
No.16ベストアンサー
- 回答日時:
(回答No.15の続きです)
アラビア音楽には「マカーム」という複雑な音階の体系があります。下のアラビア音楽専門のサイトに全部出ていますが、例えば、最も一般的な「ラースト」という音階は下のような形です。♭の記号に斜線が入っているのは4分の1音低いことを示します。つまり、音階の第2、第3、第4音の間隔は、全音と半音の中間の4分の3音に近いものです。第6音と7音の間も4分の3音です。また、第6音は、旋律が上行する場合は楽譜の高さの音ですが、旋律が下行する個所では半音下がっています。結果的に、使っている音の合計は8個です。楽譜の下に音源があって、実際の音楽例が聞けるので是非聞いてみてください。このような音律は、ピタゴラスでも倍音列でもありません。
https://www.maqamworld.com/en/maqam/rast.php
もう一つ「サーバ」という音階になると、西洋音楽だけを聴きなれた耳には、どういう音階なのか理解できません。
https://www.maqamworld.com/en/maqam/saba.php
このような半音や4分の1音、4分の3音のような音程を含む音階は、古代ギリシャにも入っています。それはピタゴラスなどが生まれる前のことですが、ギリシャの音楽理論家たちは、こうした半音や微分音を使う音楽を「よくないからやめろ」と批判したので、次第にすたれていき、7音の音階にとってかわられたという経緯があります。つまり、7音から12音に増えたのではなく、12音、もしくは24音から7音に減ったということにもなります。
ヨーロッパの民族音楽でも、一見西洋的な7音階のように見えても、音程が微妙に違うものはたくさんあります。ノルウェーに伝わるハルダンゲル・ヴァイオリンもその一例です。「ドレミファ」の「レミファ」が微妙に低く、一オクターブ上では逆にファ♯という音が追加されます。
下のハルダンゲルでは、「ドレミファソ」が積み重なった状態になっていて、全体では「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ♯・ソ・ラ・シ・ド♯・レ・ミ・ファ♯・ソ♯」のような並びになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=-XuefwBvgi4&list …
インドネシアのガムラン音楽なども、西洋的な7音、12音の音律では説明不可能な微分音程を含む不思議な音階構造を持っています。
https://www.youtube.com/watch?v=gM3yodZbRok
日本の例を一つ上げると、能楽で使われる能管の旋律は、指使いを覚えるときに歌う「唱歌」はシンプルな5音音階ですが、能管の構造は複雑化し、半音や微分音をたくさん含む不思議な音律に変わっていきました。
https://www.youtube.com/watch?v=H7z-4qiib0M
つまり、最初期の音階の音やその音程関係は、地域、民族によってばらばらだった可能性が高いということです。交易などを通じて異文化の交流が行われれば、異民族の音楽が入ってくることもあったでしょう。今までは使っていなかった音階が取り入れられるかもしれません。あるいは、二つの民族の異なる音階が影響しあって変わることもあったかもしれないのです。なので、音がどういう順番で音が増えていったかを説明できないのは、その理由があまりにも多様かつ複合的で、一貫した筋書きなどは見いだせないからです。
No.15
- 回答日時:
少し長くなりますが、これで最後にします。
質問者さんは、どうも物事を単純化したがる傾向にあるように思います。音階の誕生や発展に、特定の原因と明確な時系列を求めすぎます。世界は広く、あちこちで音階が誕生、発展していくだろうことを考えると、その生成と発展のプロセスも多様になるはずです。
前の方の回答でクルト・ザックスの『音楽の起源』という書物を紹介しました。一般の人には難しいと書きましたが、質問者さんの疑問にある程度答えられるものがあるとしたらこの書物です。絶版状態なので、古書で求めるか、図書館で借りて読むことをお勧めします。なお、この書物はまだ著作権がありますが、現在絶版で入手困難ということで、国立国会図書館が個人送信でデジタル版を貸し出しています。利用者登録が必要で、この登録手続きが今混雑しているので日数はかかりますが、それが済めば自宅のパソコンで読むことができます。
https://dl.ndl.go.jp/pid/12432582
最初にYouTubeでご覧になったという動画は数学の教師が作ったものです。私の手元に『音律と音階の科学』という本があり、かなり売れた本なのですが、これも物理学者が書いたものです。ピタゴラスありきという内容で、私は読むのをやめました。これは数学好きの理系の人が陥りやすい穴です。数学的説明そのものは間違いではありませんが、音階の誕生そのものの説明にはなりません。ただ、こういう説明は一般の人に面白がられるので、動画の閲覧数も増えるし、本も売れます。今、ネット中のあちこちにこういう音響学的な説明がたくさんあるのも、そういった理由が大きいでしょう。ピリオド奏法という古楽奏法の流行以来、クラシックマニアたちもピタゴラスだ、純正調だ、平均律だ、という議論を好むようになったので、一種の流行もあるかもしれません。しかし、古代までを含めた音楽史の流れがわかっている人なら、こういう説明では納得できないはずです。
音階の誕生を推理するなら、数学的な根拠を出発点とする演繹法ではなく、比較音楽学の方法でサンプルをたくさん集め、その比較で論理的に推理する帰納法の方が役に立ちます。
クルト・ザックスは、音階がたった1音から始まったかどうかはわかっていないと書いています。進化論的には1音から2音、2音から3音というストーリーの方が美しいですが、これまでに検証可能な最古の旋律形は「2音」で、1音の例はわずかしか見つかっていません。実際に無いのか、過去の研究者たちが、1音だけのものは音楽的でないとみなして採取を怠ったのかはわかりません。なので、「最古の旋律形として検証できるのは2音のものから」と書いてあります。日本ならば、神社の祝詞やお寺のお経は1音の連続ですが、呪術的な力を強めるために、強制的に同じ高さにした作為的なものだと思います。
これもすでに前の回答に書きましたが、旋律の誕生は言語からです。人類のもっとも古い音楽は、物を叩くだけのもの、リズムだけのものだったと思いますが、これは旋律を持たない音楽なので、旋律や音階の誕生につながるものではありません。
