No.11ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
天皇なんて関係ない、というのも正しいと思いますし、存在意義を見いだすという考え方も、また正しい感想だと思います。
これは、主観的な感想に大きく左右されると思います。客観的に存在意義を論証するのには、限界があると思います。
質問者様は、まだ大学生ですから、自分(の家)のルーツなどを気にすることはないと思いますし、伝統と自分との関わりなどについてもあまり感心がないかもしれません。
ただ、60才くらいにもなりますと、自分がどこから来たのかということを気にする人は、とても多いです。死ぬ前に、自分の出たところを知りたい、意味が知りたいという欲求のようなものだと思います。
家系図がなくてもいいんです。おじいさんがどこの出身で、おばあさんはどこから嫁に来て、どこの墓に入っているかとか、ですね。家系図がなくても、苗字や出身地や家紋からルーツを探るとかもそうですね。こうした傾向は、何も日本人だけではないようです。
そういうルーツをさかのぼっていく過程、歴史をひもといていく過程で、天皇というのは必ず出てきます。天皇が万世一系というのは、うそだとしても、日本の歴史の中で一番古くから権威の中心にいたことは動きません。文学や宗教、音楽、どこを切っても、天皇がどこかで顔を出します。
天皇と一般国民を結ぶ系譜はいい加減なものが多いというのは、確かに事実です。それをどう捉えるかも、人によって違いますね。
「そんなのうそだ」と見ることは歴史学的な視点としては大切なことです。
かたや、それを信じていく姿勢も、他人が否定したりバカにすることはできません。実際には、親やおばあさんから、代々伝え聞いた話を、むげに否定しながら聞くということは、少ないと思います。たとえば、ある人が、おじいさんやお婆さんから、「うちは、分家筋なので、遺品はないけれど、○○藩の家老の家でね・・・」と聞かされていた場合に、頭ごなしに否定することはあまりないと思います。まずは、○○家というものがどういう家であるのか調べて、そこを手がかりに、自分の家がどういう関係であったのか、探っていくのではないのでしょうか?
歴史を自分とのつながりで捉えていくと、天皇家というのは、そう簡単に関係ない、古くさいからなくしてしまえ、と言えないという感性がおわかりになるでしょうか?
古典文学や和楽など、伝統との接点も似たようなものだと思います。
天皇家にどういう感情をいだくかは、そういう感性の部分が大きいですね。
ただ私の文章で言ってる天皇は、近代国家のいわゆる「天皇制」は必ずしも意味しません。「天皇制」は必ずしも支持しなくても、天皇に対する親近感や、尊敬はありえるということです。天皇家に親近感や尊敬を抱く人の多くは、「天皇制」に対しても、むやみと反対しようとは思わないとは思いますが・・。
回答有難うございます。
自分は同年代と比較してもわりとドライな性格なので、血統などで民族的な共有感を抱く感性は今後持たないと思いますが(墓参りなども形式的に行っています)、確かに自分のルーツを重んじる精神は万国共通である気がします。
天皇制として政治に組み込まれることがなくなっても天皇に敬意を持ち続ける人々はたくさんいるでしょうし、その精神は尊重すべきと思います。
政治から分離して任意的な象徴として存続させる選択肢もあると思います。
(敬いたい人だけが敬えばよいといった考え方です。)
No.14
- 回答日時:
「天皇」という言葉を使い出したのは、明治なってからです。
江戸時代は天皇とは読んでいませんでした。
天子(てんし)、 天朝(てんちょう)、主上(しゅじょう)という名が江戸時代は一般的に使われていました。
倭時代では天皇に当たる地位を治天下大王(あめのしたしろしめすおおきみ)と呼んでいました。
雅語ではすめらのみこと(すめらみこと)。
平安時代以降は、みかど(御門、帝)、だいり(内裏)など、他にもさまざまに呼ばれました。
院政時には、天皇という呼び方が消えていた時期であり、すべて「院」と名乗っていました。
従って歴史教育において、この時期を、例えば「後白河天皇」と教えるのではなく、「後白河院」と教える方が正解だと思うのですが。
律令制においても誰も天皇を名乗っていないのですから。
また「天皇」という漢字は律令制に規定がありますが、呼び方は「すめらみこと」「すめらぎ」「すべらき」などと読まれていました。
「てんのう」と読みだしたのは、明治になったからです。
天皇の存在意義の根幹を成しているものとは、これは山本七兵・芥川龍之介・井沢元彦などが唱えている説なのですが、
