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法律初学者です。
会社法128条(下記)の「その効力を生じない」を「対抗できない」に変えると、以下のようになるのですが、これと原文の違いを、極めてやさしくご教示願います。
株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、対抗できない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、対抗できない。
記
会社法128条:
株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
商法は専攻外で、あまり体系的に勉強していないと再度いいわけしておきます。
で、自己株式が発生するのは、株主が「株式の買い取り請求」を行ったり、安くなった市場の自社株式を買い取って出回り株数を減らして株価を上げたりした場合などにおきますよね。
で、買い取った株式をまた市場に放出するのが「自己株式の処分による株式の譲渡」です。
買い取って金庫にしまっておいた株式(株券)を、どういうときに市場に放出するかというと、買い取った原因がなくなったときです。
例えば、議決に反対した株主が「買い取れ」と言って買い取った株式なら、議決に賛成する誰かが「売ってくれ」と言えば(証券取引に関する法律に則って)譲渡するでしょう。
遊休資金があって、株価を高める必要もあったので自社株を買ったという場合なら、ほかに投資する案件が出て資金が必要になったとか、株価が十分高くなったとかいうような、状況の変化があれば譲渡するでしょう。
> 「自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。」となる理由
なぜ株式の譲渡が「要物契約」とされるのか、というと、株券を持っている者を株主だということにしないと、誰が本当の株主なのかわからない。
わからないと、たとえば配当を誰に対して行えばいいのかわからない。誰を株主総会に参加させればいいのかわからない。誰が議決に参加していいのかわからない、ということになります。
その結果、配当に対する異議の訴えとか、決議無効の訴えとか、非常に難解で、巨大な影響力をもつトラブルが頻発すると予想されるからだろうと思います。
泥棒が盗んだということもありえますが、それは泥棒と被害者の間で処理すればよく、会社・社会としては株券を持っている者を株主とする、ということにしておけば、トラブルはほとんど防げますからね。
そこで、会社自身が売主になった場合を考えると、会社は誰が株式を譲り受けて株主になったかを知っているわけですから、上記のような混乱は起きないだろうと思われます。
また、自己株式というのは、広く資本を集めて大きな仕事をするという株式会社の趣旨からすると、好ましくないことですので、株券の支度ができていなくても、譲渡のチャンスがあるなら譲渡させたほうがよい、という判断もあるのではないかと思われます。
そのような観点から、例外的に、株券の交付を待たずに譲渡契約の効力を認めようとしているのではないかと、私は思います。
重ね重ねご丁寧に対応いただき、また、お人柄でしょうが、専攻外であったにもかかわらず、尽力くださり、誠にありがとうございます。
お陰さまで、納得することができ、大変助かりました。
勝手ながら、またよろしくお願いいたします。
No.4
- 回答日時:
1番回答者です。
補足質問について私なりの説明を、視点を変えてもう一度試みます。
> 1.A株主からB株主へ株式の譲渡がある場合、同条(会社法128条)の効力とは、つぎのいずれに該当するのでしょうか
混乱するので余計なことを書かず、
会社法128条は、既存株式(市場に流通している株式または金庫の中の自己株式)の"譲渡"についての条文なので、(ア)「A株主からB株主への譲渡」の効力について定めたものだ
という回答をするのが一番わかりやすいかなと考え直しました。いかがでしょうか。
既存でない、存在していない株式は、株券を発行する会社の株式であろうと株券を発行しない会社の株式であろうと、売買できるはずがありません。存在しない株式を売る、という行為は詐欺行為です。
> (イ)「株券発行会社のAに対する株式の発行」についての効力
> (ウ)「株券発行会社のBに対する株式の発行」についての効力
この言葉の「発行」というのが、「自己株の譲渡」という意味でお使いなら、128条の規制を受けますが、発行と譲渡は違いますので、「イ、ウと会社法128条は無関係」と回答しておきます。
> 2.同条(会社法128条)の「ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。」は、「ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、株券を交付しなくても有効だ
ここまでは、それでいいと思います。
