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大日本帝国が長く戦争を続けてきたのはなぜなんですか?
またどのような戦争を行ってきたんですか?
教えてください。

A 回答 (1件)

まず「支那事変」があって「大東亜戦争」があります。

「太平洋戰争」を日米の関係だけでは論ずることはできません。逆にいえば「支那事変」がなければ1941年の日米戰争もないのです。
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今次の対米英戦争は支那事変をも含め大東亜戦争と呼称す。大東亜戦争と称するは大東亜新秩序建設を目的とする戦争なることを意味するものにして戦争地域を大東亜のみに限定する意味にあらず。
[「昭和一六年十二月十二日情報局発表」 防衛庁防衛研究所戦史室「中国方面海軍作戦<2>」(朝雲新聞社)P354より引用]
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独ソ戦に乗じた対ソ戦を1941年8月29日に予定して兵力80万の大動員(関特演)をしました。しかし、ソ連軍は西へ移動せず予定が狂ったところへ米国が日本軍の南仏印進駐に対して在米日本資産の凍結と石油などの禁輸で対抗したので、急遽兵力を南へ移動しました。
フィリピン上陸は気候上11月~3月くらいまででないと難しいので、12月頃に対米戦争を開始する計画が早くから陸軍にあったものと思われます。関特演動員が開始された5月末に発行された陸軍発行の「聖戦四年」という本では、すでに対米戦争を宣言しているような内容です。
「ABCD包囲網」(実際にある程度の軍事力があったのはAのみ)でやむなく「自存自衛」(侵略にたいする「自衛」ではなく「自存」を「自衛」する)のため宣戦したというのは、時間的にみても一種の虚構であることがわかります。
「大東亜戦争」中において、海外駐屯兵力のうち約55%が中国にいたということですので、「大東亜戦争」は日中戦争を除外して語ることはできません。

アジアの民族自決の動きは1930年頃から始まっています。米国は北清事変の賠償などを放棄しフィリピンの独立も日程が決まっており、英国も中国の貨幣改革を支援し、一方的な収奪による支配から一応相手を認める近代的な関係に移行しつつあったのです。
オランダ本国は開戦当時はすでにドイツの支配下にあり、インドネシアの石油の利権が英米にあったにすぎません。
植民地のわくぐみが戰争でこわれたため独立運動は早まったかもしれませんが、日本にアジア諸国を独立させる意図はありませんでした。(そういう意図があれば、まず朝鮮の独立を認めたでしょう。)
すでに独立が決まっていたフィリピンを形式的に独立させる以外にアジア諸国を独立させる意図がなかったことは昭和18年5月の大本営「大東亜政略指導大綱」を見れば明らかです。
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五、対比方策
 なるへく速やかに独立せしむ。
 独立の時期は概ね本年十月頃と予定し極力諸準備を促進す。
六、その他の占領地域に対する方策を左の通り定む。
 但し(ロ)、(ハ)以外は当分発表せす。
(イ)「マライ」「スマトラ」「ジャワ」「ボルネオ」「セレベス」は帝国領土と決定し重要資源の供給地として極力これか開発並ひに民心の把握に努む。
(ロ)前号各地域においては原住民の民度に応し努めて政治に参与せしむ。
(ハ)「ニューギニア」等(イ)以外の地域の処理に関しては前号二に準し追て定む。
(ニ)前記各地においては当分軍政を継続す。
[吉岡吉典「日清戦争から蘆溝橋事件」(新日本出版社,1999年)P351-352から再引用)]
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(なお、ドイツ支配下のフランス・ビシー政府に圧力をかけ、南仏印進駐を行ったのでベトナムの独立は問題外でした。また、ベトナムの米はフランスと日本へ送られたために1944-1945年の食料難の原因のひとつとなり飢餓で多数のベトナム人が死亡しました。)

いわゆるハルノートの内容は、日本も参加した九カ国条約による中国の主権、独立、領土保全、商業の機会均等を具体的に記述したものにすぎません。
日米交渉の時期からみて日本側には刺激的なものでしたが、日米関係の悪化は基本的には日本の度の過ぎた中国侵略にあることが示されています。なお、グルー米大使と吉田茂元首相はハルノートを交渉の基礎と考えていたようです。(吉田茂「日本を決定した百年」(中公文庫,1999年)P186-189ハル・ノートの秘密-果たして「最後通牒」だったか)
九カ国条約を守り、満州-中国全土-インドシナと日本が侵攻しなければ、日米が対立する要素はなかったのです。
「太平洋戰争」という言葉は、視点を日米戰争だけに当てる弊害があります。日本の中国侵略を無視して「太平洋戰争」を語ることはできないのです。

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*資料はかな表記に変換して引用しました。
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