
この作品の上五についてお訊ねします。ネットで見ると「閑かさや」と「閑けさや」の両派があります。
次の何れか一項目以上にお答え下さいませ。
1高校以下の教科書では、どう表記され、どう音読されていますか。それは教員個人の裁量ですか。それとも何かしらの公式な見解に基づいているのですか。
2 現代では「しずかさや」と音読するものだとの説は誰の、どんな考証に基づいていますか。
3 現代では「しずけさや」と音読するものだとの説は誰の、どんな考証に基づいていますか。
4 他者の考証を俟つまでもなく何がしかの根拠を背景にして、どう音読するべきか自説をお持ちの方は居られますか。単に書籍に振り仮名がしてあるとの主張は困ります。そう仮名を振る根拠が知りたいです。
よろしくお願いします。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
以下の文献で、「しづかなり」「しづかさ」、および「しづけし」「しづけさ」の例を拾ってみました。
「しづか」系は、以下に示す(数字はページ・行)24例の所在が確認できましたが、「しづけし」系は1例もありませんでした。
ここからどうお考えになるかは、質問者様にお任せするとして、私はデータを提供するだけで失礼いたします。なお以下に挙げる各例はまったく吟味しておりません。芭蕉以外の人物の使用例も含まれています。同じ句が重複していることもあります。いちいち例文を挙げればよいのでしょうが、さすがに面倒なのでやめました。あしからずご了承ください。
日本古典文学大系45巻『芭蕉句集』
46・8
102・11
173・8
348・5
374・4
406・3
429・2
457・2
497・2
513・5
日本古典文学大系46巻『芭蕉文集』
76・14
83・3
87・3
145・2
147・15
156・13
174・1
179・15
182・11
184・8
186・7
189・2
213・15
419・11
この回答への補足
何の疑問もありませんが手間暇の掛かったお答に対して、あまり素っ気無いお礼はできない気がしますので疑問の生じた背景を記します。
急がば回れで「静かさ」と「静けさ」から始めます。
1 「静かさ」と「静けさ」は似て非なる単語で、私の感覚では、ア)とウ)は自然だが、イ)は不自然である。
ア)A車とB車、どちらが静かだろう、「静かさ」を比べてみよう。
イ)A車とB車、どちらが静かだろう、「静けさ」を比べてみよう。
ウ)C基地とD基地、最近どちらが静かになっただろう、「静かさ」を比べてみよう。
つまり、
「静かさ」は静かな状態の度合いであって幅があり騒々しいものにも適用できる場合がある。
「静けさ」は極めて静かな状態の度合いであって幅が狭く静かでないものには適用できない。
2 翻って芭蕉の時代の「閑かさ」と「閑けさ」に差異はなかったのか。現代人の私の感覚では、エ)とカ)は自然だが、オ)は不自然である(エは異論があるかも)。
エ)縁日のE寺と縁日のF寺、どちらが閑かだろう、「閑かさ」を比べてみよう。
オ)縁日のE寺と縁日のF寺、どちらが閑かだろう、「閑けさ」を比べてみよう。
カ)雪の日の深夜と雪の日の明け方、どちらが閑かだろう、「閑けさ」を比べてみよう。
つまり、
「閑かさ」は閑寂な状態の度合いであって幅があり、全く閑寂な状態から閑寂でない状態まで適用できる場合がある。
「閑けさ」は極めて閑寂な状態の度合いであって幅が狭く閑寂でないものには適用できない。こういう事情がなかったといえるのか。
32がはっきりしないと判らないが、芭蕉の感動は立石寺境内の絶対の閑寂にあるのだから「閑けさや」ではないのか。
4芭蕉は「入」と書いて「いる」と読ませている。「閑さや」と書いて「しづけさや」と読ませる位のことはしなかったか。
以上が疑問の発端でした。
形容動詞「閑か/静か」には名詞「しづかさ」があって、形容詞「静けし」には名詞「しづけさ」が見つからないことには関心をもつべきなのか否か、形容動詞の造語力なんぞというものと関連があるのかないのか、今は判りません。
救世主現わる、です。詳細な至れり尽くせりのお膳立てには頭が下がります。短兵急に決め付けてよいのか否か判りませんが、お蔭様で受け売りでなく自分なりの現時点での結論をもてました。
調べて下さった24例は”しづか”を「閑」、「静」、「しづか」、「閒」の何れかで書き表しています。それぞれ参考になりましたが、今回の質問に最も直結すると思われる用例についてのみ触れておきます。
日本古典文学大系46巻『芭蕉文集』、P419・11に「しづかさやゑかゝる壁のきりぎりす」があります。これは「閑さや岩にしみ入蝉の声」と句想(というのか、感動というのか)が全く同一です。この作品から芭蕉はこの種の閑寂から受ける感動を「しづかさや」と表現していた事が判ります。よって「閑さや」は「しづかさや」と仮名を振り「しずかさや」と音読されるべきだと判断しました。
たった一例から結論付けて良いものやら心配です。が、同一人物の元禄4年と元禄2-4年の作ですから、この件に限っては結論づけて良いのだと思います。こんな結論をもちました。
素人の暇つぶしみたいな質問に正面から時間を掛けて下さって感謝しています。実証とはこういうことだと教えられた気がします。
毎度のことで有り難とうございます。またの機会にもよろしくお願いします。
なお、
>>「しづけし」系は1例もありませんでした。
この件は全く、その通りでした。
休日になれば回答してやろうという方があってはいけないので20日(日)24時までは締め切らないでおきます。ご了承下さいませ。
No.4
- 回答日時:
>(閑さや岩にしみ入蝉の声)「閑かさや」?、「閑けさや」?
