不法行為に基づく損害賠償請求の訴訟物が、よく分かりません。
平成25年1月から11月までの継続的なイジメによる損害の賠償請求訴訟をする場合、
(1)「Aによる、平成25年1月から11月までの継続的なイジメ行為」によって、100万円の損害(精神的損害)が発生した。
(2)「Aによる、平成25年1月から11月までの継続的なイジメ行為」の一環として為された「平成25年3月1日の暴力イジメ行為」によって、30万円の損害(傷害の治療費、精神的損害)が発生した。
(3)「Aによる、平成25年1月から11月までの継続的なイジメ行為」の一環として為された「平成25年7月1日の侮辱イジメ行為」によって、20万円の損害(精神的損害)が発生した。
という場合は、(1)100万円、(2)30万円、(3)20万円の合計150万円を、1つの訴訟物としての損害賠償請求権として訴訟提起する、と考えてよいのでしょうか?
それとも、上記の(1)(2)(3)はそれぞれ別個の訴訟物で、それぞれ別個の損害賠償請求権として、訴状の「請求の趣旨」においても、上記(1)は第1項として、上記(2)は第2項として、上記(3)は第3項として、互いを分けて記載すべきでしょうか?
No.6
- 回答日時:
No.3 です。
「要は賠償額の大小です」という場合であっても、どのように訴訟を組み立てれば一番賠償額が大きくなるかは、なかなか難しいことだと思います。
一連の行為を包括して1個の不法行為として請求を立てるというのもひとつのやり方ですし、一連の行為は一連の行為として、特にひどい行為を取り上げて、別の賠償を立てるというのもひとつの考え方だと思います。どちらが有利かというのは一概には言えません。
離婚訴訟では、離婚という重大な結果がありますので、とにもかくも、その結果と因果関係のある不法行為を全部ぶち込んで請求を立てるというのが、ひとつの基本的なやり方です。しかし、その中で、これだけは他と一緒には論じられない重大な問題だ、という行為があることがあります。このようなときには、それを取り出して、別個の損害賠償請求を立てることもある(別の訴訟物として訴訟を組み立てる)ということになります。ただ、このような場合には、行為も切り離すが、損害も切り離して、重複しないようにしなければならないというのが、厄介なところです。
さて、不法行為を複数立てる場合には、本来なら、請求の趣旨を分けることが適当です。裁判所としても、その方が分かり易いのではないかと思います。しかし、多くの事案では、1文で書いてしまうことが多いと思います。それは、一種の慣習的なもので、正しい・間違っているという問題ではありません。その当たりは自由に選択されればいいと思います。特に、継続的不法行為の場合には、行為の終了時か、遅くとも損害の発生時から遅延損害金を取ることができますので、複数の不法行為がある場合には遅延損害金の起算日が違ってきます。そういう点からすると、不法行為ごとに、請求の趣旨を書き分けても、違和感はないと思います。
重ねてのご回答ありがとうございました。
「継続的不法行為の場合には、行為の終了時か、遅くとも損害の発生時から遅延損害金を取ることができますので」ということですが、なかなか私のような素人には理論的に難しいですね。
継続的不法行為の場合、現在も続いてるということが多いので、結局は、訴状送達日の翌日から、となるのかなという気もします。まぁ本件は遅延損害金は大した金額にはならないので、余り気にしてませんが。
No.5
- 回答日時:
不法行為というのは、個別に事象が起きたとしても、特定の人物が単独で起した場合は、その中の一番犯罪として重い行為が対象になります。
離婚裁判では、暴力・言葉のDV・不貞・金銭問題という感じで左の案件の方がより重い事案です。
いじめ裁判では同じ人間の場合は特定の事件として扱われますし、複数の犯人の場合、複数の犯人に損害賠償請求は可能ですが、その中の一人が応じれば、他の人間は支払わなくて良いとされています。
例えば、過去1年間にある人間がいじめられて、主犯格が暴力、その他が陰湿な言葉や態度でのいじめを行ったとします。
いじめられた人間や家族は、その誰にでも損害賠償請求できますが、主犯格には暴力での損害賠償請求。
その他のメンバーには個別に損害賠償請求というのはできません。
