一応理科系の専門職の者ですが、化学がとっても苦手なので助けて下さい。今、あるデータブックで分子の生成熱ΔH(kcal/mol)の実験値を調べていたのですが、
Hydrogen H2 0(ゼロ)kcal/mol
Oxygen O2 0(ゼロ)kcal/mol
となっていて ???? えええ??と思っています。
確か化学の教科書では水素分子の場合は結合することでエネルギー的に得をするので、その分の熱を発生して水素分子になり、それが生成エンタルピーだと習った覚えがあります。確か 100kcal/mol位安定になるのだったと思うのですが、それと生成熱は全然違うものだったでしょうか?
私の理解では生成熱とは、
原子A + 原子A = 分子A2 - 生成熱ΔH
で、生成熱ΔH 負の場合は放熱、正の場合は吸熱だと思っていて、分子になることで安定になるような水素分子は生成熱ΔHも負の結構大きな値だと思ってしまいます。
ちなみにデータ集には千種ほどのデータの羅列があるのですが、その他の分子の生成熱は例えば
Methane CH4 -17.89kcal/mol
Benzene C6H6 19.81kcal/mol
Carbone dioxide CO2 -94.05kcal/mol
Water H2O -57.80kcal/mol
となっていて大体納得がいきます。
データブックがおかしいのかとも思ったのですが、こんな基本的な分子に関しての記載ミスでは絶対にない気がするのです。
私は何か根本的なことを勘違いしているのでしょうか・・・。もし勘違いをしているのでしたら御教え下さい。よろしくお願いいたします。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
既に回答が出ており疑問は解決しているようですが,「化学辞典」(東京化学同人)を素に補足致します。
minochan さんがお書きの様に,「生成熱」とは『ある物質1モルが,ある温度で,その成分元素の単体からつくられるときの反応熱』です。
>「標準生成エンタルピー」と「生成熱」は化学の学問的に
> 全く同じ物と認識していいのですか?
違います。「生成エンタルピー」は『定圧条件下での生成熱』のことです。定圧でない場合,反応による生成熱の一部が体積膨張などの仕事に使われるため,「生成エンタルピー」と「生成熱」は異なってきます。
で,『生成反応に関与する化学種がすべて標準状態にあるときの反応熱』を「標準生成エンタルピー」あるいは「標準生成熱」といいます。ここで,「標準状態」とは,気体の場合は 1 atm の下での理想気体の状態,液体や固体では 1 atm の下での純粋な状態です。温度は,通常 25 ℃です。
> 炭素は単体で安定な分子は形成されませんが、その場合
> 原子の状態(原子が何個あろうとも)を生成熱0と考えても
> 良いのでしょうか?
「生成熱」でいう所の「単体」は,1 atm, 25 ℃で安定なものが選ばれています。例えば,炭素ではグラファイト,硫黄では斜方硫黄,リンでは黄リンです。
ですので,1 atm, 25 ℃の「グラファイト」であれば,生成熱は0です。ですので,同じ 1 atm, 25 ℃の炭素でも「ダイヤモンド」の場合や 1 atm, 25 ℃以外の「グラファイト」であれば,生成熱は0ではありません。
No.4
- 回答日時:
生成熱というのは,目的とする物質1molを,その構成元素の単体から生成するときの反応熱をいいます。
例えば,水の生成熱は酸素分子0.5molと水素分子1molから水1molが生じるときの反応熱です。
酸素分子や水素分子はそれ自体が単体なので生成熱0kJ/molで正しいのです。
尚,結合エネルギーは,分子内の結合を切断するときに要するエネルギーです。
酸素分子を酸素原子から生成するのであれば,それに相応する熱(結合エネルギー)の放出はありますが,これは生成熱とは言いません。
とてもすっきりしたご説明をありがとうございました。
よろしければ炭素原子の取り扱いに関して御教えいただければ嬉しいのですが。
炭素は単体で安定な分子は形成されませんが、その場合原子の状態(原子が何個あろうとも)を生成熱0と考えても良いのでしょうか?
