お世話になります。
電力ケーブルの「短時間許容電流」というものについて学習中なのですが、これを算出するにあたって使用される熱等価回路が、なぜ添付図1のような形になるのかがわかりません。
まず記号について説明致しますと
T1: 常時許容温度(または過負荷電流が流れる前の導体温度)[℃]
T6: 短時間許容温度[℃]
Rint: ケーブル部分熱抵抗[℃・cm/W]
W: 過負荷電流による発生熱量[W/cm]
Wo: 常時許容電流(または過負荷電流が流れる前の導体電流)による発生熱量[W/cm]
Cint: ケーブルの熱容量[J/℃]
また
I1: 常時許容電流(または過負荷電流が流れる前の導体電流)
I6: 過負荷電流
とします。
WとI6との間には既知の関係があるため、添付図1の回路をWについて解けば、実質的にI6が求まることになります。
微分方程式を解くプロセスはいいとして、なぜそもそもこのような回路で記述されるのかがいまいちイメージしきれません。
具体的には
1.ケーブル熱容量がなぜ並列(?←少なくとも熱抵抗と直列ではない)に接続されるのか
2.過負荷電流が流れる前後の導体温度T1, T6を電位差のように捉えてモデル化するという着想
が不明です。
1の場合は、回路モデルを作成する着想の基本のようなことまで教えていただくと幸いです。
また2に関しては、たとえば添付図3のように、部位間で温度差がある場合の熱流であれば理解できるのですが、添付図1は、導体それ自体の温度変化を電位差のように捉えたものです。この辺の感覚がよく理解できません。
添付図2として元になったケーブルを示します。
よろしくお願い致します。
A 回答 (7件)
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No.1
- 回答日時:
図がよく見えませんが。
質問1について
一言で答えれば、「それが、Rintと、Cintの定義だから」です。
なぜ図1のような等価熱回路なるか?、というのは話が逆です。
正しくは、ケーブルの放熱なんか考えるときに、考えやすいように、ケーブルが図1のような熱等価回路で表されるということを最初に仮定して、その上で、そのときの Rint、Cintの値をそれぞれ、ケーブル部分熱抵抗[℃・cm/W]、ケーブルの熱容量[J/℃]、と呼ぶことにした(そう定義した)ということです。
質問2について
図が良く見えないので、半分、勘で答えます。
字がよく読めませんが、ケーブルは内側から、導体→絶縁体→外皮(断熱層?)の3層で構成されていると思えばよいですか?
だとして、おそらく、仮定として、過負荷電流が流れる前は、導体・絶縁体は、一様な温度T1になっていると考えているのでしょう。
実際には、外皮の外は、空気なんで、絶縁体の外面(=外皮の内面)の温度は、完全にT1ではないでしょうが、外皮はそれこそ断熱層(熱抵抗が導体・絶縁体にくらべて、非常に高い)と考えているのでしょう。
その上で、導体に過電流が流れると、導体の温度がT6に上がる一方で、絶縁体の外面(=外皮の内面)の温度はT1のままで一定だと考えて、絶縁体に熱勾配ができる、と考えているのでしょう。
ご回答ありがとうございます。
>一言で答えれば、「それが、Rintと、Cintの定義だから」です。
これに関しては、いまひとつ納得がいきません。
RLC回路というのも存在するように、直列に接続されるコンデンサもある中で、なぜあえて並列なのかというところが不可解です。
>導体に過電流が流れると、導体の温度がT6に上がる一方で、絶縁体の外面(=外皮の内
>面)の温度はT1のままで一定だと考えて、絶縁体に熱勾配ができる、と考えているのでしょう。
導体の温度がまず上昇し、外層との間で熱勾配ができ、その温度差を元に熱等価回路を考えているという説明は、かなり納得いきます。
ただ、図が見づらくて恐縮ですが、最外層は保護層で、少なくとも断熱層ではありません(断熱してしまうと絶縁体に負荷がかかるため)。
その上でも、ご回答いただいたような「導体に過電流が流れると、導体の温度がT6に上がる一方で、絶縁体の外面(=外皮の内面)の温度はT1のままで一定だと考えて、絶縁体に熱勾配ができる」という話は成立するのでしょうか。
No.2
- 回答日時:
>RLC回路というのも存在するように、直列に接続さ れるコンデンサもある中で、なぜあえて並列なのか といところが不可解です。
ですから、それがRint, Cintの定義なわけで。
もちろん、この定義が不満なら、RLC等価回路みたいなのを質問者が仮定してケーブルの特性をフィッティングして、そのときのR,L,Cの値に(Rint,Cintではない別の)名前をつけて使ってももちろんかまわないですけどね。
