素人ですが、消費税について勉強しております。
消費税は、”多段階課税+仕入れ税額控除(課税仕入れ額の控除)が徴税技術上大変重要ですが、非課税事業者の場合には(仮に非課税売上しかないとします)でも、以下のような差が出ます。
1.土地を売買する不動産業者
土地を仕入れる際には消費税は掛からず、販売する際にも消費税を転嫁しない。よって、消費税には全く関係なく、”消費税の負担はない”
2.利子のみ銀行(実際には今時こんな銀行はないが・・・)
預金者から例えば100万円預り、2000円の利子を払う(これが仕入れ)。預かった100万円を”A社”に融資し、3000円の利子を得る(これが売上)。仕入れの2000円にも売上の3000円にも消費税は掛からず、上記不動産業者同様”消費税には関係なく、消費税の負担はない”
3.医者(開業医)
診療に必要な薬・医療機器を仕入れる際に消費税を払っているが、診療の対価にはその消費税を転嫁できない。結果として医師が仮払消費税を負担している。(課税仕入れであるにもかかわらず、仕入れ税額控除が認められない。)
4.大家(住宅用)
借家に必要な建物・維持に必要な管理料・修繕費・光熱費等(これが仕入れ)に消費税を払っているが、家賃には消費税を転嫁できない。結果として、大家が仮払消費税を負担している。(課税仕入れであるにもかかわらず、仕入れ税額控除が認められない。)
同じ非課税アイテムを扱っている”非課税事業者”でありながら、なぜ上記のような差がでるのでしょうか?
唯一想像できるのは、非課税アイテムとは1)本来消費の概念にそぐわないもの:土地や利子 と2)政策的に非課税にしたもの(本来は課税:診察料や家賃)に分かれるので、前者の場合は、事業者は消費税負担なし、後者は”最終消費者ではなく、事業者”が消費税を負担する、ってことでしょうか?
この”法律的・学問的根拠”って何でしょうか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
法の理念と法技術をごっちゃにしてはいけません。
税法は,大変技術的な法律です。法の理念(こうあるべきだ)をできるだけ忠実に立法することは大切なことですが,他方で,法律は,わかりやすく,使いやすいものでなければならないのです。
そうした場合に,立法の技術として,理念とは異なる仕組みを作ることも可能です。それは全く否定されることではありません。
消費税法の仕組みはそのようなものなのです。
ですから,解釈でできるだけ理念に近づけることは必要ですが,それは第2段階の問題(条文の解釈に問題が生じたときに,どのような解釈をとるかの問題)です。
理念に合わないから,実際にある法律がおかしいといっても,立法論としてはともかく,実際の適用を論じるには,あまり意味がありません。
第1段階では,法律の条文をよく見て,法律の基本的な仕組みを理解することが必要です。
たとえば,多段階課税と仕入税額控除を原則論だといわれますが,その原則論は,実際に作られた法律には採用されていない,そういうことなのです。それを論難しても,現行の消費税法がある以上は,どうしようもありません。私に不同意だといわれても,今ある法律が,今あるままで変わるわけではないのです。
今の日本で,売上税を作ってはいけないという理由はありません。売上税を作って,それを消費税的・付加価値税的に運用して,それを消費税と称しても,別に何の悪いこともない,ということです。
法律なんて,そんなものです。特に行政法といわれる分野はそのようなものです。
ご回答ありがとうございました。
何せ、”にわか勉強”なので、消費税のこの部分以外、税法も法律も分からないで、コメは勉強になります。
>税法は,大変技術的な法律です。
ですよね。多段階課税+仕入れ税額控除 とは、まさに”徴税技術上”の問題ですよね。しかし、”技術”(技術に限らず物事)にはかならず”例外”がありますよね。消費税の件は”本当に稀に起きる例外”ではなく”私がちょっと考えれば分かる、対応策があるべき例外”だと思うのです。
> たとえば,多段階課税と仕入税額控除を原則論だといわれますが,その原則論は,実際に作られた法律には採用されていない,そういうことなのです。それを論難しても,現行の消費税法がある以上は,どうしようもありません。
私は現行法が”神が創った100%完全が法律”なんて思っていません。しかし、判例を見ましたが(当然のごとく)現行法により原告敗訴で、その判決理由にも”なぜ現行法がそうなったか”の解釈はありませんでした(原告が争点をそこに持っていっていない)。他に専門家にも聞きましたが、そのような議論はないようです。唯一あるのは、”医師会が同じ問題を意見書として提出している”点です。しかし、それも”対処療法”を提案しているだけで、根本の不備には踏み込んでいません。
まぁ、実態はかなりわかりましたので、この辺で止めときます。もう少し考えてから、”行政訴訟(実際に消費税で財産権を侵されている)→違憲審査請求”に行くか決めます。
アドバイスありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
消費税法は,消費税といいながら,その実は,売上税として立法されています。
日本の消費税の基本的な仕組みは,売上税(売り上げに対して一定の税が課される)なのです。ですから,消費税の納税義務者は,消費者ではなく事業者であり,消費者は,事業者の負担する消費税を,売買代金などの一部として「転嫁」されているにすぎません。
また,消費税を課される課税標準も,売り上げ(資産の譲渡の対価)の金額であって,付加価値ではありません。仕入税額控除は,日本の消費税では,税負担の公平のために特別に認められた制度であって,日本の消費税(売上税)に本質的に要求される制度ではないのです。