No.3
- 回答日時:
物理化学は得意でないので、上手く説明できるか「自信なし」ですが、
#2さんのおっしゃるように、単に単体分子の生成熱を0と定義したに
過ぎません。ご質問にお書きの「生成熱ΔH 負の場合は放熱、正の
場合は吸熱」は『生成熱』を『反応熱』とすればOKと思います。
H2 (gas) の標準生成エンタルピーは定義により 0 kJ/mol ですが、
原子状水素 H (gas) の標準生成エンタルピーは + 218 kJ/molです。
従って、2 H → H2 という反応のΔHは、
(生成系 0 kJ/mol) - (原系 436 kJ/mol) = - 436 kJ/mol
ちゃんと発熱反応になります。
#ボロを出しそうなのでエントロピー項には触れないでおきます。
水素分子と酸素分子の生成熱が同じでは、どちらが高エネルギーか
わからない??という違和感があるかもしれませんが、化学反応の
原系と生成系で構成元素は保存され、水素分子から酸素分子が
生じることはありません。だから、エネルギー0の基準が元素ごとに
異なっていても、熱の出入りを論じる上では差し支えないのでしょう。
水素分子と酸素分子の生成熱が同じでは、どちらが高エネルギーか
わからない??という違和感。。。
まさにありました(笑)でも生成熱の定義がそういうもんだということで納得はいきました。
ちなみに「標準生成エンタルピー」と「生成熱」は化学の学問的に全く同じ物と認識していいのですか?
>H2 (gas) の標準生成エンタルピーは定義により 0 kJ/mol ですが、
と、書かれているのですが、
私の持っている教科書では
結合の強さΔH が解離エネルギーDH と同じで、
H・+H・→ H-H ΔH=-104kcal/mol
H-H → H・+H・ ΔH=DH=104kcal/mol
となっていて・・・・。もちろん結合の強さという言葉を使っていて、ΔHをここでは生成エンタルピーとは言っていません。但し、その教科書の中では生成エンタルピーをΔHとその前に示してあるので・・・・。今度は今ひとつ生成エンタルピーと生成熱の違いが・・・・。
No.2
- 回答日時:
実は、「分子の生成熱は『単体』が基準になっている」っていうだけだと思います。
原子からの生成熱ではなく各原子の単体からの生成熱です。
だから、単体の分子では生成熱が0になるのです。
実際問題、分離した原子からの数値より
実際に安定に存在する単体からの数値の方が扱いやすいとおもいませんか?
ありがとうございます。ちょっと分子の軌道計算をしていたので考え方が原子スタンスになっていましたが、確かに実験的に考えるとそうですね。単体の分子とは「安定に存在する2原子単体分子のみ」を0とする。と考えてもいいのでしょうか?
だとしたら、炭素からなる分子はやはり炭素が原子で存在する状態を0とするのでしょうか・・・・。
No.1
- 回答日時:
たぶんですけど
基本的に生成熱を求めるにあたって、結合エネルギー(共有結合が切断される時に吸収するエネルギー)を使います。
化学反応式の作り方として原料がふたつだったら(OならO2、HならH2)まずそれをちぎります。その際に吸収するエネルギーが結合エネルギーです。
CO2だとC+O2→CO2ですからまずO2をちぎります
O2=2O-Q(Qは結合エネルギー)
そしてその2OとCとをくっつけて二酸化炭素をはっせいさせるんです。くっつける時にはCとOの結合二回分の結合エネルギーが必要です。
O2=2O-Q(Qは結合エネルギー)・・・1
CO2=C+2O-2q(qはCとOの結合エネルギー)・・・2
この1と2の式を連立してとけば
C+O2=CO2+2q-Qとなります(ここでは2q-QがCO2生成熱ですね)
H2とゆう分子は単体として存在しているからエネルギーが0なんじゃないんでしょうか??他の二酸化炭素は化合物ですからエネルギーが必要ってことなんじゃないのかなあ??
きっともうしってるようきがするんですけどしってたらすみません。役に立てれば嬉しいです
分かりやすい連立方程式まで挙げてくださってありがとうございます。
確かにデータブックにはあとN2(窒素)もゼロでした。なんとなく納得した気がします。
ただ、例えば基本的な2原子分子のない元素、C(カーボン)とかは式のとうりにもともとの原子単体から考えていいってことなんでしょうか?
データブックには
C2(カーボンダイマ-)200.2kcal/mol
C3(カーボントライマー)196.0kcal/mol
O3(オゾン) 34.0kcal/mol
等も出ていたので、 「単体から出来ている分子が0(ゼロ)」とするのではないのですよね・・。とにかく「自分が何を誤解していたか」と言うのは明らかになりました。ありがとうございました。
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