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インフルエンザやHIVはレトロウィルスの一種と聞きます。
iPS細胞等を作成する場合にも利用される事があるようですが、ヒトがインフルエンザに感染した場合、ヒトのDNAにインフルエンザウィルスが入り込み、DNAに何らかしらの情報を書き込むようですが、癌など致死的など毒性が無かった場合、その書き変わったDNAが子孫に受け継がれる可能性はあるのでしょうか?
また、様々なレトロウィルスがあるため、気付かないうちに、自身のDNAが少しずつ変化するなどという事はあるのでしょうか?
短期的な影響もですが、ここ10万年程度のヒトの変化を考えた時、ある意味、ヒトとウィルスはDNAレベルで姻戚関係にあったりしますか?
ちょっと、不思議に思った疑問ですので、お暇がある時に教えていただけると幸いです。

A 回答 (12件中1~10件)

 Jagar39です。



 「ウイルス」と「ウィルス」の違いについての私の回答(No.5)については、特に本質問に対する回答者のみなさんのことを念頭に置いての発言ではありません。あくまで一般論です。実はNo.5の回答を投稿した後で、No.1の回答者区分が"専門家"なっているのを見つけて(ありゃ、まずいな)と思っていた次第です。どうも大変失礼しました。

 ともあれ、医師ではあるけれど微生物学については素人、などの「回答に関する自分のレベル」をきちんと表明することが質問者に対しては大切なことだと思っています。本来"経験者"とか"専門家"といった回答者区分も、そのためにある項目でしょうから。

 まあ私はNo.5にも書いたとおり、ウイルスでもウィルスでも意味が通るならどっちでも良いと思っているので、"ウィルスは誤用である"と言い切る気もあまりありません。
 これも書きましたが、私にとってはウイルスとウィルスは、似非専門家を見分けるリトマス試験紙みたいな認識だったりします。

 ま、私も本質問に関しては、最初レトロウイルスの話だったので"専門家"を名乗ったわけですが、途中からヘパドナウイルスの話が中心になると(こりゃ"専門家"を名乗るのは適切じゃないなぁ)などと思いながら回答していたわけですが。

 本当の「専門家」というのは、「自分が何を知っているか」ということを知っている人だと思っています。それはつまり同時に「自分は何を知らないか」ということを知っている、ということでもあるわけです。
 ま、自戒の念も多々あるわけですが。

 ウイルス遺伝子のインテグレードに関して、そのメカニズムを重視するかしないかは、「医師と獣医師」の違いではありません。「臨床医とウイルス屋」の違いです。「臨床医と防疫官」の違いでもあります。

 臨床医にとっては、インテグレードされるメカニズムなど問題にはならないし興味の対象外でしょう。
 でも、その感染症対策を講じる場合には"メカニズム"は非常に重要です。

 例えば、Hepatology 2003 May;37(5):1172-9の文献を読んで考えることは、この報告ではx領域をターゲットにしたReal-Time PCRをやっている。x領域は肝細胞ゲノムにインテグレードされる領域なので、このデータからは検出されたHBV遺伝子が単に持続感染状態にあるウイルスゲノムを検出しているのかインテグレードされた肝細胞ゲノムの中のHBV遺伝子を検出しているのか区別はできないわけです。
 それを区別しようとすれば、HBVのインテグレードされない領域をターゲットにReal-Time PCRをする必要があるだろう。それで試験してみて上手くいく(持続感染状態とインテグレードされた状態の識別が可能になる)と、次は感染初期から慢性期に至る様々なステージのデータを集積することによって、「病期のどの段階でインテグレードが起きやすいのか」が判ることが期待できるわけです。
 それが判れば、HBV対策に何か打てる手が見つかることが期待できるわけです。(こりゃ打つ手が見つからないね、という結果になることもしばしばですが)

 むろんその程度の研究は既に進んでいて知見が得られているのでしょうが。

 というのがウイルス学に専門知識を持った防疫屋の思考回路です。
 ですから、インテグレードされるされないという現象そのものより、私達にとってはメカニズムの方が重要です。同じインテグレードされるウイルスでも、レトロとヘパドナでは対処の仕方が大きく違うでしょうから。