言葉には抑揚があります。我々が普段特に感情をこめずに話す場合、音の高低はそれほど広い幅にはなりません。音域も、楽に出せる中音域にとどまります。古代の人間が、言葉を全く伴わずに旋律だけを口ずさんだということはあり得ません。必ず言葉が先で、歌いたい歌詞があって初めて旋律が出てきます。その時、話し言葉を出発点とすると、使う複数の音は隣接する音、あまり音程の跳躍がない音から始まります。その2つの音の選択は、民族、言語によって異なりますが、一番多いのはやはり隣接の音だと思います。
「あーしたてんきになーれ」は「レーレレレードドレーードレ」ですよね。そしてこの音階は「ドから始まる2音音階」ではありません。「レ」で始まって「レ」で終止するので、「レ」が中心音です。日本に限らず、2音だけの旋律の場合、中心音がどちらかがあいまいなものが多いですが、中心音が認められる場合は、どちらかというと高い方の音であることが多いようです。ある音から一つ下の音に降りてまた上に戻るという旋律の形です。
日本の場合、子供が誰かの名前を呼ぶときなども「ラソラ」の2度音程の動きになりますが、西洋の子供が「トーマス!」などと呼ぶときは「ミード」のような3度の音程になります。なので、原始的な2音の音階も、民族と言語によっては違う音程から始まったかもしれません。世界の音楽の中には、2音しかない旋律で「ドミドミ」と動くものもあれば、「ドファドファ」ともう少し広い幅で動くものもあります。
3音の旋律の場合は、日本の「もういいかい、まーだだよ」の例なら「ドーミーレ、ドーミーレ」の3音です。この場合も中心音は「レ」なので、「ドから始まる音階」ではありません。基本的には、核となる音から上下に広がっていくことが多いと思われるので、「レ」→「レ・ド」→「レ・ド・ミ」のような順番で増えていくというプロセスもあり得ます。また別の民族なら、先に「レ・ファ」の2音の音階があって、その下にさらに「ド」が加わって「ド・レ・ファ」になったかもしれませんし、「ド・ファ」の2音を使っていたのが「ド・ファ・ソ」に増えたかもしれません。そういう順番や音階の構造は世界共通ではないでしょう。ただ、話し言葉ではあまり大きな音程の跳躍はないので、古代的な旋律にも「ド→ソ」のような跳躍はあまり多くなさそうです。
最初は話し言葉に近いごくシンプルな旋律、音階でも、歌う内容が複雑になって感情がこもったり、音楽的能力が上がったりすれば、歌の音域は広がるでしょう。もし、ある音を核音として上下に広がっていったと考えるなら、そして、下方向の動きが優先であれば、「レ」→「ド・レ」→「ド・レ・ミ」→「ラ・ド・レ・ミ」→「ラ・ド・レ・ミ・ソ」のような順番で増えていったかもしれないのです。
半音は歌うのが難しいということを前提にするならば、「ドレミ」の半音上の「ファ」は、すぐには使われなかったという仮説も立てられるかもしれません。「ファ」の代わりにさらにもう一つ全音を繰り返した「ド・レ・ミ・ファ♯」のような音階は、世界中の民族の音楽を聴いても基本的に見いだせません。おそらくこういう「三全音」は、本能的に「不自然」として避けたと思います。そうすると、次に飛べる先は「ソ」になります。そして、「ソ」の音から再び全音で「ソラシ」と並べれば使いやすいですが、「シ」の音を入れると、さらに高い音域まで行くときに「シ→ド」の半音が生じます。この半音を無意識的に避けた結果が「ドレミソラ」の5音音階だったのかもしれません。古代ギリシャから中世にかけては、半音程を1つだけ含む「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ」の6音の曲がたくさんあります。一方、イギリス民謡の多くは「ド・レ・ミ・ソ・ラ・シ」という6音音階でできています。半音2つの同時使用はなかなか進まないようにも見えます。6番目に追加される音も、どれが先ということは言えなそうです。
5音から7音に増えるにしても、単純に隙間を埋めたということにはならないと思います。一つの可能性としては、旋律が上行するか下行するかで音階音が変わるケースが想像できます。下行するときは「レ→シ→ラ」、上行するときは「ラ→ド→レ」に変わるような形です。日本の都節音階でも、上行では「シ→レ→ミ」、下行では「ミ→ド→シ」となることがあります。このような部分変化の結果、使う音の合計がだんだん増えていったということも考えられます。
半音を歌いにくいと思うかどうかも民族と言語によって異なります。世界全体で見た場合、半音はあとから出てきたとも言い切れません。日本には元々半音を含む音階が多くあります。アラビアの音楽などもそうですが、さらに注目しなければいけないのは、半音でも全音でもない、4分の3音みたいなものを含む音階が結構あるということです。「ド・レ・ミ・ファ・ソ」のような並び方はしていても、「ミ」がナチュラルなのかフラットなのか分からない、長調なのか短調なのかわからないような音階もあるのです。下の「コーラン」の朗誦などがよい例です。
下もコーランの朗誦ですが、西洋音楽を聴く耳では音程関係がよくわからない不思議な音階です。
https://www.youtube.com/watch?v=7DsnHjvxaso
回答No.16に続きます。
No.14
- 回答日時:
No.5&8&9&10&11&12 です。
G-20 さん、落としどころへの誘導ありがとうございました。
私も、貧弱な知識で、ある事ないこと、いろいろと書きすぎてしまったと反省しています。
結局は、#11 に書いたように
>ただし、これによって「音程、音高」が定められ、それに従って音楽が発生したわけではなく、逆に、それまでに存在した『歌』などの節回しを「音程、音高」で整理・体系化したということなのだろうと思います。
これまで私の主張は、そういうことなのですけどね。
という G-20 さんと同じ「推測」が言いたかったことなのですが、余分なことを書き過ぎました。
私もこれで最後にするので、参考までに下記のようなサイトをご覧になってください。
あまり学問的なサイトではありありませんが、鍵盤の「白鍵」自体が、単に「ヨーロッパの音律」が演奏できるように作られただけで、世界にはそれとは異なる音律がたくさん存在することが分かると思います。
各国でローカル鍵盤が作られたとしたら、その「白鍵」の音は地域によって異なったのでしょうか。(これも想像です)
↓
日本のいわゆる「ヨナ抜き音階」
琉球音階
https://www.youtube.com/watch?v=M5GrHqr_Q9g
アラブの音階
https://www.youtube.com/results?search_query=%E3 …
インドの音階
https://www.youtube.com/watch?v=ji8tO8RmPCw
