No.9
- 回答日時:
評価については人それぞれですが、最初に質問者さんの言われる「侵略者」と言う点で、日清・日露戦争は異なっている面もあった筈です。
特に日露戦争ではロシア側が侵略してきたと言う受け取り方を日本国内ではしていて、国の危機を救ったと言う理由で英雄に祭り上げやすかったのでしょう。
また清国・ロシア側には首都を遠く離れた僻地での戦争と言う意識があり、それ程戦意も高く無かった事で、評価については割り引いて考える必要も在ったかもしれません。
ただ戦後朝鮮半島に独立国が出来たので、彼らから見れば双方とも「侵略者」に過ぎないと言う事から、醒めた見方をせざるを得ない面があります。
そう言った意味では、東郷元帥の勝利は評価されてしかるべきでしょうが、アレモコレモと言う再評価とは一線を画す必要がある様な気がします。
No.8
- 回答日時:
まず、戦争の本質から考える必要性があります。
戦争は勝つことが優先されますが、戦争を回避する方が高い評価が行われるべきでしょう。
つまり、戦争の英雄よりも、地味に戦争を回避してきた軍人・政治家の方が高い評価であるべき・・という評価もあります。
『勝った戦争』であっても勝ち方によって評価も変わるでしょう。つまり、英雄の評価の方法論として、「勝った」という価値は大きな問題とは言えないでしょう。
「当時は踊らされていたのだ、愚かな時代だった」の全否定するのは、簡単ですが、政治家・軍人として、可能な限りの努力を行ったか?という結果論ではなく、過程での評価も重要でしょう。
極端なことを言えば、味方被害が深刻な勝利者よりも、味方被害を最小限に抑えた敗軍の将の方が高い評価でありえる・・ということです。
そもそも、戦争の勝敗は難しい問題です。一般的に日露戦争は日本の勝利と解されますが、本当に勝利と言えるのか?と問われれば問題です。
そして、軍人ならば、戦略レベルの責任者と、戦術レベルの責任者では、話が違うのも当然です。敗戦でも、戦術レベルで奮闘した軍人の評価は別なわけですから・・・・
勝敗ではない評価点こそ本質と・・・・極めて簡単な話でした
No.7
- 回答日時:
「司馬遼太郎氏も別に乃木将軍を憎んでいたわけではなく、正確に史実に当たったら、世に祭りあげられている虚像と実像が異なりすぎ、かつそのことが日本軍隊の戦術の精神主義的傾向を押し上げてしまったことに対する批判を有するようになられただけではないせしょうか?」
司馬遼太郎は、「坂の上の雲」の日露戦争に関する部分を書く上で、
「機密日露戦史」谷寿夫/著
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/31382270
と言う本を主な情報ソースにしたようです。
「乃木将軍愚将論」は、陸軍大学校教官としてこの本を執筆した
谷寿夫(後の陸軍中将)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B0%B7%E5%AF%BF% …
の「持論」として戦前から知られていました。谷の意見は、陸軍部内では少数派であったようです。
「機密日露戦史」は戦前は陸軍将校しか読めない本でしたが、戦後の1966年に原書房から公刊されて初めて一般人が読めるようになり、「新史料」として注目されました。
この本を、司馬遼太郎が「坂の上の雲」(1968年から72年にサンケイ新聞に連載)の日露戦争についての部分を書くための主要文献としたため、
「谷寿夫の意見」≒「司馬遼太郎の意見」
となってしまって現在に至る、のが実情のようです。
「死せる谷寿夫、生ける司馬遼太郎を走らす」ってとこですかね。
山本五十六も、旅順攻略において事前通告にこだわった東郷提督を「いたずらに戦争を長引かせた」と批判していたことが最近わかったそうですが、乃木愚将論に谷中将の意見が背景にあったとは。
No.6
- 回答日時:
クリント・イーストウッド&スティーブン・スピルバーグ監督の映画「父親たちの星条旗」では「戦争に勝っても英雄はいない」というのが一つのメッセージになっています。
硫黄島の英雄とされた兵士も英雄とされたことを苦しんでいます。死んだ兵士の多くにも多くの英雄がいました。
もし英雄として評価しようとするなら、やはり正確に表裏を調べるべきでしょう。
司馬遼太郎氏も別に乃木将軍を憎んでいたわけではなく、正確に史実に当たったら、世に祭りあげられている虚像と実像が異なりすぎ、かつそのことが日本軍隊の戦術の精神主義的傾向を押し上げてしまったことに対する批判を有するようになられただけではないせしょうか?
