昔からよく言われていて、また触れるたびに実感することですが、西洋の文章を翻訳したものに対する違和感というのは解消されないままきている気がします(超訳とかありますがあれは原文を尊重しないのではないでしょうか?)つまり、原文を尊重して訳すと、日本語的な感性からするとおかしいのではないか、ということになり、結果的にすんなり読めない文章になってしまう。
この理由をはっとひらめいたので書いてみます。
まず考え始めたきっかけは、最近(というかここ半世紀くらい右肩上がりということかもしれませんが)反乱しているカタカナ表記についてです。なぜフィーリングやら、プレッシャーやらなんでも日本語を避けるのか。なぜ「感覚」とか「緊張」といわないのか?
これは翻訳文学の中に答えがありました。つまり、原文を尊重して翻訳すると、やたら大げさな単語、表現が出てきますよね(ここが違和感の理由です)西洋語の感覚ではすんなりと行く表現が、日本に置き換えると大げさであり誇大的不自然なものになる。
つまり、西洋は、大げさが日常なのです。
逆に言うと、是非はともかくとして、日本語というものあるいは日本的感覚というものは、言語的表現が西欧のそれと比べると貧しい(弱い)のです。
そして、西洋文の持つ雰囲気を自動感知する能力がどういうわけか一般人にあって、「プレッシャー」といえばその言葉の重みは西洋文の中のそれとして自動転換して、「緊張」というと、日本語の中のそれと転換する。ゆえに、「プレッシャー」という単語を日本文の中に挿入する行為は、西洋的文脈の中での「プレッシャー」という単語の重みを、日本文に借用する行為だ。これが、今の世にあふれいてるカタカナ表記のしよう理由なのではないですか?それによって、「誇大」な表現ではなく親しみやすさを(あるいは無責任さと紙一重ですが)あたえて、どんどん氾濫することになった。
それで、この原理をおろそかにしているし、解明もしていないので、翻訳文学は誇大な表現が多く、違和感なく浸透させることの困難さになっていると思われます。
私が今朝至った考えですが、なにかコメントをいただければと思うのですが、妥当な考えでしょう?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
日本の漫画の特徴をご存知ですか?
油汗です。日本の漫画は油汗が多いです。
油汗ってなんですか?
窮地に立たされたときですよね。外人は窮地に立たされたら「助けてくれー!」とかなんとか叫ぶでしょう。日本人は黙って油汗タラーリ。これが日本人です。
だから西洋の文学は日本人にはなんかぴんと来ないんです。
脂汗が日本特有のものだったとは!思いもよりませんでした。
外国の漫画はほとんど詠んだことがないです。
西洋の文学は本当に冗長で饒舌を基本としますね。いかに文字に多くを語らせるか、その基本があるような気がします。
No.6
- 回答日時:
翻訳書をたくさん読むと、違和感の多いものと少ないものがあることがわかると思います。
では、その違和感の大小はどこから来るのか。
1翻訳者それぞれの翻訳方法の違い。
2読者の感性の違い。
3出版社の編集方針の違い。
主にこの3つだと思います。
1ですが、翻訳者の中には、原文が透けて見える方がいいと思う人と、思わない人がいます。前者の翻訳は直訳調で、違和感バリバリになります。
2ですが、読者により、訳の好みがどうしてもあるので、うまい訳でも自分の感性では違和感バリバリもあるのです。
3ですが、最近の出版社の中にはうまい翻訳を好まないところがあります。直訳調ではないが、あまり文学的にうまいと、文学的感性のない読者がついていけないのです。それで、そういう感性のない読者のために、なんというか、適度にこなれてるけど違和感のある日本語に訳させるのです。また、翻訳者の訳を編集者が勝手に書き換えることも、一部の出版社では平気で行なわれています。原文を見ないで変えるので、誤訳になり、翻訳者は大迷惑ですが。
個人的には、現在はいい翻訳が生まれにくくなっていると感じています。理由は、読者のレベルが低くて、よい翻訳を望まない、理解しないこと。出版社がよい翻訳をつぶしてしまうこと。翻訳の報酬があまりに安いので、良心的な翻訳ができないことなどです。
よい翻訳についての基準がはっきりしないこと、翻訳の世界がある種の派閥になっていることも、大きな原因かもしれません。
総合的な解説ありがとうございます。
