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傷害罪の成立要件

傷害罪は、具体的にどの程度の害を与えれば成立するのでしょうか?
例えば殺人罪などは、「他人の命を奪った」という、成立のための
明確な基準があると思うのです。
ところが、傷害罪の場合、身体的精神的な害を与えるといっても、
説教のために子供をひっぱたく程度で傷害罪が成立するとは聞いたことがありません。
一方で、怪我をさせなくても他人に排泄物をぶつけた場合で傷害罪が成立すると聞いたことがあります。
一応の目安として、「病院にかかるほどの怪我をさせたかどうか」と考えてよろしいのでしょうか?

例として、最近の僕の経験ですが、
知人に、「もうあなたの条件では厳しいのだから、風俗や闇金に就職すべきだ」と
押し付けがましく平然と言われて腹が立ったことがあるのですが、
もしそこで知人を殴ったら逮捕されたでしょうか?

A 回答 (3件)

続きです。



そこで、質問の例を検討してみましょう。
「説教のために子供をひっぱたく」ですが、既に説明したとおりに「怪我をしたかどうか」が問題です。怪我をしていなければ傷害罪にはなり得ません。なお、この場合でも「暴行罪」にはなります。暴行罪というのは、暴行を行ったが傷害結果が生じなかった場合を言います。しかし、「説教のため」であれば、その「ひっぱたく」行為が社会通念上相当である限りは、違法性を欠くものとして、犯罪が不成立になります。これが先ほど述べた「後回し」の話で、たとえ暴行罪あるいは傷害罪に形式的には該当する行為でも社会的に相当な行為である限りは、違法性がないものとして犯罪が成立しないことになります。しかし、いくら説教のためでも「殴る蹴るの暴行を加え」などという場合にはもはや社会的に相当として是認できないわけですから、暴行罪、傷害罪になり得ます。これが躾と虐待の違いというわけです。しかし、絶対的な線が引けないのもまた分かりますよね?
「他人に排泄物をぶつけた」ですが、これもまた「行為の話しかしておらず結果が不明」です。傷害結果が生じたか否かが不明ですから、これをもって「傷害罪となる」とは言えません。他人に排泄物をぶつけるのは暴行罪にはなります。しかし、傷害罪になるには更に傷害結果が必要なのです。例えば、その排泄物が口から入って下痢をしたなんてことになれば傷害結果を認めることはできます。

これは余談です。
そこで先ほど「故意」の話をしましたが、実は、暴行の結果として傷害が発生した場合には、暴行であることだけを認識認容していれば結果を認識していなくても故意があるとするのが判例です。ですから、傷害の結果を認識している必要はありません。え?さっきは(2)~(4)の認識が必要だと言ったって?そうです。ここが傷害罪の特殊性で、「暴行による場合」は傷害結果の認識が不要であるが、「暴行以外による場合」には傷害結果の認識が必要と考えるのが通説的見解なのです。具体的には「無言電話を掛け続けてノイローゼにする」というのが典型例です。「無言電話をかける」のは「暴行」とは言えません。しかし、この行為によって傷害結果を惹き起こす可能性は十分あるので傷害罪の実行行為となり得ます。この場合には、暴行ほど傷害結果の生じる蓋然性が高いとまでは言えないので傷害の結果について故意を要すると考えるのが通説なのです(判例は特に何も言っていませんが、おそらく同じでしょう)。つまり、傷害罪と一口に言っても暴行による場合とそうでない場合とは違うのです。
簡単に整理すると、
暴行の意図で行った暴行により傷害結果を生じた→傷害罪
暴行の意図で行った暴行によって傷害結果は生じなかった→暴行罪
傷害の意図で行った暴行以外の行為で傷害結果が生じた→傷害罪
傷害の意図なく行った暴行以外の行為で傷害結果が生じた→犯罪不成立(ただし過失傷害罪の可能性はある)
ということになります。
以上余談です。

さて、最後の質問。
これもまた話が混乱してます。逮捕されるかどうかは確かに犯罪成立の可能性が十分あることが前提ですが、あくまで手続の問題なので犯罪の成否とは別です。「腹が立って殴った」というのは動機と行為の話しかしていませんから、暴行罪にはなりますが傷害罪になるかどうかは不明です。怪我をさせれば傷害罪ですし、怪我しなければ暴行罪どまりです。
相手がそれに対して現行犯逮捕あるいは、警察に知れて警察が必要と判断すれば通常逮捕という事もあり得ますが、逮捕しないこともあり得ます。それは犯罪の成否とはひとまず次元が異なる話です。
いずれにしろ、暴行罪は確実です。誹謗中傷を受けて腹が立ったというのは「殴ってもよい言い訳にはなりません」。
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この回答へのお礼