 獣医は人医ほど分業化が進んでないので、現場で治療もしながら(それも外科も内科も産科も何でもあり)採材もして、それを自分で実験してデータを出して分析もして、得られた知見を応用して現場の防疫対策を講じる、というところので1人でやることが多々あります。もちろんチームでの仕事なので、1人きりでやるわけではありませんが。
 そういう仕事をしていると、現場的にはまったくどうでも良いような知見が、対策を立てる上では非常に重要、ということが頻繁にあります。
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この回答へのお礼

皆様へ
素人にも分かる様な(といっても100%の理解ではありませんが(^^)、とても分かり易い説明ありがとうございました。とても参考になりました!

お礼日時:2009/11/03 15:15

専門家の皆様へ。



「ウイルス」が正しいのですか。勉強になりました。

カルテに「ウイルス」と書くことはまずないので(いつもvirusと書きます)、日本語表記については誤用していたようです。

一応、医師免許はありますが…微生物学はご指摘の通り素人です。
醜態さらしてお恥ずかしい限りです。
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別に生活環でどうのこうのではありません。


The fact that HBV encodes a reverse transcriptase and replicates via an RNA intermediate similar to that of the retroviruses suggests that the mechanism of oncogenicity may be similar in the two virus groups. The X open reading frame of HBV DNA (Fig. 47-7) corresponds in position to the HTLV tax gene discussed above. Experimental evidence has shown that the X gene can transactivate promoters and enhancers and stimulate itself and other genes in the presence of cellular factors.
と、HTLVとの相同性が医師にとっては興味深いところで、発がん性がある事はHBVの問題点であり、それがintegrateによっておこるというのが臨床的に興味深いのです。HBVで癌ができないのなら興味は半減しますし、HCVは肝硬変にならないと癌にならないのにHBVは肝硬変でなくても癌になる、これはHBVがintegrateする事による特性なのです。
これを”事故でとりこまれる”と思うのかどうか、医師と獣医師ではみかたが違うのはしょうがないのでしょうが。
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 Jagar39です。



 B型肝炎ウイルスが感染した肝細胞ゲノムに"組み込まれる(インテグレートされる)"ことは確かですが、これはウイルスの生活環の中での必須現象ではありません。ウイルスの増殖のための過程はあくまでNo.7に書いたとおりで、細胞ゲノムへのインテグレートはウイルスの生活環上ではあくまでイレギュラーな現象でしょう。
 特に細胞ゲノムへはウイルスの一部分の遺伝子しか組み込まれませんから、「細胞ゲノムへの組み込み」がウイルスの増殖にとって必須であるレトロウイルスとは意味合いが違います。

 それに、このような「遺伝子の一部を細胞ゲノムに組み込む"ことがある"」ウイルスなら、ヘパドナウイルスに限らずアデノやポリオーマなど他にもあるわけで(理屈から言えば全てのDNAウイルスにその可能性がないとは言えないわけですから)、素人さん相手にそこまで回答しても混乱するだけだと思いますが。

 それとレトロウイルスは「逆転写酵素を持っているから」細胞ゲノムへの遺伝子組み込みができるのではありません。インテグラーゼを持っているからです。
 逆転写酵素というのは、「RNAを鋳型にDNAを転写する」だけの酵素ですから、ゲノム組み込みと特に関係があるわけではありません。ゲノムへの遺伝子組み込みを行うには、ゲノムのDNAをあるカ所で切断してウイルス遺伝子を繋げる酵素が必要です。
 B型肝炎ウイルスはインテグラーゼを持たないので(アデノやポリオーマだって持ってなかったと記憶していますが)、組み込みには細胞由来の酵素が関与しているのだろう、というあたりまでが私の理解なのですが、いずれにしろ逆転写酵素と組み込みは直接関係がありません。
 逆転写酵素を持たないアデノやポリオーマウイルスだって細胞ゲノムにウイルス遺伝子を組み込む"ことがある"わけですから。