個別に分類されるというのは、はじめに書いたとおり、個別の被害届で起訴された場合のみです。
つまり、判決で処分されたのにもかかわらず、再び行為を行った場合です。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
hatu99さんは「・・・訴訟物が、よく分かりません。
」と言っておられますが、実務上で、本例のような場合の請求の趣旨は「被告は原告に対して150万円支払え」となると思います。
ですから、訴訟物は150万円です。
この1つの訴状の中で、請求原因を(1)(2)(3)区分けして、最後に「よって、その合計の支払いを求める。」と言うように記載すればいいと思います。
ただし、この訴訟が仮定的ではなく、事実関係ならば、(1)(2)(3)は一体としているので区分けも必要なく、一連の事実関係を請求原因として、まとまると思います。
なお、ご質問の中の「それとも、」以後の文章では、3通の訴状となるのか、1通の訴状で3つを記載するのかわかりませんが、仮に3通の訴状ならば、訴訟物は、100万円、30万円、20万円となりますが、1通だけなら、訴訟物は150万円です。
ご回答ありがとうございました。
「この1つの訴状の中で、請求原因を(1)(2)(3)区分けして、最後に「よって、その合計の支払いを求める。」と言うように記載すればいいと思います。
ただし、この訴訟が仮定的ではなく、事実関係ならば、(1)(2)(3)は一体としているので区分けも必要なく、一連の事実関係を請求原因として、まとまると思います。」
つまり、(1)(2)(3)は一連の行為だから、一連の行為として請求原因に書いて、請求の趣旨も((1)(2)(3)の合計額の)「150万円」とだけ書けばよい、ということですね。
大変よく理解できました。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
ちょっと考えてみましたが、難しい問題ですね。
不法行為による損害賠償請求権は、不法行為・因果関係・結果(損害)という事実により発生しますが、例えば、交通事故のように、1回限りの不法行為もあれば、騒音被害のように継続的なものもあり、質問のいじめ行為のように継続的に行われるとともに、その中に他と区別して取り上げることのできる特定の不法行為が混在しているというものもあります。
継続的な不法行為については、時期を特定すれば、それで損害賠償の範囲も決まりますが、継続的な不法行為の中に特定の行為が混在している場合には、簡単には切り分けができないことになります。
離婚慰謝料の場合には、例えば、離婚原因として、不貞、暴力、経済的虐待とあっても、大抵は全部一括してひとつの訴訟にしますが、それは、結果が「離婚」に集約されるからであって、この中に、暴力によって怪我をさせられて後遺症が残ったというのがあれば、それは別の不法行為とされることもないわけではありません。
このことから考えると、いじめの場合にも、原則は、一連のいじめ行為の全体を、その中に強弱はあっても、ひとつの不法行為と捉えて、ひとつの損害賠償請求権(訴訟物)が成立すると考えることになると思います。しかし、その中に、特に取り上げられるべき行為があって、それによる損害が別途に観念できる場合には、それを別の訴訟物と構成することも不可能ではない、という理解になると思います。
結局は、行為・因果関係・結果という、不法行為による損害賠償請求権の要件事実の中で、どのように構成していくか(特に、「結果」を分けることができるか)ということになろうと思います。
ご回答ありがとうございました。
・「離婚慰謝料の場合には、例えば、離婚原因として、不貞、暴力、経済的虐待とあっても、大抵は全部一括してひとつの訴訟にしますが、」と書いて頂いた点(私は知りませんでした)からは、本件でも同様に考えてよいのかな、と思います。要は、賠償額の大小ですので。
・他方、「結果を区別できれば別の訴訟物となるかも」というご意見は、大変参考になりました。
で、1つ聞きたいのですが、もし例えば「暴行の結果」を別の訴訟物とするとした場合、1つの訴状の中での請求の趣旨はどうなりますでしょうか?
つまり、項が2つになるでしょうか?
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