No.1
- 回答日時:
租税特別措置法に定める減価償却資産の特別償却に関するご質問ですね。
大法人の会計に限りませんが、純粋に会計の立場で言えば、各会計年度において経常的に行なわれない特別償却が行なわれた年度については、その減価償却費は特別損失の区分に計上すべきであり、販管費または営業外費用の区分に計上するのは不適切な会計処理です。
特別償却に係わる減価償却費を販管費または営業外費用の区分に計上すると経常利益に影響を与えてしまうので、年度間の期間損益の比較に支障を来すからです。
なお不適切な会計処理をした場合、普通は関与する公認会計士から是正を求められるはずです。また、このようなケースで公認会計士が是正を求めないとしたら、それは
(1)公認会計士が不適切な会計処理を見落したか
(2)不適切な会計処理だが少額なので公認会計士が不問に付したか
(3)公認会計士が無能だからか
のどれかでしょう。
ご回答ありがとうございます。
なるほど、逆に言えば、特別損失にいれるのならばよいと。
そういうことなのですね。
確かに特別損失ならば、その時点での期間損益ということは問われなさそうです。
しかしながら、翌期以降、例えば定率法の場合、普通の減価償却費(会計上も)が、
特別償却をしない場合よりも減りませんでしょうか。
そうしますと、やはり厳密には問題があるということにはなりませんでしょうか?
経常利益にも影響がありそうですが、いかがでしょうか。
No.2
- 回答日時:
特別償却は、法人税の軽減を通じて国策に合致した設備投資を促進する目的で設定された制度で、適正な期間損益を目的とする正規の減価償却とはまったく異なるものです。
そこで税法では、損金経理による会計処理の外、利益剰余金の処分として特別償却準備金に積立てる方式も認められています。
法定監査の対象となる規模の会社の場合は、適正な期間損益の観点から疑義のある損金経理方式を避け、利益処分方式が採用されているようです。
ありがとうございます。
なるほど、
「利益剰余金の処分として特別償却準備金に積立てる方式」
の方であれば、期間損益には関係なさそうです。
不勉強で、損金経理しなくてはいけないとばかり思っておりました。
もう少し勉強してみます。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
minosenninさんの回答の通りですが、
減価償却の取り扱いについて会計士協会・監査委員会報告81号(参考URL)があり、「特別償却については、一般に正規の減価償却に該当しないものと考えられる。」とあり、特別償却(一部の割り増し償却を除く)を損金経理した場合は、会計士から適正意見の監査報告はでません。
会計士の監査では、特別償却は利益剰余金の処分による方法しか認めていません。
なお、特別償却を利益剰余金処分の方法で行った場合、この特別償却額は将来加算一時差異に該当するので、必ず繰延税金負債が計上されることになります。
参考URL:http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/pdf/ …
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
minosenninさんの回答の通りですが、
減価償却の取り扱いについて会計士協会・監査委員会報告81号(参考URL)があり、「特別償却については、一般に正規の減価償却に該当しないものと考えられる。」とあり、特別償却(一部の割り増し償却を除く)を損金経理した場合は、会計士から適正意見の監査報告はでません。
会計士の監査では、特別償却は利益剰余金の処分による方法しか認めていません。
なお、特別償却を利益剰余金処分の方法で行った場合、この特別償却額は将来加算一時差異に該当するので、必ず繰延税金負債が計上されることになります。
参考URLとして直接報告本文のPDFにとばしたのが引っかかって表示されないようでした。
ありがとうございます。
監査委員会報告も読みました。
(おそるおそる読みましたが、結構わかりやすく書かれていますね)
*(新)定率法の償却率は定額法のそれの250%になっているとかも
知らなかったので、こんなところでも「へー」と思ったりしました。
> 会計士の監査では、特別償却は利益剰余金の処分による方法しか認めていません。
言い切っていただいてすっきりしました。
ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
ctaka88様 教えて下さい。
「減価償却の取り扱いについて会計士協会・監査委員会報告81号(参考URL)があり、「特別償却については、一般に正規の減価償却に該当しないものと考えられる。」とあり、特別償却(一部の割り増し償却を除く)を損金経理した場合は、会計士から適正意見の監査報告はでません。
