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<物権行為(物権契約)の独自性について>

物権変動が生じるためには独自の(1)「物権行為(物権契約)」が必要かという問題がある。

つまり

売買契約などのほかに、所有権の移転だけを目的とした物権行為(物権契約)が必要かということである。

●通説判例は、物権行為(物権契約)の独自性を否定。

 (2)「売買契約」が締結されれば(3)「債権債務」が発生するとともに、(4)「所有権の移転」も生じると考える。
すなわち独自に物権行為(物権契約)をしなくても(5)「物権変動」が生じる。
この考え方によれば176条の「意思表示」とは売買契約など(6)「債権契約」の意思表示を指すことになる。

●物権行為(物権契約)の独自性を肯定する見解

 物権変動が生じるためには、常に債権契約とは別個に物権変動を目的とする契約(物権契約)が必要だと考える。
もっとも、登記や引渡しがあれば、これをもって物権契約があったと考えていく。
この考え方によれば176条の「意思表示」は物権契約の意思表示を指す事になる。

(1)「物権行為(物権契約)」とは・・・・
 買主が売主に登記を移転してくださいと言うことで良いでしょうか?

(2)「売買契約」とは・・・・
 売主買主で、売ります買います。ということで良いでしょうか?

(3)「債権債務」とは・・・・
 例えばA買主 B売主としてB所有の甲土地の売買契約だったとして、AさんがBさんに土地を引き渡して(←どこまで?所有権移転?占有?)ください。と言うことや、BさんがAさんにお金を払ってくださいと言うこと。で良いでしょうか?

(4)「所有権の移転」とは・・・・
 もし争いごとになった時には、裁判所があなたにはちゃんと所有権がありますよ。と言われる位の強い立場を移転してもらう。ということで良いでしょうか?また不完全な移転も含むのでしょうか?

(5)「物権変動」とは・・・・
「所有権の移転」と、「物権変動」では、意味が違うのでしょうか?どうしても同じようにしか思えなくて^^;

(6)「債権契約」とは・・・・
 登記を移転して下さい(←物権契約?)というのも人に請求しているのであって、債権契約のように思えてしまうのですが・・・・それは違うのでしょうか? 
違うとしたら、{売買契約など(6)「債権契約」}とは、「土地を引き渡してください。お金をください。所有権を移転して下さい。」ということを指しているのでしょうか?↑所有権移転してください。までは入らないですかね^^;

どなたかお答え願えませんでしょうか?

(1)~(6)のどれかひとつだけ。のような解答でも、大変助かります。
よろしくお願いします。m( __ __ )m

A 回答 (3件)

まず前提として、日本の法制度では物権行為の独自性を認める必要性が乏しく、そのため「独自性」を想像しにくいのです。


ドイツ法学では独自性を認めていますが、これはドイツでは土地所有権の移転に登記を変えることが要件となっているからなんです。つまり、(1)土地を売買しますという意思表示と(2)売買で移る所有権に基づいて土地の登記を移しますという意思表示の両方が揃って初めて土地の売買ができるのです。だから(2)を独立して考える有用性があるのです((2)が有るか無いかで売買契約の有効性が変わってくるから)
これに対し、登記の移転が土地所有権の移転の要件でない日本では、(2)を独立して考える有用性がないのです。(2)が無くても売買は有効だし、そもそも売買契約の内容として登記の移転を求められるので(日本民法がドイツ民法を承継したという歴史的背景から、概念的にこういう議論がなされているだけと考えてください)。

さて、前ふりが長くなりましたが…
(1)本来的には「物権(所有権等)を移してください」という行為又は契約です。
(2)良いです
(3)「債権」とは特定人が契約等の根拠に基づいて特定人に一定の行為を請求することです。この例ではAはBから土地の所有権を買っているわけですから、所有権を移し、それに付随して利用権(占有等)も移せといえます。
(4)所有権とは物を使用・収益・処分する権限ですので、所有権を移転するということは、かかる立場を移転することです。
なお、所有権について「不完全な移転」というのは通説的な立場では考えません。登記が無いことで第三者に対抗できないことはありますが、これは主張の可否の問題であって、所有権自体が移ってないわけではないと考えるからです(直感的には分かりにくいとは思いますが^_^;)
(5)売買に限れば同じです。ただ、「物権変動」というと他の物権(抵当権や地上権など)の変動も含みます。
(6)まず、物権契約も契約である以上、人に請求しているのです。ただ、「物権の移転」を対象とした部分を特別に抽出しているだけなのです。
イメージ的には、「債権契約」の中に「所有権を移転します」というとう「物権契約」の内容は本来的に含まれているのです。ただ、売買契約とは別個に登記移転の意思表示が必要なドイツ民法では「所有権の移転により登記を移転します」という意思表示を別個に(というより改めて)する必要があったのです。両者が並立関係ではなく、包摂関係にあるとイメージすれば、理解しやすいかなと思いますよ。
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この回答へのお礼

