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PLD法によりある物質をアブレーションして薄膜を作成しました。
またその時のチャンバー内圧力を3種類に変えて、全部で3枚の薄膜を作成しました。
それらをXRD測定し、結晶性があるかを調べました。すると確かに3種類とも強度の異なる結晶性のピークは得ることができましたが、それらのピークの基には小さいなだらかな盛り上がり(アモルファス?)があります。イメージとしてはなだらかな山(アモルファス)の上に一本の木(ピーク)。

その三種類のピークを比較して、どれが一番結晶性が得られているか調べたいのですが、アモルファスをどのように考慮したらいいかわかりません。それともアモルファスを考慮せず、生データのままピークを比較してもいいのでしょうか?ご回答をお願いします

A 回答 (2件)

まず、そのブロードなピークは、シャープなピークと同じ位置に出ているのでしょうか?別の位置に出ている場合、No1さんの回答のように試料基板からのピークの可能性がありますから、基板だけでのブランク測定を試すことをおすすめします。


次に、結晶性の評価というのもどういう評価をするかで違ってきます。考えられる評価を2種類想定してみます。

1.結晶性成分ができた割合で評価する
 基板のブランク測定の結果から、そのブロードなピークがおそらく試料のアモルファス成分だろうと思われるなら、XRDデータに2本の曲線によるカーブフィッティングを行って、その面積強度比を成分体積比と見なして比較する。フィット曲線としては、一般的にガウシアンとローレンチアンを足し合わせたシュードボイド関数というものが使われます。
 ただし、私も薄膜作製をよくやっていますが、普通の材料で1ミクロン以下程度の膜厚では、アモルファス成分はXRD測定に出てこないのでよく確認してください。

2.結晶成分の結晶性の良否で評価する
 結晶性成分から出てくるシャープなピークのピーク幅(半値幅)を比較してください。結晶のサイズが大きくなるor結晶性がよくなるほど半値幅は小さくなります。「シェラーの式」というのを使えば、大ざっぱな結晶サイズを求めることもできます。
 さらに、2θ角(ディテクターの角度)をピーク位置に固定して、試料だけを動かすωスキャンというのを行って、そのピーク幅がブロードなら薄膜の結晶が基板面に対して乱雑に傾いて、逆にシャープなピークなら平坦に面内にそろっていることになり、結晶成分の平坦性の評価ができます。
 もし、作製試料の膜厚が一定であることが間違いないなら、ピーク強度で比較することも可能ですが、強度比較の場合は試料のマウントを含めて測定条件などが変わらないように注意してください。

なお、No1さんおすすめの内部標準ですが、粉末の内部標準(通常は良く粉砕したSi粉末が使われる)を角度の校正基準に使うのには有効ですが、強度基準にするのは難しいと思いますよ。X線が照射される試料体積を一定にして比較しないといけないですし。
 また、単結晶を標準にしようとすれば、ピーク位置や強度を決めるには、試料を3軸方向でスキャンして真のピーク位置を決めないといけなくなり、おそらく質問者さんが使っているのは通常の粉末X線回折装置では無理でしょう。従って、粉末X線回折の標準には、単結晶は通常使われないと思います。
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XRDはどのような方法で測定されたのでしょうか?薄膜X線法を用いても,基材の影響を無視することはできません。

したがって,石英ガラス(?)などの基材を用いていると仮定して,この基材によるブロードニングを考慮する必要があります。

一番良いと思われる方法は,内標準を用いる方法でしょうか?薄膜物質とピークの重ならない結晶性の高い適当な基材を用いて,この回折ピークの何本かを標準として規格化し,薄膜物質の回折強度を比較する方法です。(薄膜の膜厚および吸収係数が同じと仮定する)
コーティング膜の場合,オリエンテーションが起こっている可能性もあり,できるだけ広い角度範囲で調べた方が良いと思います。(・・・ひとつのピークしか観察されてないんでしたっけ?)

あるいは,熱処理でアモルファスを結晶化できるのなら,加熱前後のハローパターンからアモルファス量を間接的に比較することも可能かもしれません。
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