会計士の監査では、特別償却は利益剰余金の処分による方法しか認めていません。」
とのことですが、「損金経理した場合は、会計士から適正意見の監査報告が出ない」とは不可解です。損金経理が合法ならば株主の利益に適うはずであり、株主の利益を擁護する立場の監査法人(公認会計士)が「適正意見の監査報告」を出さないのでしょうか。
これは金商法その他の法令に基づく会計士協会・監査委員会報告なのでしょうか。
そもそも民間の公認会計士協会が決める規則等に法的拘束力があるのでしょうか。
私もコメントしてもよろしいでしょうか。
会計士の立場はお考えになっているものよりも厳しいものと思います。
「損金経理が合法ならば株主の利益に適う」とありますが、
会計士は株主のためだけでなく利害関係者全体のために、
財務諸表を監査するのだと思っております。
それで、No.2さんの言葉を借りて、
「法人税の軽減を通じて国策に合致した設備投資を
促進する目的で設定された制度」があったからと言って、
それによって、利益額が大きく影響されてはいけないと思います。
たとえば、先の委員会報告にも触れられていますが、
会計方針の変更の例として、減価償却方法の変更というのがありますよね。
会計士の立場からはその変更に「正当な理由」がない限り認められません。
期間比較性をゆがめるからです。
株主の立場からみて有利であっても、この期からは別の方法にしようとかは、
たとえ納税地の所轄税務署長が認めても、会計士は認めないでしょう。
(実務では会社と一緒になって「正当な理由」をでっちあげる会計士もいますが、
そういうのはおいておきます)
財務諸表の比較性については、期間相互でなく、会社間もあります。
特に最近では国際間でも差をなくしていこうってことになってますよね?
(IFRSとか)
税務上の優遇措置と、適正な財務諸表、はやはり分けて考えるべきと思います。
なおこの質問ですが、もう締めようかと思っておりましたが、
しばらく開けたままにしておきます。
No.6
- 回答日時:
>もう締めようかと思っておりましたが、しばらく開けたままにしておきます。
rerere123様、有難うございます。
>会計士の立場はお考えになっているものよりも厳しいものと思います。
私は、ここ20年ほどの間に、公認会計士の態度が傲慢になってきたと感じております。
>たとえ納税地の所轄税務署長が認めても、会計士は認めないでしょう。
合法な会計処理なのに会計士が適正意見をつけないために倒産に追い込まれる上場会社もあるということになりますね。いったい公認会計士はいつから、そのような生殺与奪の権限を握るようになったのでしょうか。
ここでは多くを書けませんが、私は財団法人財務会計基準機構と日本公認会計士協会の活動を非常に不快に思っています。彼らが公表する会計の基準などが、あたかも国会で決める法律であるかのように振舞い、そして彼らが公表する会計の基準などに従うように要求するからです。
この回答への補足
ctaka88さんの目に留まるか心配になってきました。
会計士関係の方が見ていればよいのですが、
もしいらっしゃったとしても、
会計士(+協会)について不快とおっしゃってしまったので
コメントを書きにくいかもしれません。
また、ちょっと古いだけでも目に留まらなくなってきますすし。
さて、詳しい方に私なんかがコメントするのも変なのですが
せっかくなので意見を書きます。
> 合法な会計処理なのに会計士が適正意見をつけないために
この合法とおっしゃっているのは、税法でしょうか?
税法は私の理解では、損金・益金への算入不算入については
言っていますが、会社経理そのものについては言ってないのでは
ないでしょうか。
会社経理を前提としてないとXX算入は認めないということがあっても、
だからといって、その前提となる会社経理をやってないときには
払う税金は高くなるかもしれませんが、その会社経理そのものを
違法だからやめろとは言わないのではないでしょうか。
たとえば、今回の減価償却ですが、会社経理で、
もう面倒だから「全資産とも3年で償却」するってなっていても、
損金算入限度額はしっかり規定しますが、会社経理自体について
違法だからやめろとまでは言わないと思います。
別の面から言えば、他の法律はよくわかりませんが、
(法人)税法も、益金の元となる収益、損金の元となる原価・費用・損失は
一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(GAAP)に従って計算されて
いるものとする、ってなっているかと思います(法22)。
このGAAPをどう解釈するかってことになりませんか?
おっしゃっている”合法な”会計処理の合法性とは、何でしょうか。
> 倒産に追い込まれる上場会社もあるということになりますね。
すいません、これは具体例を挙げてもらえませんか?
