
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
電磁気の単位系はかなり複雑です.
> 質問1:cgs-Gauss単位系とcgs単位系はどう違うのでしょうか??
単に cgs 単位系というときは,電磁気関係を含めない場合を言うようです.
というのは,cgs 系で電磁気まで含めた話では,cgs-esu,cgs-emu,cgs-Gauss
の3つの単位系があるからです.
cgs-esu (esu = electrostatic unit,静電単位)
cgs-esu (esu = electromagnetic unit,電磁単位)
です.
> 質問2:4πμ0を1に置き換えるのは定義ですか?
> それとも導かれてそうなるのでしょうか??
定義です.
例えば,質量 m と M の間に働く(距離 r)万有引力の法則
(1) F ∽ mM/r^2
を考えてみましょう.「∽」は比例の記号.
長さ,質量,時間の単位が決まっていれば,力 F の単位は明確ですし,
右辺は質量と長さしか入っていません.
したがって,
(2) F = GmM/r^2
と書いたときの係数 G (万有引力定数)の単位は迷う余地無く決まりますし,
実際に測定することによって G の大きさも決められます.
電気あるいは磁気に関するクーロンの法則も(1)と同形
(3) F ∽ (q1)(q2)/r^2
です.
q1, q2 は2つの電荷あるいは磁荷です.
さて,電荷あるいは磁荷の単位ははじめからわかっているわけではありません.
(3)を手がかりにして
(4) F = (q1)(q2)/r^2
となるように(比例定数を1に選んだ)
q1,q2 の単位を決めようと言うのが cgs-Gauss系の考え方です.
一方,(電荷の場合),電荷の単位を別に選ぼうというのが MKSA 系の考え方です.
電荷の単位は C (クーロン)です.
定義はクーロンそのものでなくて,電流のアンペアを定義するという形になっていますが.
そうすると,単位を勝手に選んだのですから,比例定数は1とはできなくて
(5) F = k(q1)(q2)/r^2
としなくてはいけません.
k は単に定数でなくて次元をもった量になります.
この k を静電気の方では
(6) k(電) = 1/4π(ε0)
と書き,静磁気の方では
(7) k(磁) = 1/4π(μ0)
あるいは
(8) k(磁) = (μ0)/4π
と書いているのです.
(7)(8)の2つの書き方があるのがまた悩ましいところです.
(7)は単磁荷に基本を置いた考え方(E-H 対応),
(8)は単磁荷など存在せず磁気の本質は電流にあるという考え(E-B 対応)です.
cgs か MKS かということと,電荷あるいは磁荷の単位を別に設定するかどうかは
一応別の問題です.
したがって,MKS で(4)のような考えというのも可能ですが,
少なくとも現在は使われていません.
同じように,cgs と(5)の組み合わせも可能ですが,これも使われていません.
E-H 対応か,E-B 対応かというのはまた別の問題です.
最近の基礎教育テキストは MKS の E-B 対応が多いのですが,
専門テキストは必ずしもそうではありません.
力学で出てくる Newton の運動方程式
(9) F = ma
なら,cgs だろうが MKS だろうが,式の形自体は同じです.
電磁気ではそうなっていないところがやっかいですね.
> 質問3:>-H0rcosθは一様な磁場の磁位です。
これは中空球の中心の磁位を0とした時の磁位で、
M1cosθ/r^2は無限大の位置を磁位0とした時の磁位ですよね?
基準(磁位0の位置)の異なる磁位なのに重ね合わせちゃってもいいんですか??
磁位を他のエネルギーとの比較などに使うのでしたら,
ちょっとまずいです.
磁位の勾配から磁場を求めようというのなら別にさしつかえありません.
磁位の基準点の選び方による違いは定数項ですから,
勾配を求める微分演算で消えてしまいます.
基準を統一できればそれに越したことはないですが,
基準を無限遠点にすると H0 の方が困るし,
基準を原点にすると M1 の方が困ります.
話や式を簡単にするために空間的に一様な磁場なんて言いますが,
よく考えてみると宇宙の果てまで全く同じ磁場とはどうも不自然ですね.
この回答への補足
ふと疑問に思ったんですが、siegmund先生は文章の終わりに日本語の句読点"。"でなくピリオド"."を使っておられますよね。なんで数学などの理工系の本は"."を使っているんですか?やっぱ理工系の文章を書くときは"。"でなく"."を使わないといけないのでしょうか??ご存知でしたら回答お願いします。
3種類もの単位系があったんですね。初めて知りました。とっても分かりやすくて詳しい説明ありがとうございました!凄く勉強になりました。
No.6
- 回答日時:
siegmund です.
もっともな疑問だと思います.
電位の基準点は勝手なところに選ぶことが可能です.
以下のような理由で,一様電界の場合は原点を基準点に選んでいるのです.
一様電界の方向を z 方向として z で表現する方が見やすいので,以下そうします.
電位のもともとの定義は,電界をその点(電位を知りたい点)から基準点まで線積分です.
ところが,今の場合は,座標 z の点の電位 V(z) は
(1) V(z) = ∫{z~∞} E(z') dz' = E_0∫{z~∞} dz'
で発散してしまいます.