ご解答ありがとうごおざいます!^^

ドイツ民法と日本の民法とで違うので、こういう説が色々うたわれているのですね。

所有権の移転時期や取引の安全性など・・・

ご教授していただいたおかげで、解説書も、だいぶ読めるようになってきました。 勉強が進めていけるので、本当に助かりますm( __ __ )m

ドイツではきっと・・・・
売買契約を結んで、それにより金銭引渡し債務と土地引渡し債務を発生させる段取りみたいな感じで売買契約があり、そして、物権契約(行為)により所有権が無事移転した時に、その売買契約で段取りさせていた債権債務が有効に発生するみたいなイメージなのかなあと、今はそれで納得しています。←自分の勝手なイメージなので間違っている可能性も結構あると思うのですが、一応それで踏ん切りつけました^^;

お礼日時:2008/10/16 21:48

(1) 「物権行為」とは、売主から買主に所有権を移転させる法律行為です。



「物権行為」が具体的にどのような行為であるかは、当事者の合意がまず優先します。

例えば、事前に「売買代金の支払いと同時に所有権が移転する」と合意されていれば、買主が売買代金を支払う行為が物権行為となります。「引渡しと同時に所有権が移転する」という合意があれば、売主が引き渡すという行為が物権行為になります。

また、「売買契約の成立と同時に所有権を移転する」という合意であれば、「売買契約をする」という行為自体が、同時に、物権行為となります。

もっとも、現実には、このような所有権移転時期について明示の合意がない場合もありますので、その場合は、「代金支払い」「引渡し」「対抗要件具備行為(登記、占有改定など)」のいずれかが行われた時点で、物権行為があったと擬制されます。

(2) はその通りです。

(3) 典型的な土地売買契約の債権債務は
・AのBに対する債務
 土地の引渡し、所有権移転登記手続きへの協力
・BのAに対する債務
 売買代金の支払い
です。通説判例では、売買契約が成立した時点で、勝手に所有権が移転するのですから、所有権移転義務が債務に含まれる余地はありません。

(4) 少なくともAとBで争いになった場合については、裁判所は、Bが所有者であると認めます。もっとも、登記を得ていない(対抗要件が無い)のであれば、A以外の第三者にはそれを主張でき無い場合もあるでしょう。その意味で、完全な所有権の移転ではありません。

(5) 「所有権の移転」は「物権変動」の一部ですね。「地上権の設定」など、他にも物権変動はあります。

(6) 「登記を移転して下さい」と請求するのは、基本的に物件契約でも、債権契約でもありません。契約に基づいて、債務の履行を請求するというのは、法律行為ではなく、事実行為です。
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この回答へのお礼

ご解答、ありがとうございます!^^

(1)(3)、具体的に説明してくださり、本当に助かりました(´;ω;`)
モヤモヤがパッと明るくなった感じがして、それを切り口に勉強を進めていくことが出来ました!

他の解説も、本当に頭にすんなり入っていき、とっつきにくさが感じなく、初学者の僕には本当に助かりました^^

本当にありがとうございましたm( __ __ )m

お礼日時:2008/10/16 21:31

まず間違いを指摘。



>物権変動が生じるためには独自の(1)「物権行為(物権契約)」が必要かという問題がある。

じゃありません。「“常に”必要かという問題」です。質権設定契約などは要物契約であり、占有移転という物権行為なしには成立しませんから、“必要な場合があるのは間違いない”のですから。