いろいろな音階
https://www.youtube.com/watch?v=ZCJD8PoGhbQ&t=36s
No.13
- 回答日時:
まだ終わっていないんですね。
すでにかなり混乱し始めています。yhr2さんも質問者さんと同じ誤りに陥りかけていますね。古代の音楽にはハーモニーはありません。単旋律で、音は横方向に並んでいるだけなので、ハモリの感覚は当然ありません。なので、美しいハモリを目的、もしくは目安にして音階に新しい音を加える、ということはあり得ません。「倍音」に基づく「純正律」も、ピタゴラス同様、数学的、音響的な理論です。倍音の理論が先にあって、それが元で新しい音階が形成された、というのも順序が逆です。7音の音階は非常に古くから存在するので、数学的理論が先行することはあり得ないです。数学は全部あと。
それに、西洋音楽でも、和音の伴奏を伴わない旋律だけの演奏の場合、音程は純正調よりもピタゴラス音律のように取った方が美しいのです。「ドレミファ」という旋律を歌うなら、「ド→レ」「レ→ミ」という全音は広めにとり、「ミ→ファ」という半音は狭くした方がいい。純正調なら「ミ」は低くなります。「ドミソ」の和音と一緒に「ミ」の音を歌うなら低めでいいですが、旋律のみを独立させて歌う場合は純正調でない方がいいということですね。なので、単旋律しかない時代の音階の誕生の根拠を倍音列に求めるのは無理です。
こういう考え方は学者がさんざんやってきましたが、すでに存在する音楽や音階の根拠づけのためのものです。これを書いていて思い出したのは、短調の根拠づけをしようとした学者たちの混乱です。長調の音階ならまだ倍音率で正当化することはできますが、短調では不可能。それで学者たちは、倍音列を人工的にさかさまにひっくり返し、下方向に展開させました。でも、こんなものは自然界に存在しませんし、これをやったところで、短調の音階に最初に出てくる特徴的な第3音がなかなか出てこない。それでこの理論は破綻しました。
それから、ピタゴラスの集団は秘密結社で、研究成果や著作を外部に漏らすことは厳しく禁じられていました。漏らせば死刑です。万物は数であるとしたピタゴラスの数学的考え方はカルト宗教みたいなものです。そんなものが、現実社会で行われている音楽の形成に影響を与えるわけはありません。ピタゴラスの少しあとの学者にアリストクセノスという人がいますが、彼は、音程を数学的関係で定義するピタゴラス楽派を批判、その管楽器や弦楽器の実験は不正確で、検証不可能な仮説として厳しく弾劾しました。アリストクセノスは経験主義者で、音楽は楽器などの実験で数学的に定義するものではなく、聴覚によって実際に聞こえる音で音程を判断するべきとしました。アリストクセノスの『ハルモニア原論』は、古代に書かれた音楽論としては最古のものです。ただし、アリストクセノス自身も数学者だったので、音程については下のような計算で説明しています。これは現代の平均律に通ずるところがあるため、一時期平均律の先駆者のように誤解されていたこともあります。
完全5度×12=オクターブ×7 → 完全5度=7/12オクターブ
長3度×3=オクターブ×1 → 長3度=1/3オクターブ
短3度=完全5度-長3度=7/12オクターブ-1/3オクターブ=1/4オクターブ
半音=長3度-短3度=1/3オクターブ-1/4オクターブ=1/12オクターブ
倍音列は音階の生成とは無関係だというようなことを書きましたが、自然界の音にはすべて倍音が含まれていることは事実です。動物の骨や角を削って作ったような原始的な「笛」は何万年も前からあります。息の吹き込み方によっては倍音が出たかもしれません。しかし、それがきっかけになって音階ができたかどうかはわかりません。そういうのは想像で、すべては歴史の闇の中にあります。ただ、オクターブは、やろうと思えば全音の幅のみで単純に6等分することもできます。そうはならず5音音階になったのは、倍音で重要な音程に当たる「完全5度」を、人間が本能的に自然なものと感じ取り、求めたからかもしれません。オクターブ内に完全5度を置くと、それによって分けられた部分は均等に分割できません。そうすると5音音階にならざるを得ません。半音程は難しいので、すぐには導入されないでしょう。
それから、以下のコメントについてですが
>基本は自然音の川の音、風の音、雷といったものから美しい音を感じ、人の声を加え、楽器の元を参加させていったということですよね。
違います。質問者さんはロマンティスト、空想家なのでしょうか。資料の乏しい昔のことを知りたいと思うとき、我々はしばしばそこに「ロマン」や「ドラマ」、「ストーリー」を求めたがります。そういう感性自体は悪いとは思いません。童話やファンタジーを書くときには役に立ちます。でも、「ロマン」と「現実」は切り離して考えましょう。昔から「音楽起源論」みたいなものを書こうとした人は大勢いるのです。そして、鳥などの動物の鳴き声のような自然音の模倣にその起源を求めるような論を多くの学者や哲学者が試み、ことごとく失敗してきました。彼らと同じ轍は踏みたくないですね。
7音の音階ですが、クルト・ザックスの「古代の音楽」という論文があり、7音音階は紀元前4000年には既に存在していた可能性が指摘されています。もちろん、そんな古い時代の音楽の楽譜が残っているわけではありません。直接的に証明できる資料がない場合は、考古学、民族音楽学、比較音楽学などの複数の分野の視点を使わなければなりません。バビロンの古い花瓶の断片にハープ状の楽器の絵が描いてあり、一つには5本の弦が、もう一つには7本の弦が張ってあります。こうした撥弦楽器には指板がなく、演奏に必要な音と同じの数の弦が張ってあるので、7音の音階があったのではないかという推測です。ギリシャのリラやキターラなどの楽器も、紀元前8世紀ごろから7弦を持っていたようなので、かなり古くからあることになります。4000年前となると、ピタゴラスが生まれるはるか前のことなので、無関係であることは明白です。
また、ザックスが書いている紀元前4000年頃の話として、オクターブ、4度、5度などの音程の概念もすでに存在していたというものがあります。プルタルコスが伝える話として、古代バビロニア人は、四季を音程に例えていたといいます。春から秋にかけてを(完全)4度、冬までを5度、夏までをオクターブというように。中国でもこれと同様、春から秋を4度、冬までを5度とする考え方があります。さらに、オクターブを2分割する考え方もこの頃からあり、テトラコルドでオクターブを2分割するギリシャの理論もこれに由来するようです。7音音階が生まれたのも、中国とバビロニアの間のどこかともいわれます。ギリシャが発祥とは言い切れないわけです。ただ、音階の構造や音程に関して「オクターブ」「5度」「4度」という完全協和音程がかなり早い時期から理解されていたのは確かだと思います。
