テレビの高校講座で、常温?の硫酸に銅を入れても何も反応しないのに、熱した硫酸に銅を入れたらなにやら気体が発生して反応してました。
このことについて熱濃硫酸は酸化力が強いから、イオン化傾向の順番で銅は酸化されないはずが熱濃硫酸は酸化されるんだとか。
と、言われても、どうしてかを説明してくれないわけで気になってしまうのです・・・。
イオン化傾向は確か、H>Cuだから、HとCuが同時に水溶液中?にあればHがイオンになってしまう(電子を出す、酸化)から、Cuは電子を出せなくてイオンになれない(Cuは電子を出して酸化できない)ってことですよね。
で、硫酸はH2SO4で、多分、水溶液中では2H+とSO4-とかに分かれて存在するわけでしょう。やっぱり、HがCuよりイオン化傾向が強いんだから、CuはCuのままじゃないですか。
熱したってことは、単に分子の運動エネルギーが強くなったってことですよね。それは別にイオン化傾向とは関係無い力な気がするし、それがどうやってイオン化傾向の法則をやぶってCuを酸化するのかよく分からないのです。
教えてください!!
No.1
- 回答日時:
熱濃硫酸や希硝酸、濃硫酸の「酸化力」とは、H^+に起因するものではありません。
ですからイオン化傾向が水素より大きいか小さいかの問題ではないのです。
硫酸分子そのもの、硝酸分子そのもののもつ酸化力です。
それが証拠に、熱濃硫酸と銅の反応では水素の発生はなく二酸化硫黄が発生し、
水素の酸化数は+1のままで変化しておらず、硫黄原子の酸化数が+6から+4へと変化しています。
(硫黄原子が還元された=硫黄原子は相手(銅原子)を酸化した=硫黄原子を含んでいる硫酸分子が銅を酸化した)
ご回答ありがとうございます。
「酸化力」という概念はとにかくどんな手段でも相手の電子を奪えばいいわけですね!!
例えば、ZnとHがある水溶液では、イオン化傾向がZnの方が大きいから、Zn^2+になって酸化される。Hは還元されてH2分子。これはHがZnをイオン化傾向を利用して酸化した、みたいな感じで、
今回の銅と硫酸では、硫酸というやつが○○を利用して銅を酸化したわけですね。でも、ここで○○とはなんでしょう・・・。
それも硫酸のままでは○○という仕組みは利用できなくて熱濃硫酸ではなくてはならないわけですよね。非常にクエスチョンです(?_?)
No.2
- 回答日時:
まず単純な「希硫酸+亜鉛」では
Zn + H2SO4 → ZnSO4 + H2
のように反応します. この場合, 希硫酸中の H^+ が酸化剤となります.
一方熱濃硫酸を使う「熱濃硫酸+銅」の反応では
Cu + 2H2SO4 → CuSO4 + 2H2O + SO2
であり, H^+ は関係なく SO4^2- の方が酸化剤として Cu を酸化しています.
つまり, 熱濃硫酸では「水素と銅のイオン化傾向」を考えても無意味です. 実際に反応に関与しているのは (熱濃硫酸中に存在する) SO3 らしいし.
ご回答ありがとうございます。
「希硫酸+亜鉛」では薄い硫酸だから水もあるんですよね?
Zn+H2SO4+水→ZnSO4+H2+水
な感じで、この時は水溶液だからイオン化傾向の大小が関係してきて、HとZnではZnの方が酸化されてZn+とH2(気体)みたいになって、その結果、Zn+とSO4-がくっついて、ZnSO4ができるのだろうと理解してます。
次の段階として濃硫酸を考えると、少なくとも濃硫酸だから水が無くて
例えば、上の亜鉛を濃硫酸に入れるとすると
Zn+H2SO4→不明・・・
になるのですよね。不明の部分は水が無いからイオン化傾向は関係なくなる気がするのですが、はたしてZnは酸化されて、H2(気体)が出るのでしょうか(*_*)
考えていたらいろいろ分からなくなってきました・・・。
しかし、本題の熱濃硫酸と銅の反応では教えていただいた
Cu + 2H2SO4 → CuSO4 + 2H2O + SO2
に
Cu + 2H2SO4 + 熱 → CuSO4 + 2H2O + SO2 + 少し冷めた熱
みたいになりそうなのですが。
H^+は関係なくSO4^2-が酸化剤になっているということですが、熱があるという要因でSO4^2-が酸化剤になるというはどういうことなのでしょう(?_?)
