いちばん失敗した人決定戦

私が高校生の頃なので約50年も前のことになりますが、私が使っていた教科書(当然、文部省の検定済みです)には次の記述があったことを明確に覚えています。
カ行変格活用の命令形は、古文での使用例は更級日記の「いづら、猫は。こち率(ゐ)て来(こ)」一例のみである。
更級日記の出典 : http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/sarasina2.htm
ところが現在の文法説明では、下記URLのごとく命令形は「こ(こよ)」となっており、別の使用例も示されています。
http://www.hello-school.net/haroajapa006004.html
これは私の教科書の記述または私の記憶が間違いだったということなのでしょうか、それともその後新しい古文が発見されたり研究が進んだ成果だということなのでしょうか。
そのあたりの事情や古典文法に詳しい方、ご説明いただければ幸いです。

A 回答 (1件)

いくら古いと言っても、枕草子25段(または23段)の「すさまじきもの」の用例が見逃されていたとは不思議ですね。

「大辞林」でも「更級日記」の例があげてあり、「こよ」になったのは、中世以後と言ってるだけですね。おまけに「こち率(ゐ)て来(こ)」の用例では、考えてみると「こ」は補助動詞としてのように思われます。
 「すさまじきもの」は古典を学んだ人はほとんど見ているはずなのに変ですね。
といいながら、「日本文法大辞典」を見たらありました。部分のみ、引用します。

 《『変遷』カ行変格活用の命令形として、「こよ」の形が示されることが多いが、古くは「よ」をつけずに「こ」だけで使われることが多い。(例)旅にても喪無く早来(こ)と(波也許登)吾妹子が結びし紐はなれにけるかも[(万葉集・3717] / いと興あることかな。こち持てこ[堤中納言物語・虫めづる姫君]
そのため、命令形として「よ」をつけぬ「こ」の形を表示しようとする考え方もある。勿論「こよ」の形で使われることもある。(例)御粥いとよくして持て来よ[落窪物語・一]しかし、このような例はきわめて稀であり、とすると、「こ」までを語尾に「よ」を強意の助詞とする考え方のでてくるのもうなずけるのである。》
 この後に、種々の考え方や、「こ・こよ」の併存の時代→室町期には「来い」がつかわれはじめ→江戸時代にはほとんど「来い」で稀に「こよ」→現代にいたる変遷が書いてありますが、長くなるので、省略します。
 「日本文法大辞典」は昭和45年(1970)初版ですから、今から四十数年前で微妙なところで重なっていますね。教科書編集の時には、まだ細かなことが分かっていなかったのではないでしょうか。
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この回答へのお礼

ご回答、ありがとうございました。
私が高校に入学したのは昭和40年なので、「日本文法大辞典」の初版発行より前ということになります。だからその当時はまだそこまでわかっていなかったのだと思えば、つじつまが合います。
それにしても枕草子は段落のとりかたがさまざまのようで、該当箇所が22段とされているサイトもありました。私はその時点で、やっと回答者様がなぜ「枕草子25段(または23段)」と書いているわけがわかりました。恥ずかしいことですが、私はそんなことさえもわからない素人なのです。だからこそこんな質問もするのだと好意的に解釈していただければ救われます。

お礼日時:2016/01/26 09:09

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