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No.1ベストアンサー
- 回答日時:
民法のテキストなどで契約の成立要件、有効要件、効果帰属要件、効力発生要件という四つの要件について説明がありませんでしたか?
成立はしていても有効でない契約というのは、債務者が履行すればそれはそれで構いませんが、法的保護には値しないので、裁判を起こして履行を求めるようなことはできません。
あまりにも基本中の基本に対する質問だったようで、お恥ずかしいです。四つの要件、必ず確認します。
>成立はしていても有効でない契約というのは、債務者が履行すればそれはそれで構いませんが、法的保護には値しないので、裁判を起こして履行を求めるようなことはできません。
まさに知りたいことでした!
過不足のないご回答、ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
まさに条文そのまんま。
まず、効力がない=法的保護に値しない=裁判で認めてもらえない(請求棄却になる)ってこと。そして具体例は、保証契約を締結したが書面を作成しなかった場合。そのまんまだね。実際に問題となるとしたら書面の不備とか書面の作製が保証人の意思に基づいてないとかそういうところだろうけど、少なくとも条文の意味は、書面の作成をしないと保証契約は無効だよという意味でしかない。あとは法的評価の問題として書面を作成したといえるかとかそういう話にはなりうるけど、これは事実の評価の問題だから、ケースバイケース。
理論上、契約の成否と有効性は区別するということになってるから、書面の存在が成立要件か有効要件かという区別ができるのね。そこで書面の存在は条文上「効力を生じない」と言ってるんだから明らかに有効要件。だから、成立はしているけど無効だよという話になるわけだ。
ただ、実際問題として、成立しているけど無効という状態と不成立という状態は、結果的には同じと言っても良い。細かいことを言えば一口に「無効」と言っても色々あるので不成立と無効を単純に同じと考えるわけにはいかないこともある
(例えば取消的無効と言われる錯誤の場合には、無効主張をしなかった場合における契約の成立時期が無効主張をしないことが確定したときでなく、あくまでも最初の意思表示の合致時点となる。これが契約自体不成立とすると、無効主張をしないことが確定した時点を契約の成立時と考える余地がある。例えば無効行為の追認類似として119条ただし書を類推して無効主張しないことが確定した時点に契約が成立したと考えることができる)
んだけど、実際にはほとんど差がない。いずれも法的効力が生じないという点では同じだから。分析的に見た方が 解 り や す い ということはあるけどね。
ちょっと来歴に触れると、元々、書面の作成を有効要件とする契約は民法上は存在しなかったのね。保証契約もあくまでも合意だけで成立する諾成契約であってその有効要件もまた他の諾成契約と何ら変るところはなかったの。だけど、保証人の責任の重さに対してその認識を欠く保証契約が横行して問題になったので、保証契約に関しては慎重さを要求するべしということで書面の作成が有効要件である要式行為
(要式行為というのは、法定の一定の手順を踏まないと不成立または無効となるもの。保証契約は条文上「効力」とあるので無効となるのだが、一般論としては不成立の場合もあるので注意)
とする改正をしたわけ。それが今の条文で、書面を作成しないと、成立自体はするけど要式行為だから無効だよってわけ。
ただね、もし書面を後で作った場合に契約の成立時点はいつ?って言えば、合意の時となるはずだ。あくまでも基本は諾成契約だから合意だけで契約は成立しているの。ただ効力がないだけ。だから、後で書面を作成すれば遅くともそこから有効になる(もしかしたら成立時に遡るとする見解もあるかもしれない)けど成立自体は既にしていたと見るべき。そこで例えば合意後書面作成前に当該保証契約に基づいて何らかの担保物権の設定を行ったとしよう。この場合には、保証契約は効力を生じていないが一応成立自体はしているので、文書作成により事後的に保証契約が有効となれば担保物権はその保証契約に基づくものとして問題なく有効として良いだろう。
成否と有効性を分けるのにはこういう場合も意味があるだろうね(一言で言えば、追完を認めるには成否と有効性を分ける方が都合が良い)。
ところで一つだけ補足しておくね。
無効=法的拘束力がないというのは民事訴訟で請求認容判決がもらえないという意味なんだけど、債権に関しては実は一つだけ例外がある。
そもそも債権の効力というのは、訴求力、執行力、給付保持力という3つに分類することができる。訴求力とは、つまり裁判に訴えて債権の存在を認めさせることができるってこと。執行力とは、つまり強制執行ができるってこと。そして給付保持力というのは実際に債務の弁済を受けたら返す必要がないってこと。
んで、普通は訴求力のない債権ってのは法的保護に値しないということだから無効なんだけど、唯一の例外として自然債務というのが判例上認められている(実際に自然債務と認定した事例はないと思うが。有名なカフェー丸玉女給事件は、差戻し審で自然債務 で は な い という結論で確定している)。この自然債務は訴えても請求棄却になる、つまり訴求力がない(当然執行力もない)んだけど、もし債務者が任意に弁済すれば給付保持力があるから不当利得とならず、返還する必要がない。つまり、あくまでも債権としては有効。ただ給付保持力だけしかない債務という特殊な債務なわけ。
ところが、保証契約で書面を作成しなかったために無効となった場合、仮に任意に履行したとしてもそれが非債弁済として返還請求ができない場合を除き、不当利得に基づく返還請求ができる。つまり、給付保持力すらない。
だから、書面によらない保証契約は自然債務のように訴求力はなくても一応債権としては有効なものとは違う。あくまでも「無効」であり、そうである以上、給付保持力がないから非債弁済で返還が認められない場合を除き、不当利得となる。
>効力がない=法的保護に値しない=裁判で認めてもらえない(請求棄却になる)
基本中の基本だったようで、自分は、それを抑えずに漠然と勉強をしてきたようです。
拙い質問にも、丁寧なご回答ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
>具体例などありましたら教えてください。
こないだ(平成16年)にできたばっかりの条文(改正)ですから、まだ最高裁での判断はないと思います。
よって、具体例はないと思います。
民法
第一目 総則
(保証人の責任等)
第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
ですので、1さんのおっしゃるとおりと判断して宜しいと思います。
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