No.2ベストアンサー
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名の伝わる最古の数学者ミレトスのタレス、サモスのピタゴラスは哲学者としても有名です。
そもそも数学(mathimatics)という言葉は、魂の浄化のための学科(mathema)として音楽、天文学、幾何学、数論を後者が南イタリアで開いた宗教学園で課されていたことに由来します。ピタゴラス学波が初めてかも知れない「正方形の斜辺の長さは有理数ではない」という証明があります。(岩波『数学辞典』第2版p172参照)アカデメイア(今日の大学の前身)を設立したプラトンはピタゴラス学波の思想に深く影響されているふしがあります。彼の著作の中で最も数学的な内容のある『テアイテトス』(知識とは何か)で、ソクラテスと無学な若者の対話が描かれています。
ソクラテスの対話の相手ははもともと、無理数を幾何学的に取り扱う問題を√2以外の場合に拡張してギリシア数学史に名を残す老テオドロスや、「知識は感覚である」とするテアイテトス(後に、ユークリッド『原論』の一部は彼のものとする説があるほどの大数学者になる人です。もっともソクラテスとの対話はプラトンの虚構かもしれないですが)だったのですが、ソクラテスはたまたまそこにいた無学な若者に、あることを、教えるのではなく、質問していくことで、彼自身がもっていた誤りに気付かせることによって正しさというものというはこういうものではないかと反駁したのです。そこで使われていた数学的課題が、先ほど述べた「正方形」に関することだったのです。
今、一辺の長さが1であるような正方形があったとして、この広さを1とした場合に、もしも、この正方形の長さを2と考えたなら(2倍すれば)、広さはどれだけと考えるべきだろうか。・・・「2です」と若者は間違うが、間違っていることに気付かないのです。おそらくこれが、感覚的なもの、あるいは言論の誤用ということを示唆していると思われます。そこから発展する対話は、一人心のうちで行えば、正しい思考というものであり、ソクラテスが自ら産婆術と名づけるこの方法は、若者に、はじめの思いが間違っていることに気付かせることになります。しかし、かれはその正しさをソクラテスに押し付けられて知ったのではなく、彼自身の内にある正しさというものを基準にして、自ら、自分の誤りを悟ったのです。
このだれもが持っている正しさの基準というものから、直接いいえる最初のものを、「公理」といえば「数学」になり、「正義」といえば「哲学」になると思います。あるいは哲学は、その正しさの基準によって、言語記号でシンボル化した「存在」「世界」「人生」「徳」「愛」・・・さまざまな対象を扱うのですが、数学においても、それは同じであり、数学言語が対象となるだけではないでしょうか。もちろん、掛け算をしているときは数学的行為ですが、掛け算とは何かと考えはじめだすと哲学的になります。しかし、それも数学的シンボルで記述して思考の跡を残してゆくなら数学的でしょう。
私が哲学と数学に見出す共通点はこんなところです。どちらも正しく考えることを本質として持っているように思います。誤ることもよくあるので、どちらも正しく考えるべきものと言わなければならないのかもしれませんが。
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