さて、ANo.1の回答で十分足りてると思うので蛇足かもしれません。
但し一つだけ指摘しておくと、日本でも物権行為の独自性を論じる意味はあります。ないなら論じませんよ。日本で物権行為の独自性を論じる実益は、所有権の移転時期をいつと考えるかということに付きます。物権行為の独自性を認めれば、物権契約と評価できる行為の時点まで所有権の移転時期をずらせるので、所有権の移転時期により結論が変わる議論をするときには都合がいいことがあるのです(もちろん、物権行為の独自性を否定しても所有権移転時期を契約の解釈でずらすことは可能です。その意味では必須ではないのは確かです)。
各小問を見ると別に物権行為の独自性の問題を無視してもほとんどの部分は問題ない気がします。そこで物権行為の独自性の問題はできるだけ無視して各小問の話をしておきます。説明が前後するので本当は順番を変えるべきなのですが……、ちょっと疲れたのでそこは勘弁してください。

(1)もうちょっと厳密に言えば、“物権変動そのものを目的とする法律行為(≒契約)”あるいは“効果として物権変動を生じる法律行為”とでも言うべきです。つまり、その行為によって物権変動が生じる行為であると。そう考えると「移転してください」だけじゃ駄目なんです。「解った、移転する」となって初めて物権が移転するという効果が生じる、つまり物権行為となるのです。
(2)まあそういうことです。この物を買いたいという申込みの意思表示とその物を売りましょうという承諾の意思表示が合致することが売買契約であると。
(3)債権というのは、簡単に言えば“ある誰かにある何かをしてもらえる”という法的な地位のこと。
債務とはその反対で、“ある誰かにある何かをしなければならない”という法的な地位のこと。「何かをする」が何かを渡すことだったり(与える債務と言う)、文字通り何かをする(しないの場合もある)だったり(なす債務と言う)することはありますが。
両者は表裏の関係であり、債務者から見た債務は裏返せば相手方(債権者)にとっては債権ということになります。従ってある一つの債権債務関係は少なくとも両当事者のそれぞれの立場から見て一方からは債権でありもう一方からは債務であるという二面性が常にあることになります。ちなみに、この債権債務関係が二つあってその二つが相互に対価関係にある場合を双務契約と言います。
さてこの債権債務の内容が具体的になんであるかは質問の例で言うと実は簡単ではありません。(物権行為の独自性を否定する)判例に従えば、契約が効力を生じると所有権は移転してしまうので所有権の移転義務は売主にはもはやないというのが理論的な結論(もちろんそれと異なる特約があれば別です)。そうすると特約がないとすでに所有権は移転しており、売主には所有権を移転する債務はないということになります。つまり、債務の内容は基本的に契約内容によって変わるということになります。例えば所有権を移転してもそれを売主が買主から借りたことにしてそのまま使い続けるということはあるので占有移転は必ずしも債務とはなりません(正確に言えば、所有権が移転した時点で買主は占有改定により占有を取得していますので占有移転は既に済んでおり、ただ現実の引渡しが債務ではないだけです)。売買契約に付随する内容として土地の登記移転義務を売主は債“務”として負うのが普通ですが(買主は登記移転請求権を債“権”として有する)、たまたま登記名義が先にあるということがないとも言えないので、債務の内容ではないということもあり得ます。
売主の方は、即金でなければ代金支払義務があるのでそれは売主にとっては代金支払債“務”であり同時に買主にとっては代金支払請求権という債“権”です。
(4)「所有権の移転」とは文字通り所有権者(つまり所有権という権利の権利主体)が別の人に代わることです。訴訟で誰に所有権があるかどうかを認定するのは全く別次元の話です。それが完全であるかどうかという話もまた次元の異なる話です。
(5)「物権変動」とは、物権の発生、変更、消滅のことです。所有権の移転とは(4)の通り所有権という物権の権利主体が代わることですが、この場合、新所有者の下で新たに所有権が生じると考えて一応“発生”の一例と考えます。おそらく実社会で最も多い例でしょう。しかし、あくまでも物権変動の一種でしかなく、物権変動はそれ以外にもあります。つまり、所有権の移転は物権変動の一種だがそれが全てではないということです。
例えばコンビニでおにぎりを買ったとしましょう(いわゆる現実売買)。これは売買契約であり、おにぎりの所有権は買った人に移ります。これは所有権の移転であり、物権変動の一種。この後このおにぎりを食べてしまうと、物権の客体が存在しなくなるので物権が消滅します。これもまた物権変動の一種です。家を建てたらそれまで家の材料それぞれに存した所有権は消滅して家という一個の客体に対する所有権が発生します。
(6)そもそも物権契約というのは物権変動を効果とする法律行為であるわけですが、売買契約により直ちに所有権が移転すると考える判例の立場では売買契約は所有権移転という効果を生じるのですから物権契約であると考えていいはずです。しかし、民法555条を見れば解るとおり一般論として所有権移転は売買契約の効果ではありません。あくまでも売買契約により所有権移転義務を負うだけで、ただ原則的にはその契約が効力を生じると同時に所有権が移転してしまうというだけのことです。ですから、売買契約が物権行為だというのはやはり正しくありません。ただ単に、物権行為を要せずに所有権が移転するだけのことなのです。
いずれにしても、売買契約に基づく登記移転請求権は債権ですから登記移転請求権を設定する契約は債権契約に他なりません。登記の移転が所有権移転という“物権変動を効果とする”行為であると考えても、物権行為となるのは登記移転自体であって登記移転を“要求する行為”は債権です。物権行為である物権行為の独自性を認める見解では、売買契約は物権行為を要求する債権を設定する“債権”契約と考えるのです。物権行為の独自性を認めない見解でも売買契約に基づく登記請求権自体は債権です。
ところで、物権契約の代表は例えば質権設定契約です。質権設定契約は要物契約であり質物の引渡しにより効力を生じます。この契約は、質権という物権の発生を目的とするもので典型的な物権契約です。そう考えると、売買契約と同時に他に何もしなくても所有権が移転するのであればそれは本来、物権契約であると考えることは可能ですが、民法555条の文理上そういうわけには行きません。また、売買契約と一口に言っても他人物売買では所有権が直ちに移転せず、所有権を移転する義務を売主が負担するので、物権の移転を目的としていると言っても契約が効力を生じても所有権移転の効果が生じない以上、これは明らかに物権契約ではありません。ですから、売買契約は物権契約ではなくあくまでも所有権移転義務を負担するに過ぎない債権契約であると考えるのが理論的には正しいということになります。