No.3
- 回答日時:
イオン化傾向は金属単体がイオンになる傾向の強さの順番を示しているだけです。
H2もその順番の中に入れていますから、酸に溶ける、溶けないの判断にも使うことができます。
この時の「酸に溶ける」は「水素を発生して溶ける」という意味です。単体のH2を金属と比べて順番を付けたのですからH2が生じる反応で考えているのは当然のことです。(従って、酸が関係していてもH2が発生しない反応ではイオン化傾向の判断を使うことはできません。)
イオン化傾向による判断は「金属単体⇔金属イオン」の変化だけが起こるような酸化・還元反応に限ってのものです。(この中にH2⇔2H^+の変化も含めています。酸との反応の場合であれば、酸をHAとするとHが変化する反応です。Aの部分が変化するような反応にはイオン化傾向の判断を使うことができません。)
酸化・還元反応はたくさんあります。
金属単体の変化も含めて、反応の起こりやすさの順番が知りたければ「標準電位」の表の載っている本を見るといいです。図書館に行くと「化学便覧」という本が置いてあるかもしれません。大学生用の物理化学の教科書にも載っています。
酸化剤はたくさんあります。
硫酸銅のできる反応もいくつか考えることができます。
・銅を加熱して酸化銅に変える。この酸化銅を希硫酸に溶かす。
・銅を希硫酸の中に入れる。それに過酸化水素水を加える。
・銅を濃硫酸の中に入れて加熱する。
(濃硫酸の温度が低ければ反応は起こりません。希硫酸を加熱しても反応は起こりません。)
これらはすべてH2が発生する反応ではありません。
この反応ではOやSの酸化状態が変わっています。
それを分かりやすく見るための数字が酸化数です。
銅が硝酸に溶ける反応でもH2の発生はありません。
Nの酸化状態が変化しています。
参考
イオン化傾向は「金属単体からの変化」で順番を考えています。
従って、Fe^2+とFe^3+ の移り変わりの強さはこの順番の中には入っていません。
Cu+2Fe^3+→Cu^2++2Fe^2+
という反応が起こるというのをご存知でしょうか。
プリント基板のエッチングなどに使われている、よく知られた反応です(工業高校の実習では必ず使います)。普通はFeCl3という化合物を酸化剤として使います。
「イオン化傾向ではCu<Feのはずなのに、この反応が起こるのはおかしい?」という質問を受けたことがあります。高校の先生の中にもこの反応が起こることを不思議だと考えている人がいるようです。
詳しいご説明ありがとうございます。回答者様にはいつも助けられている気がします。
でも、むずかしくてすぐには理解できません・・・。ごめんなさい。
ご紹介いただいた「化学便覧」という本にヒントがありそうです。図書館にあるといいなぁ。見て分かるかは微妙ですが(汗)
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
>イオン化傾向は確か、H>Cuだから、HとCuが同時に水溶液中?にあればHがイオンになってしまう(電子を出す、酸化)から、Cuは電子を出せなくてイオンになれない(Cuは電子を出して酸化できない)ってことですよね。
そうですよね。そういう理屈になりますね。但し、単独(化合物中ではない)のH原子や水素分子はありませんので、「水素イオンと銅原子の間で電子を授受して、水素分子と銅イオンになる」という変化は起こらないということですね。イオン化傾向は反応の向きを定めているわけです。
>で、硫酸はH2SO4で、多分、水溶液中では2H+とSO4-とかに分かれて存在するわけでしょう。やっぱり、HがCuよりイオン化傾向が強いんだから、CuはCuのままじゃないですか。
濃硫酸って96%とかの濃度なので、十分電離していると思わない方が良いです。水はあまり無い訳ですから。濃塩酸とかと違うんですね。でもそれでは濃硝酸や希硝酸で類似の反応が起こることを説明できない。