(会計面であり、企業名などを挙げろという意味ではありません。
念のため。)
といいますのは、今回の質問の大元(おおもと)である、
特別償却についていえば、会計士がctaka88さんの言うように
利益剰余金の処分による方法しか認めていなくても、
企業にとっては、
・払う税額は同じ(ですよね?)
・銀行融資とかの側面でも、特別償却をどの方法によるかによって
判断基準が変わるとは(個人的には)思えない
と考えるので、こと特別償却を想定しておっしゃっているわけでは
ないと思うからです。
(特別償却を費用(または損失)計上することで、利益自体は減るので、
利益重視なら償却自体やらないほうが返ってマシかと。)
ということで、ここではどんなことを想定されているのか
具体例を挙げていただけるとうれしいです。
(複雑な事例だと理解できないかもしれませんが。。。)
> 私は、ここ20年ほどの間に、公認会計士の態度が傲慢に
> なってきたと感じております。
多分、これは責任が重くなっているという面が多分にあるかと思います。
重くなっているというか、損害賠償などの責任追及される危険性が
高まっているために、正当性に疑問のつく会計処理を認めるわけには
いかなくなっているのではないでしょうか。
特別償却も税法で認められていても、
会計をより純粋な立場から見れば単純に
費用処理を認めるわけにはいかないと思います。
(長くなってお礼の欄には入らなかったのでこちらに書きました)
No.7
- 回答日時:
特別償却を損金経理した場合は、適正な会計処理をした場合に比べ利益額が過小に計上されます。
利益の過少計上(逆粉飾)は配当可能額等の判断に影響を与えますので、株主の利益に反します。利益が過少に計上されていれば金融機関の融資判断にも影響しますので、会社の利益=株主の利益に反することになります。逆に、合法な会計処理であり会計士も適正意見をつけていたのにその企業が倒産した場合の責任はどうなるのでしょう。
極端な例を言えば、急激な環境変化にもかかわらず、従前と同じ方法で貸倒引当金を計上していたため、翌期以降に巨額の貸倒損失が生ずるような場合です。これについては合法であり経営者に責任はないという判例(長銀事件)がでていますが、株主の利益を著しく損なったものです。
次に会計士協会の監査委員会報告の位置づけですが、会計士は監査を行うに当たり、会計士協会の各種報告にしたがう義務があります。
会計士が監査委員会報告等にしたがわなかった「監査報告」を出した場合は、会計士協会の会則により懲戒処分の対象となる可能性があります。懲戒処分は戒告、会員権の停止、除名、金融庁への登録抹消の請求です。
結果として、監査委員会報告等は金商法などによる法的強制力を持っていることになります。
会計士の責任は昔に比べると格段に重くなっており、商法監査が始まった頃の巨額の粉飾による倒産でなければ責任なしという時代ではなくなっています。
No.8
- 回答日時:
ctaka88様、ご回答ありがとうございます。
>利益の過少計上(逆粉飾)は配当可能額等の判断に影響を与えますので、株主の利益に反します。
アベコベです。
特別償却による償却費を損金経理しなければ利益の過大計上することになり、その結果法人税等を過大に納付することになります。つまり節税のチャンスを逸し、社外流出が過大になり、株主の財産を損なうことになります。
脱税はいけないが、節税は株主が等しく望むところです。税法の許す限り税金を節約すべきです。
>利益が過少に計上されていれば金融機関の融資判断にも影響・・
特別償却による償却費を特別損失に計上すれば経常利益を損なわないので金融機関の融資判断に悪影響を与えるとは思えません。
>急激な環境変化にもかかわらず、従前と同じ方法で貸倒引当金を計上していたため、翌期以降に巨額の貸倒損失が生ずるような場合です。
急激な環境変化によるばあいは、会計士の責任を問えません(経営者の責任も)。
>会計士は監査を行うに当たり、会計士協会の各種報告にしたがう義務があります。会計士が監査委員会報告等にしたがわなかった「監査報告」を出した場合は、会計士協会の会則により懲戒処分の対象となる可能性があります。
会計士協会の会則・・これが諸悪の権限です。国会が決めた法律ではなく、一民間団体が決めたルール(協会の内部規則)が民間企業の生死を左右するのは大問題です。国としても放置すべきではありません。
No.9
- 回答日時:
財団法人財務会計基準機構の活動を非常に不快に思うと書きましたが、不快な活動例を挙げて置きます。
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(金商法の内閣府令。以下、財務諸表等規則)の第一条第一項では、「財務諸表」の用語、様式及び作成方法は・・この規則に従い・・この規則において定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとすると、あります。
