お世話になってます。浪人生です。
質量作用の法則がどうしても納得できません。
どっかの誰かがなんかイイ感じにしてくれへんかな~って思ってたら
浪人してしまいました!
教えていただきたい点をいくつか箇条書きします。
1:
質量作用則は高校範囲においては平衡定数のところで出てきますが、
反応式の係数が何でべき乗関数の指数になってるんですか??
logったんですか?! 例えば I2+H2が2HIになる化学平衡は、
HIの濃度を二乗しますよね?どんな意味があるんですか?
ただ教科書や先生が「そういうふうになってるから」って天下り的に教える
公式では納得できません。
2:
そもそも高校範囲でこの法則は理解可能なのでしょうか?
無理なのなら諦めて大学につなげる勉強の仕方をとろうと思っています。
厳密な証明はいりません。概論的な納得が得られれば十分です。
よろしくご教授ください!
No.11
- 回答日時:
> 反応次数が2以下のようなごくごく簡単な平衡においては
> 化学平衡の法則は反応速度式で説明できるという事でよろしいでしょうか。
反応次数が2以下であるかどうかは化学反応式からは判別できない、という重要事項をきちんと押さえてさえいれば、それでいいです。
回答1> 量論上(反応式の係数)と反応次数が一致するとは限らないんですけどね。
回答5> 大学に入って「高校でこういう風に習ったかもしれないが、忘れてしまった方がいい」と言われてしまうかもしれない考え
回答6> 質量作用の法則(誤訳のため、現在は化学平衡の法則)が成り立つのは、反応経路が単純な一部の反応のみです。
回答8> A+B⇔2Cのように一般化することもできません。間違いになります。
回答8で引用されている啓林館のページ
> いわゆる化学反応の次数と反応式の係数とは無関係である。
あるいは、反応次数が2以下の平衡においては化学平衡の法則は反応速度式で説明できることを、いまから140年ほど前にGuldbergとWaageが示した、というように歴史的事実(化学史上の事柄)と捉えてもいいです。
> wikipediaを見ると、反応速度を数学を駆使してモデル化することを試みているようだった
啓林館の解説ページに書かれているように、「化学平衡の法則を,反応速度の考え方から説明する事が多い」のは、「高校段階では理解し易く便利」だからです。また、質量作用の法則を見つけた人たちがこの法則を反応速度式で説明したから、というのも理由の一つでしょう。
ウィキペディアの質量作用の法則の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B3%AA%E9%87%8F% …
をよく読んでみると、「(グルベルグとボーゲが)反応速度を定式化して、化学平衡の関係式を導いた」という書き方になっていて、現代ではどう説明されているかについては、明確には述べられていません。なお、付け足しのように書かれている「尚、質量作用の法則における化学平衡式は《中略》熱力学の観点から厳密に証明された。」のところは、出来が悪いので読む価値はないです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E8%A1%A1# …
の方は、さらに出来が悪くてノートでもつっこみが入っています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC% …
ノートでのやり取りを見る限りでは、熱力学を習ったことのない人が書いた記事のようです。数学を駆使してモデル化しているというよりも、法則の式を試験場で思い出すための方法(*)が書かれている、と考えたほうが無難でしょう。
(* 語呂合わせと同じで、こういうものは確かに便利です。割り切って使いましょう。)
No.10
- 回答日時:
#9です。
#9で「#2、#4です。」と書いたのは誤りです。
「#2、#5」でした。
#4様、申し訳ありませんでした。
この関係式は「質量作用の法則」と呼ばれているようですが
ギブスの関数から得られるということである限り、「法則」と言うほどのものではありません。
ギブス以前に実験を踏まえて提出されたものだったから「法則」となったのでしょう。
反応速度を使う考え方は多分、その時に使われていたものでしょう。
平衡定数をギブスの関数から求めるというのと反応速度から求めるというのと論理的な繋がりは全くないとしていいことでしょう。
辞典で調べると「質量作用の法則」は
C.M.GuldbergとP.Waageによって提唱された(1867年)
J.H.van't Hoffによって確立された(1887年)
と書かれています。