なお、一つ補足しておくと、ギリシャの音楽理論の「テトラコルド」は、いわば「4音音階」です。つまり、ギリシャの音楽の考え方は「7音音階」ではなく、「4音音階」の連続です。「ドレミファソラシド」というオクターブの音階ではなく、「ドレミファドレミファ」という同じ音階の2回の繰り返しです。
私が音階の発生と発展を考えるとき、重要だと思う点は2つあります。まず、人間に元々潜在する生理的、聴覚的能力とその限界です。世界には半音より狭い音程を駆使する複雑な音楽もありますが、通常の人間がコントロールできる最小の音程は半音です。言い換えれば、半音は人間の音楽的能力の限界に近いもの。半音を正しく歌うのは全音より難しいです。音楽能力が未発達の太古の時代には半音は使われにくい。
もう一つは言語です。言語の発展と音楽の発展は並行します。言葉には抑揚があります。自然界の音とか、数学的根拠のような人間の外部のものより、人間の内部にその音楽衝動を見る方が合理的です。民族の伝承とか叙事詩のようなものを歌詞として旋律に載せて歌おうとした場合、その内容を表現するために、5音音階の音を変化させ、隙間の部分に少しずつ補助的、装飾的に入れていったかもしれません。テクニックが発達すれば次第に音階固有の音として定着するでしょう。これももちろん想像ですが、そういう考え方の方が現実的だと思いますよ。
それから、鍵盤楽器に黒鍵が増えていったのも、必ずしも音階の音が増えていったという意味にはなりません。「ドレミファソラシ」の7つの鍵盤しかなかったところに「シ♭」の鍵盤が追加されたのは、「7音音階」から「8音音階」に増えたわけではなく、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」という「7音音階」と「ファ・ソ・ラ・シ♭・ド・レ・ミ」という7音音階の2つを演奏するためです。「7音音階」を別の高さに移して演奏したい場合はそうなりますね。半音の概念は古代ギリシャにもありますが、「12音音階」として使うという概念ではありません。半音を意味する「クロマ」は「色」という意味です。
オクターブ内に「完全5度」音程を求めた結果、全音と半音が混在する構造が強いられることになりました。最初は使いやすい全音のみで5音音階、それから半音を扱う能力の発展で補完され7音に。12の半音があるのは、音階の音が12個に増えたというよりも、5音音階や7音音階の組み換え、移調などにより、音楽全体で使用する音のストックが12個必要ということの方が先です。
思いつくままの回答ですが、これ以上はかえってややこしくなるので、この辺がおさめどころかと。
No.12
- 回答日時:
No.11 です。
「お礼」に書かれたことについて。>たぶん「完全5度」とかの部分が理解しきれてないと思うんですよ。
ピタゴラス音律の、「振動数が 1.5 倍」「ドに対するソ」の音程が「完全五度」です。
ピタゴラスが「基準」にした音程です。
隣り合う音が「2度」(ドに対するレなど)
間に1つ入った音が「3度」(ドに対するミなど)
間に2つ入った音が「4度」(ドに対するファなど)
間に3つ入った音が「5度」(ドに対するソなど)
つまり「その音から数えて何番目か(「その音」が1番目)」という言い方です。
同じ「5度」でも「ドとソ♭」「ドとソ♯」もあるので、ふつうの「ドとソ」の音程を「完全五度」と呼びます。
(「ドとソ♭」は「減五度」、「ドとソ♯」は「増五度」と呼びます)
ピタゴラスは、「完全五度」を積み重ねることで(必要に応じてオクターブ下げる)ことにより
ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ→・・・
と音程を確定して行ったわけで、それがお示しの YouTube で説明されています。
>動画ではピタゴラス音律(準正律でも平均律でもいいのですが)の輪にあてはめて完全五度はこういうことで、7音を導き出せるよと教えていただければ解決し、謎解きは完了すると思われます。
動画に登場する「円環図」は、オクターブの12半音を順番に並べたものですが、通常は下記のような「五度圏図」のような並びにすることが多いです。「五度圏図」は、ピタゴラスが「完全五度」を積み重ねていった順に音(その音を基音とした調)を円形に並べた図です。これは、ヨーロッパ音階を構成する「調」の関係を示すものです。
また、動画に登場する「円環図」は、半音ごとに並べた円環頭上で、「完全五度 = 半音7個分」を時計回りに進めて行くという説明をしているだけです。それ自体がピタゴラス音律を示すものでも何でもありません。
逆に、下記の説明にもあるように「純正な完全五度に基づくピタゴラス音律では異名同音を利用して閉じた環を形成することはできない」のです。
(同名異音とは、ド♯=レ♭という関係。ピタゴラス音律は、「ピタゴラスのコンマ」のズレがあるため、これができない)
↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E5%BA%A6 …
https://www.letty.life/godokenn.html
https://soundquest.jp/quest/prerequisite/co5th/
この「五度圏図」の説明などをよくお読みになって、西洋音楽の「音、調、和声」などの構成を理解されることをを勧めします。
ハ長調であれば、「機能和声」「主要3和音」と呼ばれる「ドミソ、ファラド、ソシレ」が、すべて白鍵(7音)で構成できるのです。
No.11
- 回答日時:
No.5&8&9&10 です。
#9 の「お礼」に書かれたリンク先を見てみました。
そこで言っているのは、私が #9 の最初に書いたことですよね。
ピタゴラスの考え方であっても、完全五度のとり回しでできる
・ファ→ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ
で白鍵がすべて登場します。
ただし、これによって「音程、音高」が定められ、それに従って音楽が発生したわけではなく、逆に、それまでに存在した『歌』などの節回しを「音程、音高」で整理・体系化したということなのだろうと思います。
これまで私の主張は、そういうことなのですけどね。
なので、「歌の節回し」を整理した「教会旋法」に「黒鍵」は登場しません。
「教会旋法」を任意の音から始めるには、「『調』の概念」」と「すべての半音」が必要になり、それが必然的に「ピタゴラス」の半音に近い(ただし「ピタゴラスのコンマ」だけ不完全)ものだった、ということかと思います。