一般に,電位の基準点は特に断りがなければ無限遠点ということになっているのですが,
今の場合は発散の問題が出てきてしまうので,そういう基準点の取り方はできません.
したがって,どこか他の点を基準点にする必要があり,
原点を基準点として選んだ,ということです.
すなわち,z=∞ の点から見た原点の電位が V_0 ですが(r,θにはよらない),
これが無限大になってしまうのです.
無限大でも定数で,z によらないから
(2) E = - dV(z)/dz
で電界を求めるときには関係ない,と考えてしまってもOKでしょう.
もっと丁寧にやるなら,一様電界の起源まで踏み込む必要があります.
無限に広い平面に一様な面密度で電荷が分布しているときに,
場所によらない一様な電界ができることはよく知られています.
でも,無限に広い平面なんて現実にはありません.
簡単に半径 a の円板として置いて,円板の中心軸上で円板からの距離を z とします.
z<<a なら円板は非常に広く見えますが,z>>a なら点にしか見えません.
地上では地球が無限に広い平面みたいに見えますが,
冥王星あたりから見たら地球は点にしか見えないでしょう.
それと同じことです.
円板の半径を有限に保っておくと,(1)の積分は収束し,
z=∞ の点から見た原点での電位も有限になります
これが前半の議論の「無限大の定数」に相当すると思えばいいでしょう.
なるほど納得です.発散して無限大の不定な定数になってしまうからなんですね!!基準が原点と無限遠方の二つになってなんかパッとしないですけどぐっとこらえて飲み込むしかないですね。
>z=∞ の点から見た原点の電位が V_0 ですが(r,θにはよらない)
V_0はr,θには依存しませんねf^^;
ありがとうございましたm(_ _)m
No.5
- 回答日時:
> ふと疑問に思ったんですが、
> siegmund先生は文章の終わりに日本語の句読点"。"でなくピリオド"."を使っておられますよね。
> なんで数学などの理工系の本は"."を使っているんですか?
私が書くのは理工系の文章の方が多いので,
日本語変換のモードを「、。」でなくて「,.」にしています.
教えてgoo でも私は理科系の回答が中心なので,「,.」のまま使っています.
縦書きのときは「、。」にしています.
何で理工系の本は「,.」なんでしょうね?
いや~,よくわかりません.
式や英語などが入ったりしたときに「、。」だとバランスが悪いんですかね?
> やっぱ理工系の文章を書くときは"。"でなく"."を使わないといけないのでしょうか??
> ご存知でしたら回答お願いします。
学生に聞かれたら,「,.」を使う習慣になっているのでそうしましょう,
と答えますね.
この回答への補足
先ほどの一様電界についての事でやっぱり分からないことがあったので質問します。色々な文献を見ましたが、やはり一様磁界については勾配(磁界)でなく磁位を求める際にも常に球の中心を磁位0としているようなんです。
例えば、磁界でなく電界についての問題ですが、例えば半径aの導体球を一様電界E_0の中に置いたとき、電位分布は重ね合わせの原理により、E_0による電位V1と導体球に誘導された電荷による電位V2との和V=V1+V2となるんですが、V1についてはE_0の方向にz軸をとると
V1=-E_0z=-E_0rcosθ
となっています。
これは本当は無限遠方を基準点0として位置(r,θ)での電位による定数項V0=V0(r,θ)を付け加えて
V1=-E_0rcosθ+V0(r,θ)
としないといけないのではないでしょうか。
しかし、多くの文献で電界でなく電位を求める場合にも
V1=-E_0z=-E_0rcosθ
となっています。
どうしてなのでしょうか??
ありがとうございます。「,.」を使う習慣になっているんですね。今まで、句読点を使っていたのでこれからレポートとか書くときはそうするように気を付けようと思います。そっちのがなんか式を組み込んだ時自然で見やすいですしね。
No.2
- 回答日時:
SI単位系で磁気モーメントM1の作る磁位がM1cosθ/(4πμ0r^2)であることを導くのと全く同様に、cgs-GaussではM1の作る磁位はM1cosθ/r^2になります。
(磁気的なCoulomb則でSIの4πμ0の部分がcgs-Gaussでは1なので。)-H0rcosθは一様な磁場の磁位です。(磁場の方向をzとすると、H0zとしたのと同じ。SIでもcgs-Gaussでも同じ)
Maxwell方程式は線形ですから、ポテンシャルに関して重ね合わせが成り立つので、後は両者を足せば良いことになります。
この回答への補足
質問1:cgs-Gauss単位系とcgs単位系はどう違うのでしょうか??
質問2:4πμ0を1に置き換えるのは定義ですか?それとも導かれてそうなるのでしょうか??
質問3:>-H0rcosθは一様な磁場の磁位です。これは中空球の中心の磁位を0とした時の磁位で、M1cosθ/r^2は無限大の位置を磁位0とした時の磁位ですよね?基準(磁位0の位置)の異なる磁位なのに重ね合わせちゃってもいいんですか??
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