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日の丸君が代訴訟に関する最高裁判所の判断に関する次の説明のうち,適当でないものを一つ選びなさい。


①原告が日の丸・君が代について否定的評価を有していることは,原告自身の歴史観・世界観に基づく信念であり,このような信念は憲法19条で保障されると判断された。

②最高裁判所は,ピアノ伴奏は原告の歴史観・世界観と不可分に結びつくものであるから,これを強制することは思想良心の自由に対する間接的制約に当たると判断した。

③最高裁判所は,起立斉唱は国旗・国歌に対する敬意の表明の要素を含むものであるから,これを強制することは思想良心の自由に対する間接的制約に当たると判断した。

答えどれですか?

A 回答 (1件)

正解は②です。


この種の訴訟に関する最高裁の判断は、次のような論理構成をとるのが常です。

思想良心の自由は憲法で保障されているが、かくかくしかじかの理由により、国旗・国歌を敬う行動を強制することは違法ではない。

思想良心の自由は内心の自由とも言われます。一方、外に形として表われる行動は、完全に自由ではないとされます。たとえばの話、「あらゆる学校教育は有害である」という信念をもつことはその人の自由ですが、子女に義務教育を受けさせないなんて自由は認められず、教育を受けさせるという行動を強制することは違法ではないわけです(憲法第26条第2項)。
ご質問の日の丸君が代訴訟に関しても、最高裁は「行動を強制することは違法ではない」と結論付けたいがため、「かくかくしかじかの理由」を整えることに重きを置いています。いわく、国旗を掲げて国歌を斉唱することは慣習であって、個々人の信念の表明ではないから、信念とは別に行動は皆に倣(なら)えとして良いのだという(ざっくばらんに要約するとそんな感じです)。
そこに重点を置いている分、その前段の「自由は憲法で保障されているが」の扱いは粗略になりがちです。

という予備知識をもって過去の最高裁判例を見ますと、平成16年(行ツ)第328号(平成19年2月27日第三小法廷判決)の論理構成は次のようになっています。
(ご質問の選択肢)①の判断は妥当だが、入学式で校長が教諭に国歌のピアノ伴奏を命令したことは違法ではない。
また、平成22年(行ツ)第54号(平成23年5月30日第二小法廷判決)の論理構成は次のようになっています。
③の判断は妥当だが、卒業式で校長が教諭に対し国旗に向かって起立し国歌を斉唱することを命令したのは、違法ではない。

さて、③が妥当なら類似の②も妥当なはずですが、前述したように最高裁判決で前段部分の扱いは粗略になっていて、②は出てきません。それよりも、「かくかくしかじかの理由により、ピアノ伴奏を強制したことは違法ではない」の方に、最高裁は力こぶを入れてしまっているわけです。したがって、②の「最高裁判所は,……と判断した。」という選択肢は適当ではなく、これが「適当でないものを一つ選びなさい」の答となります。
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