特に3が意外でした。文学的?というか上手い訳は逆に読みにくい?というのがあまり実感できないのですが、ごてごてしたほうが読みやすいという面があるのでしょうかね。確かに1の考えは両方あってよいと思います。2と3はセットにして考えることでしょうかね。やはり日本語に近いという方がどうしてもいいと思うのですが、中には「これは翻訳日本語だ!読みやすい!」とかんじる人もいると。出版社の都合で勝手に変えるという商売の醜さみたいな感じです。
あまり最近は翻訳ものなど読まないのですが、昔色々当たった経験から思い出したのです。今もだめみたいですね。
No.5
- 回答日時:
文学作品の完璧な日本語=違和感のない日本語、への翻訳は不可能だと考えております。
その理由は:日常生活で使う品物でも、日本の物とヨーロッパの物と100%同じものではありませんね。その他もろもろの事柄/事物がその国々によって、極近いものはありえても100%同じ物は無いでしょう。
従って、どうしても違う形のものを思い浮かべてしまい勝ちでしょう。
森鴎外の”吟遊詩人”の翻訳は”原作”より優れたものになっていると言う評判です。原文はデンマーク語であり、鴎外はドイツ語訳を彼一流の文章で日本語に移したものです。私はデンマーク語が出来ませんので日本訳との比較は出来ませんが、他の原文からの翻訳と比べると、”超
訳”的な点があるようです。
いくらかでも言語で読めるものは、既存の翻訳本を参考書(アンチョコ)に使うことがあります。”翻訳が誇大な表現がxxx”と書かれておられますが、それは原文とご自分なりに読まれての上、そう思われるのですか?
私は、グリム童話をよく読みますが、翻訳も幾つか持っており、原文でも読みます。翻訳で一番すきなのは全訳本では一番古いものです。
表現は日本語としては一寸古いし、原題の若者には理解し難いかもしれませんが、グリム兄弟の時代の言葉使いに合っているんじゃないかなぁ、なんて勝手に考えております。
今はどうか知りませんが、以前は翻訳者としえ名前が出ている大学の先生ではなく、実際には大学院の学生が翻訳し、先生は本当におかしな所だけ手をいれて出版した、物が結構あったと聴いたことがあります。
文章が上手い人は、外国語に弱く、外国語に強い人は日本語に弱いのが普通でしょう。両方兼ねた人は最近より、むしろ明治大正時代におられたような気がします。
私は、カタカナ語は嫌いで出来る限り使わないことにしております。と言うのは、本来の意味とはずれてたカタカナ語が多くて、正確に意味を掴めないように感じているからです。カタカナ語には、以前仕事で和/英の翻訳をやっていた時に特に悩まされて、原文を書いた人にしつっこく意味を聞いたものです。
質問とはずれたかも知れませんが、日本語への翻訳に付いて感じていることを書いてみました。
やはり、日本語が上手い人、その道のプロと、訳もうまい人というのはなかなかいないだろうことは想像がつきました。文豪くらいでしょうかね。生活習慣はもとより、思考法、もちろんものもそうですが、まるっきり違うわけですから、そう簡単に違和感なく言語変換できるわけはないでしょうね。
誇大と思うわけは、普通の日本文に比べてあきらかにゴチゴチして「言いたいことはすべて言ってやろう、一言も訳しもらしてないぞ!」というような言葉として苦しい印象を受けるものがほとんどだということです。童話には当然そういうことは少なくて済みます。でも「不思議の国のアリス」は例外でしょうか(あれは言葉遊びのオンパレードなので)
カタカナ訳というのは一種の逃げと思いますが、無理に変換しまくって苦しい日本語になっているということを今回問題にしたいと思いました。
No.3
- 回答日時:
もしかしたら、回答として期待されていることとはちょっとずれるかもしれませんが。
文章の翻訳にかぎらず、会話でも、日本語で話すなら、こんなにテンション高くないよなあと思うのに、英語になると言い方がオーバーになるというか、おおげさになるということは、多くの日本人にあると思います。
日本的な感性で表現したら、ネガティブすぎて、あるいは謙虚すぎて、とても相手に理解されないのではないかと思うこともしばしばです。あるいは言いたい単語を辞書でさがすと、そこに載っている単語は自分の言いたいこととはちょっと違うんじゃないかと思うことも。
