2011.7発行の中公新書:深井有著「気候変動とエネルギー問題」を読みました。その冒頭部分にクライメートゲート事件についての説明があり、クライメートゲート事件の核心である二酸化炭素増加を地球温暖化の原因としている現在の理論が間違いであるということを認めたうえでそのあとの気候変動の原因などの理論が展開されています。
ところが、このクライメートゲート事件関連し、「気候研究ユニット・メール流出事件」としてWikipediaに解説されている内容によれば、「しかし公的機関による調査の結果、不正の事実は何も見あたらなかった。」とあり、この事件は否定されているような内容になっています。
これが真実とすると、前記中公新書の内容は全体的に否定されてしまうことになりそうです。中公新書のように信頼のおけそうな書籍が間違ったことを書いていることになってしまいます。
いったいどれが正しくてどれが間違いかわからなくなってしまいました。この件についてどなたかもう少しわかりやすく解説していただけないでしょうか?
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
ご丁寧なお礼をいただきまして、どうもありがとうございました。
ひどっち です。> 純粋な学問ならば本当はそんなことは許されないことでしょうけれど、たとえば真に二酸化炭素の増加が温暖化を引き起こしているなら早くから警告を出した方がよいので、ある意味では拙速が許されるのでしょうか。
はい。そういうことかと思われます。”節約”、”無駄使いはしない”等、大切なことも含まれているとも思われます。
ただ、実際温暖化が起こっているのかどうか(グラフの縦軸の目盛を実際見ていただくとお分かりかと思いますが、かなりの誇張が認められます)、もしそれが事実だとしますと(地球物理学者は、寒冷化を謳っていますが)、何が原因なのか? これに対する解答は得られていない状況にあります。かような状況下において、積極的に温暖化対策などしてしまいますと、日本経済はさらに失われた30年を経験することになりかねない、という危惧感から、温暖化対策に否定的意見が多いとも考えております。
欧州等では、キャプトレード等を用いて、別ルートからの利益は見込めるかもしれません(バブルが起こる可能性は否定できませんが)。ですが、こんな取引が日本には不向きかと考えております。排出量の上限を誰が決めるのか? それは主に行政に委ねられます。そうなりますと、お上が産業の上限を決めてしまう、ということになります。不透明感の高い我が国においては、おそらく”政官財の癒着”が見られ、そして、もしそれが明るみに出されたりしますと、メディア等によるお決まりのバッシング合戦を見さされるはめになってしまいます。もちろん、環境税を課す等は産業の停滞を来す結果ともなってしまいます。
> 「研究費欲しさのためと」いう件にちょっと関係し、東海地震については早くから研究されていたのに、東北方面の地震について研究がおろそかになっていたのではないかという疑いに対し、東海地震については研究予算欲しさに騒いだ結果であって、その結果東海地方への地震計など、過剰に設置されているという意見を聞いたことがあります。
はい。今回の震災で明るみに出されましたが、補助金・科学研究費の配分等は非常に政治的なものが含まれております。
何かしらのご参考になれば、幸いでございます。
Hidotchiさま、重ねてのご意見ありがとうございました。
私からのお礼文にも丁寧にコメントをいただき、ありがとうございました。
Hidotchiさまはじめ多くの方から貴重なご意見をいただき、大変良い勉強になりました。温暖化について世の中で議論されていることの内情がよくわかった気がします。
これで、これから関係する書物を読んだり、情報を仕入れた時、どのように見るかについてよい参考になりました。ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
こんばんは、ひどっち と申します。
> そうすると、クライメートゲート事件そのものがもともとナンセンスな事件だったということでしほうか。
おそらく、CO2温暖化説の虚偽を暴く決定打にはなれなかった、ということかと考えられます。
> 中公新書:「気候変動とエネルギー問題」の著者、深井有氏は物理学専攻の学者のようですが、気象学の専門家ではないようです。彼はクライメートゲート事件で日本で報道された部分だけを取り出して地球温暖化の原因は二酸化炭素ではないと決めつけてしまってこの著書を書き上げてしまったということなのでしょうか。
おそらく、著者の最も主張したかったことは、「温暖化対策という莫大な浪費に警鐘を鳴らす」ためのものだったかと思われます。CO2削減と簡単には言えますが、排出税等が導入されてしまいますと、競争面において国内の産業は不利な立場に立たされます。また、欧州の排出権取引のようなものは日本の国民性には馴染むかも疑問です。「待ったなし」の日本経済におきまして、まだ不確定要素の多いCO2説のために、産業の成長を阻止されるのは困る、ということかと考えております。
> クライメートゲート事件にもし事件性がないとしても、依然として地球温暖化の原因を二酸化炭素の増加にあるとすることへの疑問をはさむ余地が残っているということですね。
まだまだ研究が未熟ということでしょうか。
はい、そういうことでございます。
> それにしても、この問題はそれぞれに利害が絡んでくることだけに、いろいろなバイアスを持った理論がまかり通る可能性があることには十分気を付けなければなりませんね。
はい、例えば“エコポイント”なるものがございましたが、これも、“官僚の天下りポイント”とも揶揄されています。もちろん、様々な利権が絡んできます。
> しかし、wikipediaにある「気候研究ユニット・メール流出事件」に「しかし公的機関による調査の結果、不正の事実は何も見あたらなかった。」とあるのはそれ自体に間違いはなくても「温暖化原因が2酸化炭素増加であることには異論がない。」とは書いていないので、これにわざわざ修正が入るほどではないということなのでしょうか?
