが結構面倒なのでしつこく問題で訊かれています。
どちらにしても炭酸ナトリウムに問題がありそうですね。
炭酸ナトリウムの秤量は貴方がやられたのですか。
0.0001gの感度がある電子天秤だということですがこれだと吸湿性のある物質の質量を測る場合、見ている間で目盛りが大きくなるということが起こるだろうと思います。よく乾燥してあれば顕著でしょう。
もし目盛りが動かなかったということであれば既に水を吸っている試料だと言えそうです。
この回答への補足
非常に分かりやすい説明ありがとうございます。
たしかに電子天秤での秤量中、あまり値が変わるようなことは無かったと思います。
逆に、デシケータ中に保存しておいたEDTAを秤量した際は読み取れる程度値が安定したあともどんどん質量が増加していったのを覚えていますから、htms42さんのおっしゃるとおりなのでしょう。
最近注文した炭酸ナトリウムが届いているようなので、早いうちに試してみようと思います。
指示薬についてですが
フェノールフタレインでは終点よりも0.01mlでも足せば真っ赤になってしまいますが、メチルオレンジでは終点と思われる色から0.05ml程度加えてもややはっきりとしたオレンジ色になる程度ですよね。それが「変色域での立ち上がりがシャープではない」ということなのでしょうか。
No.5
- 回答日時:
>脱炭酸操作の有無はどの程度影響を及ぼすのでしょうか?
「0.1mol/l-NaOH溶液を調製し、0.1mol/l-HCl標準溶液で滴定し」
でもし、NaOH溶液に炭酸が入っていたりすると
NaOH - NaHCO3 とHClとの反応で等量点が決定します。
酢酸をAc-Hと略記します。
AC-H- NaOH - NaHCO3 の系の滴ていですから、Ac-HとNaHCO3が反応して、CO2がけいがいに出てからNaOH-Ac-Hの中和反応が始まります
No.4
- 回答日時:
#1です。
高校生だということですね。
書かれている内容になじみがありませんので質問させていただきます。
ファクターという量で濃度の修正をされようとしているようですね。高校ではやらない方法です。
具体的にHClの濃度はいくら、NaOHの濃度はいくらとする方になじみがあります。
炭酸ナトリウムを用いた塩酸の濃度決定に4桁の精度があるものでしょうか。(メチルオレンジを使ったというのはこの部分ですね。炭酸ナトリウムの滴定曲線には大きな立ち上がりの部分がありません。指示薬の変色域の範囲内でカーブが寝てきます。精度を出すのが難しいのではないかと思っています。)
ここで書かれている方法は高校の教科書に書かれているシュウ酸を基準物質に用いる方法に比べて一段操作が多いです。結局炭酸ナトリウムが基準物質になっています。
誤差の検討をするのであれば炭酸ナトリウムの標準溶液の作成と3段階の滴定(炭酸ナトリウム・塩酸、塩酸・水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム・酢酸)の操作全体を見直す必要があると思います。
この回答への補足
「化学技術検定」という工業高校で行われる検定の実技試験で課題となる分析方法なので、工業高校ではむしろこちらのほうがなじみがあります。(お恥ずかしい話ではありますが、シュウ酸を用いた方法があることを今まで知りませんでした。)
有効数字についてですが、精密な電子天秤(0.0001gまで秤量可)を使用していますので、基準とする炭酸ナトリウムのファクターはある程度大きな有効数字を持っていると考えられます。よって、塩酸の濃度についても、「完璧な滴定が出来ている」と仮定すれば有効数字4桁は可能だということなのでしょう。(「滴定」という分析方法自体、精密に行ったところで有効数字4桁もの精度があるのかどうかは僕自身疑問に思っています。)
ところで、炭酸ナトリウムの無水物は安定な物質のはずなのですが、長期間保存していると何らかの変質を起こしてしまうものなのでしょうか。仮に炭酸ナトリウムが変質して純度が下がっているとすれば、連鎖的に正の誤差につながりますよね。
どうやら、使用している炭酸ナトリウムはかなり古いもののようなのです。(瓶に購入年月日らしいものが書いてあり、それがたしか「62年…月…日」でした(^^;))
No.1
- 回答日時:
(1)の精度が気になります。
NaOHもHClも濃度の精度を上げにくい物質でも。教科書でもシュウ酸標準溶液でNaOHの濃度を決めてから酢酸その他の濃度を決めるという手順が出てくると思いますが。
0.1mol/Lという有効数字が1桁の表現も気になります。
酢酸の濃度の理論値(?)をどういう方法で出したかも気になります。
理論値というものはないはずです。測定値しかありません。
ご解答ありがとうございます。
(1)については、濃塩酸を希釈し1mol/lとした後、炭酸ナトリウムを用いて標定されたHCl標準液を使用しています。ファクターの有効数字は4桁です。
理論値という言い方が誤っていたようですね、申し訳ありません。
酢酸の試料は99.5%の酢酸(最近開封したばかりの試薬)を希釈した物を使用していますので、 酢酸の質量/溶液全体の質量 の単純な質量パーセント濃度のようです。
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