……うーん。どうも上手く説明できなくて無駄に長くなってしまいました。
勉強の途中なら、物権行為の独自性は否定するのが判例通説なので、ひとまずそんな話があるくらいに思っておいて先へ進んだほうがいいと思いますよ。
せいぜいが物権行為は“物権変動という効果を生じる”ものであり物権変動を生じないのならば物権行為ではないということくらいを理解しておけば足りるのではないかと思います。
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この回答へのお礼

ご解答ありがとうございます!^^

大変難しいところに疑問をもってしまったのですね^^;

具体的かつ親切丁寧なご説明をしていただき、感激です!

何度も何度も読まさせてもらいました!

今まで、債権債務について深く考えたことが無かったので、今回は本当に勉強になりました。

「質権設定契約が物権契約の典型」というところや、「物権行為となるのが登記移転自体である」というところ、また、「売買契約は物権契約ではなくあくまでも所有権移転義務を負担するに過ぎない債権契約であると考える。」というところを読んだら、質問させていただいた見解文がだいぶ抵抗なく読むことが出来ました^^

あと、その他も大変勉強になりました!

質権設定契約が物権契約の典型。
他人物売買では売買契約を結んだ時点では、所有権が移ってないので物権行為とは言えない。だから所有権移転義務を負担するにすぎない債権契約である。

判例に従えば、契約が効力を生じると所有権は移転してしまうので所有権の移転義務は売主にはもはやないというのが理論的な結論(もちろんそれと異なる特約があれば別です)。そうすると特約がないとすでに所有権は移転しており、売主には所有権を移転する債務はないということになります。

あと、占有改定の時。
売買代金が即金で支払われたとき。(売買契約締結のときに支払われるときですよね^^ ←登記移転時にではなく、または代金支払いの時に登記が移転する時とかじゃなくて。ということですね)
のそれぞれの場合は債権内容に入るかはいらない時がある。

本当にありがとうございました^^

555条が「売買の効力を発生する」とだけうたっており、具体性が無いので複雑になっているのですね^^;

お礼日時:2008/10/16 21:21

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