日本人が知らず知らずの内に共有している価値観がありますよね。
日本の常識は世界の非常識という言葉がありますが、この日本人が持っている独特の価値観を仮に日本教と定義するならば、
天皇はこの日本教の法王的の存在なのではないでしょうか。
よく欧米に方に言われるのですが、日本は鎌倉時代に2権分立をやっている。
つまり、宗教と政治の分立ができている。
これはヨーロッパも中国も朝鮮もできていないのに、なぜ日本は宗教と政治の分立ができたのかと質問されるのです。
欧米からは、政治は鎌倉幕府、宗教は朝廷、と分権して見えるらしいですね。
日本はよく無宗教だといわれますが、仮に日本人が共有している価値観を日本教と定義するならば、その日本教の法王的な存在が天皇だと思います。
回答有難うございます。
皆さんの話を伺うと、日本には宗教的側面が自分が思っていたよりも強く存在していると感じました。
自分の育った環境が宗教的実感の湧きにくい環境で、それが今の自分の主観を形成しているように思います。
さまざまな方法で、いわゆる日本教を実感する努力をする必要があるようです。
No.13
- 回答日時:
外国との関係という問題もあると思います。
宮中晩餐会とかを見れば分かるように、
外国の国王や大統領等の元首級の人物が日本に来た場合、日本を代表してこれを
接遇する資格があるのは天皇陛下だけなのです。
総理大臣はあくまで行政府の長に過ぎないので、相手が元首である場合は釣り合わないのです。
もちろん首脳会談のような政治的な事は首相がやりますが。
そういう事ですから、もし天皇が必要ないという意見があっても、大統領なりなんなり、
国を代表する地位は必要になってくると思いますし、
かといって天皇制を廃して他の地位をそれに代える積極的理由が無いのなら、
現状で問題ないのではないでしょうか?
No.12
- 回答日時:
大日本帝国憲法(明治憲法)において、はじめて天皇の呼称は「天皇(てんのう)」に統一されました。
ただし、外交文書などではその後も「日本国皇帝」が多く用いられていました。
従って下の、No.10の
>「日本国皇帝」を名乗ると、中国皇帝と対等になってしまい、許してもらえないかも知れない
というのは間違いです。
中国にも朝鮮にも堂々と「日本国皇帝」を使っています。
天皇というのはあくまで国内用に使われていました。
そして、「日本国皇帝」を使った日本に朝鮮が外交拒否をし、それが征韓論につながっていくのですが。
従って下の、No.10の言うように、もしに中国・韓国にも「天皇」を使っていたならば、当時の外交はうまくいって征韓論はなかったかもしれませんね。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E7%9A%87
No.10
- 回答日時:
前書き
タマネギの芯を求めて皮をむいていっても、あまりハッキリした芯は出てきませんね。「皮」の集まりこそがタマネギであり、あれこれの料理に欠かせない野菜です。
何を申したいかというと、天皇の存在意義の「根幹」なんてものは不確かで、しかし「天皇の存在意義」は確かにあった、ということです。これに対し、「天皇こそは(日本の)根幹」というイメージを持つ人も多いでしょうが、そこには惰性的思考の浸潤が見られます。
それでは、「皮」、すなわち「時代時代で天皇はどう役立ったか」を見ていきましょう。申し訳ありませんが、だらだら長い上に、項目数が多すぎて各項目は説明不足と、散々です……。
項目
1.「天皇」はインチキ中国語
2.マージナルな民の偶像
3.「玉」から狂信的現人神へ
4.マッカーサー vs. 玉座を取り巻く狡猾な老人たち
5.変わらないでいるためには変わらなければならない
解説
1.古代:「天皇」はインチキ中国語
「和製英語」は実にたくさんありますね。英語もどきだが、「英語にそういう言い方はない。あるいは、ないことはないが、日本では別の意味で使う」などの言葉です。もう、日本語の一部になっているわけですが、英語圏の人から見ればインチキ英語で、日本語を学習するときに、かえって和語より覚えにくいとも言います。
さて「天皇」は、昔の和製中国語らしいのです。中国語にないことはないが、「北極星の別名」とか、「唐の高宗が一時期そう自称した」とかいう言葉でした。司馬遼太郎か誰かが書いていましたが、「仮に、日本の天皇を全く知らない中国人がいるとして、『天皇という人がいる』とだけ聞かされたら、『それは天の存在か地上の存在か、はたまた幽霊か、薄気味悪い』と言うだろう」。
しかし、天皇号を使い始めた日本人は、バカだったのではありません。それどころか、なかなか知恵者だったと考えられます。