何度も言っているように、質問者さんの考えとは「因果関係が逆」なのです。
それが私の「推理」であり、その学問的根拠はないので、それ以上の議論は困難かと思います。
何度も解説していただき詳しく説明していただきありがとうございます。
なんとなくは理解できるんですが、音楽的な素養がなく
>ド:ミ:ソ = 4 : 5 : 6 = ファ:ラ:ド = ソ:シ:レ
>が美しい響きになるという、ピタゴラスとは全く関係のない音律です。
この部分での説明で7音になるんだろうけど、理解しきれない。
たぶん「完全5度」とかの部分が理解しきれてないと思うんですよ。
ここを私のポンコツ脳に理解させていただければ解決です。
動画ではピタゴラス音律(準正律でも平均律でもいいのですが)の輪にあてはめて完全五度はこういうことで、7音を導き出せるよと教えていただければ解決し、謎解きは完了すると思われます。
そして、そんな音楽理論で判る12音(律)の世界を世に送り出し、刊行していただきたい。まずは私にご教示を、大団円を味合わせてください。
たぶん完全5度が解ってないからだと強く感じてます。
No.10
- 回答日時:
No.9 です。
#9 では、自然発生的な歌の音律を「ハモリ」に起因するのでは、と書きましたが、もっと直接的には「自然倍音」というもので説明できると思います。
自然倍音とは、「弦の分割振動」や「管楽器の気柱の分割振動」のことであり、「弦の長さ」や「管の長さ」の中に「整数個の分割振動」が定常波となることによって発生します。
下記のサイトの「音列」を見てもらえばわかるとおり、
第8倍音~第16倍音
が、ほぼ「白鍵の7音」に相当していることが分かると思います。
↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%8D%E9%9F%B3
https://musicplanz.org/music-theory-2/truth-of-s …
第11倍音、第13倍音の音程が正確な音階からはずれますが、ほぼ音階に対応していることが分かると思います。
・第11倍音は「ファ」より高め「ファ♯」より低め
・第13倍音は「ラ」よりほんのちょっと低め
というビミューな音程です。
また、
・第14倍音が #3 でG-20さんが「柔らかいシ」と書かれているドイツ式の「B」(英語式で「B♭」)
・第15倍音が「硬いシ」と書かれているドイツ式の「H」(英語式で「B」)に相当します。
この自然倍音は、弦の振動や管の振動として自然界に存在しますから、人間の聴覚にもなじみのある音律を形成すると思います。
「シ」の音程が「第14倍音」か「第15倍音」かの選択肢がありますが、どちらかを選ぶことで「7音の音階」がほぼ完成することになります。
各倍音と倍音列の図表みました。いわれることはわかるんですが、第1倍音から第七倍音までの7つが、ABCDEFG(ドレミファソラシド)ではないですよね。最初の7音はどう決まったのかのドラマを観たいのです。最初から7音じゃないですよね。8音以降はいままでの回答に答え(と推理)がありました。
7音はなんとなく7音になったような解釈しかできない。7音から8音~12音に至るような推理らしきものがない、解釈できない。
そこを推理できれば迷える旅も終えることができ、大団円を迎えることができると思うんですよ。
No.9
- 回答日時:
No.8 です。
>これについては、12音はピタゴラス音律からきてるようだ(ピタゴラスが始祖だ)
それは間違いです。
#7さんへの「お礼」に
>ピタゴラス音律を数学的に読み解くような動画解説みた
とありますが、そこではどんな説明がなされていたのでしょうか。
ピタゴラスは、「完全五度」(振動数比で 2:3)を「特別な響き」と考え、その積み重ね(振動数比としては (3/2)^n = 「3/2」の n 乗、オクターブ下にするには 1/2 にする)で音高を定めましたが、残念ながらこれを12回繰り返しても
(3/2)^12 = 129.746337・・・
となって、「7オクターブ上」である
2^7 = 128
とは一致しませんでした。
つまり、「ピタゴラス音律」は、音律としては「不完全」なものなのです。
(この差を「ピタゴラスのコンマ」とか「ダイアトニック・コンマ」と呼びます)
↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%BF …
この「ピタゴラスのコンマ」が、ヨーロッパの音律の「不完全さ」として、後世に禍根を残すことになるのです。
#8 に書いた「古典調律」とは、この「129.74・・・」を「128」にするために、「どこの音程をちょっと狭くすればよいか」という「耳をごまかすテクニック」の試行錯誤だったのです。
その根拠になったのは、「人間の耳には、振動数が整数比のものが美しい和音に聞こえる」という経験則です。これは「歌ったときの音の時系列の並び」ではなく「同時に音を鳴らしたとき」の響き、つまり「ハモリ」です。
これは、振動数比で
ド:ミ:ソ = 4 : 5 : 6 = ファ:ラ:ド = ソ:シ:レ
が美しい響きになるという、ピタゴラスとは全く関係のない音律です。
これで計算してみれば
ド:レ:ミ:ファ:ソ:ラ:シ:ド
= 8 : 9 : 10 : 32/3 : 12 : 40/3 : 15 : 16
という比率になります。(ここでの「ドレミ」は階名、つまり「その調での音階、相対ドレミ」です。「ファ」は「ドの5度下」、「ラ」はその3度上として、それをオクターブ上げていますので「分数」になりますが、
ファ:ラ:ド = 32/3 : 40/3 : 16 = 4 : 5 : 6
の整数比になっています)
これが「純正律」と呼ばれるもので、和音が最も美しく響きます。
質問者さんの疑問である「なぜ7音か」は、こういった「整数比で相互の響きの良い音」を人間が自然に選び取って行った結果ではないかと思います。つまり「ピタゴラス」のような理論ではなく、「振動数比が整数になるハモリ」という「人間の感覚・快感」に起因するもの。
(日本やアジアの「5音音階」「田舎節」は、そこから「ミとファ」「シとド」という「半音」がとりづらいので欠落したということなのでしょう)
ただし、これでは例えば「ハ長調」でこの振動数比にした音と、「ト長調」や「ヘ長調」でこの比率にした音の振動数が一致しないことは明らかです。
同じ「全音」でも、「ドとレ」と「レとミ」では振動数比が違いますから。
つまり、調律した調以外の調では演奏できないし、曲の途中で「転調」することもできません。