 というわけで、ウイルスが"能動的に"細胞ゲノムに自分の遺伝子を組み込むレトロウイルスと、ウイルスにとっては"事故"とも言える、いわば"細胞ゲノムに取り込まれる"ような形で組み込まれるその他のウイルスを同列に回答するのは適切ではないだろう、と考えているまでです。
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ならば、


http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17206756
とか
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/bookshelf/br.fcgi?bo …とかは?
HBVのoncogenicityは宿主DNAへのintegrateにあるというのは常識と思っていたのですが..
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 Jagar39です。



 ヘパドナウイルスはDNAを遺伝子に持つウイルスなので、B型肝炎ウイルスに感染した肝臓の細胞からDNAを抽出してPCRした際にB型肝炎ウイルスの遺伝子が検出されるのは当たり前の話だと思うのですが?

 むしろ肝細胞からDNAを抽出する際、"B型肝炎ウイルスのゲノムだけを排除して抽出する方法"があれば教えていただきたいのですが。

 ヘパドナウイルスの増殖の際は、-鎖DNAから+鎖RNAが転写され、それが-鎖DNAに"逆転写"されます。
 その-鎖DNAを鋳型にして2本鎖DNAが合成され、それがウイルスゲノムとなるのですが、完全な2本鎖DNAになる前に細胞から放出されるので、ヘパドナウイルスのゲノムは"不完全な(一部1本鎖)"DNAとなる、というのは教科書レベルの話なのですが・・・
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> レトロウイルスとは異なり宿主細胞のゲノム(DNA)にウイルス遺伝子を組み込むことはしません



国立大阪病院の結城先生たちは、肝細胞のDNAを抽出してその中からHBVの遺伝子をreal time PCRで見いだしているけど、これはどこから来たと?
Hepatology 2003 May;37(5):1172-9
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 No.4のJagar39です。


 「ウイルス」と「ウィルス」について。

 ま、ネットは素人が書いた文章も専門家が書いた文章も区別されないので、専門用語だけでなく普通の日本語までむちゃくちゃな使い方になっているのはご存じの通りです。なのでネットでどのような使い方をされているのか、というのは判断基準にはならないのですが・・・

 私は正直なところ、どちらでも良いと思ってはいます。
 ウイルスは"virus"なのですが、どの言語で読むかでいろいろな読み方ができます。ウイルス、ビールス、バイラスなどが比較的よく使われる読み方でしょうか。まあ確かに"ウィルス"とは読みにくいですね。
 とりあえず、日本の専門家の間では"ウイルス"という読み方で統一されてはいます。

 なので"専門家"が書く文章や発音は全て「ウイルス」です。「ウィルス」と書いたり発音する専門家は、少なくとも私は会ったことがありませんし聞いたこともありません。
 "バイラス"って言う人はけっこういますね。でもそれも会話の中でだけで、その人も書くときは"ウイルス"ですし、学会発表や講演でも"ウイルス"と発音してます。発表後の質疑の際などに"バイラス"と喋ってしまう人はよく見かけますが。
 "ビールス"と話す人も見ないですね。1人だけいたかな?という程度です。"ウィルス"は皆無です。

 まあ素人さんがこのようなサイトで質問したりブログに書いたりするようなときは"ウイルス"でも"ウィルス"でも、どちらでも良いのでは、と思います。

 ただ、このようなサイトやブログで、専門家ぶって書いている人でも「ウィルス」と書いていたら、まあ間違いなく"知った風なこと書いているけど、実は素人"と認識して間違いないでしょう。
 そういう識別に使える、という程度の話ですかね。
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 獣医師でウイルスに専門知識を有します。


 HIVやHTLVではありませんが、レトロウイルスを専門にしています。

 まず最初に他の回答者の方も指摘していることですが、インフルエンザウイルスはレトロウイルスではありません。オルソミクソ科に属するウイルスです。
 レトロウイルスというのはレトロウイルス科に属するウイルスの総称で、その中にはHIVやHTLV、また各種動物に固有の白血病ウイルスなどが含まれます。