すなわち、「日本国皇帝」を名乗ると、中国皇帝と対等になってしまい、許してもらえないかも知れない。「日本国王」では、冊封体制のもとで中国皇帝の臣下になってしまう。そこで、抜け抜けと「天皇」と表記し、「私ら、無学で言葉遣いが変でーす」、本音は「日本は中国の属国じゃないわい!」ということだったのではありますまいか。
このように、当時から日本人は巧妙でした。しかしその一方、「名は体をあらわす」とも言いますね。「『天皇』はインチキ中国語だった」ことは、「天皇制は、中国を中途半端に真似したバッタモンの側面がある」ことと、残念ながら一致していました。ズバリ言うと、天皇という仕組みは、(一部)中国の皇帝の真似であり、日本にあまり合ってないのです。
これに対し、「何を言うか! 日本の国は神武天皇が平定し、万世一系の天皇が引き継いできたのだ。天皇こそ日本の元であり、日本の中核である」と反発する人もいるでしょう。しかしですね、文化・宗教などの面はさておき、国の仕組みで考えてみてください。天皇が統治した時代なんて、ごく短いものでしかなく、昔「国家統合の象徴」だったかどうかも疑わしい。天皇という制度は、日本ではほとんどいつも「浮いてる」存在でした。浮きっ放しだから長持ちした、とも言えるでしょう。しかも、万世一系はフィクションで、途中で王朝は交代しているというのが、歴史学では有力説です(例えば武烈と継体の間)。天皇の存在意義の「根幹」は、このように不確かなものです。
2.中世~近世:マージナルな民の偶像
すでに長文になってしまったので、この項は説明を割愛します。ミカドは早々と権力を失い、江戸時代には困窮して即位時の大嘗祭も挙行できない(「半帝」と嘲笑された)天皇まで出る惨状だったのに、なぜ多少の権威が、幕府に対しても民間に対しても続いたか。網野善彦(1928-2004)は、「天皇は漂泊民たちの王でもあった」ことを明らかにしました。そのことも、天皇の存在意義だったと言えます。
3.幕末~十五年戦争:「玉」から狂信的現人神へ
倒幕に奔走した「勤皇の志士」たちは、陰では天皇を「玉」(ぎょく、たま)と言うことがあったそうです。「玉」には「美しいもの、貴重なもの」の意味がありますが、そこから転じて、「その程度の人物。軽くあざけっていう。また、策略などの手段に用いるもの・人」の意味でも使います(『国語大辞典』小学館)。
明治天皇の先代の孝明天皇(1867年没)は、砒素で毒殺されたとも言われます。この帝は公武合体論者だったので、倒幕の邪魔でした。死因は公式には天然痘ですが、記録に残る死亡所見は砒素中毒の症状に酷似しています。急に践祚することになった睦仁親王(1852年生まれ)は、まだ少年でした。利用しにくい孝明天皇には「存在意義」がなく、利用しやすい少年天皇にはそれがあったとも考えられます。
また、大正天皇は病弱で、当時の宮内省は「陛下は脳のご病気にあらせられる」と発表しています。代わりに裕仁親王(1901年生まれ)が摂政に就任したのは、1921年でした。この若さは、明治帝に似ていますね。
なお、「現人神」という言葉は歴史が古く、詩的な響きもあったのに、昭和帝が「現人神」に祭り上げられたころは、狂信的な意味内容になっていました。
4.敗戦~被占領時代:マッカーサー vs. 玉座を取り巻く狡猾な老人たち
この項も説明を端折りますが、米国政府とマッカーサーは日本占領統治を円滑に進めるため、天皇を利用することに決めました。他の連合国は反対意見が多かったようですが、昭和天皇は、新しい「存在意義」を与えられたわけです。
人口に膾炙している美談として、「天皇・マッカーサー会談の第1回で、『朕はどうなってもいいから国民を救うてたもれ』と言った。その人柄にマッカーサーは心を打たれ……」があります。出所はマッカーサーの回顧録などのようです。しかし、田舎芝居の筋書きのような安っぽさだと思いませんか? 同書はウソが少なくないことが知られています。
天皇・マッカーサー会談は数回にわたって行われ、その記録(日本の外務省関連)が公開されたのは、最近(数年前)のことでした。そこには、「朕はどうなってもいいから」は記されていません。
それよりも、その記録で注目されるのは、(天皇を政治的無能力者と定めた)新憲法発効後も、しばらくの間、陰で昭和帝とその側近たち(天皇グループ)は政治力を残しており、GHQ(の一部)は、その政治力を利用しようと接触していたこと。また、逆に天皇グループもマッカーサーを利用して、皇室の安寧を画策していたことなどが、窺える点です。
5.現在~:変わらないでいるためには変わらなければならない
