No.6ベストアンサー
- 回答日時:
6月1日に同じ内容の質問(反転増幅器のカットオフ周波数の求め方
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3048059.html)がありますが、より詳しく解説します。高周波での利得が低下する主な原因として以下のものがあります。
(1) OPアンプのスルーレートの制限によるもの(大振幅)
(2) OPアンプのオープンループ利得の低下によるもの(小振幅)
(3) OPアンプの入力容量や帰還抵抗の寄生容量によるもの
(1) スルーレートとは、1μs の時間あたり、どれくらいの電圧変化まで出力できるかという、OPアンプの出力特性の1つです。OPアンプが μA741 の場合、資料 [1] のデータシート(PDF 5ページの一番下の表)にある SR (Slew Rate) という項目がこれに該当しますが、これが 0.5V/μs とあります。つまり、 μA741は、1μs 間に 0.5V 以上変化するような信号を出力できません。
OPアンプのスルーレートを超える極端に速い信号を入れると、信号は三角波になってしまいます(三角波の傾き = スルーレート = 一定)。OPアンプのスルーレートを SR [V/μs]、三角波の片側振幅を a [V] 、信号の周波数を f [Hz] とすれば、SR = 4*a*f となります(三角波は1/4周期で、0V からA V まで電圧が変化する)。この式を変形すれば、a = SR/( 4*f ) ですから、この場合、増幅器の利得に関係なく、OPアンプのスルーレートが小さいほど、あるいは、周波数が高くなるほど、出力信号の振幅が低下します。
入力信号が sin 波として、その片側振幅を A [V] としたとき、電圧の時間変化 Vin(t) は、Vin(t) =A*sin( 2*π*f) であらわされます。この信号を利得 G 倍の増幅器に入力したとすると、出力信号は、理想OPアンプの場合はG 倍されて、Vout(t) =G*A*sin( 2*π*f) となるはずです。しかし、この出力信号の電圧変化率 dVout/dt がOPアンプのスルーレート SR を超えた部分はOPアンプが追随できず、直線的な波形になってしまいます。Vout(t) =G*A*sin( 2*π*f) の変化率は dVout/dt = 2*π*f*G*A*cos( 2*π*f ) ですから、その最大値は 2*π*f*G*A になります。これが SR を超えていなければ、計算通りの利得が得られますが、そうでない場合には上の例のように、出力信号の最も変化の速い部分は三角波に近くなってしまいます。出力信号の振幅低下が、スルーレートによるものかどうか判断するには、出力信号の波形を見れば一目瞭然ですが、それができないときは、2*π*f*G*A を計算してください。これが SR を超えていれば、出力信号の振幅低下が、スルーレートによるものです。下図のような増幅器の場合、 G は反転型で R1/R2、非反転で 1 + R2/R1 ですが、G が小さければ、出力信号の電圧変化率は小さくなるので、利得 G をむやみに大きくしないとか、入力信号の振幅 A を小さくすることで 2*π*f*G*A を小さくして、OPアンプのスルーレートによる制限を回避することができます。
┌─ R2 ─-┐
│ ┏━┓ │ ┏━┓
Vin ─ R1 ─┴-┨- ┠─┴─ Vout Vin ─┃+ ┠┬─ Vout
┌-┨+ ┃ ┌┨- ┃│
┷ ┗━┛ │ ┗━┛ │
GND ├- R2 ─┘
R1
反転増幅器 ┷ 非反転増幅器
(2) OPアンプの出力信号が、スルーレートで制限されないような小さい電圧の場合でも、OPアンプ自身の利得(オープンループ利得)に周波数依存があるので、高い周波数では利得が低下します。反転増幅回路の利得は、G = R2/R1/{ 1 + ( 1 + R2/R1 )/A0 } で表されます。A0 はOPアンプのオープンループ利得です。A0 = ∞ (理想OPアンプ)なら、G = R2/R1 ですが、A0 = 1 の場合 G = R2/R1/( 2 + R2/R1) < R2/R1 となって利得が低下します。 増幅している信号の周波数で、OPアンプのオープンループ利得 A0 が A0 >> R2/R1 を満足しないと反転増幅器の利得は計算通りになりません。μA741の場合、資料 [1] の9ページの一番下のグラフがオープンループ利得の周波数依存です。5Hzでの利得は 105 dB ( = 10^(105/20) = 200000 )もありますが、1 MHz では 0dB ( 1倍 )しかないので、1MHz では増幅器になっていません。回路の利得 R2/R1 が大きいほど、この周波数の上限は下がります。μA741の場合、周波数が100 kHz のとき A0 = 20dB ( 10倍 )なので、R2/R1 < 10 としないと、利得が計算どおりになりません。 1MHz では、A0 = 0dB ( 1倍 ) なので、R2/R1 < 1 とする必要があります。μA741のオープンループ利得 A0 の周波数依存から、非反転増幅器の利得の周波数依存を G = R2/R1/{ 1 + ( 1 + R2/R1 )/A0 } で計算してみてください。
反転増幅回路の利得の計算方法と非反転増幅器の利得、(3)については、長くなるので書きませんでしたが、ご希望であれば追加説明します。また、μA741 のデータシートはテキサスインスツルメンツのものを使いましたが、メーカによって特性が違うので、実験で使った μA741 のデータシートで確認してください。なお、スルーレートやオープンループ利得の値は、あくまで参考(設計)値で、部品によってバラツキがあります。
【資料】
[1] μA741のデータシート http://focus.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/ua741.pdf
No.5
- 回答日時:
ANo.4です。
失礼しました。
URLだけ投稿してしまいました。
デバイス名が書いてないので、どういうオペアンプなのかわからないのですが、741ですとこれ・・・
http://pdf1.alldatasheet.com/datasheet-pdf/view/ …
[Click here!!]と書いてあるところをクリックしてデータシートを開いてみてください。
このFig12が、ANo.3さんの言われる「オープンループ周波数特性」です。
LM741なら1MHzでも20dBありますね。
もっとf特の悪いオペアンプで実験されたのでしょうか。
参考URL:http://pdf1.alldatasheet.com/datasheet-pdf/view/ …
No.4
- 回答日時:
No.2
- 回答日時:
#1 ですが、すごいミスなので訂正。
-------------------------------
測定結果の数字をみると、400kHz あたりで約7倍(=10/ルート2)の増幅じゃませんか?