この不便を解決し、「よく使う調には転調できて、その調のドミソ、ファラド、ソシレが美しく響く」ような妥協の産物として、様々な「古典調律」が考案されたわけです。
現代のピアノの調律では、それをさらに物理的に徹底して「すべての半音が同じ振動数比になるように」しています。これが「十二平均律」と呼ばれるもので、
半音の振動数比が 1 : 2^(1/12) ←「2の12乗根」です
となるようにします。
これだと、半音で12個上の音は
(2^(1/12))^12 = 2
となって、ピッタリ「オクターブ上」になるとともに、すべての調で同じ音程間隔で演奏することができます。
ただし、
ド:ミ:ソ = 1 : (2^(1/12)^4 : (2^(1/12)^7
= 1 : 1.2599・・・ : 1.4983・・・
となって、「純正調」の「4 : 5 : 6 = 1 : 1.25 : 1.5」からわずかにずれます。
ピアノの和音は、よく聴くと「うなり」を生じているのが分かります。「十二平均律」は、「転調の自由」のために、「純正な響き」を少しごまかしているからです。(結果的に「人間の耳をごまかしている」ということ)
(吹奏楽を経験したことがある人は、「ドミソの第3音(真ん中の音)は音程を低くとれ」と指導されると思います。平均律だと「1.2599・・・」となる音を「1.25 ちょうど」まで下げないと美しい響きにならないということです。管楽器やヴァイオリンでは、鍵盤楽器と違って個別の音程を微調整できるので、「純正律」に近い振動数にして演奏することが多いです。これは演奏者の「耳の良さ」の問題です)
上記のように、ヨーロッパの音律は、「ピタゴラスの音律ありき」ではなくて、逆に「ピタゴラスの音律の不完全さをどう克服するか」の歴史だったのです。
そして「音階の7音」は、この「ピタゴラス」によって発生したものではなく、ピタゴラスも「既に自然発生的に存在していた人間の歌」の音高を体系的に整理しようとした(ただし不完全だった)ということなのだろうと思います。
「自然発生的に存在していた人間の歌」は、生活の中での「掛け声」「こぶし」のようなものや、上に書いたように「振動数比が整数比になるハモリ」のような経験的・感覚的な快感から発生したのではないかと思います。
(全く学問的な裏付けはありませんので、ご参考まで、デス)
>ピタゴラス音律を数学的に読み解くような動画解説みた
そうですね、もともとの疑問から数学的に読み解けるんじゃないかと思った動画を見てもらった方がいいですね。
『なぜ音階は「12」なのか?数学で解説(ときどきプログラミング、Python)和音の不思議を三角形で解説!ピタゴラス音律と平均律など音楽を数学でわかりやすく解説。1オクターブが12音階の理由。』
https://www.youtube.com/watch?v=b2gQuEqzuaM
この数学で解説はものすごく面白い。
これみてて、12音はそうして割り出したのか? じゃ、7音はどんなふうに決まっていったのか? どうも7音は順番通りではないと認識しました。5音めぐらいまでは順番も合うけどどうも6、7音目はそれを当てはめると矛盾がでる。ならば
そんなことから、白鍵の7音と黒鍵の5音はどうきまったのか、7音だけ名前がついて5音は#/♭と呼ばれ白鍵の群れから外れたのはどういった理由なんだろうかと。当初そんな謎を投げかけたら、昔の人が自然音や人の声、虫の声など美しい音を求めたら7音になった。そんな釈然としない回答を聞いてそういうもんじゃなく、れっきとして理由、解釈があるはずと考えたのです。
ここまでお付き合いして頂いたのでURLの動画みていただいて、私の疑問を謎を解明していただければ幸いです。
今現在は黒鍵の5音じゃなく、白鍵の7音の成り立ちに注目してます。そこんとこの説明にピタゴラス音律という数学者の教祖の名前をだしていたのです。
No.8
- 回答日時:
No.5 です。
#5 に G-20 さんを「No.2」と書きましたが、「No.3」ですね。
あとは、「いまだ7音の決まり方がよくわからない」と書かれていますが、因果関係の順序として
(1) ピタゴラスによる「音律」があって、
(2) その中から「7つ」を選び出した
と考えることが間違いだと思います。
ピタゴラスの音律は、「弦の長さ」を 1/3 ずつに短くしていったときの「音律」であって、純粋に数学的に求めたもので実際の「歌」で使われたわけではありません。
(ちなみに「弦の長さ」を 1/2 ずつに短くしていったときの「音律」が「オクターブ」になります)
それに対して、「7音」からなる音列は、実際に人間が歌うという動作の中から生まれてきたものでしょう。理論や楽器ではなく「人間の声」から自然発生的に生まれたもの。
日本ではそれが「5音」ですが、その5音も「田舎節」「都節」「琉球音階」「雅楽の律音階」などのさまざまな「分解のしかた」があります。
おそらく「人間の感情」とか「集団の慣習・ならわし」(「祭り」や「祈り」、「労働」、「葬式」など)に起因するのだと思います。
↓
https://acua-piece.com/ethnomusicology/scales-of …
ヨーロッパでは、それが「7音」で、その分割のしかたが「教会旋法」に整理されて行ったということかと思います。
(ヨーロッパでも「ユダヤ」の音律はそれとは違っていたようです)
その教会旋法を「全音・半音」の並びで整理し、かつ音の重なりによる「和声」を整理することで、「音階」「長調」「短調」などの音楽理論が確立していたのでしょう。
「調性」と「和声」を整理して理論的に確立したのは、バロック期のジャン・フィリップ・ラモー(1683~1764)といわれています。バッハ(1685~1750)の同時代です。
↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3 …
ほぼ同時期に「鍵盤楽器」の調律法が試行錯誤され、「古典調律」と呼ばれる「ヴェルクマイスター第3法」や「キルンベルガー第3法」などが確立し、バッハが「平均率クラヴィーア曲集」などでそれを実践しました。(「平均律」といっても、現代の「12平均律」ではなく、上記のような「古典調律」だと考えられています)
つまり、鍵盤楽器であらゆる調を自由に転調して演奏できるようになったのはこの頃なのです。
↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E5%85%B8 …
バッハ「平均律クラヴィーア曲集」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%9D%87 …
つまりは、整理すると