 ちなみにB型肝炎ウイルスはヘパドナウイルス科に属するウイルスでレトロウイルスと同じように逆転写酵素を持っていて逆転写(RNAからDNAに転写することを逆転写という)をしますが、レトロウイルスとは異なり宿主細胞のゲノム(DNA)にウイルス遺伝子を組み込むことはしません。
 「逆転写する(RNAからDNAに転写する)」ということと、「DNAを宿主細胞のゲノムに組み込む」ことは別のことなのです。
 ま、逆転写するウイルスがレトロウイルスとヘパドナウイルスしか存在せず、レトロウイルスの方が知名度としてはメジャーなので、「逆転写=DNA組み込み」という誤解がされがちなのですが。

 ちなみに宿主細胞のゲノムに自らのウイルス遺伝子を組み込むのはレトロウイルスだけです。

 というところまでが基礎知識です。

>癌など致死的など毒性が無かった場合、その書き変わったDNAが子孫に受け継がれる可能性はあるのでしょうか?

 あります。
 現在知られているレトロウイルスには生殖細胞に感染するものはないので、HIVやHTLVなどのレトロウイルスに感染しても、それによって書き換えられた遺伝子が子孫に伝わることはありません。
 ただ、病原性がないため知られていないレトロウイルスの中に生殖細胞に感染して書き換えた遺伝子を子孫に伝えるものがないとは言えませんし、過去にはそういうこともあっただろうことは知られています。

 ということは、

>ここ10万年程度のヒトの変化を考えた時、ある意味、ヒトとウィルスはDNAレベルで姻戚関係にあったりしますか?

 そういうことになるわけです。"姻戚関係"というのはちょっとしっくりこない言葉ですが、要するに現存人類の遺伝子には既に多くのレトロウイルスの遺伝子断片が組み込まれている、ということです。

 このようなレトロウイルスをヒト内在性レトロウイルスと言います。ちなみにHERVというのは"ヒト内在性レトロウイルス"の単なる英語略です(Human Endogenous Retrovirus)。
 これらの多くは既に遺伝子が断片化しているので、現在のヒトの体内で"ウイルス粒子"を作って水平感染をする、ということは基本的にありません。人類の遺伝子の一部になっているので、子々孫々血縁によって伝えられていくだけの"元ウイルス遺伝子"です。

 鶏のレトロウイルスはやたら種類が多く、しかも単独では病原性がないけれど供感染すると病原性がある、というようなウイルスも多くて頭を抱えるほどややこしいのですが、最もベーシックな"鶏白血病ウイルス(ATL)"というのがあります。
 このATLはA~Eの5群に分類されているのですが、このE群が"内在性"すなわち、「子々孫々血縁で伝わるウイルス」です。
 ですが、このウイルスは"内在性"になってまだ歴史が浅いのか、ウイルス粒子も大量に作ります。ですから水平感染もします。
 まあ、採卵鶏は同じ"ロット"の鶏を数万羽単位で飼うことが多いので、その群がATL-E汚染群であれば孵化したときから数万羽全てがATL-Eに感染した状態なので、なんともならないのですが。
 そのATL-Eに感染している鶏は、生涯大量のウイルスを生産し続けているわけですが、病原性は何もないので(もちろんヒトにも感染しない)産業上も公衆衛生上も問題にはなりません。

 ただ、他の病原性がある鶏白血病ウイルスが発生したとき、診断、精査のためにウイルスを分離培養するのですが、このウイルスを培養するには鶏の胎仔の細胞を使います。
 ところが、その胎仔がATL-E汚染群だと、その胎仔から作った細胞を培養してもATL-Eが増えるばかりで分離したいウイルスがまっちく増えてくれない、ということになります。
 困るのはそんなときくらいですか。私はそれで半年ほど七転八倒した挙げ句、どうしてもATL-E清浄系統の種卵が手に入らなくて諦めたことがあります。(ATL-Eはかなり高率に存在しているようで)

 豚など他の動物にも内在性レトロウイルスはいくつか知られています。
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ヒト内在性レトロウイルスで検索されるとおもしろい事、例えばHERVなどがヒットします。



ちなみに、B型肝炎ウイルスなども逆転写酵素を持っているのでDNAを組み込みます。
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この回答へのお礼

回答いただきありがとうございます。
レトロウイルスが存在しなければ、人類がここまで進歩しなかった可能性も十分あるんですね。とても、興味深かったです。

お礼日時:2009/10/27 19:35

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