遅刻の「言い訳」選手権

高分子のラジカル重合において、開始剤の濃度を増やすと何が起こるでしょうか。重合速度は大きくなると思うんですが、他にも何か起こるんでしょうか。

A 回答 (1件)

開始剤の濃度を高めて、同じ温度で重合すると重合速度が大きくなりますが、それに伴い生成高分子の分子量が低下してしまいます。


ラジカル重合において分子量の目安に動力学的連鎖長があります。
これは、重合速度と停止速度との比です。
つまり、重合速度が停止速度よりも100倍速ければ、平均的にモノマーが100回(100個)重合すると停止反応が1回起こるので、連鎖長はモノマー100個分となります。(不均化停止の場合)
又、停止反応が再結合の場合は、停止反応で。それまでの(生長反応していたときの)分子量が2倍になりますので、動力学的連鎖長も2倍になります。

ところで重合反応(生長反応)は、モノマーと生長ラジカルとの反応で、生長ラジカル濃度は開始剤の濃度と相関があります。
そこで、開始剤濃度を高めると、生長ラジカル濃度が高まり、重合反応速度が大きくなります。
この場合、重合速度はモノマー濃度と生長ラジカル濃度とに比例します。
停止反応を生長ラジカル同士の反応だとすると、停止反応速度は、生長ラジカル濃度と生長ラジカル濃度、つまり、生長ラジカル濃度の2乗に比例します。
ラジカル濃度を高めると、生長反応は比例して、停止反応速度は2乗に比例して大きくなるので、濃度が高いほど停止反応速度が大きくなることから、分子量は低下してしまいます。
開始剤濃度が、そのまま生長ラジカル濃度ではありませんが、相関関係はあります。
もっと詳しい説明は、重合関係の本を調べてください。
定常状態では、重合速度は開始剤濃度の1/2乗に比例する。
つまり、生長ラジカル濃度は開始剤濃度の1/2乗に比例する。(定常状態近似を用いて導きだす。)

など、基礎的な事柄を勉強すれば、もっと理解が深まると思いますよ。
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この回答へのお礼

なるほど!!
とても分かりやすい説明をして頂いて、有り難うございました。
まだまだ勉強不足だなぁ。

お礼日時:2005/04/30 16:51

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