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共同親権者(父母)のうち、父親が父親名義のみで同意をし母親は同意をしておらず、未成年者が契約をした場合、その後離婚等により単独親権者となったケースで質問です。

1)単独親権者が父親の場合、父親は取り消しができるのか。また、契約当時親権者だった母親は取り消しすることができるのか。

2)単独親権者が母親の場合、取り消しすることができるのか。

教えてください。よろしくお願いします。

A 回答 (3件)

ご質問の趣旨は良くわかりました。

要は、「共同親権者のうちの片方(母親または父親)が、未成年者のした法律行為について、自己単独名義で同意した。この場合には、同意が共同名義で無い以上、無効であるため、未成年者の法律行為を、なおも取消できるのが原則だが、後に、その父母が離婚して単独親権者となった者が、この同意をした者か否かで、後に取り消しできるかどうかについての結論が異なるのか?」と言う事だと思われます。

実はこのような判例があります。「未成年者の後見人ではない者が、後見人として未成年者の所有する不動産を売却後、この者が現実に後見人に就任した場合には、就任と同時に売却の効力が発生する」(判例番号はすいませんがわかりませんでした) この判例とご質問の事例とでは、「未成年後見人」と「親権者」という違いはありますが、双方とも「未成年者の法定代理人」である事には変わりありません。つまり、「最初に権限なく行い、無効な行為だったからといって、その者が、後にその権限のある者に就任すれば、民法1条2項の信義誠実の原則から、その無効な行為が当然に有効になり、もはや取り消す事は出来ない」と言う事を意味しています。したがって、この判例に従えば、次のようになると思われます。

「母親(または父親)が単独名義で、未成年者の法律行為について同意したが、後に父母が離婚した」この場合に、

(1)同意した母親(または父親)が単独親権者となった場合→もともとの同意は単独名義であり無効であるが、同意した者自身が単独親権者となったのだから、民法1条2項の「信義誠実の原則」から、同意は当然に有効となり、もはや未成年者の法律行為を取り消す事は、信義誠実に反し許されない。

(2)同意していない父親(または母親)が単独親権者となった場合→同意していない者が単独親権者になったのであるから、(1)のような事はなく、その単独親権者が取り消す事が出来る。

なお、どちらの場合も、離婚後に親権者とはならなかった者は、親権が無い以上、取消は出来ないものと考えられます。

ただ、NO2さんの言われるように、果たして、このような事例において、「信義誠実の原則の適用をすべきなのか」という問題は残ると思われます。つまり「未成年者保護の趣旨」や「相手方保護の必要性の無さ」から考えれば、適用しなくてもいいのではないか、という考え方もあり得ると思います。

もう一つは、実は、「親権者の共同親権行使違反行為」(民法818条3項違反)は「絶対無効」であるとされていると言う事です。これに対して、後見人の権限無く行った行為は、原則どおり「無権代理行為」です。したがって、「共同親権行使違反」については、「絶対無効」である以上、「無権代理行為」のように、行為した者自身が権限ある者に就任しても、有効となるような効果は発生しない、と解することも出来ると思われます。

結局どっちつかずの結論になりますが、ご質問の事例がそのまま当てはまる判例等があれば、結論が出るのですが、「どちらとも言えない」、あるいは、私もNO2さんと同じように、「どちらの場合も、同意は無効のままで、単独親権者は常に取消できる」の方がいい解釈かもしれない、と考えています。
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(1)


>父親は取り消しができるのか。
原則、できると思います。なぜなら、単独名義での同意は無効だからです。

ただし、同意をした本人である「父親」が、取り消しという自らの行為と矛盾する行為をできるか、矛盾挙動禁止の原則(1条2項)の適否が問題になりえます。

私は、未成年者保護の趣旨、および単独名義であることが明らかであることから相手方保護の必要もなく、父親を矛盾挙動の禁止の原則を適用する必要はないと思います。


>また、契約当時親権者だった母親は取り消しすることができるのか。
取消権者を決めるのはいつの時点かということですよね。私は、取消権を行使する時点で、親権が必要だと思います(120条1項参照)。
もしも、行為当時の親権者が取消権を持ち続けるとすると、離婚後も共同行使が必要となりそうですし、不都合が大きいように思います。

(2)
>単独親権者が母親の場合、取り消しすることができるのか。
父親の場合と異なり、問題なく単独で取り消しができると思います。
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まず、夫婦は共同で親権を行使するのが原則(民法818条3項本文)ですので、父親が単独で、かつ「父親単独名義」でした同意は、無効です(最判昭和42-9-29)。

したがって、同意は無効ですから、その後適法な同意をしない限り、未成年者の法律行為について、取り消す事ができることになります。ただし、単独で同意したのだが、名義は「父母共同」であった場合には、善意の第三者に対して、その効力が生ずる(民法825条)とされています。そして、その後に離婚して単独親権者となった場合には、親権は単独で行使する事になるので、上記のように、同意の効果が発生していない場合には、未成年者の法律行為について、「単独親権者」が「単独」で取消できます。なお、この場合に、質問者さんは、父親と母親で分けていますが、どちらが単独親権者でも、結論は同じです。

この回答への補足

ご回答ありがとうございます。

ご存知のとおり、今回の質問は共同名義での同意で、実は片方の親権者は同意していなかったケースは想定していません(表見代理が認められますので)。
単独名義で同意していて、なおかつ実際に単独名義人以外の共同親権者は許諾していなかったケースです。

単独名義の同意は、無権代理行為になりますので、同意自体は意味をなし得ないものとなるのは、おっしゃるとおりです。
しかし、未成年の契約自体は取消権を行使しない限り有効ですよね。
と言うことは、単独名義の同意をしたとしても、親権者が取消権を行使しないことには、未成年の契約自体は有効のままということですよね。

そうすると、私の述べたケースで取消をしようとしたとき、その取消権者は契約したときの親権を有する者か、取消をしようとしたときの親権を有する者か、という部分を教えていただけるとありがたいです。

また、もしその答えが「取消をしようとしたときに親権を有する者」であったとき、その親権者が契約時に同意した単独同意者である場合は取消をなし得るのか、否かも教えてください。

よろしくお願いします。

補足日時:2005/09/01 23:56
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