J.W.Gibbsが化学ポテンシャルの概念を導入した論文が発表したのは1876年、1878年です。でもこの内容はF.W.Ostwaldによって独訳されて紹介されるまでの10年近くの間ほとんど注目されることはなかったということです。
1901年に出版された彼の著書 "Elementary Principle of Statistical Mechanics”もあまり注目されなかったようです。辞典には「その真価が明らかになるのは量子力学の確立以後のことである」と書かれています。
化学ポテンシャルの導入から広く使われるようになるまでに50年のギャップがあるのです。
反応速度での考え方が広く行きわたっているのはこの50年のギャップに原因があるのでしょう。
論文の発表された年代だけを見て2つの立場がつきあわされているはずだと考えてしまうことは出来ないのです。
現在でも「分かりにくい熱力学から考察し始めるのは出来ることなら避けたい」という意識が働いているのではないでしょうか。
No.9
- 回答日時:
#2、#4です。
「logっている」という判断を踏まえた回答が#8に出ました。
反応速度を用いた議論がエスカレートして来ていましたので、やはりある程度の事を書く必要があるかなという気持ちになっていました。
エントロピーや自由エネルギーは確かに分かりにくいです。
でもこれだけ方向違いの議論が出回るようであれば、部分的にでも、省略した形であっても、持ち込むことを考えた方がいいのではと思うようになりました。
「自由エネルギー」という名前自体が分かりにくいです。
ある種のエネルギーに付けた名前です。平衡状態判定関数Gで構いません。(仕事をどれだけ取り出せるかに由来するような名前を使っているので訳が分からなくなるのです。)
関数Gは物質ごとに決まっています。濃度や温度によっても変化します。
A+2B → 3C という変化が起こるとしたら
左辺のA+2Bに相等する関数Gの値よりも右辺の3Cに相当する関数Gの値の方が小さくなっているだろう、
もし逆に
A+2B ← 3Cという変化が起こるとしたら
左辺のA+2Bに相当する関数Gの値の方が右辺の3Cに相当する関数Gの値よりもちいさくなっているだろう
と考えます。
左辺の関数GLは成分のA,Bについての1モル当たりの関数GA、GBを用いてGA+2GBと表すことができます。右辺の関数GRは3Gcです。
GL>GRであれば、すなわち GA+2GB>3Gc であれば A+2B→3C の変化が起こります。
GL<GRであれば、すなわち GA+2GB<3Gc であれば 3C→A+2B の変化が起こります。
これを踏まえると「平衡状態ではGL=GRだろう」という判断が出てくるのです。
GL、GRは別個に決まる量です。GA、GBを個別に求めて加えているのですから反応も前提にはなっていません。
反応機構も時間の要素も一切含まれていません。
反応の次数も反応中間体も関係がありません。
ここまではGの関数形には一切関係がありません。
Gの中の濃度に関係する部分がlogになっているということから係数がベキに変わるというのはその次の話です。
よく使われる「平衡状態では自由エネルギーが最小」という表現にも関係がありません。
どちらの状態でのエネルギーが小さいかということで変化の向きを判定しようとしているのですから
「平衡状態と非平衡状態を比較してエネルギーの大小は?」なんてことはやっていないのです。
平衡状態での熱力学の範囲です。
(この表現は「平衡状態ではエントロピーが最大」の裏返しのものです。この表現が可能であるためには平衡状態のエントロピーと非平衡状態でのエントロピーの両方が決まっていなければいけません。平衡状態での熱力学である限り、非平衡状態でのエントロピーは定義されていないのですから比較のしようがありません。上の表現は「誤り」だと言ってもいいでしょう。)
力学で出てくる「右回りのモーメントと左回りのモーメントが等しいと釣り合う」というのと同じ発想です。
右回りのモーメントと左回りのモーメントは個別に求めています。
釣り合っていない時にどういう運動が起こるかを具体的に解こうとはしていません。
(解こうとすれば慣性モーメントを含んだ運動方程式を立てる必要があります。これは静力学の範囲では出てきません。)
GL>GR の時に「右向けの反応が確かに起こる」とは言えません。可能性について言っているだけです。
実際にどういう変化が起こるのかはエネルギーの比較だけからは分からないのです。反応機構が効いてくるのはこの部分です。どういう中間状態があるのかが効いてくるのもこの部分です。
たくさんの方々に考えて頂いて感激してます!
