
電気抵抗(オームの法則)について質問させて頂きます。
高校や大学教養過程の教科書などに電気抵抗の微視的解釈として伝導電子が金属格子中を衝突しながら電場と逆方向に流れるモデルの運動方程式によって説明されています。
すなわち
m・dv/dt=-eE-m/τ・v これを解いて(初期条件t=0でv=0)
v(t)=-eτE/m(1-e(-t/τ))
v:電子の速度 τ:衝突間の平均時間
E:電場 m:電子の重量 e :電気素量
t→∞ではv=-eτE/m
電流密度i=-env=ne<2>τE/mでこれがオームの法則に相当すると説明されています。
前置きが長くなりましたが、ここで疑問があります。
交流電源に抵抗をつないだ場合 (例えばv(t)=Vsinωtで表されるとして)の電流はオームの法則より
電流i(t)=v(t)/Rとなって交流電圧と位相が等しいと習います。
しかし先の衝突モデルで考えると電流が刻々と変化する為には電子速度に加速度が生じている筈で
運動方程式は
m・dv/dt=-eVsinωt/l-mv/τ
となると思います。 l:導線の長さ
※v(t)=Ri(t)となる状態では電圧と抵抗が釣り合って電流に変化は生じないように思います。
因みにあえてこの方程式を独自に解いてみた所、途中経過は省略しますが
v(t)=-eVsinφ/lmsin(ωt+φ) ただしtanφ=-τとなり位相が電圧より遅れます。
長くなりましたが本モデルではこのように解釈して良いのでしょうか?
また位相差φ=tan<-1>-τをほとんど0として位相差無しということで厳密には僅かに位相差φがあると解釈して良いのでしょうか?
よろしくお願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
>ただしtanφ=-τとなり位相が電圧より遅れます
tanφは無次元量なので多分右辺はωτとかになるのではないかと思います(数係数がつくかもしれません)
>長くなりましたが本モデルではこのように解釈して良いのでしょうか?
Drude模型ではそうなりますが、通常の電気回路で扱うような周波数を考えている限りいつもωτ<<1ですのでご質問にあるような理由で位相差が出る事はありません。
ただ金属に電磁波を入射するような場合を考えればωτ>1になり得るのでご質問のような議論を考える事になります。金属が高周波を反射しないのは、Drude模型の範囲ではそうやって電磁波の電場と電子の位相がずれてしまう事から理解されています。
>また位相差φ=tan<-1>-τをほとんど0として位相差無しということで厳密には僅かに位相差φがあると解釈して良いのでしょうか?
Drude模型ではそうなるのですが、現実の系を「厳密に」扱うのであれば、自己誘導や浮遊容量のような位相をずらす要因はいくらでもあるわけで、Drude模型で予言している分の位相差があるのだと考えるのは正しくないのが普通でしょう。
ご回答ありがとうございます。モデル自体の解釈に限れば微小な位相差があるということでとてもすっきりしました。
お礼が遅くなり申し訳ありません。
No.2
- 回答日時:
高校の教科書等に載っているこの所謂「等加速度」モデルは
誤りであることがよく知られています。
#drudeモデルを換骨奪胎したもの。
例えば、電場を大きくしてもなぜτは
かわらないのか、「等加速度モデル」では説明できません。
加速によりτは短くなるはずとして計算すると
今度はオームの法則が成り立たなくなります。
電子の速度には、素の速度(秒速千km程度)と
ドリフト速度(=集団としての平均速度=秒速数mm程度)
の2種類が有り、この両方の速度を正しく扱わないと
オームの法則は導けません。
元のdrudeモデルはこれを明瞭に区別して扱っています
が教科書では曖昧です。
詳しくは「パチンコ台モデル」を検索してみて下さい。
τは電子の熱運動による素の速度の方で決まるので
非常に小さな値になります。0.01 ps のオーダーです。
これにより確かに電流の位相の遅れ起こりますが、
普通の電子回路では無視できます。
ご回答ありがとうございます。No.1様とともにDrude模型を挙げられ、各粒子のランダムな運動の速度と全粒子の平均としての速度を明瞭に区別しているとのこと。早速Drude模型を確認します。
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