甲の所有する土地上に乙が無断で建物を建築し、これを丙に譲渡した。
その後、甲は土地を丁に譲渡した。
登記名義はまだ、建物については乙、土地については甲となっている。
(1)丙は建物の所有権を丁に対抗することができる~○
(2)丙は丁からの土地所有権に対して丁の所有権移転の登記のけんけつを主張することができない~○
(3)甲は丙に対して所有権に基づく建物収去土地明け渡し請求ができる~×
丙は無権利者からの譲受人なの丁に建物所有権を対抗できるのでしょうか?
(2)(3)は丁は無権利者からの譲受人だという解釈でいいのでしょうか?
どなたかご教授お願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
(2)は再現が不正確のようです。
おそらく、>丙は丁からの土地所有権「の主張」に対して丁の所有権移転の登記のけんけつを主張することができない
とかそんなところでしょう。
まず先に(2)(3)ですが、一言で言えば、「違います」。
丁は、「甲という土地の所有者」から譲渡を受けているのですから「無権利者からの譲受人」ではありません。
(3)は簡単なので先に言うと、「甲は丁に土地を譲渡しているので登記が残っていても実体的には既に所有者ではない」のですから、甲が「所有権に基づく」建物収去土地明渡請求ができないのは当然です。権利がないのですから。甲は既に問題の土地に関する実体的な権利義務関係からは離脱しています。
※(3)では丁は関係ありませんよ。問題をよく読みましょう。
(2)は一言で言えば、「丁が権利を主張するのに登記が必要か」という問題です。丁は、権利自体は甲から正当に譲り受けているが登記という形式を備えていないために一定限度で権利主張できないという不利益を受けるので、丙相手の場合がその不利益を受ける場合に当たるかという話です。ですから、丁は「無権利者からの譲受人」ではないことが大前提です。
そして、この問題は裏返せば、「丙は177条の第三者に当たるか」という問題です。結論的には、当たらないので丙に対しては丁は登記がなくても所有権を対抗できる、つまり、丙は丁に対して登記の欠?をもって対抗できないということになります。
>丙は無権利者からの譲受人なの丁に建物所有権を対抗できるのでしょうか?
これは、(1)についての質問だと思います。結論から言えば、「所有権は」主張できます(問題には「対抗」とありますが、一体何に対して対抗するのかが不明です。もし、土地所有権に基づく妨害排除請求ならば、そもそも土地を占拠している物の所有権をもって土地の妨害排除に対抗することはできませんが、「何に対して」が明示していない以上、そういう意味ではなく単に主張と同義で使っているだけと解してよいでしょう)。
丙は無権利者からの譲受人ではありません。乙は確かに問題の土地の占有については無権利ですが、ここで問題なのは「建物の所有権」であって建物の所有権については、不法に築造した建物でも乙は原始的に所有権を取得し、譲渡を受けた丙は建物の所有権を取得しています。そして、ここでも登記が移転していないので、丙は丁に対して登記なくして権利の主張ができるかという問題になります。つまりこれも丁は177条の第三者に当たるかという問題です。結論的には当たらないので、登記なくして対抗できる、つまり「所有権の主張はできる」です。
しかし、土地の占有権限がないので収去明渡請求を受ければ建物を撤去しなければなりません。建物の所有権があるかどうかとその建物のある土地の占有権原があるかどうかは別問題です。これは(2)の問題そのものです。つまり、丁が建物収去土地明渡請求をしてくれば占有権原のない丙は建物の所有権があっても対抗できないと。
なお、理論上、「所有権が丙になければそもそも丁が丙に対して建物収去土地明渡請求が原則できない」ということには気をつけるべきです。不法建築物の収去は、「当該建物の所有者に対して請求する」のが原則ですから、「丙が建物の所有権を丁に主張できない=丁との関係で所有権が認められない」のであれば、丁は丙に建物の収居を請求できないことになってしまいます。
判例上の例外として、建物を譲渡したが登記を移転しなかった場合に、本来所有者でない登記名義人に対する建物収去土地明渡請求を認めたものがありますが、これは「真の所有者を探す労を原告に負わせる不合理を回避した」ものであって、逆に「登記はないが真の権利者」である場合には、原則どおりに真の権利者を相手にしているのだから何も問題はありません。もしそこで所有権の主張を否定すると、原則どおり真の所有者に対して主張しているのに主張が通らないという変な話になってしまいかねません。
おっしゃるとおりです。
(2)丙は丁からの土地所有権に基づく建物収去土地明け渡し請求に対して丁の所有権移転の登記のけんけつを主張することができない・・・でした。
(3)は丁は関係ないですね。
丙が無権利者だから・・・と思いながら問題を読み進めてたらだんだんわからなくなってきていました。
丙は建物に対しては確かに無権利者ではありませんね。
ありがとうございました!
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