No.1
- 回答日時:
>非反転増幅、反転増幅の回路実験を行ったのですが、1kHzや100kHz を入力すると、約10倍の増幅が確認できたのに対し、
>1MHzを入力した場合、約1.2倍となりほとんど増幅が確認できませんでした。
「約10倍の増幅」というのは、電圧増幅の数値でしょう。
測定結果の数字をみると、400Hz あたりで約7倍(=10/ルート2)の増幅じゃませんか?
ふつうの増幅回路は、発振防止や負帰還回路簡単化のため、利得特性をローパス・タイプにしてあります。
低周波はフラットで、カットオフ周波数にて電圧増幅率がフラット値のルート2分の1 へ下がり、それ以上の
周波数では電圧増幅率が右下がりになってます。
こうしてあると、抵抗分圧を使った簡単な負帰還をしてやれば、フラット部分の利得が下がるかわりに、カット
オフ周波数が上がりのです。(山の頂上を平らに削り落とす感じです)
詳しく知りたければ、「負帰還」や「GB 積」などのキーワードでネット検索してみてください。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
似たような質問が見つかりました
- 工学 オペアンプによる増幅回路でのノイズ対策について 5 2022/03/22 16:06
- 工学 エミッタ接地増幅回路の設計 大学の実験で回路設計をするのですが、条件に最大対象振幅5Vp-p、電圧利 1 2023/04/20 13:02
- 工学 エミッタ設置増幅回路で下記の要件を満たす増幅器を設計せよ。 要件は必要要件であり、例えば、少なくとも 1 2022/12/16 10:15
- 政治 ハイパーインフレにならない程度に円を刷りまくって、貧困層を中心に国民に配りまくったり、 5 2022/09/10 10:31
- 工学 エミッタ接地増幅回路 電流利得Ai=30倍、低生遮断周波数fL=300Hz、負荷抵抗RL=600Ωに 2 2023/04/19 09:25
- 工学 エミッタ接地増幅回路 入出力特性、周波数特性、位相特性それぞれの特性3種に与える回路定数の影響を答え 1 2023/05/29 22:43
- その他(教育・科学・学問) 電気電子の問題です。 この問題教えて欲しいですm(_ _)m 電圧増幅度らA=2000倍のアンプがあ 2 2023/04/14 13:19
- 工学 差動増幅回路のオフセット 1 2023/01/09 15:16
- イヤホン・ヘッドホン・補聴器 補聴器の専門家の意見をお願いします! 1 2022/08/15 13:24
- 工学 オペアンプ 外部に位相補償回路を付けて使用する演算増幅器の場合、位相補償回路の定数は電圧利得の周波数 4 2023/05/25 22:05
おすすめ情報
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
直流負荷線ってなんですかね、 ...
-
クランプ回路
-
波形整形回路で質問です。
-
オペアンプ/反転増幅器/頭打ち
-
電気回路のπ型回路の2端子対回...
-
同調回路と共振回路の違いについて
-
触れるだけタッチライトのしくみ
-
利得と増幅率
-
全波整流回路では順方向電圧降...
-
OPアンプの特性について
-
トランジスタ出力のひずみについて
-
WORDに論理回路図を書く
-
近接スイッチの2線式と3線式...
-
3端子レギュレータ、トランジス...
-
なぜ、RS-FF回路がチャタリング...
-
400V 3相4線式について...
-
微分回路、積分回路の出力波形...
-
トランジスタの電圧増幅率につ...
-
ハートレーとコルピッツ発振回...
-
オペアンプの入出力特性。
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
-
400V 3相4線式について...
-
パルスとレベルについて
-
近接スイッチの2線式と3線式...
-
NPNとPNPの違いについて
-
電気設備で使われるGCの意味...
-
EVT(GPT)の電圧比について
-
同一電圧値、異なる電源供給源...
-
オペアンプを使用したアナログ...
-
3端子レギュレータ、トランジス...
-
4入力XORの論理式
-
[LT Spice] オペアンプのシミュ...
-
クランプ回路
-
電気回路について
-
利得と増幅率
-
オペアンプ/反転増幅器/頭打ち
-
オペアンプの故障に関する質問
-
60Hz誘導電動機を関東の50H...
-
電気回路のπ型回路の2端子対回...
-
オシロの入力インピーダンスに...
-
ベース変調方式におけるLC共振
おすすめ情報