熱した硫酸は電子を受け取り還元されやすい「酸化剤」として作用します。そこに金・白金等を除く金属が存在すると、金属単体は電子を放出し酸化されやすい「還元剤」として、硫酸と酸化還元反応をすることになります。この反応では、硫酸が二酸化硫黄になるイオン反応式(いわゆる半反応式)を書くとよくわかりますが、硫酸に含まれていた水素原子(酸化数+1)は、硫酸の酸素原子の一部(2分子の硫酸に含まれる8個の酸素原子のうち2個)と水に変化し、水素原子の酸化数に変化はありません。電子を受け取るのは、原子としては酸化数が+6から+4へと変化する硫黄原子と考えるのが普通だと思います。つまりざっくばらんな言い方をすると、銅を酸化したのは水素イオンではなく、硫酸分子中の硫黄原子ということになります。
金属と酸の反応は、酸と塩基(中和反応)の範囲ではなく、酸化還元反応で扱っているでしょ。「ドスギ」の金属と、熱濃硫酸・硝酸との反応はこれらの酸が水素イオンを放出する酸として反応しているのではなく、熱濃硫酸・硝酸が「酸化剤」として反応しています。但し、硫酸が二酸化硫黄に変化する際に酸素原子の受け取り手として水素イオンが必要なため、硫酸はこれを供給する「酸」としての役割も担う、そのため酸化数の変化はCu:S=1:1ですが、実際は銅:硫酸1:2として反応することになる。そして、結果として銅(II)イオンと硫酸イオンの塩の水溶液を生じる。しかし、その銅(II)イオンは水素イオンと交換されたわけではありませんので、金属のイオン化傾向とは無関係です。
逆に金属のイオン化傾向風に考えるなら、
Cu + S(硫酸:酸化数+6)→ Cu^2+ + S(二酸化硫黄:酸化数+4)
の反応が起こるので、Cuの方がS(二酸化硫黄:酸化数+4)よりも酸化されやすいからと説明することになるでしょう。
お礼が遅くなりました。詳しいご回答ありがとうございます!!
熱濃硫酸と銅の反応を酸化数の変化でとらえると、水素原子の酸化数に変化はなく、硫黄原子が酸化数が減る(還元)、銅原子が酸化数が増える(酸化される)ということですね。だから、イオン化傾向の法則にある水素は今回の反応には関わっていない。
しかし、がんばってイオン化傾向風に考えると、CuとSの関係でCuが酸化されやすいという説明もできるということですね。
それにしても未だに疑問なのですが、じゃあ、どうして硫黄原子は銅から電子を取れるんだろうということと、そもそも濃硫酸じゃ反応が起こらないのに「熱」濃硫酸だとどうして起こるんだろうということです。
酸化力を高めるには「熱塩酸」とか「熱硝酸」はありえないのでしょうか。
No.5
- 回答日時:
S原子そのものの威力ではなく、酸化数+6のS原子の、と言う方が良いでしょう。
他の方の回答にありますが、H2SO4を加熱して生じるSO3に原因があると言うことらしいですが、
そのことはさておき、加熱するのは化学反応を容易に起こさせる方法の一つです。
化学反応が起きるには「越さなければならないエネルギーの山」と言うものが存在します。
充分なエネルギーを持っていなければ反応が起きません。
そのエネルギーを熱などの形で投入してやらないといけないんですね。
(なお、このエネルギーの山は活性化エネルギーと呼ばれ、反応熱とは別物です)
紙だって加熱しなければ酸素と反応しない、それと同じです。
ありがとうございます。
例えば、Aという化学反応を起こすために必要な活性化エネルギーが100だとしたら、加熱によって活性化エネルギーの量に加算することができるのですね!!
加熱でAという物質に90あげたよ、としたらあと10でAは化学反応を起こせる。
加熱でAという物質に100あげたよ、としたらAはすぐさま化学反応を起こせるというような。
だとすると濃硫酸と銅が反応するための活性化エネルギーに、「熱」濃硫酸と銅、という状態にして活性化エネルギーに達するように熱でエネルギーを加算してあげたのですね。
それで、そのときはSO3と銅の間の化学反応を起こすのに必要な活性化エネルギーに達したため化学反応が両者の間で起こる、というような。
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