これは、Wikipediaの編集者に聞いてみなければ詳細はわかりませんが、概ねそういう理解でよろしいかと思われます。
> 本書籍の中で「一般の人は大気物理学者と気象学者の区別がつかない」という記述がありますが、そんなことよりも、「本当は何が真実なのか?」と問いたくなります。
もし、ICPPのシミュレーションが絶対的に正しいのならば、以下のような矛盾は出てこないかと考えられます。
http://chikyuondanka1.blog21.fc2.com/blog-entry- …
そもそも、複雑にしているのは、気象学者や地球惑星科学者・地球物理学者等、様々な分野の方達が議論していることかと思われます。つまり、そもそも同じテーブルでの議論が成立しにくいという現状があろうかと。
> 原発の問題もそうですが、産業とか国とかいろいろ利害が絡む問題に関係する学問には相当バイアスのかかった議論が多すぎるように思えます。
以前にも、愚生が質問させていただいたことがございますが、“研究費欲しさのため”、“CO2イデオロギー”といったものがまかり通っている分野かと考えております。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/5267922.html (noname#135843とは以前用いていたネームです)
> 本書でまた、査読のある論文でも査読者がだれかということで評価が違ってくるので、それよりも今はネット上のブログなどで意見を戦わした方がよい結論が得られると書いてあります。一般に公開されたブログなら、「やらせ」などもないでしょうからね。
まず、前者の問題でございますが、もちろん、派閥なるものが存在するため、レフリーが誰かにより、その投稿論文の審査に影響が必然的に出てきます。
後者につきましては、CO2説派の人たちは、自説を主張するよりも懐疑論者への非難に注力していますし、また懐疑論者にしましても、また然りでございます。
ご参考になれば、幸いです。
Hidotchiさま、いろいろご意見ありがとうございます。
やはりまだよくわからないことが多い段階ということですね。そういう状況の中で結論を早く出しすぎているという面があるのでしょうね。
純粋な学問ならば本当はそんなことは許されないことでしょうけれど、たとえば真に二酸化炭素の増加が温暖化を引き起こしているなら早くから警告を出した方がよいので、ある意味では拙速が許されるのでしょうか。
「研究費欲しさのためと」いう件にちょっと関係し、東海地震については早くから研究されていたのに、東北方面の地震について研究がおろそかになっていたのではないかという疑いに対し、東海地震については研究予算欲しさに騒いだ結果であって、その結果東海地方への地震計など、過剰に設置されているという意見を聞いたことがあります。
ブログが本当に公平な議論のできる場かというと、これもうっかりすると泥仕合の場になってしまうという危険性があることは認識しておく必要はありますね。
No.4
- 回答日時:
そもそも、前提がおかしいんですよ
>中公新書のように信頼のおけそうな書籍が間違ったことを書いている
いくら中公新書といえ、一般書籍だから内容に間違いがあることは十分にあり得ます。出版社側が、内容を精査するわけでもないですから、著者の主義や思想がモロに現れるものです。深井先生(金属物性)や渡辺先生(光合成)は、専門は環境ではないですから、気候変動についてあまり深く理解していないで書いてる可能性もありますね。まあ、武田邦彦や池田清彦みたいなトンデモさんに比べれば、相当きちんとした先生なんでしょうけど。
私は、学術論文のように、出版される前に専門家の査読が入っているもの以外は、とりあえず「ふーん、そうなんだ」、程度の理解にとどめるようにしています。
気候変動については、私も専門ではないので深く書くつもりはありませんが、温暖化は人為的な二酸化炭素の増加によって起きている、という事実を示すデータは、メール事件でケチのついたデータの他にもたくさんありそうだなーと思いますよ。たった1つのデータに依存して、専門家の間でしっかりとしたコンセンサスが得られている、なんてことは、そうそうないですから。