これは、やはり文化的な背景ということも大きいのではないでしょうか。日本も欧米化している面もありますが、アジアのほかの国と比べても、たとえば家族について話すときに、へりくだるとか、けなすとか、別にたいして大切な存在ではないように言うことが多いと感じます。日本人は「わたしの夫・妻はすばらしい人で、いつもわたしを理解し、サポートし、愛してくれている」などと当然のことのようにはあまり言いませんよね。はずかしいし、みっともないと思ってしまう人も多いのではないでしょうか。内心ではそう思っていたとしても、口に出して言うのは軽薄な人間のすることだ、みたいな感覚をもつ人も少なくない気がします。若い人は別かもしれませんけど。
日本語とほとんど同じ文法や多くの共通語彙を持つ韓国・朝鮮語の話者でさえ、日本人ほどは上記のような感覚は持たないように見えます。
でも、外国人と話すときには、それ(日本人的な感性)を貫いていると、誤解が起きたり、人間関係が希薄だと思われたりします。それで、外国語を話すときにはあえて「オーバーな」表現にすることが多くなるのではないでしょうか。
アジアの人たちにも、もちろん遠慮や謙虚さをもつ人もたくさんいます。欧米の人でもそうです。でも、特に家族に対する愛情については、上のように感じることが多く、日本人が特殊なのかなあと思うことがしばしばです。もし、わたしが日本語で話しているのと英語で話しているのを録画して、見比べたら、まったく違う人間みたいに見えることでしょう。
ですから、そういう違いをそのまま翻訳すれば、かなり「誇大な」表現が多くなり、特に日常会話では違和感を感じる可能性が高くなるのではないかと思います。
大変総合的で深いご考察だと思います。
アジア的感性について、そのとおりです。へりくだる文化←これが文章表現にも当然現れて慣習化しているわけで、この点を抜きにして、「正しく」訳したらヘンなことになりますよ。
「私の家族はすばらしくて~~」
といわないことが、凄く美徳な行いで、個人的には若い世代が家族のことを公で話すとかほめるとか、あれはみっともないと感じてしまうのです。この中途半端な欧米化という現状から進展して、原文忠実訳が違和感なく思える日が来るかというのは疑問です。
言語が持つ雰囲気というものは、その生活背景まで受け継いでいるというものだと感じます。
No.2
- 回答日時:
英語→日本語の場合、「日本語だとこんな言い方しないよなあ(笑)」と思うことがしばしばありますが、訳が変とか大げさとかでなく、言い回しや構造の違いを感じます。
日本語で考えてそのまま直訳で英語なり何語なりにしようとすると、これも意味不明になったり、不自然になることがありますよね。
どうしても不自然さはあるものだと思いますが、翻訳小説を読んでいるおかげで、英語の感覚が解りやすくなったような気がします。
「日本語にすると変だけど、要するにああいう表現で考えれば英語的なのね」と。
フィーリングやプレッシャーなどのカタカナ語は、マスコミやテレビの影響が大きいのではないでしょうか。
ビジネス雑誌なども使うかもしれませんが。
でもこれは訳というより外来語や和製英語の範疇である気がします。
浅倉久志さんの訳書をお読みになったことはありますか?
違和感少ないですよ。
ほんと「こんな言い方しないよなぁ」ですよ。
言い回し、文章構造、単語すべて補正しないととてもヘンなままです。
訳っていうのは、単純作業でなく、その言語が持つ社会的背景というものも感じながら出ないとできませんよねぇ。だから自動翻訳はとても無理らしいですし。
それでも、学習にはいいでしょうね。
マスコミは安易にカタカナをはやらせるようです。これも迎合化、安易化だと感じます。
朝倉という人は知りませんでした。
No.1
- 回答日時:
フランス語をかじっている者ですが、私も常々翻訳ものはつまらないと感じてきました。
私は日本語表現が貧しいとは思いませんが、原文のもつ韻や感覚、リズムをそのまま翻訳することは不可能だと思います。
実際、海外の著名な作品を翻訳しているのは、物書きを生業としている人ではなくて、研究者だったりするんですよね。
そのために中々日本語に合致する訳を見つけられず、そのままカタカナ表記しているのではないでしょうか。
翻訳つまらないのではなく、その補正がなされていないのでとても読むに耐えないことになっている気がします。おっしゃるとおり「詩」は不可能です。なぜなら、詩は「音声」「リズム」その言語固有の構造抜きには鑑賞できないものです(意味を取るなんて詩の第2義的なことですからね)物書きが訳するって言うのは案外少ないようですね。
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