音速と気体粒子の速度について質問します。
音は空気の振動が伝わることだと習いました。
そして空気の振動を伝えるものは気体粒子ということも習いました。
高校の教科書にはバネと質点が連なっている絵があり、質点の振動がバネを介して隣の質点に伝わっていく様子が描かれています。
これはこれで理解できたのですが、実際の気体分子は無音の状態でも四方八方に飛び回っていますよね。先のバネと質点の例で言うと、質点がランダムに飛び回っていることになります。僕にはこのような状況で振動が隣の粒子に伝わる様子が想像できません。さらに疑問が増すのは、気体粒子の平均スピードが音速よりも速いということです。(調べたら0℃1気圧で窒素分子は約490m/s,酸素分子は約460m/s,音速は約330m/sでした。)
長々としましたが疑問は要するに、
「音速を超える速さで飛び回る気体粒子が、音速で音(振動)を伝える様子がわからない」
ということです。
説明しにくい内容だと思いますが、どなたか詳しい方がいらっしゃいましたら教えてください。
よろしくお願いします。
No.7
- 回答日時:
#1です。
面倒だから省略したところにすごい勢いでコメントが付いてちょっとびっくりしています。1. 私の話で一番怪しいところは、どのように振動が維持されるか、という部分です。密な場所や疎な場所ができたときに、平常の状態(大気圧の状態)に戻ろうとするということまでは定性的には説明できますが、そのあとどう振動を維持するかについては全く触れていないのです。
2. 微視的にいえば、気体分子の平均自由行程は意外と短いので(0.1mmほど)、頻繁に衝突を繰り返します。このために自由に散逸することができずに振動が維持される結果となります。
3. 巨視的にみるなら、気体を「パイプの中に封入した上で、小さな気泡に分ける」というモデル化をするとよいでしょう。各気泡は断熱膨張・収縮を繰り返しながら、隣同士で作用しあい、断熱振動が伝わっていきます。
4. 3. のようなモデル化をすれば、実は最初に否定した連成振動モデルは決して的外れなわけではないということもできます。
5. ところで固体では、金属原子同士が結合しています。これは連成振動の「ばね」にたとえることができます。ところで「ほとんど動いていない」というのは位置に着目した表現ですね。金属原子の「速度」は本当に小さいのでしょうか(位置と速度の区別をした上での発言かどうかが微妙に感じたので)。
6. 個人的には、ミクロなモデルもマクロなモデルも、所詮モデルにすぎないと考えています。どのように説明しても現象がきちんと説明できること、そしてそのモデルを介して我々が新たな知見を得ることができることには非常に価値があると思いますが、「どちらが正しい」という議論は不毛ではないかと。
<「ほとんど動いていない」というのは位置に着目した表現ですね。
ご指摘ありがとうございます。
金属原子の変位が小さいからなぜか速度も小さいと勘違いしてしまいました。
金属原子の振動の速度は全然別物ですね。
No.6
- 回答日時:
#3です。
私も蛇足を書かして頂きます。
>マクロの見方とミクロの見方を区別したらどうでしょう。
ということですが、物理学はこの宇宙で実際に起こっていることについての記述を問題にしており、頭の中で想像した物の中で起こり得ることについては、興味がありません。現在では、気体は連続体ではなくて、不連続な分子から出来ていることが判っています。ですから、いきなりこの有りもしない連続体に付いての性質を語っても、現実の気体の性質を語ったことにはなりません。したがって、これをマクロに見た場合でも、何故、気体の素片の間にあたかも弾性体のごとき力が働き得るかを説明できないと、何故、気体の中を音波が伝わり得るかが説明出来ないわけです。
別な言い方をすると、ボルツマン方程式を使ったミクロなレベルで音波の存在が保証されているから、ある近似の範囲内でマクロな弾性体のモデルが正当化されているのです。
もちろんその近似の範囲内に無いような状況を考えると、マクロな弾性体のモデルは物理的に意味をなさない、あり得ない世界の数学の問題になってしまいます。
う~ん、気体は不連続体ですか。
連続体でも難しいのに不連続体となるともはや頭の中では想像できない気がします。
きちんと保証されているのはミクロなレベルでの音波の存在であって、それを不連続体である気体に拡張するのは一筋縄ではいかないということですね。
ああ、音波って奥が深い!
No.5
- 回答日時:
粒子の平均速度が音速より大きい(高い)ことについてですが、前者は3次元的な(自由度3の)速さのある種の平均であり、音波が伝わる方向の(自由度1の)速さの平均はそれより小さく(低く)なります。
例えば、「非常に荒っぽい目安として、」ある1方向の速さの平均を、3次元的速さの平均の1/3^(1/2)とすると、それは音速より小さく(低く)なります。蛇足ですが、マクロの見方とミクロの見方を区別したらどうでしょう。マクロのレベルでは、音波は連続体中を伝わる疎密波である、と理解すればよいのではないでしょうか。教科書にある質点とバネの例も、質点は個々の気体粒子を表すのではなく、気体の素片(小さな領域)を代表し、バネはその素片が隣の素片と力を及ぼし合う様子を表すためのもの、と理解したらどうでしょう。教科書でどう説明されているか、また、担当の先生がどうおっしゃったか、知りませんが。
回答ありがとうございます。
自由度で考える方法もあったんですね。
この考え方だと気体粒子の平均速度が音速よりも速いことがわかります。
でもこの考え方だと固体中を伝わる音波に疑問が出ます。例えば鉄を考えますと、鉄原子はほとんど動いていないのにもかかわらず、音波はものすごい速さで伝わってしまいます。
自由度で説明できるのは気体に限ったことなのでしょうか。
疑問が絶えないのが僕の悪い癖なのですみません。
No.1
- 回答日時:
連成振動(質点がばねで連結された装置の振動)のように、隣り合う分子同士が直接作用を及ぼしあって、その場で単振動をしているような粗密波のイメージを持っていると誤解を生みます。
連成振動はあくまでも粗密波のモデルの一つであって、空気中を伝わる音波を完全に説明するためのモデルではありません。音波は空気の密度の変動が伝わる現象です。ここの気体分子が衝突することによってではなく、気体分子の濃密な部分(=密)と希薄な部分(=疎)が交互に伝わっていくのです。
密な部分に着目すれば、個々の分子は十分に早く運動しているので、周囲へ逃げていく分子の方が周囲から入り込んでくる分子の数よりも多くなります。これにより密な部分は徐々に密度を低下させます(つまり周囲よりも高圧なのです)。逆に疎な部分では周囲からの流入が勝り(=周囲より低圧)、疎な部分は徐々に密度が上昇します。
このような変動を繰り返すことにより、疎な部分と密な部分が交互に伝わることになります。
回答ありがとうございます。
音波のイメージを変えることができました。
またつまらない質問をすると思いますがよろしくお願いします。
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