時代時代で天皇に存在意義があったことは、おそらく歴史的事実だと思います。言い換えると、皇室を取り巻く狡猾な老人たち(例えば政府要人、閥族、マスコミ幹部など)は、時代に合わせて皇室の存在意義を創っていかなくちゃならないということです。世間が存在意義を持たせてくれない時は、逆に仕掛けて創っていく必要さえあるのです。伝統の何を守って、何を改革するか。変わらないでいるためには、変わらなければなりません。
現在、日本の皇室は微妙な時期に差し掛かっているようです。「天皇はローマ法王と並んで世界一権威のある存在」などという与太話(ネットで広まっている)に、天皇の存在意義を感じる人もいるらしいのですが。
現実には、昭和天皇・皇后両陛下が米国を訪問した際、空港に出迎えたのはロックフェラー副大統領(当時)でした。両陛下はもちろん大統領夫妻とも会見しましたが、米国各地を周りました。そのコースには、「外国政府のトップが米国に来て大統領と長時間会談している間、トップの夫人が退屈しないように案内する、お誂え向きの施設」が多く含まれていました。なるほど、天皇は政治的無能力者であり、ローマ法王のように米国民(カトリック信者など)に直接呼びかける影響力もないのだから、「トップの夫人」を遇するように、もてなすのが適していますね。
それで、今後のことなのですが、有名な「パーキンソンの法則」を……。
「公務員の数は増え続ける。人員過剰になった公務員は、自分たちで勝手に仕事を作り合い、存在意義を誇示し、減るどころか増え続ける」
日本の皇室も、「世襲の公務員」のようなものなのですから、新しい「皮」をまとって、どうかこの法則くらい逞しく、千代に八千代に続いてくださいませ。皮肉では無しに、国民の一人としてお願い申し上げて、筆を置きます。
回答有難うございます。
各時代それらしい意義を取り繕っては利用し利用されながらフワフワと続いてきたものであるといったところでしょうか。
時の権力者が都合のよいシステムを作り上げるために天皇を道具として利用してきた、という考え方は天皇が無くならない理由として説得力があります。
正確な知識なくしては物事を論じる資格はないと思っておりますので、長文での回答ありがたく思います。
No.7
- 回答日時:
天皇は世界的に言うとローマ法王と並んで世界一権威のある存在です。
イギリスのエリザベス女王にも上座を譲られますし、アメリカの大統領がホワイトタイで空港まで迎えに出たりもします。
世界的に見た場合、キリスト教徒でも白人でもない人がその立ち場に居る、
それだけでも人種や宗教のパワーバランスとしては意味があるのではないでしょうか。
日本への実益として考えても、
世界的にそれだけ権威を認められているのですから、
外交手段としては極めて大切な『駒』です。
回答有難うございます。
君主や教皇の存在する諸外国から見れば価値ある存在であるのは頷けます。
国内での実益性・精神的求心力を失っても、対外的な価値があればそれも一つの存在意義ですね。
No.5
- 回答日時:
理屈抜きに「ただなんとなくすごいもの」と思えるのが本来の日本人の良いところでもあり、天皇が現在まで続いている要因のひとつと私は思っています。
他の国の人々は信仰する宗教はほとんど1つと思いますが、日本人は神道と仏教など複数の宗教を信じている方が大半のようです。外から見ると節操がないと見られることもあるようですが、神道の神様も仏教の仏様も「ただなんとなくすごいもの」という共通する意識から両方信仰しているのではないでしょうか?
うちの母は毎朝神棚に水、仏壇にお茶を欠かしませんが、おそらく思想的なことはあまり考えていないと思います。「ただなんとなくありがたいもの」という感覚で信仰していると思われます。
よく考えてみれば時代時代の権力者達が、天皇を利用こそすれ、その地位を簒奪したり、廃止しなかったのも他の国と比較すると不思議な気がします。
「ただなんとなくすごいもの」という意識が権力者のみならず日本国民にあればこそ天皇は続いてきているものと思います。
天皇の存在意義云々は昔から諸本で散見しますが、論争の的になったのは明治のころ西洋思想が入ってきてからのような気がします。ただ日本の心で続いてきたものは日本の心で考えるべきだと思われます。
(あまりたいした回答になっていない気が・・・)
回答有難うございます。
天皇は最大公約数的なものである印象を受けました。
自分のように天皇の権威を色濃く感じていない人間が増えていくとその前提も崩れていくのでしょう。
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