現在アメリカの司法制度の授業をとっています。数年前のケースですが、最高裁が、宗教グループの人事に対し雇用差別法は適用されない(政府の介入は受けない)、なぜなら憲法のfirst amendmentにおいて、宗教グループのリーダーや幹部などの選択に政府は介入してはいけないという決まりがあるからである、という判決をしたという記事を読みました。
司法制度についてあまり知識がないのですが、日本で同じような訴訟が起こった場合でも、同じような判決になると思いますか?それともこの判決はアメリカ(コモンロー)独特のものだと思われますか?
このケース、裁判所によって法の力が制限されたように感じるのですが、日本、あるいはシビルローの国でも、裁判所はこのように法の力を制限する権力を持っているのでしょうか?
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
日本で同じような訴訟が起こった場合でも、同じような判決になると
思いますか?
↑
なると思います。
宗教団体の人事に国家が介入することは
宗教団体の信教の自由を侵害するおそれが
あるからです。
古くは、特別権力関係理論が適用され
同じ結論が導出されたこともありましたが、
現代ではこの理論はあまり使われておりません。
それともこの判決はアメリカ(コモンロー)
独特のものだと思われますか?
↑
先進国なら同じ判断がなされると
思いますよ。
このケース、裁判所によって法の力が制限されたように感じるのですが、
日本、あるいはシビルローの国でも、
裁判所はこのように法の力を制限する権力を持っているのでしょうか?
↑
このケースは、憲法に基づき、法律を制限したものと
いえるでしょう。
つまり、憲法解釈として、信教の自由を雇用差別法よりも
優先させたのです。
こうした司法の法令審査権は、米国も日本も
認められています。
ドイツなどは、司法裁判所とは別の憲法裁判所で
扱います。
No.2
- 回答日時:
日本の裁判所が法要するに立法に介入できるのは「違憲立法審査」だけであり、それ以外のいかなる手段も持ちません。
簡単に言えば
「この法律のこういう規定に基づいてこういう結果が生じた。
それは個人Aが明らかに損害を受ける結果であった。
しかも、その条文は最高裁によって違憲であると認定された。
したがって、個人Aには国家に対する賠償請求権が生じる。」
日本の最高裁ができるのは、あくまで法律が違憲であるかどうかの判断だけです。
「だからこうならなければならない」
と言うところまでは踏み込めません。
したがって法律改正や解釈変更については、立法府や行政府の動向を待つことになります。
その例が一票の格差の問題で、
裁判所は「違憲状態である」とはいえても「だからこうならなければならない」とまでは言いません。
ご回答ありがとうございます。”したがって法律改正や解釈変更については、立法府や行政府の動向を待つことになります。
”、この点がアメリカの司法制度とはかなり違っているところなのかな?と思いました。
司法制度はなかなか複雑で構成が緻密で難しいですが面白いですね。勉強を続けようと思います。
ご回答ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
米国、欧州、日本などの法治国家では、
司法は、法を解釈して判断する組織であって、それを『法の力を制限』と感じたのは、あなたの感じ方の問題ではないかと思います。
米国の事例では、政教分離という大原則の方が、雇用差別に関する法律よりも上位であった、という事なのだと思います。
小さい例ですが、日本でも『慣習法』という概念があって、民法の規定と慣習が対立する場合に、特例として慣習が認められる事があります。
大きな例だと、自衛隊を合憲・違憲どう判断するかのような、最高裁の大法廷で解釈をめぐって対立するような問題。賛成派も反対派もいるわけですから、解釈の結果として一方は『満足』し、他方は法を歪められたと『感じる』かもしれません。
ご回答ありがとうございます。とてもしっくりくるアンサーでした。
私自身、はじめは憲法>法律の判決がアメリカの司法制度ならではのことではないかと思いましたが、のちのち考えると、おっしゃられる通り、”雇用差別法はこのケースには適用されないから”という単純な決断に過ぎないと気づきました。
ただなぜ政教分離が雇用差別より重要な問題だと判断されたのかを考えると、中には私のように、”憲法のほうが重要だから”と考えたジャスティスもいたかもしれませんね。とても分かりやすい回答を有難うございました。
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簡単に言うと、アメリカのようなコモンローではジャッジ個人の法の解釈の幅が広いですし、判決を”法律”よりも”憲法”を重視して行う傾向が強いのでは?と感じるのですが、これは別にコモンローだからなどという理由ではなく、基本的にどの国においても判決は法律よりも憲法に基づいてなされるものなのでしょうか?