乃木将軍も自分の虚像が実像から乖離したため、すべてを知ってかばってくれた明治天皇に殉死したのだと思います。司馬遼太郎氏が自分の実像を明らかにしてくれて、以前より私は乃木将軍が草葉の陰で肩の荷を降ろしていると考えています。
「戦争に勝っても英雄はいない」そうでしょうね。ただ、昔の日本人は、死んだ人を英雄にしてあげたんじゃないのかなって気がしました。ありがとうございます。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
普通の国ですと、戦争に勝ったり負けたりを繰り返していますから、例えば
「第二次大戦で叩きのめされたドイツで、フリードリヒ大王やヒンデンブルクは英雄。ナチスの蛮行と関係なかったロンメルも英雄」
「第二次大戦ではほとんどの期間をドイツに占領されていて、駆け込みで戦勝国に連なったフランスだが、ナポレオンが英雄であることは何ら変わらない」
と、「敗戦によって過去の英雄が否定される」ことは通常起こりません。
日本の場合、民族の歴史上、他民族に敗北したのが最初であり「敗戦慣れ」していなかったこと、戦後の占領軍による「去勢」があまりにもうまく行ったことにより、「大東亜戦争の敗戦により、戦前を全て否定する」ことになってしまっております。これは世界的に見るとむしろ『異常』なことです。
「戦争に一回負けたら自分を全否定してしまうってどういうこと?」
「GHQの素人が書いた英文を翻訳した日本国憲法を『不磨の大典』として崇め奉るとはどういうこと?」
と思うのですが、現在の日本の大勢はそうなっております。
「爆弾三勇士」は時代が違うので異質ですが、
「広瀬中佐・橘中佐・佐久間艇長・乃木将軍・東郷元帥」
などを否定する必要など全くありません。
乃木将軍について「乃木神社」、東郷元帥について「東郷神社」が現存するのは周知ですが、上記のうち、佐久間艇長については、戦後も顕彰がきちんとなされています。
http://www.asahi-net.or.jp/~UN3K-MN/navy-rokugo. …
「福井県三方郡三方町 三方第一小学校 佐久間勉艇長卒業百周年記念 銅像」は、明らかに戦後に建立されたものです。この銅像が、『公立小学校』に建立されたことは「佐久間艇長を顕彰する気持ちが、戦後になっても地元に根づいている」証拠となるでしょう。
(佐久間大尉は1879年生まれですので、この銅像の建立は1990年代と思われます)
http://homepage3.nifty.com/ki43/heiki7/sakuma/sa …
「佐久間記念館」について書かれていますが、規模は大きくないでしょうが、このような顕彰施設が運営されています。
このHPにあるように、
「小浜市の小浜公園に(佐久間大尉の)銅像がある。大正3年に佐久間艇長の銅像がここに建てられたが、昭和19年、時勢の要請により撤去のやむなきに至った。戦後、人間佐久間の精神を追慕する気運が高まり、昭和34年この同じ場所に再建された」
事実が存在するわけです。
また、大東亜戦争の英雄である山本五十六元帥についても、地元・長岡には記念館が存在し、長岡の人に限らず、日本人の間で「山本元帥は英雄」と普通に認識されていると思います。
これは長岡出身の人に直接聞いたのですが、「長岡の生んだ二人の偉人、河井継之助と山本元帥」だそうで、戦後の田中角栄は入っていないようです。
なお、乃木将軍を「旅順要塞攻撃で肉弾突撃で兵を無駄死にさせた」愚将扱いするのは、司馬遼太郎の歴史観が広く受け入れられていることによるものですが、No4さんのご指摘の通りこれは大きな誤解です。
ロシアが国力を注ぎ込んで建造した旅順要塞を半年の攻囲で陥落させたのは、客観的に見て「偉業」であり、乃木将軍が日露戦争の後に欧米を訪問した際は「日露戦争の名将」として歓迎を受けました。
これは、
「旅順攻防戦の真実―乃木司令部は無能ではなかった」 (PHP文庫)
別宮 暖朗 (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4569666051/
を読んで頂ければご理解頂けるでしょう。
ご紹介の本は存じませんでしたが私も別宮先生の愛読者です、ぜひ読ませていただきます。佐久間艇長の遺書などは、軍人・戦争と関係なく、責任感の強さと部下への思いやりに感動するのにどうしてでしょう。ドイツでは負け戦でも英雄は英雄たり続けているのですね。
No.4