地球環境研究センターのQ&Aとか(http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/qa_inde …)、Wikipediaの地球温暖化に対する懐疑論の記事とか(http://ja.wikipedia.org/wiki/地球温暖化に対する懐疑論)、すごく充実してますね。
negigiさま、ご意見ありがとうございます。
仰せのとおり、中公新書と言えどもすべてを信用してよいかどうか疑問は残るということですね。
深井有氏の本を終わりまで読み続けると、書いてあること一つ一つが正しいかどうか疑問を持ってしまうようになり、私のように気象の全くの門外漢にとっては読み続けることすら嫌気がさしてしまいます。
本書籍の中で「一般の人は大気物理学者と気象学者の区別がつかない」という記述がありますが、そんなことよりも、「本当は何が真実なのか?」と問いたくなります。
原発の問題もそうですが、産業とか国とかいろいろ利害が絡む問題に関係する学問には相当バイアスのかかった議論が多すぎるように思えます。
本書でまた、査読のある論文でも査読者がだれかということで評価が違ってくるので、それよりも今はネット上のブログなどで意見を戦わした方がよい結論が得られると書いてあります。一般に公開されたブログなら、「やらせ」などもないでしょうからね。
No.3
- 回答日時:
補足ですが、人為的CO2温暖化説の学者たちは、自らを「懐疑派バスターズ」と称して
ネット上での言論工作を行っており、wikipediaの温暖化に関する項目にもかなり手を加えています。
なのでネットでの情報収集にはかなり偏りがあると考えてください。
参考
http://ja.wikipedia.org/wiki/懐疑派バスターズ
http://www.yomiuri.co.jp/eco/ondan/on090223_01.htm
http://www.yomiuri.co.jp/eco/ondan/on090309_01.htm
この回答への補足
bougainvilleaさま、コメントありがとうございます。
wikipediaは一般の人の参画が許されているだけに、誤った記述があれば修正が入り、次第に正しい記述が生き残っていくものと思っていました。
しかし、wikipediaにある「気候研究ユニット・メール流出事件」に「しかし公的機関による調査の結果、不正の事実は何も見あたらなかった。」とあるのはそれ自体に間違いはなくても「温暖化原因が2酸化炭素増加であることには異論がない。」とは書いていないので、これにわざわざ修正が入るほどではないということなのでしょうか?
No.2
- 回答日時:
月刊化学2010年3月号と5月号にClimategate事件の時評が
載ってるので参考にしてみてください。
本文は電子書籍で読めます。
【時 評】
Climategate(クライメートゲート)事件──地球温暖化説の捏造疑惑 ●渡辺 正
http://www.kagakudojin.co.jp/book/b62762.html
【時 評】
続・Climategate 事件── 崩れゆくIPCC の温暖化神話 ●渡辺 正
http://www.kagakudojin.co.jp/book/b62760.html
No.1さんは人為的CO2による地球温暖化説を、他に犯人がないという理由で支持されてますが
私はただの自然変動なのではと考えています。00年代は温暖化してませんし。
CO2排出削減が政治的イシューになって、気候学が科学として歪んだものになってしまいました。
近年、温暖化対策として原発が推進され、取り返しの付かない結果になったのはご存じの通りです。。
bougainvilleaさま、参考資料のご紹介、ありがとうございます。
ご紹介の資料はまだ斜め読みに近い読み方しかしておりませんが、この資料によればクライメートゲート事件はまだ決着がついていないように見えますね。
こうなってくると、どれを最も信用してよいかわからなくなってしまいます。
クライメートゲート事件にもし事件性がないとしても、依然として地球温暖化の原因を二酸化炭素の増加にあるとすることへの疑問をはさむ余地が残っているということですね。
まだまだ研究が未熟ということでしょうか。
それにしても、この問題はそれぞれに利害が絡んでくることだけに、いろいろなバイアスを持った理論がまかり通る可能性があることには十分気を付けなければなりませんね。
No.1
- 回答日時:
クライメート事件で流出した多数のメールの中に、CRUのフィル・ジョーンズ所長が20世紀半ば過ぎからの気温下降を意図的に隠す事で、80年代からの世界的な気温の上昇を誇張するデータにごまかし(trick)があった事を示唆したものがありました。
同所長らは、同研究所から流出した電子メールが「本物」である事を認めたうえで、疑惑について声明を発表して、使われた単語としての「trick」は「新データの追加を意味する言葉」で、データ全体をごまかしてはいないなどと釈明しました。
以下長文になりますが説明します。
樹木は主に、春から秋にかけてよく生長しますが、気温が高い年ほどよく生長するので、その年の年輪の幅が広くなります。
なので、樹の年輪を調べれば、温度計測定以前の気温が推測できます。
しかし、1960年代からは、温度計での気温は上がっているのに、年輪幅が狭くなるという現象が起き始めます。
(1990年頃には約3℃にまで広がります。)
この、いわゆる「逆向き問題」は「IPCC」(気候変動に関する政府間パネル)の報告書でも言及されているので、秘密でも何でもないです。
理由は不明なのですが、1960年代以降は年輪は気温の推定に使えなくなった訳です。
そこで、ジョーンズは1000年間の気温の変化を表すグラフにおいて、1960年までは年輪、それ以降は温度計の測定値を用いる事にしました。
重複になりますが、メールの「トリック」とは、偽装や隠蔽の意味ではなく、科学者の間では問題解決の戦略を意味します。
ジョーンズは、実際の測定値と矛盾するグラフを実際の測定値を用いて修正した訳で、それを「トリック」と呼んでいるのです。
また、「IPCC」の気温変化グラフは、複数の科学者が作成したグラフを色別に重ね合わせてあり、誰かのグラフを特別視していません。
ジョーンズだけが、データを隠蔽しても無意味と言う事になります。
(そもそも、「逆向き問題」は多くの気象学者が知っているので隠蔽など出来ません。)
その後、英国議会下院や科学評価パネルが調査し、不正の事実が無いと報告した訳です。
日本では、最初の「クライメート事件」発覚のニュースだけが大きく報じられ、ジョーンズらの疑惑を晴らす続報はほとんど報じられていません。
その為に、日本では不正確な記事や、間違った紹介がなされているのが現状です。
なので、「クライメート事件」に関しては「Wikipedia」の方が正しい事になります。
以下余談です。
なぜ二酸化炭素が地球温暖化の原因と考えられているのかは「他に容疑者がいないから」です。
有史以来の気温の変化は、太陽活動が関係していると考えられます。
(黒点の数が地球の気温と密接な関係があるらしいです。)
しかし、20世紀の太陽活動を見ても、太陽黒点が増大しているとか、太陽からの放射量が増大しているなどの兆候はありません。
つまり、20世紀の温暖化の犯人は太陽ではありません。
有史以前の気候変動は「ミランコビッチ周期」が原因という説が有力ですが、こうした変化は何千年もかけてゆっくり起こるものなので、短期的な気温上昇の原因とは考えられません。
それに対して、二酸化炭素の濃度が増えている事だけは、ハッキリしている訳です。つまり、最も疑わしくないか?と考えられるのは二酸化炭素な訳です。
という事は、二酸化炭素原因説が間違っている可能性もありますが「間違っている」と決めつける事は出来ません。
(間違っているという前提で二酸化炭素対策をおろそかにすると、手遅れにもなりかねません。)
なので現状では、二酸化炭素が地球温暖化の原因だと考えて対策を考えていく事が、有意義な事だと個人的には考えています。
xiansui さま、懇切な解説ありがとうございます。
そうすると、クライメートゲート事件そのものがもともとナンセンスな事件だったということでしほうか。
中公新書:「気候変動とエネルギー問題」の著者、深井有氏は物理学専攻の学者のようですが、気象学の専門家ではないようです。彼はクライメートゲート事件で日本で報道された部分だけを取り出して地球温暖化の原因は二酸化炭素ではないと決めつけてしまってこの著書を書き上げてしまったということなのでしょうか。
信頼が置けそうな中公新書で誤ったことを書いたということになるのかもしれませんが、これは放置できない問題のように思えますね。
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