> が、だからといって、「それ(有効であること)を相手方(株券発行会社を含む)に主張できる」ことにはならない。」と解釈できるのでしょうか
うーん、勘違いがあるようです。
自己株式というのは、株券発行会社(仮にZ社とよぶ)自身の株式のことです。
自己株式(Z社の株)の譲渡の場合、Z社は売買の当事者です。
Z社が、譲渡の有効性を自分自身(Z社)に対し主張しなければならない、なんて事態は起こりません。Z社は、「譲渡は有効だ!」と主張する側です。
ですからまず、「(株券発行会社を含む)」をとってください。
>> 「それ(有効であること)を相手方に主張できる」ことにはならない。」と解釈できるのでしょうか
できないと思います。
まず、「主張できることにはならない」ということを表す文言が条文にありません。
よほどの理由がないかぎり、条文に基づいた解釈を行うべきで、立法するようなことはやってはならないと思うのが1つめ。
この場合の、有効性を主張される「相手方」とは、売ったZ社と買った者(仮にC)以外の者(D、E、F)ですよね。当事者であるZ社とCは、有効だと主張する側ですから。
その株を発行したZ社が有効だと言い、買ったCも有効だと言っているのに、株券も持たないし、お金を出したわけでもないDらに、売買の効果を否定するだけの権利があるのか、というと、条文もないし、そういう権利を与えるべき理由も考え難いです。
Dらは何様のつもりで「無効だ」なんて言うのか、という話です。
会社法が有効だと言っている以上、「譲渡は有効だ」と主張することができる、と解釈すべきでしょう。
この回答への補足
繰り返しになってしまうかも知れませんが、ご了承願います。
会社法128条1項につき、「自己株式の処分による株式の譲渡」の具体例をあげての上、「自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。」となる理由をご教示いただきたいのですが。
ご丁寧な回答をいただき、誠にありがとうございました。
補足せず、あいすみません。
度々で恐れ入るところ、後ほど、補足にて質問させていただくかもしれませんが、ご返答いただければ幸いに存じます。
お忙しい中誠に恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
No.3
- 回答日時:
AとBとの間で、Aの有する株式をBに売却する契約を締結したとします。
民法の意思主義によれば、その株式は売買契約締結時にBに移転するはずです。しかし株券発行会社における株式の場合は、Aが株券をBに交付しない限り、株式はAからBに移転しません。BはAに対して株式が自己に移転していることを主張できませんし、会社や第三者に対しても同様に主張できません。つまり、株券の交付が、株式の移転の効力要件となるわけです。ただし、勘違いしてはいけない点ですが、株式の売買契約が無効になるという意味ではありません。売買契約は有効であるが、株式の所有権(株式は物ではないので所有権というのは不正確な表現ですが、ここでは、分かり易いのでこのように表現することにします。)はBに移転していない状態と言うことです。
では、株券発行会社ではない場合はどうでしょうか。この場合は、売買契約締結時に、株式はAからBに移転します。ただし、株式名簿に登録しないと、Bは会社や第三者に対しては、自己に株式が移転したことを主張できません。しかし、会社や第三者がBに株式が移転していることを認めることは構いません。これが「対抗」という意味です。
No.2
- 回答日時:
補足質問を拝見しました。
会社で判例付きの六法を見ていますが、争いになったことはないらしくたいしたものは出ていませんので、ごく素直に解釈すればいいのだろうと思います。
> 1.A株主からB株主へ株式の譲渡がある場合、同条(会社法128条)の効力とは、つぎのいずれに該当するのでしょうか
第1項の場合ですよね。
株券を交付しなければ「効力を生じない」っていうわけですから、譲渡契約は(その時点では)無効です。後日株券を渡せば、その時点から有効と考える余地もありますが、契約時点では無効。
会社もAもBも本条の拘束を受けるでしょう。
例えば、会社は相変わらずAを株主として取り扱わなければならず(配当などもAに渡す)、Aは配当を受け取り決議に参加できる。BはAに配当をよこせとは言えないし、決議などに参加もできません。
立法論としては、AB間くらいは有効にして、Aに渡った配当をBがよこせという権利くらいは認めてもいいんじゃないかと思いますが、条文からはそういう趣旨は読み取れませんね。
> (イ)「株券発行会社のAに対する株式の発行」についての効力
> (ウ)「株券発行会社のBに対する株式の発行」についての効力
どうも、質問者さんは、「株券発行会社」の意味を、私とは違った意味にとらえている感じがします。
第2項との兼ね合いで、この場合は、「株券を発行した会社」と受け取るべきだろうと思いますが、そうお考えですか?
