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導体、半導体と絶縁体では帯構造がどのように違うのでしょうか。本を見てもよく分かりません。雰囲気だけでもいいですので、教えてください。また、参考になるサイトなどありましたら教えてください。

A 回答 (2件)

導体の話を書き忘れました.


導体の場合は,フェルミ準位がバンドの内部にあって,
フェルミ面付近の電子はいくらでも小さいエネルギーで励起が可能です.

E(エネルギー)

│  │   │
│A │許容帯│
│  │   │
│  ├───┤   
│  │   │ ↑
│B │禁止帯│ Δ
│  │   │ ↓
│  ├───┤
│  │   │
│C │許容帯│
│  │   │
│  │   │


許容帯と書いているのは電子が存在できる部分.
AやCの位置にフェルミ面があれば金属,
Bの位置なら半導体あるいは絶縁体です.
フェルミ面がBの位置の時は,
上のバンドは伝導帯,下のバンドは充満帯,と呼ばれます.


分類図式を書きますと

┌ フェルミ面がバンド内部 ⇒ 金属

│                ┌ バンドギャップ小 ⇒ 半導体
└ フェルミ面がバンド間(禁止帯)┤
                 └ バンドギャップ大 ⇒ 絶縁体

ということです.
なお,半導体に他のものをドープすると不純物バンドができたりして
様相が変わりますが,今はそういうことは考えていません.

また,半金属というのがあります.
これはバンド構造がちょっと変わった形を持っていて,
本質的に金属ですが自由に動ける電子の密度が非常に小さい
(普通の金属の1万分の1など)ものを言います.
ビスマスが有名.

バンドの話は本質的に電子間相互作用が弱いときの話です.
バンド構造からみると金属のはずなのに,
強い電子間相互作用で絶縁体になる場合もあります.
こういうものをモット・ハバード型絶縁体と呼んでいます.
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この回答へのお礼

丁寧な回答ありがとうございました。とても参考になりました。

お礼日時:2001/12/15 01:05

半導体と絶縁体のバンド構造は本質的に同じです.


フェルミ準位が禁止帯にあって,
電子で満たされた充満帯と完全に空のエネルギー帯(伝導帯)がエネルギーギャップ
(禁止帯の幅のことでバンドギャップともいう)によって隔てられている場合が
半導体あるいは絶縁体です.
この場合,充満帯の電子が上の伝導帯に励起されないかぎり電流は流れません.
で,半導体と絶縁体の違いはエネルギーギャップΔの大きさです.
絶対温度Tの熱エネルギーでエネルギーギャップΔを乗り越える確率は
ボルツマン因子 exp(-Δ/kT) に比例します.k はボルツマン定数.
したがって,Δが小さければかなりの確率で電子が上の伝導体に励起されて
電流が流れますが(半導体),
Δが大きければ励起される電子の数は少なくほとんど電流は流れません(絶縁体).
exp(-Δ/kT) というボルツマン因子の関数形が重要で,
Δが10倍になると,この因子は同じ T に対して
exp(-10)~ 4.5×10^(-5) 倍になります.
20 倍なら exp(-10)~2.1×10^(-9) 倍.
というわけで,励起される電子の割合はΔに非常に敏感なのです.

じゃあ,Δが20倍なら温度も20倍にすれば絶縁体も半導体のように見えるか?
理屈はそうですが,T は絶対温度ですから室温で 300K 程度,
20 倍にすると 6000K で太陽表面の温度程度になってしまって結晶が融けちゃいます.
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