回答としては、本当にこれが全てなんですが、それではあんまりかもしれないので、
では、何故、Rint,Cint の定義を決めたエライ人が最初に図1のような等価回路を仮定したのか。
絶縁体の熱伝導特性は、本当は、図1のような単純な形ではなくて、
q=f(ΔT)
の、fは、ものすごく複雑(ΔTだけではなくて、ΔT/dtやら、2階微分やらなんかが、非線形に絡み合ってる)でしょう。
で、その一次近似として、
q=Rint×ΔT + Cint×dΔT/dt
と近似できると仮定したんです。これがまさに図1の等価回路を仮定したということです。
Cを直列に入れるとうのは、d^2ΔT/dt^2 の影響を考慮しようということですが、普通、よほどの理由がない限り、2階微分の影響よりは1階微分の影響のほうが大きいと考えるのが自然です。
なんで、Cを1つだけ入れるなら、直列(2階微分の影響を考慮する)よりも、並列(1階微分の影響を考慮する)に入れるほうが自然だと、(多くの人は)思うのでは、と私は思います。
後半の質問に関して。
保護層は断熱層ではないとのこと。
いずれにせよ導体が、絶縁体、保護層よりも圧倒的に熱伝導率が高いのは間違いないでしょうから、過電流で導体は一瞬でT6になって、それから絶縁体が内側から温まりだす(熱勾配ができる)というモデル自体は成立します。
ただし、保護層が断熱(保護層の熱伝導率が絶縁体の熱伝導率よりもかなり低い)状態でないとすれば、
過電流が流れる前の定常状態で、絶縁体が一様に温度T1になっている、という仮定は通常成立しません。(外の空気温度がT1でない限り)
従って、質問文のモデルには無理があると思います。
可能性としては、T1 と外気温の差が、T6と外気温の差に比べて圧倒的に小さい、ということを暗黙に仮定しているような気がしますが、私には、T1,T6
が、大体どれくらいの温度なのか分からないのでなんとも言えません
返答が遅くなり申し訳ありません。
懇切丁寧なご回答ありがとうございました!特に、定量的なご説明をいただき、助かります。
あとは、自分がいかに消化するかというとこだけかと思います。
特に、Cを直列に入れる場合と並列に入れる場合とで、微分の次数が異なるというところ、超基本的なところなのかもしれませんが、もう少し自分でよく考えてみようと思います。
No.3
- 回答日時:
>1.ケーブル熱容量がなぜ並列(?←少なくとも熱抵抗と直列ではない)に接続されるのか
ケーブルのおそらくCVでしょうか?
熱回路で電源に相当するのは温度差です。
図の回路だとT0が周囲温度
熱回路でコンデンサは熱を溜めこめるものを示していると思われます。
抵抗は熱の伝達に関して抵抗となるもの。
コンデンサと抵抗が並列ということは、熱を溜めこむと同時に放熱もしている、ということになります。
直列だと溜めこんだ後に放熱することになります。
>2.過負荷電流が流れる前後の導体温度T1, T6を電位差のように捉えてモデル化するという着想
T6が過負荷時の温度の限界です。
次にT1が普通にケーブルを使用するときの温度上昇の限度になります。
この温度差分を つまり使用中でT1の温度になっていたものをさらにT6まで温める間にどれくらいの電流をどれくらいの時間流せるか?
という計算をやっているのです。
参考URLに熱回路の(4)のリンクを張っています。(1)から順に読まれると熱回路について理解が深まると思います。
参考URL:http://blog.goo.ne.jp/commux/e/5640b3cda91195154 …
この回答への補足
>この温度差分を つまり使用中でT1の温度になっていたものをさらにT6まで温める間にどれくらいの電流をどれくらいの時間流せるか?
このフレーズで自分の疑問が少し明確になったのですが、T1の温度になっていたものがT6の温度になるのに、熱回路を組むときは、T6からT1に至るまでの熱流を考えて回路を組む。
多分、前後が錯誤する(本当に錯誤してるのかはわかりませんが)この感じに違和感を覚えているのだと思います。
返答が遅くなり申し訳ありません。
>コンデンサと抵抗が並列ということは、熱を溜めこむと同時に放熱もしている
なるほど!並列と直列の違いに関して、定性的に、端的に示していただきありがとうございます。
>T6が過負荷時の温度の限界です。
>次にT1が普通にケーブルを使用するときの温度上昇の限度になります。
>この温度差分を つまり使用中でT1の温度になっていたものをさらにT6まで温める間にどれくらいの>電流をどれくらいの時間流せるか?
