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使っている問題集の解説について疑問に感じることがあったので質問させていただきました。
問題の答え自体は大丈夫なのですが、直後の解説に疑問を感じました。

それは
『塩化ナトリウムのように温度による溶解度の差が小さい物質を溶媒から取り出す場合、溶媒を蒸発させることで溶けきれずに析出する結晶を取り出せる。このような操作を再結晶という。』
といった旨の文章です。

溶液から溶質を取り出すために溶媒を蒸発させるのは『再結晶』ではなく『蒸発乾固』ではないのでしょうか?
それとも、『再結晶』という手段の中に『蒸発乾固』も含まれているのでしょうか?

回答よろしくお願いいたします。

質問者からの補足コメント

  • こんなに詳しく回答してくださり本当にありがとうございます。

    折り返しの質問になってしまい恐縮なのですが、煮詰めていく過程で加熱し溶解度が大きくなっていっても溶けずに析出するのは溶媒が蒸発し、溶質の溶けることのできる量が減少しているから……ということで合ってますでしょうか?

    自分の中ですっきりしないので折り返し質問させていただきました。
    稚拙な質問で恐縮ですが、回答してくださると嬉しいです。

    No.1の回答に寄せられた補足コメントです。 補足日時:2015/09/17 02:57

A 回答 (4件)

蒸発乾固と解説文の指す再結晶とは異なる操作です。



『蒸発乾固』とは溶液から溶媒を完全に揮発させて
溶質成分(固体)を得る操作であり、溶質が混合物であれば
蒸発乾固によって得られた固体は混合物になります。


解説文の原文がわからないためどのような説明になっているのかわからないので、
ここでは海水を例にとって説明します。
下はWikipediaの海水のページへのリンクです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B0%B4

海水の97%は水ですが、海水から水を除いて溶質を取り出すとします。。
海水中の塩分のほとんどはご存知の通り塩化ナトリウム(78%)です。
これに加えて塩化マグネシウム(10%)、硫酸マグネシウム(6%)などが含まれます。
この海水を煮詰める実験を2通りの方法で行うとします。


実験1:完全に蒸発乾固
海水を煮詰めて、水分を完全に飛ばします。
すると、溶けている塩分が全部固体となって得られます。
この固体は、当たり前ですが塩化ナトリウムと塩化マグネシウムと(以下略)
の混合物です。


実験2:蒸発乾固する手前で加熱を止める(解説文の意図する再結晶)
海水を煮詰めていきますが、固体がある程度析出してきた所で加熱を止めます。
冷めないうちにこれをろ過して固体と液体に分けます。
するとどうなるかを考えてみてください。

海水の塩分のほとんどは塩化ナトリウムですので、海水が煮詰まってくると
まず塩化ナトリウムが結晶になりはじめます。
他の成分は濃度が低いのでまだ結晶になりません。
そして『他の成分』が結晶になり始める前に加熱を止めて結晶を分離すると、
結晶の成分は塩化ナトリウムと、結晶表面にこびりついた微量の『他の成分』
の混合物になります。一方、『他の成分』の大部分は溶液中に残るため、
結晶にならなかった塩化ナトリウムと、塩化マグネシウムと硫酸マグネシウムと・・・
の混合物になりますが、塩化ナトリウムの割合は元の海水よりも大幅に下がっています。

このようにして、海水から塩化ナトリウムが濃縮された塩と、
『他の成分』が濃縮された溶液(にがり)が得られます。
これが解説文が指している『再結晶』です。


(以下は興味があれば読んでみて下さい)
『結晶』というのは原子や分子が秩序だって配列した構造となっています。
結晶を作るとき、例えば塩化ナトリウムをゆっくりと結晶成長させると、
他の成分(例えばマグネシウムイオン)は塩化ナトリウムの結晶の中に
ほとんど混入せず、非常に純度の高い結晶が得られます。
逆にすばやく結晶成長させると、結晶の粒と粒の間にマグネシウムイオンや
水分子が閉じ込められて成長するために純度が低くなります。
再結晶はこの現象を利用して、混合物から純粋な物質を精製する非常に有効な方法であり、
工業的にも実験室レベルでも頻繁に用いられています。

