No.3ベストアンサー
- 回答日時:
> ON⇔OFFのトランジェント期間は高い周波数成分なので、表皮効果や近接効果
> による損失が大きい、という理解でよろしいでしょうか?
全然違います.
表皮効果や近接効果の影響は,定常損失に現れます.
過渡損失は,スイッチング素子の問題です.
ONして電圧ほぼゼロのときは電流大,OFFしたときは電流ゼロで定常損失は少ないんですが,ONしかかったときには電圧が高い状態で電流が流れだし,OFFしかかったときには電流が流れているにも関わらず電圧が高くなるんで,大きな損失が発生します.
過渡損失を減らすには,スイッチング素子を高速にドライブすることが必要です.
高速のMOSFETと高速のドライブ回路が必要で,寄生発振防止用のゲート直列抵抗も大きくできないから,配置・配線(パターン設計)に配慮が必要です.
また,2次側整流ダイオードも高速なダイオードが必要です.
入手しやすい高速ダイオードには,安価な電力半導体用ウエハーを使用したものと,IC用のエピウエハーを使用したものがありますが,エピウエハーのものを使用します.
見分け方は,VF(順方向電圧)が低いものがエピウエハーで,ローロス・ダイオードとか高効率ダイオードとか言ってます.
最もお勧めはこの手のショットキ・ダイオードです.
http://www.rohm.co.jp/web/japan/search/parametri …
まもなくCEATECですから,いろんな半導体メーカーやトランス磁性体メーカーのブースで話を聞いてくるのも手です.
http://micro.rohm.com/jp/exhibition/ceatec2012/i …
裏技ですが,親しくなるとサンプルを無償で戴けます.
なるほど、とても良くわかりました。
間違った状態で、理解するところでした。
あとショットキーダイオードはご照会いただいたホームページから
サンプル購入できるようなので、早速購入してみようと思います。
本当にありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
プッシュプル方式のDC-DCコンバータ(昇圧)って,どんな方式でしょうか?
一般的な降圧コンバータをトランスで絶縁してプッシュプルにした電圧型コンバータでしょうか?
それとも,本当の昇圧コンバータをトランスで絶縁してプッシュプルにしたものでしょうか?
昇圧コンバータ由来の絶縁型コンバータは電流型(Current-fed)と呼びます.
一般的な説明がここにあります.入力側にインダクタが入るのが特徴です.
http://www.magna-power.com/applications/overview …
プッシュプル方式だとこれがわかりやすいですね.
http://hirachi.cocolog-nifty.com/kh/files/201012 …
もしかすると作ったのは電流型ではなくてこの図1でしょうか?
ANo.1でL1入れろとか書かれてますが,L1が無いとコンデンサ入力整流回路つまりピーク検波になって,電源電圧とトランスの巻き線比で決まる出力電圧になって,デューティ比で電圧調整ができないので,降圧コンバータ由来の絶縁型コンバータでは本質的な動作上L1は必要で,無い回路は見たことがありません.
一般的なスイッチング・コンバータの損失には,ONまたはOFF期間に発生する定常損失と,ON⇔OFFのトランジェント期間に発生する過渡損失があります.
デューティ比を変えて出力電圧を変えたときにも電流波高値がほぼ一定とすれば,過渡損失はほぼ一定と考えられます.
定常損失は,デューティ比が小さくなれば電流実効値も小さくなり巻き線抵抗による損失は低下します.
デューティ比が小さくなると,電圧・電流波形をフーリエ級数で表したときの高調波レベルが増加するため,前回紹介したDIXON先生のトランス資料に書いてあるとおり,表皮効果,近接効果による巻き線のAC抵抗分による損失が増加し,コアの鉄損も増加します.
デューティ比が小さくなったときの定常損失は,増加分を考えてもトータルでは少し減るかも知れませんが,一般的な設計のスイッチング・コンバータでは過渡損失が支配的なため,全体の損失はそれほど減らないと思われます.
電流波高値がほぼ一定ならば出力電力はデューティ比にほぼ比例するから,ある程度の範囲で損失がほぼ一定ならば,効率(=[出力電力]÷{[出力電力]+[損失]})はデューティ比が小さくなれば低下します.
デューティ比を小さくしても出力電力を変えなければ,電流実効値は増加して定常損失も過渡損失も増加するため,効率は更に低下します.
前回に引き続き今回もご回答をいただき、ありがとうございます。
作製したDC-DCコンバータは図1のタイプです。
トランスによる損失が増えると言う事は、とても参考になりました。
ON⇔OFFのトランジェント期間は高い周波数成分なので、表皮効果や近接効果
による損失が大きい、という理解でよろしいでしょうか?
確かにON⇔OFFのトランジェント期間はデューティー比に関係なく必ずあるので、
トランジェント期間の過度損失が支配的であれば、デューティー比を小さくすると
損失の割合が増え、効率が下がりますね。とても良くわかりました。
No.1
- 回答日時:
今日は、
DDコンバータの効率ηは η=(Pout/Pin)×100% で計算されますが入力 Pin は 出力、Pout+ロス分Ploss で表されますので 効率ηは
η(%) = 100×Pout/(Pout+Ploss)(%) (1)
で表されます。
出力Poutはほぼデューティーに比例して増減します。もし、Plossが無ければ式(1)よりデューティーが変化しても効率は変わりません。しかも当然ですが効率100%です。
デューティー48%と30%ではPlossは通常それ程大きく変化しないと考えればデューティーが小さくなって出力Poutが小さくなれば式(1)から容易に効率が下がることが分かると思います。
尚、プッシュプル方式のDC-DCコンバーター(昇圧)の場合、この話とは別に効率を悪くする問題があります。それはトランス2次側のダイオード整流後に対GNDに接続されている大容量のリップルコンデンサの充電電流です。トランスで昇圧してますので1次側のスイッチングFETがonの時に流れるこの充電電流は昇圧比分リップルコンデンサの充電電流が大きくなってFETのon電流になってしまいます。この電流は実際非常に大きな電流になりますのでそれに伴い発生するPlossも非常に大きくなります。
トランス2次側の整流ダイオードの出力とリップルコンデンサの間に数mHのチョークコイルを挿入することにより充電電流がしっかり抑制されてPlossが大幅に下がります。ぜひ試してみてください。
ご回答をいただき、ありがとうございます。
確かにPlossがほとんど変化しないとした場合、数式でみると
デューティーが小さくなれば、効率が下がることが一目瞭然に
わかりますね。
あとトランス2次側の整流回路の後にチョークコイルを入れてあるので、
大きな電流が流れないようにはなっています。
色々と参考になりました。
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