僕自身浪人生なので時間の無駄は出来ないと思い、
期間を区切って平衡定数について調べる事にしてました。
「logった」に関してですが、僕は今まで僕達が考えてきた化学反応式はあくまで簡単な係数比で表された一次方程式に似たようなものだと認識していました。しかしここに来て化学反応式の係数がいきなり冪乗の指数として組み込まれている事には違和感を禁じえませんでした。wikipediaを見ると、反応速度を数学を駆使してモデル化することを試みているようだったのでLogかも知れないと思いました。
みなさんの意見を踏まえて、高校範囲では理由を考えるべき
ではないという結論に至りました。僕は、昔から公式や定理を
疑うような生産的でないことばかりしていたので浪人してしま
ったのだと反省しています。けれどもやっぱり意味の分かってない公式を駆使して自分が今何をしているかも分からないような答案も作りたくありません。
「この公式は高校範囲では難しくて例外もたくさんあるけど、今はこれをとりあえず覚えて、大学につながる勉強をしよう」と言ってくれればなんの疑いもなく暗記してみせますが、そういってくれる先生方はあまり多くありません。
今回の質問で、いい意味でこの疑問に対して妥協することが出来ました。大学で詳しく勉強できることを楽しみにしたいと思います!
反応次数が2以下のようなごくごく簡単な平衡においては
化学平衡の法則は反応速度式で説明できるという事でよろしいでしょうか。
お礼をまとめてしまってすみません!
みなさんありがとうございました!!!
No.8
- 回答日時:
1:
> 反応式の係数が何でべき乗関数の指数になってるんですか??
logったからです。
> 例えば I2+H2が2HIになる化学平衡は、
> HIの濃度を二乗しますよね?どんな意味があるんですか?
I2+H2⇔2HIという、非常に特殊な化学平衡に限っていえば、逆反応の速度がHIの濃度の二乗に比例するから、と考えても間違いではありません。
しかしN2+3H2⇔2NH3などの他の多くの化学平衡では、そのような考え方は、間違いになります。A+B⇔2Cのように一般化することもできません。間違いになります。詳しくは
http://www.keirinkan.com/kori/kori_chemistry/kor … の最後にある◆平衡定数と反応速度式 を参考にしてください。
2:
> そもそも高校範囲でこの法則は理解可能なのでしょうか?
不可能です。
化学ポテンシャル(ケミカルポテンシャル)について学ぶ必要があります。少なくとも自由エネルギー(ギブスのフリーエネルギー)について知っていなければなりません。上で示した啓林館の解説ページにも、「化学平衡にある系では,系全体の自由エネルギーが極小値になっており」とか「この式は統計力学や熱力学から導く事ができ」などと書かれています。反応速度に基づいた説明は、理解を深めるためというよりも記憶を助けるためになされるもの、と割り切って考えてください。
> 厳密な証明はいりません。概論的な納得が得られれば十分です。
平衡定数の式を熱力学から導く方法は、だいたい こんな感じです。
----------
温度T,全圧pのもとで
A + B ⇔ 2C ……(1)
の化学平衡を考える。
温度T、圧力poのときのA, B, Cの化学ポテンシャルをそれぞれμoA, μoB, μoC とすると、温度T、分圧がそれぞれpA, pB, pCのときのA, B, Cの化学ポテンシャルは
μA = μoA + RT ln(pA/po) ……(2a)
μB = μoB + RT ln(pB/po) ……(2b)
μC = μoC + RT ln(pC/po) ……(2c)
で与えられる[注1]。ただし、A, B, Cのいずれも理想気体の状態方程式に従うものとした。
式(1)の化学平衡が成り立っているとき、μA, μB, μC の間には
μA + μB = 2・μC ……(3)
の関係が成り立つ。式(3)に式(2)を代入して少し計算すると式(4)が得られる[注2]。
(pC)^2/(pA・pB) = e^(-(2μoC-μoA-μoB)/(RT)) ……(4)
μoA,μoB,μoCがp,pA,pB,pCに依らないので、式(4)の右辺はp,pA,pB,pCに依存しない。
一方、pA,pB,pCはpoに依らないので、式(4)の左辺はpoに依存しない。よって式(4)の右辺もpoには依存しない。なぜなら右辺がpoに依るならば等式で結ばれている左辺もpoに依ることになり、矛盾するからである。これらのことから、式(4)の右辺がTにのみ依存することがわかる。