(1) ヨーロッパ音楽の「7音」は、ヨーロッパで人間の声で歌われる中で発生した。(日本やアジアではそれが「5音」だった)
(2) その「7音」の音列は、全音・半音の並びから「教会旋法」として整理された。
(3) 教会旋法による複数の旋律(ポリフォニー、多声音楽)のなかから「和声」という概念が生まれた。(日本の音楽では「和声」という概念は生まれなかったようです)
(4) 教会旋法と和声の関係を理論的に整理し、「調性」「長調・短調」「機能和声」などがラモーによって体系的に確立した。
(5) それと同時並行して、鍵盤楽器の調律法として「転調」を可能とする古典調律法が確立し、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」などが作られた。
鍵盤楽器もこの時期に楽器として完成し、さらに「ピアノ」として発展していく。
(6) 調性と和声の概念が、ポリフォニーから「旋律 + 伴奏和音」という「ホモフォニー」(和声音楽)を生み、バロック音楽から古典派へと変化し、ハイドン以降のヨーロッパ音楽全盛時代となって行く。
というような感じではないでしょうか。
決して「一本の整然とした歴史」ではなく、何本ものいろいろな線が同時並行し、時に交わり、影響し合いながら、次第に一つの方向に収束していくという歴史なのだと思います。
そんな中で、「鍵盤楽器」も発展・確立していったのでしょう。
日本が「島国」で「一本の流れ」に近かったのに対して、ヨーロッパは中東(オスマントルコなど)や北アフリカとの交流がある中で、様々な音律や楽器が複雑に交流しながら発展していったのだと思います。
No.1&4&6 の tobikko2 さんが岡田 暁生さんの図書を推奨されたのもの、そういった「ヨーロッパ音楽の歴史」を見てほしいと考えたからではないでしょうか。
No.2もNo.3もすごく納得いく解説だったのですが了解です。
>(1) ピタゴラスによる「音律」があって、
>(2) その中から「7つ」を選び出した
これについては、12音はピタゴラス音律からきてるようだ(ピタゴラスが始祖だ)、そして7音は白鍵で5音は黒鍵ってどういうことか? からの説明のつもりでした。
7音以降は、
>ハ長調を基本に純正調で調律した場合、「シ♭」を使ってヘ長調、「ファ♯」を追加してト長調ぐらいなら響きはそれほど濁らないので、そうした半音から先に追加されていったと考えられます。
この説明で納得いきました。
結局はじめの7音はどういったことから採用されたのか、そして順番は?
白鍵はその7音になったのはどうして、黒鍵の5音は何故名がないのか?
の黒鍵についてもようやく理解できました。
あとは選ばれし7音にどういう推理を加えるのかです。
誰かホームズに明智小五郎として登場してほしい。
No.7
- 回答日時:
未だに最大の誤解が解けていないようなのですが、数学的根拠が先にあって、それに従って音階が作られるという発想は根本的に誤りです。
ピタゴラスの定理が音階の根拠であると誤解されるような書き方(例えば、「ドレミ…はピタゴラスから始まった」というような説明)をしている書物もあるので、そういうものの責任もあると思いますが、ピタゴラスは音高を数学的に割り出す方法を考えたのであって、それが音階の説明を合理的にするのに役に立つということです。ピタゴラスの理論が、当時の実際の音楽に何らかの影響を与えたかどうかについては、一切何の記録も残っていません。音楽の起源のようなことに興味があるのであれば、ドイツの音楽学者クルト・ザックスの『音楽の起源』というような書物もあることはあります。日本語訳が出たのはだいぶ昔で、すでに絶版なので、古書で入手するか図書館で借りるかしかありませんが、もちろんこの書物でも、どういう順序で音階音が増えていったという説明をしているわけではありません。ザックスが使っているのは比較音楽学の方法で、世界中の民族音楽などの例を挙げて、たった1音からなる旋律や2音からなる旋律のようなものを比較していきます。かなり専門的な内容なので、一般の読者向きではないと思います。
古代ギリシャの音楽で言うと、現存する一番古い楽曲は『セイキロスの墓碑銘』と呼ばれるものです。トルコのアイドゥン近郊から発掘されたもので、歌詞と音高を示す記号の両方が書かれています。この旋律はすでに7音です。残されている最古のものが7音なので、それ以前の流れを知ることは困難です。文章のみの文献から、ある程度のことが推測できるだけです。
なお、7音音階といっても、古代ギリシャの音階は1オクターブではなく、3つの音のユニット「テトラコルド」の組み合わせで定義され、音階全体は2オクターブで説明されます。音名はAからGまでではなく、H以降もありますが、これらは半音のための名称ではなく、1オクターブ上の音の名称です。そして、音階の説明は上行形ではなく下行形で説明されますが、これはバビロニアやパレスティナに由来するといいます。現代の音楽理論書に書かれている教会旋法の名称は、中世の音楽理論家が勘違いして名称を取り違えたものが元になっており、古代ギリシャの名称とは異なります。
テトラコルド(下行形):全音―全音―半音
ドリア旋法(現在のフリギア旋法)
「ミレドシ」+「ラソファミ」+「ミレドシ」+「ラソファミ」(2オクターブ)
世界の多くの民族音楽には5音音階が認められます。最も素朴な形は半音程を含まないので、一応これがルーツと考えてよいとは思いますが、そう簡単な話でもありません。
12の音の計算は古代中国でも考案されており、12の音それぞれには名称があります。日本の雅楽でも当初その名称を使っていましたが、平安時代に別の名称が与えられました。『越天楽』という楽曲は「平調」ですが、この「平調」はEに当たります。ただ、音階の理論では、5音音階(五声)として「宮」「商」「 角」「 徴」「 羽」という5つの名称があります。これを7音の音階にするときに、「宮」の半音下の「変宮」、「 徴」の半音下の「変徴」という名称が与えられました。古代ギリシャのリラという撥弦楽器は5音音階の楽器です。5音以外の音の運指を書き表すときは、「ファ」は「ミ」を半音上げたもの、「ド」は「シ」を半音上げたものというような表記しています。こうしたことを考えれば、5音から7音に増やすときにも、残りの2音を半音の変化ととらえているとも考えられます。