念のために「井筒屋本」と「西村本(素龍清書本)」の二系統の影印本(原本の写真印刷本)を数種類確認したのですが、表記は全て「閑さや」でした。また、かなを付してもありませんでした。つまり、「閑かさや」と「閑けさや」のどちらにも取れると言うことです。
さらに、古典文学大系、古典文学全集、その他の文庫判等を調べると、「閑かさや」で判を押したように統一されていました。これから考えると、「閑かさや」が定説化しているものと考えられます。
ただ、古い石碑などのは「閑けさや」の表記が見られました。
「閑かさや」の根拠についてはNo2の方がおっしゃっていますので、参考までに印刷物の現状について書きました。
この回答への補足
私の知る限り(といっても井戸の世界ですが)全て
表記は「閑さや」
仮名を振る場合は「(しづか)さや」
現代の仮名遣いでは「しずかさや」
です。定説になっていることにも異論はありません。
「閑さや」と表記して「しづかさや」と発音していたと何故判るのですか。「しづけさや」と読んでいた可能性はないのですか。
芭蕉の時代には「閑(しづ)かさ」という名詞はあったが「閑(しづ)けさ」という名詞はなかったことが判っているのですか。
仮に「閑(しづ)かさ」と「閑(しづ)けさ」の両方があったとすれば、立石寺の境内に立つ芭蕉が「閑(しづけ)さ」でなく「閑(しづか)さ」を選んだと何故いえるのですか。両者の意味の異同を知る必要がありませんか。
わざわざ調べて下さって有り難うございました。事情が許せばご返事を下さいませ。
締め切るに当たって。
書籍に「しづかさや」と仮名が振ってあってすら「しづけさや」と読む人がいるのですから、仮名を取り払ってしまうと、あっという間に「しづけさや」と読む人が増えるのではないかと推測します。現代人の語感には「しづけさや」の方が自然な気がしますが、これの真偽も、どういう経緯で感覚が変わるのかも判りません。
石碑に「閑けさや」があるのはもっともで、多分元禄よりは新しい時代に立てられた碑のような気がしますが、果たして?
皆さん、お世話になりました。またの機会にもよろしくお願いします。
No.3
- 回答日時:
どうなるかと、傍観していたのですが、論点の外れており、文法をよくご存じでない方からの回答が多いようなので、私の意見を言わせてください。
芭蕉の句は、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」です。「岩」や「声」は旧字で書かれていますが、この表記は私の手元にある杉浦正一郎校注の『素龍清書本』であるということが底本であるということを疑っても、何の論証にもなりませんで。
で・・・冒頭の「閑さ」をどう読むかが、論点だと思います。
「しずかなり」という語をという形容動詞を調べたことがない人がいるようですが、古語辞典には「閑かなり・静かなり」の両方がきちんと載っています。
ただ、芭蕉(一茶ではありませんW)が言いたかったのは、#2さんが仰っているように「閑寂」ということではないでしょうか。それを考えると、「しずけさ」ではなく、「しずかさ」という読みが正解のような気がします。
私が前述した岩波新書は昭和32年の初版であり、ある程度現在より信頼のおける時代です。ルビが振ってあるという根拠は御免だということですが、私はその時代のルビは信頼したいと思います。
どうも、岩波文庫の信者の意見で申し訳ありません。
#2さんに、一票 (^_^)v
この回答への補足
>>古語辞典には「閑かなり・静かなり」の両方がきちんと載っています。
深い理解はできませんが記載のあることは承知しています。ANo.2のお礼には
「芭蕉の時代に形容動詞「閑か」が存在したからといって」とあります。古語辞典に形容動詞「しづか(閑か)」があることを知らない人間には書けない表現です。
>>「閑寂」ということではないでしょうか。それを考えると、「しずけさ」ではなく、「しずかさ」という読みが正解のような気がします。
「閑寂」を詠んだことに異論はありません。「閑寂」を詠むと、「閑さや」と表記して「しづかさや」と発音していたと何故判るのですか。「しづけさや」と読んでいた可能性はないのですか。
芭蕉の時代には「閑(しづ)かさ」という名詞はあったが「閑(しづ)けさ」という名詞はなかったことが判っているのですか。
仮に「閑(しづ)かさ」と「閑(しづ)けさ」の両方があったとすれば、立石寺の境内に立つ芭蕉が「閑(しづけ)さ」でなく「閑(しづか)さ」を選んだと何故いえるのですか。両者の意味の異同を知る必要がありませんか。