いまさらですが、ご回答ありがとうございました。

「暴行」と「傷害」の違いや
「暴行」以外でも傷害罪が成立する可能性があること、
暴行の結果として障害が発生した場合、暴行という原因のみ認識すれば成立しうる
などが勉強になりました。

お礼日時:2010/08/04 20:42

まず単刀直入に答えれば、「生理的機能を害するのが傷害」というのが判例の考え方です。

よって、病院に行く必要は全くありません。判例の例では、胸部の疼痛、長時間の失神、キスマークなども「傷害」に当たります。

さて、少々話が混乱しているので整理してみましょう。

傷害罪における「傷害」の意義については幾つか説があるのは確かです。一応判例の線では生理的機能を害するのが傷害だと思ってください。他の説には、身体の完全性を損なうこととか生理的機能を害すること+容貌に重大な変更を加えるとかそんなのがあります。

そうすると「子供をひっぱたく」のが傷害に当たるかどうかと言うのは当たるはずがないということになりますが、それは「説教のために」だからではありません。「説教のために」というのは単なる動機であって、傷害罪の「傷害」の意義とは何の関係もありません。そして、「子供をひっぱたく」のが傷害に当たらないのもまた、傷害罪の「傷害」の意義とは無関係です。ひっぱたいたとしても「生理的機能を害しない」ことはいくらでもあります。「傷害という結果が生じていない」限りは傷害罪になりません。つまり、「子供をひっぱたく」だけでは「傷害結果が生じたかどうかが不明」だから傷害罪であるとは言えないというだけの話なのです。子供をひっぱたいて怪我をさせたのなら傷害罪になる可能性は十分あります。
ここに「混乱」があるということです。つまり、「傷害」という結果の意義が質問の中心でありながら、「行為とか動機とか結果とは別の問題しか含まない例を挙げる」というのが「混乱」だということです。

さて、基本に立ち返って説明しましょう。
傷害罪とは、人を傷害することで成立する犯罪ですが、その成立にはまず、(1)意図的に(2)人を傷害するに足りる行為を行い(3)その結果として(4)人を傷害することが必要です。
そして、(1)意図的にというのはつまりわざとと言うことであり、法律的には故意があると言いますが、これは(2)~(4)の内容を分かった上でそうなっても構わないと思っていることです(傷害罪の場合は実はちょっと話が違いますが後で説明します)。この故意の検討は最後にやるのが普通ですが、説明の便宜上最初に書いておきました。
(2)傷害するに足りる行為とは、およそ傷害するに足りない行為ではそもそも傷害の結果を招く現実的危険性がないので傷害罪の実行行為とは言えないということです。例えば、自動車事故が起ることを期待して自動車に乗せたら本当に事故が起こって怪我をしたとしても自動車に乗せることをは傷害結果を招く現実的危険性のある行為とは言えないので傷害の実行行為性がないということです。
(3)その結果としてというのは、(2)のせいで(4)が起ったという意味で、因果関係のことです。結果は生じたが、行為と無関係に生じたのであればそれは傷害罪の結果を行為者のせいにはできないという話です。
(4)人を傷害することというのがまさに結果。
この全ての要件を満たすと初めて傷害罪が成立するのですが、厳密には更に、それでも犯罪が成立しないことがあります。が、それは後回しにします。

文字数が足りないので続く。
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「病院にかかるほどの怪我」で概ね正解です。


健康状態に害が無い程度の行為なら暴行罪が適用されます。

髪を切ったり、排泄物をぶつけたりする行為も暴行罪が基本です。
ただし、それにより相手がショックで鬱病など発症したら傷害罪となります。

子供へのしつけなど社会通念上常識の範囲内であれば暴行罪にはなりません。
それと、相手がその行為に同意していれば病院に行くような怪我をしても傷害・暴行は成立しません。


>もしそこで知人を殴ったら逮捕されたでしょうか?

逮捕されます。
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この回答へのお礼

いまさらですが、ご回答ありがとうございました。

知人に
>「もうあなたの条件では厳しいのだから、風俗や闇金に就職すべきだ」
と言われた時、あまりにも悔しくて、攻撃したい衝動を抑えたことがあったので、
気になってました

お礼日時:2010/08/04 20:43

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