消費税を付加価値税と見る限りは,多段階課税と仕入税額控除が重要に見えますが,消費税法を見る限りは,そのようには見えません。
すなわち,仕入税額控除の適用を受けるためには,納税義務者において,仕入税額にかかる帳簿等を保存し,必要に応じてそれを徴税職員に示さなければならず,これができないときには,原則に戻って資産の譲渡の対価に対して消費税が課されることとされているのです。
ですから,非課税業者が介在することで,様々なアンバランスが生じることが考えられますが,それは,現行の消費税法では,これといって,税の本質を侵すような異常な事態ではなく,単に特例が受けられないだけ,という,そういう問題にとどまる仕組みになっているわけです。
この回答への補足
ご回答ありがとうございました。なんせ“独学”なんで、もう少し教えていただきたいのですが・・・(議論を吹っかける積りはありませんが、素人なんで自分の考えの何処が間違っているのかも分からないレベルとご理解下さい)
消費税がその検討課題で“売上税”として検討されたことは理解しています。しかし、立法は“消費税”ですよね。“売上税”でもなく“付加価値税”でもない。“売上税”を前提に説明を進めると、答えが別の方向に行ってしまいます。
>ですから,消費税の納税義務者は・・・・
現行法ではその通りです。立法の趣旨は“消費に課税”するので、“税負担者は最終消費者”であるべきですが、最終消費者は資産の譲渡価格の5%を納税する術がありません(術はあるけど、事務を考えると非現実的)。消費税は間接税ですから、納税負担者と納税義務者が違っても問題ないわけで、それで“徴税技術上事業者を納税義務者としている”に過ぎない、というのが一般的理解では?
>仕入税額控除は,日本の消費税では,税負担の公平・・・・本質的に要求される制度ではないのです。
この解釈は初めて聞きました。消費税の考え方に「消費に薄く広く公平に負担を求める」があげられます。“公平のために仕入れ税額控除がある”とおっしゃるなら、“本質的に要求される制度”ではないのですか?
>消費税を付加価値税と見る限りは,多段階課税と仕入税額控除が重要に見えますが,消費税法を見る限りは,そのようには見えません。
不同意です。
まず原則論から説明します。上記のように消費税の考え方のベースは「広く・薄く」です。ですから原則政策的非課税アイテムは無くすべきです。消費税は他の間接税とは違い、“最終消費者が購入する価格が決まってで初めて税額”が決まります。また最終消費者まで資産が渡るまで複数の事業者を経由します。それぞれが5%加算するのが“多段階課税”で当然重複分を考慮しなければならず、“仕入れ税額控除”が必要です。これを分離して考察すること事態誤った考え方と思います。(現行法では分離しているので問題だ、と申し上げています。分離している法律的・学問的根拠が是非知りたいです。)
>・・・・・これができないときには・・・・・・
帳簿保存は納税義務者として当然の事です。消費税に限ったことではありません。(帳簿が無ければ、当然仕入れ税額控除は認められないですが、これと非課税事業者には認めない、との関係が分かりません。)
>ですから,非課税業者が介在することで,様々なアンバランスが生じることが考えられますが,それは,現行の消費税法では,これといって,税の本質を侵すような異常な事態ではなく,単に特例が受けられないだけ,という,そういう問題にとどまる仕組みになっているわけです。
すみません、非課税事業者を定めたのは法令で、様々なアンバランスが生じることが考えられれば、法令で定めるべきです。大家で2000億、医師で4000億という不当徴税の可能性(これだけで消費税徴税額の5%)があるのに、“税の本質を侵すような異常な事態ではない”といえるのでしょうか?(これが、個人が負担する“数十万円”であれば、おっしゃるとおりですが)
現行の消費税が明らかに不備である事例を一つ示します。
消費税は“資産の譲渡”に課税される税金ですので、納税義務者の事業者の利益/キャッシュフローには一切影響を与えないはずです。その意味では所得税/法人税とは全く違う税体系です。賃貸で10万円(本体価格)の家賃を頂くために5万円(本体価格)を経費を支払います。Aさんは事業用に貸し出し、Bさんは住宅用に貸し出します。
所得税の観点からは、AさんもBさんも10万―5万=5万円が利益で、同じ税額が徴税されます。(税額が1万円ならキャッシュは4万円です。)
消費税の観点からは、Aさんは5000円を店子から預かり、2500円を経費の支払いの際支払っております。都合、Aさんは差額の2500円を消費税として納税し、預かった5000円が結果として国庫に入ります。この場合キャッシュの4万円は変わりません。
Bさんは、5000円を店子から預かることはありません。しかし、2500円を経費と共に支払っているのはAさんとかわりません。Bさんは消費税の納税義務もないのですが、結果として、経費の消費税分2500円を負担していることになります。
キャッシュとしては、40000円―2500円=37500円となります。
AさんとBさんの仕事は何も変わりません。しかしキャッシュで2500円差がつきます。それはAさんは“課税事業者”でBさんは“非課税事業者(本当は免税事業者)”だからです。それは本人が選択したのではなく、“法令が定めた(それも2年後の税制改正で)”のです。
問題の根源は”課税売上割合”だと思うのですが、それは別途・・
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