ただし再結晶も万能ではなく、構造が近く化学的性質も似通ったものは
再結晶による分離が非常に難しくなります。
近年『海底からレアアースが見つかった』というニュースをよく目にしますが、
このレアアースというものは多くの場合ランタノイドの混合物です。
実はこの『ランタノイドの混合物』から欲しい元素を精製するというのは
非常に難しいのです。
ランタノイドは元素の性質が非常に似通っており、先ほど海水で説明したような
煮詰めて再結晶、という方法での分離は実用レベルでは不可能です。
どのランタノイド元素も多くの場合+3価のイオンとなり、
イオン半径もほぼ同じなので混ざった結晶になりやすいためです。
なので『ランタノイドの分離』は未だに最先端の研究分野だったりします。
この回答への補足あり
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この回答へのお礼

詳しく回答して下さりありがとうございました。
発展的な内容についても書いて下さり、自分の化学に対する関心をより深めることができました。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2015/09/20 17:13

その文章自体はまったくなくて、○×問題として良く出題されますね。


誤解する事もないでしょう。(^^)

 「溶解度の大きな物質を加熱した溶液を冷却する事で純粋な結晶を取り出す方法を再結晶と言う」とまったく同じですよね。
 それで溶融再結晶や気相再結晶は再結晶ではないと誤解しますか???。
「溶媒を蒸発させることで溶けきれずに析出する」
 乾固や溶液を冷やして氷にして結晶を取り出す方法と混同しますか?

 もし誤解するとなると日本語能力が足りない。

たとえば、

 明礬や硼砂のように温度変化で大きく溶解度が変化する物質は、加熱して溶解させた溶液を緩やかに冷却させることで結晶を成長させる。
 塩化ナトリウムのように温度による溶解度の差が小さい物質を溶媒から取り出す場合【は】、溶媒を蒸発させることで溶けきれずに析出する結晶を取り出せる。
 シリコンやルビーなどは物体そのものを熱を加えて溶融し、それに単結晶を吊り下げて結晶を成長させるチョクラルスキー法( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A7 … )などの成長法。あるいは気相中で成長させる昇華再結晶。
 このような【純物質を取り出す】操作を再結晶という。
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
だったらどうでしょう。
 蒸発乾固と異なるのは、純物質を取り出す手法か否かです。

再結晶 - Wikipedia( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%8D%E7%B5%90 … )
 の[方法3]をご覧ください。

なお食塩の単結晶を作るときに冷却して氷を作る事で単結晶を作る事もあります。家庭で行うときは簡単ですよ。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。
理解を深めることができたような気がします。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2015/09/20 17:15

[溶媒を蒸発させることで溶けきれずに析出する結晶を取り出せる。

このような操作を再結晶という。]という説明は間違いとはいえませんが誤解を招きやすい「悪い説明」ですね。

再結晶とは、溶液に「何らかの変化」を与えることにより、溶質を結晶として析出させる操作です。この「何らかの変化」の一手段として「溶媒の蒸発=濃縮」があるのです。この問題集の説明文は、文意の捉え方によっては「溶媒の蒸発のみが再結晶の唯一の手段である」との誤解や、「溶媒を完全に蒸発させることが再結晶の手段である」との誤解を与えかねません。

「何らかの変化」のその他の手段としては、冷却、貧溶媒(溶質の溶解度が低い溶媒)の追加、種結晶の投入などが挙げられます。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。
おかげさまで理解を深めることができたような気がします。
本当にありがとうございました。

お礼日時:2015/09/20 17:14

> 煮詰めていく過程で加熱し溶解度が大きくなっていっても溶けずに析出するのは溶媒が蒸発し、溶質の溶けることのできる量が減少しているから……ということで合ってますでしょうか?



合っています。
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