式(4)の右辺は、平衡定数(より正確には圧平衡定数)と呼ばれる。平衡定数は温度のみの関数であり、分圧(組成)や全圧には依存しないことが上の導出からわかる。
----------
注1:ln(x) は、xの自然対数(eを底とする対数)。
注2:e^x は、eのx乗。exp(x)と書くことも多い。
“化学平衡にある系では,系全体の自由エネルギーが極小値になっている”という知識を使えば、即座に式(1)から式(3)を書き下すことができます。
N2+3H2⇔2NH3 という化学平衡ならば
μN2+3×μH2=2×μNH3 という具合です。
熱力学から平衡定数の式を導くと、反応式の係数が2より大きくなっても何の問題もないことが理解できます。アンモニアが生成/分解する化学平衡において、(極端な高圧でない限り)質量作用の法則が成り立っていることは、よく知られた事実です。
式(2)の導出は少し難しいので、大学に入ってからゆっくりと学んで下さい。RT ln(pA/po)の項は、“気体は圧力の高いところから低いところへ流れるのが自然の摂理だ”という、ごくごく当たり前のことを数式で表現しているだけなのですけど、真面目に導出するとエントロピーやら自由エネルギーやらの話になるので、下準備が必要になります。
No.7
- 回答日時:
A+B→2Cの反応においてCが生成する速度を右向きの反応速度と定義しましょう。
そうすると、右向きの反応はAとBが極端な比率差がない場合、Aの濃度を高めていくと、それに比例して速くなります。
つまり、Aの濃度を2倍にするとCの生成速度は2倍になるのです。
(Bの濃度に比べ、Aの濃度が極端に高いときには,Aの濃度を変化させても反応速度はほとんど変化せず、Bの濃度だけに依存してしまいます。このような疑1次反応は、今は除外しておきましょう。)
ところで、Bについても同じことが言えるので、結局、右向きの反応速度は、AにもBにも比例する。
その結果、A×Bに比例することになります。
ここで、比例定数をk1、右向きの反応速度をV1とすると
V1=k1[A][B]となります。
今度は、左向きの反応を考えてみましょう。
一番最初の反応式の左右を置き換えると
2C=C+C→A+B となりますから、初めの反応式の左向きの反応速度、つまりCの消失速度は
1個目のCにも2個目のCにも比例する訳ですから、右向きの反応速度を考えた時と全く同じで
V2=k2[C][C] つまり、[C]の2乗に比例するのです。
ここで、右向きの反応速度と左向きの反応速度の比をとってみましょう。
V2/V1=(k2[C][C])/(k1[A][B])
平衡状態では、右向きと左向きの反応速度は等しくなる訳ですから、
V2/V1=1
よって、平衡状態においては K1/K2=K=[C][C]/[A][B]
すごく、単純なことだと考えているのですが
No.6
- 回答日時:
いくつかの回答でギブズエネルギーが関係するという意見がありますが、
これは平衡定数の値自体に関係するものであって、式の内容に関係するもの
ではないと思います。
H2 + I2 ←→ 2HI の反応において、
K=〔HI〕^2/〔H2〕〔I2〕
になるのは、やはり分子の衝突確率ではないでしょうか?
これが温度によって平衡移動するわけですが、その割合が絶対温度に対して
対数的に変化するというものです。
また、質量作用の法則(誤訳のため、現在は化学平衡の法則)が成り立つのは、
反応経路が単純な一部の反応のみです。他段階の反応では、最大の活性化エネルギー
を経由する反応が律速となります。
また、下記のようなアンモニアが生成する反応では教科書では質量作用の法則を
適用していることが多いです。
N2 + 3H2 ←→ 2NH3
しかし、N2分子1個とH2分子3個が衝突するのは天文学的に低い確率です。
基本的に3次以上の反応係数では理論値と実測値がほとんど一致しません。
No.5
- 回答日時:
#2です。
#4で
>理解しようとするのは、時間の無駄です。
(前の回答者さんが書いているギブスの自由エネルギーを理解できますか)
と書かれています。
別に「ギブスの自由エネルギーを理解せよ」という意味で書いたものではありません。
>logったんですか?!
という感覚がすばらしいと思って、「そうですよ」という意味で書いたものです。
この文章を書かなければ、反応速度から説明している#1、#3が正しくて「logった」という発想は駄目だということになってしまうでしょう。
大学に入って「高校でこういう風に習ったかもしれないが、忘れてしまった方がいい」と言われてしまうかもしれない考えだけが残ってしまうのは困ったことになるでしょう。
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