岩波とルビの件は私が関与する話題ではありません。
有り難うございました。事情が許せばご返事を下さいませ。
No.2
- 回答日時:
「しづかさ」と読めば、形容動詞「しづかなり」の語幹+名詞化の接尾語「さ」ということになり、「しずけさ」と読めば、形容詞「しづけし」の語幹+同上「さ」ということになります。
ところで、漢字表記にすると「しづかなり」は「静かなり」又は「閑かなり」ですが、「しづけし」は「静けし」です(広辞苑、角川古語辞典他)。芭蕉の句は「閑」ですから、形容動詞の「閑かさや」となります(芭蕉の境地から単に物音のしない「静か」でなく、「閑寂」であることは当然です)。ちなみに権威ある解説書(萩原恭男校注の岩波文庫や高校生向け参考書等)は、振り仮名又は送り仮名で「しづかさや」と読んでいます。それらも根拠について触れているわけではないので、以上は4の自説ということになります。この回答への補足
[「しづかさ」と読めば、形容動詞「しづかなり」の語幹+名詞化の接尾語「さ」ということになり、「しずけさ」と読めば、形容詞「しづけし」の語幹+同上「さ」ということになります。ところで、漢字表記にすると「しづかなり」は「静かなり」又は「閑かなり」ですが、「しづけし」は「静けし」です(広辞苑、角川古語辞典他)。芭蕉の句は「閑」ですから、]
と
[ちなみに権威ある解説書(萩原恭男校注の岩波文庫や高校生向け参考書等)は、振り仮名又は送り仮名で「しづかさや」と読んでいます。それらも根拠について触れているわけではないので、以上は4の自説ということになります。]
の部分には一字一句異論がありません。
疑問があるとすれば
[形容動詞の「閑かさや」となります(芭蕉の境地から単に物音のしない「静か」でなく、「閑寂」であることは当然です)]
の部分だけです。
芭蕉の時代に形容動詞「閑か」が存在したからといって名詞も「しづかさ」だけが存在し、「しづけさ」は存在しなかったと言えますか。「しづけさ」も存在したとすれば当時の「しづかさ」と「しづけさ」の微妙な意味の異同を考えなくても差し支えありませんか。
芭蕉の時代に名詞「しづけさ」が有ったか否か、「しづかさ」と「しづけさ」の当時の意味上の異同についてご意見をおもちの方は居られませんか。
今日の感覚を当て嵌める気はありませんが因みに述べれば、「静かさ」と「静けさ」はかなりニュアンスが違います。「しづかさ」と「しづけさ」も違った可能性はありませんか。
有り難うございます。またの機会にもよろしくお願いします。
No.1
- 回答日時:
小林一茶が生きていた江戸時代の言葉は現代では「古語」になります。
つまり、古語を調べれば正解が見つかります。
私の持っている旺文社古語辞典によると、
古語では形容詞の「し[づ]けし」です。
ですから「し[づ]けさや・・・」が正しいことになります。
現代仮名遣いで「づ」が「ず」に変わるので
「し[ず]けさや・・・」になります。
「しず[か]さや 岩にしみ入蝉の声」は誤記ということになります。
http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%81%97%E3% …
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%8 …
http://www.konan-wu.ac.jp/~kikuchi/kanji/dukai.h …
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97% …
ちなみに、旺文社古語辞典には「しづかし」では記載がありません。
つまり、昔は「しづけ(し)」は使われていたが
「しづか(し)」という言葉が使われていなかったことになります。
あなたの持っている古語辞典で調べてみてください。
この回答への補足
1
>>古語では形容詞の「し[づ]けし」です。
ですから「し[づ]けさや・・・」が正しいことになります。
これによって、ご主張とその論拠は分かりました。しかし、この論法が成立するならば2の論法も成立しませんか。
2 古語辞典には形容動詞「しづか(閑か、静か)」が存在する。よって「しづかさや・・・」が正しくて、現代表記では「しずかさや」になる。
1と2は水掛け論になりませんか。形容詞の「し[づ]けし」の存在だけで決着をつけるのは無理があると思います。
ご回答、有り難うございます。またの機会にもよろしくお願いします。
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