そして第一条第二項で、企業会計審議会が公表する企業会計の基準は、前項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に該当するものとすると定めています。
ここにおいて、企業会計審議会が公表する企業会計の基準は、法令ではないけれども、金商法の府令によって法令並みの権威(少なくとも内閣府令と同等の権威)を付与されているわけです。つまり企業会計審議会が公表する企業会計の基準に従わなければ、(原則として)財務諸表等規則違反になるわけです。
ところで、企業会計審議会が公表する企業会計の基準を二つだけ挙げます。
(1)金融商品に係る会計基準
(2)リース取引に係る会計基準
内閣府金融庁の企業会計審議会が公表する企業会計の基準の一つに有名な企業会計原則があり、法律ではないけれども、会計関係者にとっては会計の基本を定めた法律のように尊重されています。企業会計原則は会計関係者にとっては権威ある法律なのです。ですから前述の二つの会計基準も企業会計原則と同様に、会計関係者にとっては権威ある法律です。
ところが財団法人財務会計基準機構の企業会計基準委員会が公表する企業会計の基準の中に、
(1)金融商品に関する会計基準
(2)リース取引に関する会計基準
というのがあります。
企業会計審議会の「係る」と企業会計基準委員会の「関する」に注意してください。
ところで古い話になりますが1962年(昭和37年)、セコム(旧日本警備保障)が設立、発足した当初、ある問題が生じました。セコムは日本で最初のガードマンの会社です。
会社は社員(ガードマン)に制服を着せて仕事をさせたのですが、その制服が警察官の制服に似ていたために、市民が彼らを警察官と誤解し、ガードマンもまた警察官のように態度が大きくなる(傲慢)という異常現象が生じました。
マスコミも取り上げて社会問題化したために、(記憶では)警察庁が動いて会社にガードマンの制服を改めさせ、解決しました。
企業会計基準委員会は、自分たちの会計基準を企業会計審議会の会計基準であるかのように見せ掛けるために、金融商品に「関する」会計基準という紛らわしいタイトルを使っているのです。その効果があって、このサイトに投稿する回答者のほとんど全員が、企業会計基準委員会が公表する企業会計の基準が権威ある法律であるかのように信じ込んでいます。疑おうとさえしません。従う必要がない会計基準なのに。(参考にするのは構いませんよ)
財団法人財務会計基準機構の企業会計基準委員会は悪質であり、不愉快です。財団法人財務会計基準機構の活動は、社会問題どころか国の問題ではないかと考えています。
No.10
- 回答日時:
#6です。
>この合法とおっしゃっているのは、税法でしょうか?
税法です。
舌足らずで済みませんでした。こういうことです。
法人税法や租税特別措置法などの税法が損金算入を認める最大限の枠を活用して節税に努めるべきだ、そのような会計処理をすべきだ、と言う意味です。なぜなら、株主の財産の社外流出(税金の支払や諸経費の支払など)を防止することは株主の利益になるからです。
>これは具体例を挙げてもらえませんか?
上場会社の倒産のケースでは、経営陣(特に経理担当取締役)と監査法人との間で、例えば債権の貸倒評価について、どのような意見の違いがあったのか知りたいところですが、細部はほとんど報道されないので具体例を挙げることができません。
しかし私の知人が経営する会社(某社)のケースですが、数年来株式公開の準備を進めていたのですが、昨年9月の決算において、海外投資金の貸倒評価について会社と某監査法人との間で極端な食違いが生じ、監査法人が一歩も譲らなかったために決算不能に陥り(監査法人に従えば大幅な赤字決算になる)、それが取引銀行の耳に入って運転資金融資が止まり、今年1月に倒産に至りました。
某監査法人は、この海外投資金はほとんど回収不能と判定したのですが、契約書類などの書類審査だけで判定したに過ぎません。投資先の国へ出かけて現地調査をした訳ではないのです。(ちなみに最近、投資先から連絡が入り、送れていたプロジェクトが動き出したとのこと。つまり、海外投資金は不良債権ではなかったのです。)
倒産によって、400人の従業員が失業し、その家族を含む1000人余りの人の生活がピンチになったのです。今は不況ですから再就職も大変でしょう。
rerere123様、締めないで開けたままにして頂いて有難うございました。
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