- 回答日時:
あなたの例には二種類混ざってます。
広瀬中佐・橘中佐・佐久間艇長・爆弾三勇士
↑軍神です。
乃木将軍・東郷元帥
↑英雄です。
両者の違いは、軍神は日本のマスコミが誉れ高き戦死者・殉死者を讃えたものであり、世界的にはほとんど知られていない人物です。爆弾三勇士以外は戦局に影響すら与えていません。
後者2名は、日露戦争において大きな役割を果たした人物として日本だけでなく、世界で知られた人物です。乃木将軍はロシアが築城した旅順要塞は僅か4ヶ月で落とした英雄です。イギリスはセバストポール要塞攻略に1年半を要してますし、WW2でもドイツは11ヶ月以上要しました。要塞の攻略は1年から2年必要なのを4ヶ月で落としたというのは奇跡に近いのです。近年、司馬遼太郎を中心に乃木批判が展開され、一般市民はそれを信じ込みました。その内容たるは
・兵員損耗が多かったのは、乃木たちが無策に突撃を繰り返したため
・海軍が提唱していた二〇三高地攻撃を優先しなかった
などです。
ですが、これらは的を射てません。日露戦争時代、日本軍の戦術に銃剣突撃という戦法がありません。これが生まれるのは明治43年以降です。二〇三高地も同様で、二〇三高地への侵入ルートが無いのにどうやって攻撃するのでしょうか?また、二〇三高地を攻略しても重砲隊を設置する場所がありません。二〇三高地方面から湾内を砲撃するには二〇三高地よりも旅順側に陣地を設営せねばなりません。無論そこは敵地です。乃木は重砲隊の設置場所を確保した上で二〇三高地を攻撃しています。8月の攻勢(一番損害を出した戦闘)で北東部にある敵重砲陣地を破壊し、重砲隊の設置場所を確保したから二〇三高地攻略が意味があります。更に二〇三高地への侵入ルートは9月中旬に確保されたのであって、それ以前には二〇三高地へ行く道がありません。
乃木批判はこれらを無視した上で「無能!無能!」と叫ばれています。ですが、マスコミは戦前批判の好材料として乃木批判を利用しています。
東郷に対する批判はあまりありませんが、乃木・東郷を英雄視させないというのは、日本人が世界から馬鹿にされる(外国人からすれば、ミーはヒーローノギ・ヒーロートーゴーを知っているが、日本人たるあなたは知らないのか…)だけのことです。
東郷は世界2大海戦の一つの勝利した英雄であることは歴史が証明してますよ。恥じる必要もないし、毎年世界の軍人が記念艦・三笠に訪れるという事実は変わりません。知らない方が外国で恥をかきますよ。外国政府は乃木や東郷に英雄を讃える勲章を授けているんですから。
No.3
- 回答日時:
「昔はあんなに」言う程度は経験していないので判りませんが、後ろの2人を除けば一種の宣伝であり、戦闘中にありがちなエピーソードに過ぎないと感じる。
乃木将軍の功績は費用対効果で言えば「??」だが、東郷元帥の功績はバルチック艦隊側の内部事情はともかく、客観的には望外の勝利といえると思う。
尊敬するしないは個人の問題だが、今の気持ちと言うのが普通の状態で、偉人が沢山居てほしいという願望はともかく、「本当に凄い人間はそうは居ない」と言った処では。
No.1
- 回答日時:
>それまでの「勝った戦争」における国民的ヒーローは、吾々は
>どのように扱うべきなのでしょうか。
別に、是々非々でいいんじゃないんですか。
後世の視点で、当時の社会状況や価値観を考慮しつつ、客観的に評価すればいい。
作家の司馬遼太郎は、『殉死』という作品で、乃木将軍を痛烈に批判しています。
さらに、『坂の上の雲』では、乃木将軍の人格面では優れた評価をしながらも、軍人としての才能は劣る(特に参謀長の児玉と比較して)という書き方をしたため、戦前までの軍神から将軍としては無能まで一気に落下してしまいました。
しかし、近年では一部の軍事研究家により、乃木将軍の再評価が行われており、『坂の上の雲』で批判されるほど無能じゃなかったという見方がまた出てきています。
全否定・全肯定という二者択一の評価ではなく、同じ人間なんだから良いところも悪いところもあるという見方で、できるだけ客観的な事実に基づく再評価をしていけばよいでしょう。
乃木将軍の殉死は当時も賛否両論だったそうですね。「できるだけ客観的に」仰るとおりだと思います。ただ、なんとなくタブー扱いなのが疑問なので質問させていただきました。回答ありがとうございます
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