1万円札が1万円の価値と一体なのと同じく、株券は株式と一体です。
既に株券を発行しているということは既に株式を発行しているということなので、AやBに対する「株式の発行」ということはありえないと思います。
いま、会社営業中なので、この続きは夜、自宅で書きます。全面的に書き直すか、続きから書くかわかりませんが。
まにあったら、「株券発行会社」の意味をどうとらえていらっしゃるか、補足しておいていただけるとありがたいです。
No.1
- 回答日時:
商法は専攻外ですし、六法も手元にありませんが、日本語の解釈で意味がわかりそうなので解説を試みます。
質問者さんが「対抗できない」という言葉をどこから持ってきたかわかりませんが、民法の「対抗できない」なら、「効力は生じているが、効力を認めない人に主張して争ったら、負ける」という意味合いです。
「効力は生じている」ので、第三者が自発的にその売買契約を承認して、それを前提にして行動するのはかまわないことになります。
ちなみに、民法の「対抗できない」の場合、売主は当事者一方(対抗力を与える義務を負う者)として、「買主に対抗力がない」という点を主張できないと解されています。対抗力を備えない買主でも、売主に対しては自分の権利を主張できるのです。
その会社法128条は、「効力を生じない」と言っているのですから、効力を生じないのでしょう。
誰も、譲渡契約の当事者(売主・買主)や会社でさえ「いや、譲渡の効力は生じているんだ」とは言えません。言ってはなりません、という話になります。
「対抗できない」という条文なら、会社は自分に都合のいい株主への譲渡(株券の交付を伴わない)は承認して、都合の悪い人への譲渡(株券の交付を伴わない)は否認して、株主総会などでの決議を有利に進めたりできますが、「譲渡の効力がない」んですから、そういう操作的なことはできませんね。
どっちも一律に、「譲渡効果なし」と言って、権利行使を拒否するしかありません。
第二項は、「株券発行会社に対し、」と限定していますので、それ以外の人たちの間では、効力を発生しているのでしょうね。
これも同じですね。会社は「効力あり」とは言えないので、自分に都合のいい譲渡も、悪い譲渡もどうように、否認しなければなりません。
「対抗できない」という条文なら、使い分けができてしまいます。
対会社以外では有効なので、売主が買主の意向に従って権利を行使する、なんてことは可能です。
権利行使が会社に不利でも、会社がそれを「おかしいだろ!」とは言えませんね。
この回答への補足
ご回答者様のとおり、「対抗できない」は、民法でのものです。
実は、同条(会社法128条)において、「効力」と「対抗力」が同じように思え、その区別がつかなくなり、このような問いをした次第であります。
つきましては、以下について、ご教示いただければ、幸いです。
1.A株主からB株主へ株式の譲渡がある場合、同条(会社法128条)の効力とは、つぎのいずれに該当するのでしょうか
(ア)「A株主からB株主への譲渡」についての効力
(イ)「株券発行会社のAに対する株式の発行」についての効力
(ウ)「株券発行会社のBに対する株式の発行」についての効力
2.同条(会社法128条)の「ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。」は、「ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、株券を交付しなくても有効だが、だからといって、「それ(有効であること)を相手方(株券発行会社を含む)に主張できる」ことにはならない。」と解釈できるのでしょうか
早速にご丁寧な回答をいただき、誠にありがとうございます。
にもかかわらず、難解で、あらためて知識不足を認識するところです。
後ほど、補足にて質問させていただくかもしれませんが、ご返答いただければ幸いに存じます。
お忙しい中誠に恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
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