やはり、T1、T6というのは必ずしも空間的に異なる箇所の温度である必要はなく、同箇所の温度変化ということですね!なぜそれがあんな回路になるのかは、熱伝導の基本をもう一度自分でおさらいしてよく考えてみようと思います。
No.4
- 回答日時:
追記です。
ケーブルの過負荷限度を求めるときには
過負荷による熱上昇は全部ケーブル内に留まる ように計算するのではなかったかと思います。
うろ覚えなので、参考までに
熱等価回路の設定を確認してください。
CVなどの絶縁物の熱時定数が1時間(?)程度のために
温度上昇に比較して放熱が間に合わないため ではなかったかと、、、
No.5
- 回答日時:
こんにちは。
かつて私も悩んだことがあります。
次のような説明でいかがでしょう。
これらの現象を、定性的(感覚的)に、日本語で言い換えると・・・
○ まず、電気回路
もし、入力電圧が、(0vから10v等に)に急に変わったとしましょう。(立ち上がり波形。ステップインデックス。ただし、今回は、完全な電圧源ではなく、ある程度の電圧降下もあると想定するので、実は電流を想定した方が良いですが・・)
電気回路としては次のことが”並列に”起こります。
・一部のエネルギーは、コンデンサーに”溜まり”、徐々に端子電圧が”上がって”いきます。(溜まる度合いは、静電容量)
(ここで、入力電圧が完全な電圧源と考えると難しくなるので前出の前提を置いています)
・別のエネルギーは、抵抗器によって”エネルギーを失い”ます。この場合、抵抗器の抵抗値は、”エネルギーを発散させる指標”の意味があり、抵抗値が大きいほど(電流値が小さくなって)”失われるエネルギーは少なく”なります”。
○ 次に、熱回路
もし、中心発熱体からの発熱が、(0Jから10J等に)に急に変わったとしましょう。
熱回路としては次のことが”並列に”起こります。
・一部のエネルギーは、絶縁層に”溜まり”、徐々に温度が”上がって”いきます。(この場合、絶縁層は蓄熱体としてはたらき、溜まる度合いは、熱容量(比熱×重量))
・別のエネルギーは、表面からの放熱によって”エネルギーを失い”ます。この場合、絶縁層は、熱伝導体としてはたらき、熱抵抗が大きい(伝導度が低い。表面には熱が伝わりにくい)ほど、”失われるエネルギーは少なく”なります”。
(特に「抵抗」は、ついつい「熱を通りにくくするもの」≒「電気を通りにくくするもの」と考えてしまい、その結果、直列?並列?が悩ましくなりますが、実際には、すでにお気づきのように、「T6からT0に向けて熱が流れていく際の流れに対する抵抗」(絶縁体が断熱を目的としたものでなくても、包んでしまった以上熱の流れの妨害をする)であり、「エネルギーを失わせやすいのは・・・」と考えると、納得しやすいかもしれません)
さてさて、必ずしも数学的には正しい表現ではありませんが、ご理解の上でお役に立てれば幸です。
返答が遅くなり申し訳ありません。
電気回路と熱回路のアナロジー、直列、並列の違いという観点について真正面から定性的なご回答いただきありがとうございます。
絶縁体が蓄熱体でもあり、かつ熱流を妨げるものであることがわかりました。
No.3さんの回答に補足しましたが、自分の疑問というのはおそらく、なぜ実際の温度変化はT1からT6への変化であるのに、熱回路を組む時にT6からT1に至るまでの熱流の向きを想定するのか、というところにあるのかと思いました。疑問というよりも、違和感なのかもしれませんが。
No.7
- 回答日時:
電気回路では電源があります。
だいたい、定電圧電源が普通です。
定電圧電源は電圧を持っています。
電圧は、あるところの電位とあるところの電位の差になります。
熱回路の場合は あるところの温度とあるところの温度の差
温度差が電圧のように熱伝導(?)、放熱を促す、エネルギーになります。
温度差がなければ熱は伝わっていかない。
私はT6からT1に至ると言うより、T6とT1のあいだの温度差をエネルギーとして熱が伝わっていくように考えています。
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