ただ、インドやアラビア、日本の音楽にはもともと半音を含む音階があります。日本には都節音階(陰旋法)というものがあり、これが中国の理論と合わないために混乱が起きたりしています。インドやアラビアの旋法体系は、半音より狭い音程を含んでいて非常に複雑です。そして、古代ギリシャの音楽のルーツはエジプトや小アジアなどのアジアにあるともいいます。旋法の名前である「フリギア」や「リディア」もそうした地方の名称に由来します。先述のクルト・ザックスによると、古代ギリシャの音楽も、半音より狭い微分音を使っていたといいます。現代の音楽理論における「エンハーモニック」という用語は「異名同音」という意味で、名称は違っても全く同じ高さの音のことを言いますが、ギリシャのエンハーモニックはそうではなく、C♯とD♭は異なる高さの音としてそれぞれ名称がありました。西暦100年ごろ、プルタルコスは、こうした「エンハーモニック」を識別する能力はすでに失われたと書いています。そうだとすると、ギリシャの音楽は、半音より狭い音を含む複雑な音階の体系から7音に単純化されたということになり、12の音を理路整然と計算したピタゴラスの理論をもとに音階が形成された、という発想は根本から崩壊します。
まあ、大雑把に言えば、5音から7音への発展ということがまずあります。7音の間の半音の利用については、すでに前の回答に書いた通り、長調、短調という調性体系と、平均律に近い調律法の発明が大前提です。長調と短調の元になっている旋法は「イオニア」と「エオリア」ですが、古代ギリシャでは使われていません。中世以降導入されたものです。長調と短調は、性格を異にしながら、第7音と主音の音程は半音に統一されます。「ドミソ」のような三和音が登場し、調の中心音を明確にするために、半音程の進行を含む「ドミナント→トニカ」という強力な進行としての「カデンツ(終止形)」がその音楽文法の中心になります。近代の西洋音楽では、「半音進行」が非常に重要なものになっていきます。調律法の発展でいろいろな調が自由に使えるようになると、音階のすべての個所での半音が同じくらい重要になっていきます。それでも、音楽が調性である限り、基本は7音音階です。12の音を完全に平等化するのは、20世紀の「12音音楽」になってからです。
こうしたことを一般の読者にわかりやすく書いた本というのはないと思います。ギリシャや中世の音楽理論は複雑で、音楽の専門知識があっても混乱します。クルト・ザックスについては、上記以外の論文も参考になりますが、日本語訳はありません。こうしたことを知るためには、外国語の論文や分厚い音楽百科事典でそれぞれの項目を読み込まなければならず、相当骨が折れます。なので、ここに書いたのはかなり雑な説明だと思ってください。普通はこのような書き方はしないのですが、このサイトはもうすぐ消滅するので、まあいいかと思って大雑把に書きました。間違っているところもあるかもしれません。
疑問は半解凍して分かってはきてます。
ただポンコツ思考のショートや短絡ばかりしている回路なのでうまく言葉にできない。
ピタゴラス音律を数学的に読み解くような動画解説みたので一気に強い興味が生まれたのです。
美しい音はなにから生まれ現代の(高度な)音楽となっていったか、ロマンありますよね。
そこへ12音のピタゴラス音律理論が降りてきた。
鉄を叩く音からピタゴラスは音律の元を考えだした。これニュートンの落ちる林檎の話の原点とも通ずる。
最初の1音、次の2音、そして5音と増え、7音になった。
そのいきさつを、美しい音が集まって7音になったという十把一絡な表現で説明されたことがあって納得いかなかったんですよ。
人の声があり石の音があり金属の音があり、風の音があり、水音があり、太鼓あり、三線あり、バイオリンがありの~というようなところが複合的に絡まって6音7音になっていったというストーリー性があるんじゃないかと思うんですよ。特に6音7音目の生まれ方、そのへん解明なり説明してくれる文献や引用のようなものがあれば納得するんですけど。
7音以降の12音までは、みなさんの解説でようやく納得いったのですが、基本的な部分が私の理解力では飛んじゃってると思った次第です。
とはいえ詳しいご説明ありがとうございます。刊行する際は副題に12音の成り立ちがわかる表現なんか差し込んでください。
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>ピタゴラスの考え方であっても、完全五度のとり回しでできる
>・ファ→ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ
>で白鍵がすべて登場します。
これが分からない、分かっていないのです。
白鍵(ABCDEFG)がすべて登場するところの理解ができてない。ここを例の動画の説明のように、音痴でカラオケにもいかない私に理解できるように教えてほしい、ということが謎の解明だあると思ってます。私のホームズになってアーサー・コナン・ドイル風に出版して読者を魅了していただきたい。
「閑話休題」って訳ではありませんが、
白鍵の7音(ドレミファソラシド)があれば、それだけで美しい演奏できるって話をここでも聞いたのですが、そりゃそうだと思いますが、それが白鍵7音に収まった最大の理由と思っていいのでしょうか。そこの理解もできていない。補助的な話なのかとも考えますが、お教えください。
みなさん貴重なお時間をとっていただき、丁寧な解説回答ありがとうございます。
おおむね理解できました。
No.7でのG-20さんの
>まあ、大雑把に言えば、5音から7音への発展ということがまずあります。
これが一番わかりやすかった。その5音はどう決まったのかが解れば自分の中で完全理解です。
最初は1音で2音となり増えていったのかというストーリーなのか、歌を詠っていくうちに5音が一気に見えて(聞こえて)きたのか、ピタゴラスかのように何か叩いていい塩梅を見つけだしたのか。
ここの見解を教えてください。勿論推察でしょうが、基本・原理でせう。
すでに回答の中に答えは隠されてるのか、ヒントはあるのか、ないにもないところから5音はでてこないでしょ。最初の一音はなにかって原点では。
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永きに渡っての解説・回答、ご教示ありがとうございました。
理解できました。(おそらく)。
長年の謎が解明でき非常に感謝しております。
黒鍵はなぜ名もなき剣士になったかも理解しました。(自身の中ですが)
これで推理小説は大団円を迎え、喜びもひとしおであります。
わたくしの永年の疑問、何故12音のなかで白鍵の7鍵に名前があって黒鍵の5鍵は名もなき#・♭に追いやれれたかに回答いただきありがとうございました。
みなさまに感謝いたします。
大河推理小説は終了します。コナンドイル様江戸川乱歩様になってシャーロックホームズや明智小五郎に化身したみなさまありがとうございました。
大団円となりました。御礼申し上げます。m(__)m